友利ヒロインとかマジ無いって方はバックを推奨します。
問題無いって方はどうぞ物語をお読みください。
地面で倒れ伏す不良の体を漁り、財布を抜き取る。
「……チッ!三千円だけかよ。………千円は残してやるよ、電車賃だ」
千円だけ残した財布を気絶してる不良の体に放り投げ、手に入れた二千円をポケットに雑に入れる。
一之瀬響。
それが俺の名だ。
親はいない。
親は俺が三歳の時、交通事故で亡くなった。
残された俺は、施設へと預けられ、長い間その施設で過ごした。
だが、一ヶ月前、その施設に居れなくなった事情が出来た。
その事情は、同じ施設の奴に大けがを負わせた。
始めは向うが俺の事が気に食わないと言って、殴って来た。
ストレス発散だろう。
俺は特にやり返しもせず、ただ黙って拳を受け入れた。
しかし、そいつは俺の両親の事まで侮辱してきた。
「哀れな奴だな。きっと、お前の親もお前みたいで臆病者でヘタレだったんだろうな」
その言葉で、俺は止まらなかった。
そいつを思いっきり殴った。
殴っただけ。
すると、そいつは吹っ飛び、壁に激突した。
衝撃で壁にヒビが入り、そいつは口から血を吐いた。
もう何が何だか分からなかった。
気が付けば、俺は施設を飛び出し、夜の街に居た。
その日は、ネットカフェに閉じこもり、一晩を明かした。
その後、俺は自分に不思議な力があることを理解した。
俺の能力は身体機能強化とでもいうのか、とにかく、体の力を強化できる。
だが、能力の使用に三秒間時間がかかり、能力の使用時間は三分間。
そして、能力の発動後は三十秒間能力は使えない。
それに、体全体の強化はできなく、体の一部分しか強化できない。
握力だけの強化、脚力だけの強化、視力だけの強化、聴力だけの強化と言った感じだ。
腕だけの強化も可能で、腕だけを強化すれば腕は鋼の様に硬くなり、ナイフすら通さない。
しかし、部分的にしか強化できないので強化した以外の部分は普通の人間と大差ない。
そして、俺はこの力を不良狩りに使っている。
不良の世界は力が全て。
不良を倒すことで、生活費などに困らなかった。
毎日ネットカフェで過ごし、ネットカフェで飯を食べ、金が無くなったら不良を狩って金を集める。
だが、最近ではどの不良も俺の顔を見ただけで逃げ出す。
すなわち、生活費が手に入らなくなった。
今日の収穫も、さっきの不良に成りたての学生からの二千円のみ。
きっと高校デビューで、はしゃいでる奴だったんだろう。
高校か……………
「あの事件さえなければ、今頃は高校一年生か」
もしかしたらあったかもしれない高校生活を思い、俺は歩き出す。
さっきの二千円と合わせて所持金は2734円。
金が少ないし、ネットカフェに泊まるのは止めておこう。
その時、夜風が吹き、
四月になったとはいえ、まだ夜は若干肌寒いな。
フードを被り、溜息を吐く。
「腹減ったな…………」
安くてうまい牛丼屋で牛丼を買い近くの公園で食べる。
うまい…………けど、母さんの料理程じゃない。
記憶にはあまり残ってない両親と一緒に食事した記憶がよみがえる。
お世辞にも母さんの料理はうまかったと言う記憶は無い。
だが、父さんと母さんとの三人で食べた食事は今食ってる牛丼よりうまく感じた。
残りを食べようと、口を開けると、目の前に誰かが居ることに気付く。
「…………誰?」
「俺の顔を忘れるとはいい度胸だな」
「悪いな。他人に興味ないからすぐに忘れる様にしてるんだ。脳の容量が勿体ない」
「テメー…………まぁいいさ。お前にお礼参りがしたかったところだ」
すると不良は金属バットを取り出す。
「喧嘩ならこれ食い終ってからな」
箸に掬った牛丼を食べようと口を開けた瞬間、箸が牛丼の器ごと弾き飛ばされる。
「舐めてんじゃねぇぞ。さっさと立て」
「…………俺の晩飯を邪魔したんだ。弁償してもらうぞ」
人数は………五人か。
お礼参りならこれの十倍は連れて来るべきだ。
立ち上がり、俺は両腕の拳だけを強化する。
岩よりも固い拳を、奴等が仕掛けて来ると同時にカウンターで当てる。
向うが動き出すのを待つ。
すると次の瞬間、後頭部に衝撃が来た。
俺はそのまま倒れ込み、痛む頭を押さえながら後ろを見ると、鉄パイプを持った不良が笑っていた。
「テメー相手に五人で行くと思ったか?人数なら確保してんだよ」
その言葉を合図に、ぞろぞろと不良が現れる。
人数だけなら沢山いる。
くそっ…………この五人は囮か!
「お前らやるぞ!」
不良たちは一斉に俺をリンチする。
蹴り、鉄パイプや金属バットでの殴打。
反撃しようにもこの状態だと反撃するのが難しい。
今の俺に出来るのは頭を守りつつ、背中を強化し身を守るだけしか出来ない。
だが、三分過ぎれば能力は解除され、その後三十秒は無防備になる。
その三十秒を耐えきれるか。
いや、能力発動までの時間を含めたら三十三秒か。
もしかしたら、その間に死ぬかもしれない。
………………それもいいかもしれないな
死ねば……………父さんと母さんに会えるかもしれない。
会えたら………いいな…………
そして、俺は自分の防御を解いだ。
「へっ、諦めたか。じゃあ、そろそろ終わりにしようかね。お前ら退け」
不良が他の奴等を後ろに引かせ、ナイフを取り出したのが分かった。
ナイフが振り下ろされる。
だが、次の瞬間、何かが吹き飛ばされる音と、大勢の叫び、短い悲鳴が聞こえた。
「な………なんだこれ………」
不良の疑問の声が気になり、顔を上げて見ると、不良の後ろにいた不良共は地面に転がっていた。
一体………何が…………
そう思った瞬間、俺の目の前に一人の少女が立った。
だが、不良はその少女が見えてないのか。
俺の方を見る。
「お前!一体何ゔぉぶ!?」
俺に何かを言う前に少女が不良を横から殴り、そして、左右から連続で頬を拳で殴り、最後に顎を思いっきり蹴り上げた。
不良はその場に倒れ、気を失った。
少女はそんな不良に目もくれず俺の方を振り返って見て来る。
「どうも、星ノ海学園の生徒会長です」
「せ、生徒会長……?」
「はい。単刀直入に言います。貴方には私たちの学園に来て貰い、生徒会に入ってもらいます」
「………なんだそれ?意味が分かんねぇぞ」
俺は立ち上がり、服の土埃を払う。
「助けてくれたことには一応感謝する。ありがとよ」
「能力を使い続けると捕まりますよ」
その言葉に俺は歩くのを止めて、振り返る。
「捕まるって誰に?てか、能力ってなんだよ?」
「貴方の能力は身体機能の強化能力。それで、不良との喧嘩に勝ち続けてますね」
「一体何を証拠に」
「これを」
そう言って、少女はビデオカメラを取り出し、動画を見せて来る。
そこには、不良が出したナイフを強化した右腕で受け止め、左手で殴りつけてる俺の動画だった。
「この部分。ナイフで受け止めたのにも関わらず、血が一滴も流れてない。おそらく、右腕を強化してナイフを受け止めたんでしょう。それに、殴られた不良は顎の骨が折れてました。そんなことが、特に鍛えてもいない人間にできるとでも」
「…………ああ、そうだよ。アンタの言う通り俺には能力がある。で、それを多用し続けると誰に捕まるってんだよ」
「能力を研究してる科学者です。もし、捕まったら人体実験として解剖をされますよ」
嘘だろっと言いたいが、有り得ない話じゃない。
こんな能力を持ってたら科学者にとっては美味しい実験材料だろう。
「この世には貴方以外にも特殊能力に目覚めた人が居ます。ですが、その力は思春期の病の様なもので、やがて消えます」
「…………俺以外に能力者がいるって証拠を見せろ。そしたら信じてやる」
「分かりました…………ほい」
少女がそう言うと、俺の前から少女が居なくなった。
そのことに驚いてると再び目の前に現れた。
「信じて頂けましたか?」
「………透明人間になれるのか?」
「いえ、私の能力は一人の人間から視認されない能力です。他の人には私の姿は見えてます。ちなみに先程不良の集団を吹っ飛ばしたのは高城って言う、うちの生徒会の人間です。アイツの能力は瞬間移動。もっとも、都合よくピタリと止まることはできないので、あんな風に障害物などにぶつかったりします」
そういって少女が指差す先には眼鏡を掛けた男が倒れこみ、頭から血を流していた。
本当に俺以外にもこんな能力に目覚めた奴がいたのか。
その事実に驚き、俺は無言になった。
「私たちは、そんな能力者を不当な実験に遭わされるの防ぐために活動しています。そして、貴方の能力は使えるので協力してください」
「協力?………なんのだ?」
「力を悪用する能力者を脅す為に、そして、能力者を守る為に」
Charlotteはまだアニメが終わってないのでタグは一つのみです。
タグも随時増えて行くと思います。