Charlotte~君の為に……~   作:ほにゃー

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前話を少し書き直してるので良ければご確認ください


助けに

隼翼のスマホの着信音が鳴る。

 

「もしもし」

 

『コノ国デ超能力者ヲ束ネテイル人デスネ?』

 

「(日本人じゃない……)だとしたらなんだ?」

 

『コノ国最強ノ超能力者ヲ熊耳カラ教エテモライマシタ』

 

(熊耳が!?海外のテロに巻き込まれたか!となれば、響君も一緒………)

 

「熊耳は?それと、響君は?」

 

焦りながらも冷静を装い、隼翼は問いかける。

 

『二人トモ命二別状ハナイデス。タダシ、熊耳ハ爪ト歯ハアリマセン』

 

「くっ………目的はなんだ?」

 

『乙坂有宇ガ欲シイデス』

 

「ふざけるな!」

 

『友利奈緒ト言ウ超能力者ヲ誘拐シマシタ。友利ト熊耳、一之瀬、引キ換エニ彼ヲクダサイ』

 

「…………場所は?」

 

『古木ガ連レテ行キマス。乙坂有宇一人デ来テクダサイ。貴方達ノ事ハ、古木ヤ熊耳カラ聞イテイマス。コノ作戦ハカナリ前カラ計画サレタモノ。モシ計画ガズレレバ、過去二戻ッテ運命ヲ変エタト見ナシテ、古木ノ家族ヲ殺シマス。デハ』

 

そう言い残し、男は通話を切った。

 

隼翼は両手を机に着き、自分の失態を悔やむ様な表情をする。

 

「……通話、古木さんへ」

 

スマホに向かってそう言うと、古木さんの携帯へと繋がる。

 

『…乙坂君』

 

「大丈夫ですか?」

 

『……すまない…脅されていたんだ』

 

「いつから脅されていたんですか?」

 

『学園設立に向けて、動き出したころから…』

 

(そいつは厳しいな…………)

 

『自殺も考えた…けど家族を残しては…だから…だからこんなことにっ!!』

 

「俺の判断のせいです。古木さんが自分を苛む必要はありません。ご家族は助けてみせます」

 

『……すまない』

 

通話を終え、隼翼は由美、目時、前泊、七野の四人を呼び作戦を話し合った。

 

「ついに日本にまで、ですか」

 

「しかし、どうして熊耳が?」

 

「古木さんが脅されていた。俺の過ちだ。あの人には過去に家族が居たのに、それを黙認してしまった」

 

「そんな所から………」

 

「なら、古木さんが脅されるより前に、弟さんをタイムリープさせれば」

 

「学園設立前となると俺達が同じ道を辿れるかどうか………それに、これ以上の時空間制御は由美の体には負担が大きすぎる」

 

「私の体の事はこの際どうでもいいわ。でも、設立前だと、この組織自体無くなってる可能性もあるわね」

 

「じゃあ、まず弟に熊耳たちを助けさせたらいいんじゃないか?」

 

「それだと古木さんのご家族が殺される。連中はそれに気付けるように動いてる」

 

「なら、弟さん以外の能力者で」

 

「相手は有宇一人で来いと言ってる。下手をすれば捕まってる全員が犠牲になる」

 

解決策が出てこず、全員が頭を抱える。

 

そんな中、七野が口を開いた。

 

「むしろ、弟一人で行かせた方が勝機があるんじゃ」

 

『え?』

 

「相手も能力者だろうから能力を奪える。失敗してもタイムリープで今ここに戻ってこれば異変は生じないから相手にも気付かれない」

 

七野が自信満々に言う案は一理あるが内容が雑だった。

 

だが、その方法しか案が無いのも事実であった。

 

「…………有宇に賭けるしかないか」

 

隼翼は有宇を一人呼び出し、起きたことを話した。

 

「響達が!?」

 

「寮の警備員がやられた。恐らく相手は海外のプロだ。武装もしてるだろう」

 

「そんな所に僕一人で……」

 

「お前なら大丈夫だ!まずそこに居る全員に乗り移り能力を奪い、武器を捨てさせる。できるな?」

 

「………隠れていない相手なら」

 

「相手はお前を手に入れたがってる。お前を傷つけることは絶対にしない!だが、もし捕まったり命の危機を感じたり、熊耳や奈緒ちゃん、響君の命が危険になったら迷わずタイムリープして、今この時間に戻ってこい!作戦を立て直す!同じ時間軸に戻る必要もあるから、行く前に、由美の能力を略奪で持って行け!後、興奮だけはするな。興奮して崩壊の能力が発動してしまう!」

 

次から次へと矢継ぎ早に作戦を話す隼翼に、有宇は不安を募らせた。

 

自分に三人を助け出せるのか?

 

それが頭の中を巡った。

 

「有宇!分かったか!?」

 

「……なんだよ」

 

「有宇?」

 

「なんなんだよ!僕にそんなことが出来るわけないだろ!一個人でどうにかなるような問題じゃない!僕はズルをしていい点を取っていただけのただのカンニング魔だ!自分のことしか考えてこなかった嫌なヤツだ!周りから良い目で見られたかっただけの、卑しい人間だ!…………そんな僕に…何が…!!!」

 

不安と、自分の気持を考えずに押し付けて来る隼翼に有宇は興奮気味に騒ぐ。

 

それと同時に、崩壊の能力が発動し、施設を崩壊させようとする。

 

「落ち着け有宇!」

 

隼翼は立ち上がり、有宇を抱きしめる。

 

「俺の心音だけを聞け」

 

有宇を優しく抱きしめ、落ち着かせようとする。

 

能力は止まり、有宇も落ち着きを取り戻して席に座る。

 

「すまん、焦り過ぎていた。何かあったら今この時間にタイムリープだ。それだけ覚えろ。………、まだ時間はある。冷静に考えてくれ」

 

隼翼は部屋に有宇一人にし、考えさせる。

 

有宇は一人になり、隼翼の言う通り冷静に考えた。

 

『しっかし、ルックスだけでモテそうなのに、なんで態々優等生を演じる必要があったんですかね?』

 

「思えば酷い出会いだったな」

 

『ZHIENDのPVを撮るのが私の夢なんす』

 

『だから、いつか見せるんだよ。俺のアルバム(人生)を。あの人に』

 

『貴方が立ち直るまで付き合う。そう決めたんです』

 

『友達だからだ!』

 

『必ず助けるぞ!有宇!』

 

「……歩未の時もそうだ。失ってから気付いてちゃ遅いんだ。…………二人が僕を助けてくれた様に、今度は僕が二人を助けるんだ」

 

そう言って立ち上がった有宇の瞳には決意と覚悟の意志が宿っていた。

 

有宇は隼翼たちに覚悟を決めたことを伝えに行く。

 

「決めたよ」

 

「腹をくくったんだな」

 

「ああ」

 

「俺達も後から行く。お前は一人じゃない」

 

それに続いて、車いすに乗った由美が有宇に近づく。

 

「どうぞ、有宇君。私の能力、持って行って。これがあれば、タイムリープしても違う時間軸に飛ばされること無くこの時間軸に飛べるわ」

 

「はい」

 

有宇は略奪の力を発動し、由美に乗り移り、時空間制御の能力を奪った。

 

「分かってるけど思うけど、私の能力を発動させるには自分がどの力を発動させるのかを頭で考えた上で自傷行為……と言うより、痛みがスイッチになって発動するわ。でも、その痛みはちょっと痛い程度じゃダメ。血が出るぐらいの勢いでやらないとダメよ。だから使うときは相当の覚悟がいる。…………大丈夫?」

 

「覚悟が出来てなかったらここにはいませんよ」

 

「……そうね。有宇君、響を………いえ、三人をお願いね」

 

「はい」

 

有宇は一人で坂を降り待機していた車に近づく。

 

古木は有宇の姿を見て申し訳なさそうにする。

 

「貴方が古木さんですね」

 

「……ああ。………乗ってくれ」

 

車に乗り有宇は例の廃工場へと連れてかれる。

 

車を降り、廃工場内に入ると、背の低い外人と眼鏡の外人は上の方から二人を見下ろしていた。

 

(二人。だが大人だ。能力者じゃない………)

 

「連れてきたぞ!」

 

「デハ約束通リ、家族ハ解放シヨウ」

 

「Hey, take this!」

 

背の低い外人がカギを投げ捨てるように上から投げる。

 

「マンションノ鍵ダ。場所ハ札二書イテアル」

 

古木さんは落とされた鍵を慌てて拾い、それを壊れ物かの様に両手で持つ。

 

「………すまない………こうするしか……なかったんだ!」

 

古木さんはそう言い、その場を去った。

 

(よし、行くぞ!)

 

有宇は背が低い方の男に乗り移り、武器を探す。

 

(………何もない!?くっ……!)

 

次に眼鏡の外人の方に乗り移るがこっちも特に武器は持っていなかった。

 

「気ハ済ミマシタカ?」

 

「くっ………響たちは!?」

 

「コノ下デス」

 

「今すぐ三人を解放しろ!」

 

そう叫んだ時、暗がりから褐色の少女が現れ、有宇に向かって飛ぶ。

 

少女が口を開けると眩い光が放たれ有宇は思わず手で目を覆った。

 

少女はそれを見逃さず持っていたナイフで乙坂の右目を手ごと切った。

 

「う…………うあぁあああああああああ!!!!!!!」

 

有宇は右目を押さえながら地面に倒れる。

 

(まずい!早くタイムリープを………!使えない!なら、由美さんの能力で!)

 

親指を口の持っていき、噛みつくが目を切られた痛みから力を入れることが出来ず由美の能力も使えなかった。

 

「ヤハリ片目デハ、過去二戻ル超能力ヲ使ウノハ不可能」

 

「う…………うおおおおおおおおおお!!!」

 

有宇は感情に流されるまま、崩壊の能力を発動させてしまう。

 

「崩壊ノ能力ヲ使エバ、地下ノ三人ハ助カラナイ」

 

その言葉に有宇は冷静になり、今度は念動力を使って鉄パイプを操り二人の外人を攻撃する。

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

(助ける!……助けるんだ!今度は………僕が二人を……………助けるんだ!)

 

一気に終わらせようと力を籠めようとした瞬間、有宇は右肩に痛みを感じた。

 

先程の少女が有宇の背中に張り付き、右肩をナイフで突き刺したのだ。

 

「………うあぁああああああああああああああああ!!!!!」

 

痛みと混乱、助けようとする焦りから有宇はもう冷静になることは出来なかった。

 

有宇うの体から光が放たれ、崩壊の能力が暴走し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃工場は崩壊した。




恐らく次の話を投稿したら最終我が放送されるまで更新を止めます。

最終話を見て最終回をどうするか決めます。

一応オチとしては二通り考えてるので、どちらになるかは最終回の放送で決めます。

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