バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回から少しずつ「雅」そして「小暮」が暗躍していきます。どのような暗躍かはお楽しみに
あと8巻の召喚戦争はかなりはしょります。重要なのは暗躍する「雅」と「小暮」なので戦争自体はあっさりめと言うのを覚えておいてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第94問

 

 

第94問

 

 

明久の家での鍋を終え翔子と家に帰っている途中で

 

「……雄二の家行って良い?」

 

「駄目だ」

 

「……どうして?雄二は私の彼氏だから泊まっても問題はず」

 

「倫理的に駄目だ。諦めろ」

 

「……それはおかしい。彼氏の家に泊まるのは禁止されていないはず、むしろ同棲しても良いはず」

 

「馬鹿を言え。高校生で同棲なんてやってるやつ……居たな。龍也が」

 

「……そうだから同棲……しよ?」

 

「いやいや待て待て。龍也の場合は高町達が親元を離れてるから致し方ない措置として暮らしてるんだ。判るだろ?」

 

「……じゃあこうしよう。私と雄二の知り合いで誰か同棲してたら一緒に暮らそう」

 

「あーはいはいっと。俺達にとって身近なやつだったらな」

 

「……判った。必ず探し出してみせる。何をしてでも」

 

「へーへーご勝手に。ま、内の学校にそんなことしてる奴が居るとは思えないけどな」

 

 

 

 

瑞希と姉さんがリビングで話をしているのを横目で見ながら。僕は溜息を吐きながら

 

(朝から死ぬかと思った)

 

朝起きたら瑞希の顔がドアップでしかも、魔王モードの光のない目で僕を見下ろしながら

 

《あ、おはようございます》

 

《うん。おはよう……何してるの?》

 

僕がそう尋ねると瑞希はとてもイイエガオで

 

《ちょっと味見をしようかと?》

 

《ふーん。へ?あ、味見?》

 

《はい。ちょっと頬にキスくらいなら良いかなって?》

 

《いえいえ。駄目、駄目です。僕殺される》

 

《ちょっとだけなら多分大丈夫です……》

 

目を閉じて迫ってくる瑞希。頬と言っておきながら唇を狙っているのが良く判る。そしてもう駄目だと僕が思った瞬間

 

「アキ君?瑞希さん?何をしているのでしょうか?」

 

姉さん登場。助かったと思ったのだが

 

「玲さん。これに明久君を着替えさせようと思うのですがどうでしょうか!」

 

「素晴らしい。早速着替えさせましょう」

 

瑞希がどこかから取り出したのはフリフリノメイド服とカツラ

 

「嫌だよ!?僕そんなの「着ないと言うのなら腕をへし折り首を絞めます。不純異性交遊の現行犯として」ちくしょーッ!!!」

 

完全に詰んでいた。僕は絶望しながらベッドの上で正座しながら

 

「着替えたら許してくれますか?」

 

「そうですね。あと3着ほど着替えてくれたら考えましょう」

 

着せ替え人形として遊ばれるか?殺されるかの二択に僕は背に腹は変えられないと判断し姉さんと瑞希の着せ替え人形にされたのだ。そして今現在も

 

「メイドさん?ご飯はまだですか?」

 

「アキちゃーん。速くお願いしますね♪」

 

リビングから聞こえてくる姉さんと瑞希の楽しそうな声に心がへし折られそうになりながら

 

「は、はーい!判りましたぁ」

 

僕は目に掛かるカツラが鬱陶しいと思いつつ僕はフランパンに視線を戻し朝食の調理を再開した

 

なお朝食の後また着せ替え人形にされた挙句写真を何枚も撮られた僕は涙ながらに思った

 

《僕は何か選択肢を間違えてしまったのだろうか?》

 

瑞希が1人と言うのを心配してはいけなかったのか?それともあそこで三途の川送りになろうとも抵抗すればよかったのか?

僕はそんな考えても無駄なことを考え、思考を放棄する事にしたのだった……

 

なお後日。この写真を見ている美波と優月とふふんと自慢げな瑞希をFクラスで見かけて。心のそこから死にたい。もしくは記憶を失いたいと思うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

私は小暮の話を聞いて目を見開いた

 

「アキ君が同棲?そんな馬鹿な。玲がそんな事を許すわけが無い」

 

玲の性格は十分把握している。同棲なんて許すわけが無い

 

「それがですね。ストライキの国に同棲してる「姫路瑞希」のご両親が居るとかで滞在してるようですよ?」

 

「ぐう。アキ君の優しさが裏目に出ましたか」

 

多分女の子の1人暮らしは危ないとか言い出したのだろう。そしてアキ君の好感度を上げたい玲がそれに便乗したと見て良いだろう

 

「どうするのです?何か考えているのでしょう?」

 

私がそう尋ねると小暮はにこりと笑い

 

「勿論♪今考えられている学年同士の召喚戦争の宣戦布告の際に貴方と明久君を再会できる様に考えていますとも」

 

だがその笑みは邪悪そのもので若干不安になったが、小暮は性格は黒いが頭は切れる。信用は出来るが

 

「八神龍也達はどうするのです?あれは強敵ですよ?」

 

「それもぬかりありません。確かに彼らは強力な武力ですが、ただの一兵に過ぎません。学年同士は大将が討ち取られれば終わりです。態々戦う必要はありませんよ」

 

なるほど小暮は何か黒いことを考えているのだろう。その内容は気になるが小暮に任せておけば良いだろう

 

「ふー思い通りにならないって言うのは中々腹立たしいものですねえ」

 

「あと少しですから我慢してください」

 

言われなくとも判っている、だが腹正しいのは事実だ。

 

「行きましょう昼休みがなくなります」

 

「そう言うと思って持ってきますよ。どうぞ」

 

小暮から差し出された弁当箱を見て

 

「これ私の鞄に入ってたはずですよね?」

 

「ええ。そこから持ってきました。あと鞄に明久君の写真を入れているのは正直どうかと?」

 

「ノーコメント!」

 

小暮め本当に抜け目が無い。鞄の二重底に隠しておいた写真を発見する……

 

「冗談だったのですが本当だったんですわね?」

 

「小暮ッ!!!」

 

私は思わずそう怒鳴るのであった。私を知る友人の小暮だが、この人をからかう性格だけはどうしても好きになれなかったのだった……

 

 

 

 

僕は正座しながら美波の前にいた、その理由は

 

「アキ、正直に言うのよ?嘘は極刑。OK?」

 

「イエス。マム」

 

有無を言わせない圧力を持つ美波の言葉に頷くと

 

「瑞希のお弁当を作ったのはアキ?」

 

「YES」

 

海鮮セットの中身を使って瑞希の分のお弁当も作った。だから僕と瑞希のお弁当の中身は殆ど同じだ。昼休みにそれに気付いた美波によって僕は現在尋問中である。虚偽=死なのでYESかNOしか口にしてはいけないと理性が告げている

 

「じゃあ、つぎ瑞希。昨日瑞希は家に帰った?」

 

「NO」

 

「ノーウッ!!!!」

 

ここはせめて嘘でも良いのでYESと言って欲しかった。龍也はのんびりとはやてさん達にお茶を入れながら

 

「ふむ、なにかニュースでもあったか?」

 

「龍也様。海外でストライキのニュースがありましたよ」

 

「じゃあそれやね」

 

と瑞希が僕の家にいた理由を推測していた。雄二は

 

「なに?取引だと?」

 

「ええ。どうかしら?」

 

Cクラスの小山さんと何かの話をしているので助けてくれる気配は無い。僕自身で何とかしなければ

 

「明久……ちょっと向こうで話をしたいんだけど良いかな?」

 

「すいません、マジカンベンシテクダサイ。そのメリケンサックで殴られたら流石に不味いんです」

 

目の光が完全に消えている優月。死刑宣告は下されたと同然の状況だ。Fクラスの面々は

 

「修羅場だな。吉井が死ぬにたこ焼き」

 

「じゃあ俺、切り抜けるにたこ焼きとジュース」

 

僕の生死で賭けをしていた。これが以前のFクラスなら処刑だが、魔王の恐怖を知っているので下手に攻撃は仕掛けてこない。では僕はどうすれば助かる?打てる手は一つだ

 

「どうぞ。献上させてください」

 

鞄から更に2つのお弁当箱を取り出す。当然美波と優月の分だ。そしてそれから魔王との対処法その8。「誠心誠意」を込めた土下座を繰り出しながら

 

「申し開きはありません。しかし今回は瑞希でしたが、僕はこれが美波た優月だったとしても同じ行動をしました。女の子の1人暮らしは心配だったんです」

 

土下座外交しかありえない。プライドなんて何の役にも立たないし生きるためならば土下座もしよう。命の方が大事だからだ

 

そして土下座開始から5分後

 

「まぁそう言う事情なら仕方ないわね」

 

「仕方ないと言いつつアームロックはするんですね。美波様」

 

土下座の僕にもたれ掛かりそのままアームロックに入る美波様。激痛が腕に走るが動けば死ぬので歯を食いしばり我慢する

 

「お、美味そうだな。それ」

 

「明久君が作ってくれたマグロの生姜焼きです♪美味しいですよ?」

 

「うし、じゃあ兄貴が作ってくれたカジキ鮪の煮付けと交換しようぜ」

 

「良いですよ」

 

瑞希は食事中。助けてくれそうに無いというかこれで良い。ここに更に魔王が入れば死亡フラグしかないからだとそんな事を考えていると頭を踏まれた

 

「あいだだだっ!!!」

 

踵でしかもぐりぐりと頭を抉って来ている。この黒い攻撃は間違いなく優月だ。確認使用したとき

 

「顔上げたら縛って監禁」

 

「はい」

 

駄目だ顔を上げることすら禁止された。美波は物理。瑞希は精神。優月は両方。三者三様だが、個人的には優月が1番怖い

 

「今度泊まりに来る事。OK?」

 

「姉さんに聞かない「良く聞こえないよ」ふぎゃあああああッ!!!」

 

踵に全体重がかけられた激痛で悶絶していると、すっと力が抜かれ

 

「今度泊まりに来る事。OK?」

 

「わっかりましたあ!!!」

 

はいと言わないと殺される。姉さんとは生死を賭けた話し合いをすれば何とかなるだろう

 

「俺達は試召戦争解禁から一週間か、2週間以内には攻め込むつもりだ」

 

「ふーん。私たちもそれくらいでBクラスに仕掛けるわ」

 

「やっほームッツリー二君。来たよー!」

 

「……来るな!」

 

僕のことはガン無視なの!?少しは助けてよ!?

 

「秀吉よ。こっちからみるとお前が凄い苛めっ子に見えるぞ?」

 

「……それもそうだね。踏むのはやめるよ」

 

とりあえず龍也の言葉で踏みつけはなくなったが変わりにわき腹をつねられた

 

(やっぱり優月が一番怖い!!!)

 

僕は美波と優月に睨まれながら昼食を再開したのだが

 

(味がしない……)

 

どうもまだ僕のことは許してくれていないようで絶対零度の魔王の視線にさらされての食事は当然のことながら何の味もしなかった……

 

 

 

 

 

 

夕食の買出しに出かけると見知った背中を見かけた

 

「おう。何してるんだ?明久、姫路」

 

俺がそう声を掛けると明久は一瞬肩を竦めてから振り返り

 

「買い物だよ。姉さんがお肉を食べたいって言うからね」

 

「ふーん、じゃなんで姫路も一緒なんだ?」

 

私服姿なので1回家に帰っているはずだが?と思いながら尋ねると

 

「明久君が木下さんや美波ちゃんに拉致されない様にです」

 

魔王同士の攻防は相変わらず続いているらしい、俺から見ると冷戦って感じだな。俺はそんな事を考えながら明久達と店内を歩きながら

 

「何を作る気なんだ?」

 

「んー野菜も食べれるからチンジャォロースとか。ホイコーローかな?もちろん肉メイン」

 

いつの間にか明久の料理のボキャブラリーも龍也のおかげかかなり上昇してる

 

「それ良いな。俺も作るかな」

 

野菜を選んで篭に入れているとふと昨日の会話を思い出した

 

《……じゃあこうしよう。私と雄二の知り合いで誰か同棲してたら一緒に暮らそう》

 

《あーはいはいっと。俺達にとって身近なやつだったらな》

 

《……判った。必ず探し出してみせる。何をしてでも》

 

《へーへーご勝手に。ま、内の学校にそんなことしてる奴が居るとは思えないけどな》

 

「明久。今お前と姫路同棲してるんだよな?」

 

俺がそう呟くと明久と姫路はそれぞれ別の反応をした

 

「違うよ。姫路さんの両親が帰ってくるまで家に泊めてあげてるだけだよ?」

 

「ど、同棲です、このままゴールインしたいです」

 

相変わらずゴーイングマイウェイの姫路を見ながら俺は滝のような汗を流して

 

「俺。翔子に見つかったら監禁される」

 

「?どういうこと?」

 

首を傾げる明久に事情を説明すると明久は

 

「同棲じゃないから大丈夫じゃない?「明久君、同棲ですよ」

 

同棲じゃないという明久と同棲だと言い張る姫路。翔子なら間違いなく姫路の案を受け入れるだろう

 

「オレツカマル。カンキンヤダ」

 

「落ち着いて雄二。言語障害が出てるよ」

 

明久がそう言うが落ち着ける状況じゃない。俺がどうやって逃げるかを必死で考えていると明久は俺の肩をつかんで自分のほうに引き寄せてから耳打ちしてきた

 

「雄二逃げたら駄目だ。魔王は逃げると余計に攻撃性を増すんだ。だから霧島さんの家に行って話をするんだ、泊まれというのなら泊まれば良い。そうすればきっと満足する」

 

「……シンジラレナイ「雄二僕は魔王が4人だ。その僕の対処法だ。しかもこれは龍也に教わった。心配ない」

 

逃げても見つかるのならばその通りにするのも良いかも知れん

 

「判った試してみる」

 

「頑張れ。雄二」

 

俺と明久がそんな話をしていると突然店内が騒がしくなる。驚きながら振り返ると

 

「見つけたわよ。瑞希!」

 

「1人だけ美味しい思いって言うのは無いよね?」

 

「……私の幸せは邪魔させません」

 

魔王大戦が勃発していた……明久は買い物した荷物を棚に戻し

 

「ごめん止めてくるよ」

 

「気をつけてな」

 

死地に向かう戦士のような背中をして歩いていく明久を見ながら。俺はレジに向かった

 

「ふぎゃああああああッ!!!」

 

「「「ああッ!?!?」」」

 

魔王3人の悲鳴と明久の絶叫。恐らく止めに入り殴り飛ばされたのだろうと判断した俺は

 

(明日明久の奴学校にこれるのか?)

 

それが激しく気になるのだった……なおこの後明久の言うとおり翔子の家に行くと

 

「……ぼっ!?えーと!えーと!帰っても良いよ!?」

 

真っ赤になりてんぱった翔子はそう言うと俺の背を押して門から追い出した。

 

(魔王って攻められると弱いんだな。初めて知った)

 

魔王は攻めてるときは強いが攻められると弱いらしい。まあなんにせよ助かったと思い家に帰っていると

 

ポツポツ……ザーッ!!!

 

「げえ!?雨かよ!!」

 

上着を慌てて脱いで頭の上にかぶせて俺は家へと走り出した。その途中で

 

(ん?あれは明久とちびっ子か?)

 

ちびっこを背中に背負い走っていく明久の後姿を見ながら、俺は家へと走って帰ったのだった……

 

シャワーを浴びて携帯を見ると翔子からメールが着ていて

 

【やっぱり同棲は恥ずかしいので偶に泊まりに来て下さい。いろいろと話をしたいです 翔子】

 

かなりと言うか信じられないくらいしおらしい翔子からのメールに驚きながらも俺は

 

【偶にな、それと話くらいならいつでも聞いてやる 雄二】

 

と言う旨のメールを送った後俺はふと冷静になり

 

「なんで俺はこんなメールを送ったんだアアアアア!?」

 

何故翔子にこんなメールを送ってしまったのかが判らず頭を抱えて悶絶する事になる。どうも知らないうちに俺も明久と同じ考えになりつつあることに恐怖したのだった

 

 

第95問に続く

 

 




今回は殆どつなぎなので中身は薄いです。Cクラスの策略は当然聞きません。Fクラスは進化してますからね?じゃあどうなるのか?そこを楽しみにしてもらえると嬉しいです。それでは次回の更新もドウかよろしくお願いします

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