バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回からは9巻の話ですが、やはりここも若干駆け足気味で行きたいと思います
一番重要なのは10巻ですからね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第96問

 

 

第96問

 

Cクラスとの召喚戦争の本番に向けてのメンバー確認をしていると

 

「明久は?まだ来てないのか?」

 

明久の姿がない事が気になりそう呟くと秀吉が辺りを見ながら

 

「そう言えばそうだね?明久どうしたのかな?」

 

もう爺言葉を完全にやめた秀吉がそう呟く。普段ならもう登校している時間なのにあの馬鹿どうしたんだ?それに龍也達の姿も無いがどうしたんだ?

 

「アキ寝坊かしら?」

 

「寝坊か……そうなのか?姫路」

 

ストライキのせいで明久の家で暮らしている姫路なら事情を知っていると思い尋ねると

 

「その……昨日明久君は熱を出して倒れてしまいまして……今日は大事を取ってお休みしてもらおうと」

 

「え?アキが風邪?本当に?」

 

馬鹿は風邪を引かないというんだがな……やはり迷信は迷信か……

 

「まぁ何とかなるだろう。明久の回避力と応援のスキルは魅力的だが致し方ない」

 

明久の回避力ははぐれメタルに匹敵し、応援は味方にヒートライザー。相手にランダマイザを掛けるようなものだ。攻撃力も上がってきているので戦力的には惜しいが致し方ない

 

「で?龍也達は?」

 

最大戦力である龍也とはやてとヴィータの姿がないのでセッテに尋ねると

 

「リィンが熱を出したそうなので看病しています」

 

「あとリヒトも熱を出したから今日は休むと」

 

「最強戦力が!?」

 

まさかピンポイントでちびっこ2名がダウンするとはお兄ちゃん属性の龍也なら学校を休むことを選択して当然だ

 

「まぁ良い!!!作戦説明をするぞ!」

 

龍也と明久が居なくてもセッテとティアナが居る。何とか盛り返せないことはない

 

「今日の作戦の肝は補充試験だ。可及的速やかに昨日の騒ぎで失った点を回復させる!言わなくても判っていると思うが……島田!姫路!木下!大半はお前達のせいだからな!」

 

うっと言葉に詰まる姫路達。明久が逃げ回るせいで、それを追い掛け回した3人の召喚獣はFクラスのメンバーの大半を薙ぎ払い

致命的なダメージを与えていた。それを補充しなければ禄に勝負は出来ない

 

「補充をしている間にCクラスとの差があくのではないのですか?」

 

セッテが俺が渡したクラス同士のおおよその戦力差の表を見ながら尋ねてくる。

 

「それはない。向こうは速めに引き上げて補充をしている。万全ではないだろうが、俺たちよりも点数が高いのは当然だ。そして向こうはFクラスと侮っているから補充する気はないだろう」

 

一部の戦力が突出しているFクラス。と満遍なく点数が揃っているCクラス、突出戦力を抑えることを考えるのが普通だ

 

「こっちは科目の切り替えを使って立ち回る」

 

「……科目の切り替え?どうやって?」

 

不思議そうに尋ねてくるムッツリーニ。試召戦争のルールとして戦闘に決着がつくまで科目の切り替えは出来ないならば決着をつけ素早く科目を切り替えれば良い

 

「なるほど。私と姫路さん、それとストーカーでフィールドを一掃すると言うことね?」

 

「喧嘩売ってるんですか?ツインテール」

 

「べっつにー?」

 

頼むから潰し合いだけはしてくれるなよ?貴重な戦力なんだから。あの2人を止めれる龍也が不在な以上2人の自制心に頼るしかないのが現状だ。そしてこうなった以上頼れるのは1人だけ

 

「と言うわけだ。頼めるか?姫路」

 

メンチを切りあっている2人はとりあえず放置。下手に話しかけると飛び火しかねんからだ。

 

「はいッ!任せてください!」

 

気合の入った返事を返す姫路。やけに気合が入ってるなこれなら心配なさそうだ。あとあの2人の喧嘩はほっておけばそのうち収まると何時も龍也が言っているので放置しておこう

 

「切り替えのときに姫路達が出るということは、防衛は別の人がやるの?」

 

「ああ、そうなる。開戦直後はムッツリー二と島田を中心に防衛陣を作る」

 

1点特化型の2人を出入り口を護ってもらいその後ろで姫路やセッテに控えてもらい、機を見て一掃その後は科目を切り替え補充を繰り返す。それが俺の立てた作戦だ

 

「相手次第だけどウチは保って2、30分くらいよ?」

 

「……俺もだ。持久戦は自信がない」

 

何を弱気なと言いたいが2人の言うことは最もだ、いかに1点特化とは言え相手が多ければ被弾率は当然上がる。大人数を相手に上手く立ち回れるのは明久くらいのものだ。だからこそ今日は奴にいて欲しかったが無理はいえない

 

「明久君の分まで私が頑張ります!」

 

強い意志の光を宿した目で俺を見る姫路。明久がいないことで気落ちするかと思っていたが余計な心配だった様だ

 

「よし!それじゃそれぞれ持ち場についてくれ!」

 

そう告げて作戦説明を終える。今日の勝負は一体どうなることやら……俺は若干の不安を感じながらこの戦争がどう動いていくかを考えていた

 

 

 

 

 

 

 

「吉井。書けたのか?……聞いてるのか?吉井」

 

鉄人の呼ぶ声にはっとなり

 

「え?あ、はい。すいません少し待ってください」

 

熱も下がったので登校して来たのだが、後者から聞こえてくる怒声と騒々しい音にFクラスは大丈夫なのかと気になってしまい。遅刻届を書く手が止まっていた

 

「試召戦争が気になるのは判るが、早く書けよ」

 

「了解です」

 

とりあえず早く遅刻届を記入してFクラスと合流することを考えなければ。そう考え手元の遅刻届に視線を戻す。瑞希にキスされ思考停止から復帰したのは9時30分、それから慌てて着替えを済ませ出て来たのだが時刻は10時。こんな時間に登校して来た理由を遅刻届に記入しなければならないのだが

 

「お前の遅刻は随分と久しぶりだな?何かあったのか?」

 

「ええ。実は少し熱が出てきまして」

 

僕がそう言うと鉄人はそうかといってから

 

「風邪?……そうか明日は槍でも降るか?」

 

窓の外を見ながらそう言う鉄人。まぁそう思われるの無理はないので携帯で撮っていた体温計の写真を見せながら。風邪による体調

不良と遅刻届に書いて鉄人に見せる

 

「本当に風邪だったようだな。よし行っていいぞ」

 

「一つだけ聞いてもいいですか?」

 

「何をだ?俺も早く補習室に戻らんといかんのだが」

 

遅刻届をしまいながら尋ねてくる鉄人に

 

「今のFクラスの状況は?」

 

状況を聞くには補習室の主である鉄人に聞くのが早い。僕がそう尋ねると

 

「今のところの戦死者は5名だな。姫路とスカリエッテイとランスターが善戦して防衛線を維持している」

 

「あの龍也達は?」

 

最強の戦力の龍也達なら防戦する必要もない筈だがと思いながら尋ねると

 

「小さい妹達が風邪を引いたらしくてな。今日は休みだ」

 

なるほどそれならFクラスが防戦になっている理由もわかる。早く合流しようと思い旧校舎に入ったのだが

 

「……これどうしようか?」

 

遠目にFクラスの状況を確認する

 

【一気に押し込め!所詮はFクラスだ!】

 

【補充を終えた連中が来たぞ。交代……ッぎゃああああ!!】

 

【やばい!?ランスター達だ!1度距離を取れ】

 

Cクラスの召喚獣が纏めて吹き飛ぶのと

 

【セッテ様!?巻き込まないでください!】

 

【知りません。死にたくないなら避けなさい】

 

【跳べッ!!!巻き込まれうっぎゃああああああッ!!!!】

 

セッテ様の攻撃に巻き込まれ死にはしない物のダウンしていくFクラス生。今合流すると自分も同じ目に合う未来しか見えず思わず足が止まる。どうしようかと考えていると遊撃もしくはおとりとして前に出ていたFクラス生の声が聞こえてきた

 

【た、助けてくれ福村!?セッテ様の攻撃に巻き込まれてもう7点しか残ってねえんだよ!】

 

【こっちだって一杯一杯だ!お前で何とかしろ!】

 

【やばい!無差別攻撃が来るぞ!散れ!散れーッ!!!】

 

セッテ様の攻撃は敵味方の区別の無い一掃型の攻撃だ。Fクラス生がどうなろうと知ったことじゃない言いたげにCクラス生を狩っているのを見ながら。応援に行くのかそれとも別のルートでFクラスの中に入るのかと考え

 

(うん。見捨てよう、雄二もそのつもりだろうし)

 

良く見ていると判る。囮に出されているのは点数が良くて30点台の連中で防戦に回っているのは馬鹿だが、一芸を持つ連中だ。つまり外に居るのは捨て駒と見ていい、そんな連中を助けるのに自身の点を減らすことも無いだろうと回れ右をすると

 

【吉井!Fクラスの吉井明久ぁ!!!助けてくれええ!!】

 

【おい!Cクラス!俺達なんかに構ってないで吉井を攻撃しておいたほうがいいぞ!】

 

【ああ、きっと坂本の密命を受けているはずだから!】

 

「ちい!あの屑共が!!!」

 

連中が口を開くと同時にそのまま横っ飛びで戦線区域から離脱する。僕が見捨てるという選択をしたのと僕を生贄にするという選択をしたのはほぼ同時のタイミングだったが、僕の方が僅かに早かった。もう少し遅かったらCクラス生に捕まっていたかもしれない。廊下を走りながら耳を澄ますと

 

【え?吉井?そんなのどこにもいないじゃない】

 

【騙されるな!それがFクラスの手だ!前にDクラスを打ち倒したときも同じ手を使っていた!今は目の前の敵に集中するんだ!】

 

【本当なんだよ!俺を見逃してくれたら【邪魔!目障り!!】ッぎゃああああ!!!】

 

セッテ様の苛立ちを伴った声と同時に響くFクラスとCクラスの生徒の悲鳴。また無差別攻撃が決まったらしい、だが今の僕にとっては好都合。今のうちに離脱をと全力で走りFクラスの前から離れる

 

「他の経路からの合流となると、やっぱ窓かな?」

 

魔王からの逃亡を続けているうちに潜入系のスキルはムッツリー二と同格にまで上達している(工藤さんが魔王になる前まで)それを使えば上着に仕込んでいるワイヤーを使って窓からFクラスに入ることも可能だが

 

(目立ちすぎる。こっそりと合流する方法を考えるべきだ)

 

どうやって合流しようかと考えながら廊下を歩いていると

 

【こんな時間になってしまってごめんなさいね。試召戦争中は代表は単独行動をとるべきではないのに】

 

【いえ、このくらいなら大丈夫です。Fクラスなら教室に押し込んでいますしね】

 

【それは重畳。教室に押し込んでおけば向こうも小細工は出来ませんからね】

 

空き教室から聞こえてくる2人分の女子の声。その声には聞き覚えがあった

 

(小山さんと3年生の小暮先輩?)

 

何故こんなところにと思いドアに耳を当て会話を聞き取ることを試みる

 

【現状はどんな感じですか?】

 

【代表はFクラスに押し込んでいますが……多少問題が】

 

【ティアナ・ランスターとセッテ・スカリエッテイですね?】

 

【はい。敵味方関係なく大雑把な攻撃をして離脱していくその2人と、腕輪で大量殲滅をしてくる姫路のせいで思うように攻めきれていません】

 

なぜ小山さんは小暮先輩にここまで詳しく戦争の状況を伝えているんだ?僕がそんな事を考えているうちに小暮先輩は

 

【そうですか。ではその3人への対応は後ほど、とりあえず今はいかに代表を討ち取るかの話をしましょう】

 

【はい。それでどうすればいいですか?】

 

【他のクラスに協力してもらうのはどうですか?共同戦線と言う奴です。誰か協力してくれそうな人は居ませんか?】

 

【Bクラスの代表なら少しは】

 

Bクラスの代表と言うと根本君か、確か噂では無理やり小山さんにキスしようとしてリバーブローからの顔面ストレートでKOされたと聞いているけど

 

【Bクラスに別のクラスと戦争を始めてもらいます。そしてそちらで使用科目に指示を出します】

 

【使用科目ですか?】

 

【はい。先生の人数には限りがありますから。相手が補充を終えた点数の科目をBクラスに使って貰います。そうすれば向こうは低い点数で戦わざるを得ません。そうなればいくら勢いがあっても持久戦には対応できません】

 

これってつまり僕達が補充してる学科をBクラスの戦争で使わせるって事!?Fクラスに科目の制限はきつすぎる。この情報はもう少し聞いておいたほうが良さそうだ

 

【Bクラスを焚きつけるとなると、相手はAクラスが妥当でしょうね。どうですか?2年のBクラスはAクラスに勝負を挑む気配はありますか?】

 

【一応そういった動きはあるそうです、でもいくらなんでもBクラスがAクラスに挑むとは思えません】

 

うん。確かにそうだ。今根元君は一応代表だがクラスでの発言力はかなり低いはずだ

 

【ここでAクラスに勝てる策略を用いて発言力の回復を考えるのは当然ですからね】

 

【なるほど……確かにそう考えれば当然の流れですよね】

 

【そうなれば貴女達はFクラスに勝ち、BクラスはAクラスとの差を詰める事が出来る。両クラスとも損のない取引でしょう?】

 

空き教室では取引が纏まりつつあるが、それは僕達そしてAクラスにとっては最悪の取引だ。これはFクラスだけじゃないAクラスにも伝えるべき内容だ

 

【あとはBクラスがAクラスに勝てばどちらに攻め込んでもいいですし、負ける様ならAクラスの消耗具合を確かめつつ、宣戦布告を考えればいいでしょう?】

 

【そうですね。それなら以前の取引で嘘をついたことになりませんしね」

 

以前の取引と言うのは多分雄二との話し合いのことだろう。一応は約束を護るという体を取り繕う気だろうが、これはかなり卑怯な作戦だ。C・Bクラスには利点しかないが、A・Fには最悪の条件だ。これはなんとしても雄二と霧島さんに伝えなくては。僕は即座に走り出そうとしたが次に聞こえてきた言葉に思わず体勢を崩してしまった

 

【協力の条件は忘れていませんね?小山さん?】

 

【え、ああ。はい、Fクラスの吉井明久は点を可能な限り削り捕獲するですよね?】

 

僕の捕獲!?なんで!?3年生に恨みを買うような真似はしてないと思うんだけど!?

 

【どうして吉井明久を?】

 

【こっちにもこっちの都合があるのですよ。それに彼はトランプで言えばジョーカー。何をしでかすか判らない道化です、抑えておくべきです】

 

どうしてそこまで警戒されているのかわからないが離脱したほうが良さそうだ。体勢を立て直したところで

 

【ん?あれはFクラスの吉井!?おい吉井が居たぞ!】

 

【なんだと!?今日は休みって言うのは偽情報だったのか!?】

 

あちこちから聞こえてくるCクラスの生徒の声。逃げ道を完全に経たれた僕はいやいや空き教室の中に飛び込んだ

 

「おや?向こうから来てくれるとは嬉しいですね。どうもこんにちは、吉井明久君」

 

にこりと笑う小暮先輩とその隣の小山さんを見ながら

 

「どうもこんにちは。何かあくどい作戦を考えているようですね?」

 

「策とはそう言うものですよ?さて、吉井明久君?逃げ道は無いです大人しついて来てくれるとありがたいのですが?」

 

そう笑う小暮先輩の隣で小山さんが身構えるのが見える。こういう時は話を長引かせる事、そうすればチャンスが来る(魔王との戦いで学んだ)

 

「どうして3年生の小暮先輩が僕を捕まえるんです?僕恨みを買うような真似はしてないと思うのですが?」

 

「ええ、貴方は恨みを買うような真似はしてませんよ?しかし個人的な用事で貴方を欲している3年生が居るんです。ですから今のうちに捕まえて、多少投薬をしてしまおうかと」

 

「投薬!?何する気ですか!?」

 

「小暮先輩!?注射器をどうする気ですか!?」

 

スカートから怪しい色の液体が入った注射器を取り出す小暮先輩はふふふと笑いながら

 

「何を聞かれても「いいよ」とか「うん」とかしか言えなくなる薬ですよ。これを打てばアラ不思議、貴方の未来は明るいですよ」

 

「どう考えてそれはおかしいですよ!?」

 

薬によって明るい未来ってどう考えてもおかしい。この人も魔王属性なのか!?

 

「うらみは無いけど捕まってくれる?」

 

「嫌だよ!?あれ明らかにやばい薬だもん!」

 

色の時点でまず怪しい。そして説明の時点でアウトだ

 

「それは私も判ってるけど色々と相談に乗ってもらってるし、私には関係ないことだしとっとと捕まりなさい」

 

「人でなし!この人でなし!!!」

 

教師が居ないので誰も止める人が居ない。それにここは3階普通に飛び降りるには危険すぎる

 

(どうする!どうやってこの危機を切り抜ける)

 

女子が2人体格的には突破できなくも無いが、外には男子のCクラス生がいる。これだと外に出てもつかまる……なら僕に打てる手は1つゆっくりと窓際に後ずさりながら

 

「まあなんにせよ。直接会いに来ない人は信用できないし、薬もごめんなのでこの場は失礼します」

 

窓をゆっくりと空け。ついでに制服に仕込んでいるワイヤーを窓のフレームに引っ掛ける

 

「窓から飛び降りるには危険だと思いますが?」

 

「小暮先輩。魔王に終われる男子の備えを甘く見ないほうがいいですよ!じゃあ失礼します!」

 

窓から飛び降りると同時にジーッとワイヤーの出る音がする。後は開いてる窓から校舎に戻れば良い

 

「よっしゃ!開いてる窓発見!」

 

ワイヤーの出る速度を調整し開いてる窓から校舎に戻りワイヤーを切っていると

 

「……吉井?なにしてるの?」

 

「き、霧島さん!?」

 

窓から入ってきた僕に驚いている霧島さんと工藤さんの姿があった。雄二に話しに行こうと思っていたけど、先にAクラスにはなしておいても良い筈だ。僕はそう判断して

 

「いま少し良い?CクラスとBクラスが悪巧みをしているんだ」

 

霧島さんと工藤さんは少し驚いた表情をしてから

 

「……詳しく聞かせて」

 

真剣な表情をする霧島さん。さっきまで間が悪いと思っていたけど、流れはそう悪くなさそうだ……

 

 

 

 

 

 

職員室に問題集を貰いに行った帰り開いていた窓から

 

「よっしゃああ!!!」

 

まるで映画の1シーンのように吉井が飛び込んできて、私と愛子の目が点になっている中。吉井はさも当然のようにワイヤーを回収している、私は驚きながら

 

「……吉井何してるの?」

 

「き、霧島さん!?」

 

私と愛子に驚いた表情をする吉井。だけど私達の方が驚いたと思う

 

「いま少し良い?CクラスとBクラスが悪巧みしてるんだ」

 

Cクラスはわかるけど、Bクラスも?どういうことだろう

 

「……詳しく聞かせて」

 

「うん。勿論って言いたいんだけど……ひいっ!?」

 

吉井が身を竦める。後ろに誰かいるのかと振り返ると

 

「やあ。吉井君、久しぶりだね」

 

ゲイがいた。その目は爛々と輝き捕食者としての色が見て取れる

 

「……身の安全を保障してください。そうすれば僕が聞いた話は全部教えるから」

 

「あはは、僕の後ろに隠れていーよ?」

 

愛子の後ろにさっと隠れる吉井はそこから

 

「うん。久しぶりだね、僕は出来たら君とは会いたく無かったよ」

 

「そういわないで。顔を見せてよ」

 

「絶対いや。僕は同性愛の趣味は無いから」

 

断固拒否の姿勢をとった吉井は私と愛子に

 

「と言うわけなのであの人から僕を護ってください。対価は払います」

 

ぼそぼそと言う吉井は私と愛子に

 

(今度雄二とムッツリー二が逃げ込んで着たら場所をリークするし、寝顔とか着替えとかの写真を撮っても良い。だからそれでなんとかお願いします)

 

さすが吉井。魔王の扱いに慣れていると感心しながら私は久保に

 

「……試召戦争について大事な話があるそうだから、吉井の邪魔をしない事。それでも邪魔をするなら」

 

「僕と代表が相手になるよ♪」

 

「流石の僕も代表と工藤さんじゃ分が悪い。大人しくしているよ。嫌だけどね」

 

はじけた変態と言うのは色々と問題があるみたい。怯えている吉井に

 

「……じゃあ詳しくはAクラスで聞くからついてきて」

 

「う、うん。霧島さん工藤さん。よろしくね」

 

案内に対してか。それとも久保から護ってあげる事に対してのよろしくねか。考えるまでも後者だと判る。私はぶるぶる震えている吉井を見て。少しだけ瑞希とかの気持ちが判ったような気がした。それすなわち

 

(可愛い男に雄二を調教するのもいいかもしれない)

 

自分好みに仕立てれば良い。私はこれが正解だと思っていた。その頃雄二はと言うと

 

「ぬおおおッ!?なんだこのおぞましい気配は!?

 

自分に迫る危機を敏感に感じ取り我が身を抱えていたりする……

 

坂本雄二の未来は明るいのかもしれない……?

 

 

第97問に続く

 

 

 




今回は少々長くなりましたね。途中は展開がまるで違いますしね。小暮はいろいろとぶっ飛んだ性格です。そう言う風が面白いと思ったので、次回はAクラス編。ゲイと同じ部屋にいることになった明久の反応を面白く出来たらなと思っています
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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