取り敢えず、主人公とゆさりんを仲良くさせます。
ある日の放課後。
協力者は現れず、生徒会活動は無く俺は暇を持て余してる。
高城は黒羽の限定グッズを買いに行くといい、乙坂は本屋に今日発売の新刊を買いに、奈緒はいつの間にかいなくなっていた。
「家に帰っても暇だし、どうすっかな」
そう言えば、最近近くにゲーセンが出来たって乙坂が言ってたな。
行ってみるか。
早々に帰り支度を済ませ、俺はゲーセンへと向かう。
ゲーセンが見えると店先でうろうろしてる生徒が居た。
「あれ?黒羽」
その生徒とは黒羽だった。
「よぉ、黒羽」
「あ!一之瀬さん!」
俺が声を掛けると、黒羽は笑顔で振り向く。
「何してるんだ?仕事は?」
「今日はお休みなんです!だから、ゲーセンって所に行ってみようと思って」
「なるほど。で、来たは良いけど、入る勇気がないと」
「う~………お恥ずかしながらそうなんです」
黒羽がしょんぼりとした表情で言う。
「なら、俺と入ろうぜ。俺もゲーセンに行くつもりだったし」
「本当ですか!ありがとうございますぅ!」
黒羽と並んでゲーセンに入ると、ゲーセン特有の騒がしさが聞こえる。
「これがゲーセンですか!なんかすごい所ですね!」
「そうだな。で、何して遊ぶ?」
黒羽はゲーセンの中を一通り見渡し、あるゲームに注目する。
「これにしましょう!」
「シューティングゲームか。いいぜ」
百円を二枚投入し、ゲームを始める。
「うわっ!敵が一杯ですぅ!」
「ほら、黒羽も撃て!」
「はい!」
二人で騒ぎながら、やること数分。
画面には真っ赤なGAME OVERの文字が映ってた。
「すみません……負けてしまいました………」
「いいっていいって。こういうのは楽しんだもん勝ちだ。次は…………黒羽。あの格ゲーやろうぜ」
「格ゲー?」
「格闘ゲームだよ。手元のレバーとボタンで操作するゲーム。向かい同士の機械使えば対戦もできるし対戦しようぜ」
「はい!いいですよ!」
互いに向かい合うように座り、ゲームを始める。
黒羽は初心者らしくたどたどしい動きだ。
ちょっと遊んでみるか。
軽く隙を作り、様子を見ようとしたら、次の瞬間、キャラが俊敏な動きをし、俺のキャラを一瞬で倒した。
「………え?」
「はっ!よえーな!」
思わず前を向くと、そこには黒羽ではなく、美沙が居た。
「格ゲーならあたしの領分だ。本気で来いよ」
「……いいぜ、美沙。お前は俺を本気にさせた」
これでも、不良狩りしてた頃はゲーセンで格ゲーの鬼と呼ばれてたんだ。
簡単には倒れないぜ!
再度コインを投入し、二戦目に入る。
俺と美沙の試合は白熱し、互いに一歩も譲らぬ接戦だった。
「やるじゃねぇか!」
「そっちこそ!」
残りHPは僅か。
それは向うも同じ。
これで決める!
俺は必殺コマンドを入力する。
すると、美沙も同時に必殺コマンドを入力し、同時に必殺技が出る。
俺の必殺技は威力は低いが、連撃回数が多い。
対して、美沙の必殺技は威力はあるが、連撃回数が少ない。
どっちが勝つか分からない。
画面では、必殺技同士が相殺する効果音が聞こえる。
必殺技の発動が終わり効果音が止まる、そして、俺と美沙のキャラは同時に倒れ、DRAWの文字が出た。
引き分けか。
「あたしが引き分けとはね。これでも、格ゲーでは負けなしだったんだけどな」
「俺も格ゲーには自信があったんだけとな」
そう言って、互いに笑い握手をする。
「また対戦しようぜ!」
「おう。次は勝つぜ!」
そう言って、美沙は体を黒羽に返した。
「あれ?私何を………どうして、一之瀬さんと握手してるんですか?」
「ああ~…………気にすんな。それより、次行こうぜ」
その後、エアホッケーやレースゲーム、太鼓を叩く系の音ゲーや様々なゲームをして楽しんだ。
意外にも音ゲーやダンスゲーでは、黒羽に負けた。
流石は現役アイドル。
今は、自販機横のベンチで休んでる。
「ゲーセンって初めてなんですけど、とても楽しいですね!」
「黒羽はこういうところに来るのは初めてなんだよな」
「はい!お仕事で忙しかったのもありますが、お姉ちゃんにゲーセンは高校生になってからって言われてて。………お姉ちゃんは、少し前に亡くなっちゃったんですけど」
「…………美s……お姉さんは良い人だったか?」
「はい!子供の頃からいつも助けてくれて、私には自慢のお姉ちゃんでした!」
「………よかったな。さて、休憩は終わりだ。次は何する?」
「では、あれがやりたいです!」
そう言って黒羽が指さしたのは、クレーンゲームだった。
「あの猫さんのぬいぐるみ!可愛いです!」
黒羽にクレーンゲームの説明をし、黒羽は意気揚々と百円を投入してゲームを始める。
しかし
「一回も取れません…………」
若干涙目になってる。
「ちょっと貸してみろ」
黒羽と交代し、中を見る。
あそこにいる奴が狙い目だな。
百円を入れ、アームを動かす。
アームの先が、輪っかに引っ掛かり、ぬいぐるみが持ち上がる。
ぬいぐるみはそのまま落ち、取り出し口から出る。
「ほら、取れたぞ」
「え?貰っちゃっていいんですか?」
「ああ。今日付き合ってもらったお礼だ」
「うわ~!ありがとうございます!」
それにしてもクレーンゲームでずいぶん時間かかったな。
「後一回何かして帰るか」
「じゃあ、最後はアレにしましょう!」
そう言って指差したのはプリクラだった。
少し抵抗があるな。
女子と二人でプリクラって…………
「行きましょう!」
「お、おい!」
黒羽に引っ張られるままプリクラの機械に連れ込まれる。
「えへへ♪プリクラって一度撮ってみたかったんです」
そう言われると、断り辛い。
仕方なく、一緒にプリクラを撮ることにした。
機械の合成音声にしたがい、フレームを選び、ポーズを取り、写真を撮る。
『最後の一枚だよ』
ラストになり、俺は少しほっとした。
『最後は好きなポーズで撮ろう』
「あ、一之瀬さん!ちょっと、そこでじっとしてて下さいね」
「?……ああ」
黒羽に言われて、じっとする。
『行くよ?3……2』
カウントが始まる。
「一之瀬さん、今日はゆさりんに付き合ってくれて」
『1!』
「ありがとうございます♪」
そう言って、黒羽が俺に腕組みするように抱き付く。
それと同時に、シャッターが切られる。
取り出し口からはプリクラが出て来て、黒羽が嬉しそうにそれを二つに分ける。
「はい!一之瀬さんの分です!」
「お、おお………ありがとな」
受け取ったプリクラの中の一枚。
そこには、黒羽に抱き付かれてる俺の写真がある。
高城に見られたら、血涙を流しそうだ。
俺はそれを制服の内ポケットに仕舞う。
「黒羽、そろそろ帰ろう。部屋まで送る」
「はい!」
何かこそこそしてる黒羽に声を掛け、ゲーセンを後にした。
「あ、そうだ、一之瀬さん。これからはゆさりんのことは柚咲って呼んでください!」
「え?いいのか?」
「はい!生徒会の仲間ですし、それにお友達には名前で呼んでほしいです!前、乙坂さんにお願いしたら断られてしまって」
乙坂の奴、名前ぐらいいいだろ。
「ああ、分かった。なら、柚咲も俺のことは響でいいぞ。一之瀬は長いしな」
「はい!響さん!」
部屋の前に着き、柚咲に別れの挨拶をし、俺も自分の部屋に帰った。
ちなみに、柚咲が何をこそこそしてたのかというと、プリクラで撮った写真を貼ることのできるスペースがあそこにはあり、そこに、俺と腕組みをしてる写真を貼っていたそうだ。
理由を聞いたら、「なんとなくです!」っと言われた。
そして、そのことを知った高城が血涙を流していた。
乙坂からは、「お前、いつか後ろから刺されるんじゃね?」と言われた。
後、奈緒が何故が不機嫌になり、俺は一週間ほど奈緒の命令でパシリさせらされた。
書いていて、ゆさりんが奈緒よりヒロインっぽいと思いました。
奈緒とゆさりんのダブルヒロイン?
アリかもしれない。