バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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VS2-Aの続きです。 試合中は結構まともですけど、試合後はどんどん壊れてくるキャラが出てきます。例えば元優等生のめがね君とかですね
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第89問

 

 

第89問

 

「島田。今回は明久と交代な、ピッチャー任せれるか?」

 

坂本の問いかけにウチは片手を挙げて

 

「全然OK♪ 任せておいてくれる。それにこの回、アキにはピッチングさせたくないし」

 

久保を見ていやそうな顔をする。島田の視線の先には眼鏡を弄っている久保の姿がある。

この回は4番の翔子からだ、どこをどう回しても。久保まで回ってしまう、そうなれば明久がゲイの視線にされされる。それが嫌なのだろう

 

「明久にはサードに入ってもらう。中に投げれば引っ張れやすくなる、コントロールミスには気をつけてくれよ。それと失投にもな」

 

「判ってる。判ってる。リードよろしく」

 

ひらひらと手を振る島田に大丈夫かと思いながら、守備位置につくと

 

「美波ー頑張って」

 

「任せなさい! アキ!」

 

明久の応援でやる気MAXになってる。よほどコントロールミスをしなければなんとでもなるだろうと思う

 

「……雄二は応援してくれないの?」

 

「なんで俺が敵のバッターを応援するんだ?」

 

バッターボックスでそう尋ねてくる翔子にそう切り返すと、翔子は

 

「……じゃあ、勝って次の試合で雄二に応援してもらう」

 

覇気が2割り増しになった。どうやら選択肢を間違えたようだ。俺は思わず

 

「そっか、俺は少しだけ応援してもらいたかったかもな」

 

と思わずそんな事を小さく呟いた。つい口が滑ったが、翔子には何の反応もない、どうやら聞こえなかったようだ。そんな事を考えていると点が表示される

 

2-F 島田美波

 

数学 312点

 

VS

 

2-A 霧島翔子

 

数学 424点

 

 

(やっぱり400点越えか、翔子だもんな)

 

翔子は要領のいいタイプではない。では何故主席なのか? 簡単だ。翔子は何回も何回も予習復習を繰り返して知識を高めてきた。

言うなれば努力型の秀才だ

 

(さてと……どうすっかな)

 

翔子自身は運動能力は上の下くらいだろう。男子と同程度の運動レベルは持っているが知識は少々おぼつかないところがある

 

(初球だが。全力だな)

 

サインを出す、インコースに速い球だ。明久と違い細かいコントールは出来ないから外か中と球の速さ。そしてスローかストレートか、スライダーかの3つしか選択肢がない。リードもそこまで考えることも無い。頷いてから投じられた直球は俺のミットに突き刺さる。

 

「ストラーイク!!」

 

流石の翔子も1球目は見てきたか。それとも300点越えの直球に手が出なかっただけか? いや、違う前の試合では300点だいばっかりの3年生チームと試合をしてるんだ。手が出なかったわけではないだろう

 

(アウトコースから中に入るスライダー。入らなくてもいい)

 

ボールコースから鋭く曲がり真ん中に入った、スライダーも翔子は見送った。これで2ストライク

 

(なんでピクリとも動かないんだ?)

 

翔子が何を考えているのか判らない、ここは1球遊ぼうと、高めのハーフストレートを要求する。これは完全に外れていた、しかし翔子はそれをふって、スイングアウト。ますます何を考えているのか判らず混乱していると

 

「……雄二が応援して欲しいって言うなら、私ボール打たないから。それに……雄二に返して貰いたいから」

 

頬を赤らめそう呟いて戻っていく翔子を見て呆けていると

 

「タイム!!」

 

明久がタイムを取って駆け寄ってきて俺に耳打ちした

 

「雄二。顔がすごい緩んでるけど何を言われたの?」

 

「え? そ、そんな顔してねえ!」

 

俺がそう言うと明久は島田に

 

「美波。コンパクトある?」

 

「あるわよ。坂本自分の顔を見てみなさい」

 

差し出されたコンパクトには締りのない俺の顔があって……俺は頭を抱えて

 

「違うーッ!!!!!!!」

 

俺の中の何かが壊れてしまいそうで、俺は思わずそう叫んだ……

 

 

 

 

 

「んで。ウチのボールはアキがとってくれるの?」

 

何か自覚したくない何かを自覚しかけたとか言って。サードのアキと交代した坂本を見ながらアキにそう尋ねると

 

「うん。リードとかは雑いと思うけど、よろしくね」

 

にこにこと笑うアキ。本当最近良い顔で笑うようになってきたわね。前も良く笑ってたけど最近のは見てるこっちも思わず笑顔になりそうなくらいほのぼのした笑みだ。見てるとなんか嬉しくなってくるくらいだ

 

「で。信用できなかったら首振ってね。じゃあ、次はフェイトさんだから気を抜かないでね」

 

そう笑って守備位置に戻っていくアキを見ながら

 

(馬鹿ね、信用しないわけがないのに)

 

アキがここって言うならウチはそれを信じる。首なんか振るわけないのにと苦笑しながらアキのサインを見る

 

(アウトコースに外れるハーフストレート)

 

サインのやり取りをしている間に、フェイトの点が表示される

 

2-A フェイト・T・ハラオウン 

 

数学 332点

 

やっぱり300点越えの点数だ。しかも運動神経もいい、投球ミスはそのまま失点に繋がり兼ねない。慎重に召喚獣を操作しアウトコースにストレートを投げ込む

 

「ッっとと!!」

 

カキーン!!

 

体勢を崩しながらもアウトコースの真っ直ぐにバットを当てたフェイト。だが完全な振り遅れでボールはライナーで1塁線へのファールとなった

 

(じゃ、次はインコース高めに速い真っ直ぐを外して)

 

今度も真っ直ぐ、これだけ続けても大丈夫だろうかと思いながらも頷き。ボールを投げ込む

 

ボール!

 

フェイトの肩は動いたけど見送っただけ。これで1-1、3球目は

 

(真ん中に速い真っ直ぐ、全力投球で)

 

ま、真ん中!? いくらなんでも真ん中に投げるのは怖い。一瞬首を振ろうかと思ったが、アキは大丈夫って目でウチを見てる

暫く考えてから頷き振りかぶってど真ん中にストレートを投げ込む

 

「! 甘いよ!!」

 

踏み込んで打ちに来たフェイト。そしてカキーンっと言う快音が響き渡る。打たれた! とウチは思ったが 

 

「ヴィータさん! よろしく!!!」

 

「オッケー!」

 

パシンッ!!

 

ボールがミットに収まる音が聞こえる。嘘……真ん中をフルスイングされたのにセンターフライ? なんで

 

「やってくれるね。明久」

 

「でしょ? 気合の篭った真っ直ぐは例えど真ん中でも簡単には打てないよ。特に美波ならね」

 

にこっと笑いながらアキはボールを打ちに投げ返しながら

 

「美波。ナイピッチ! この調子で行こう!」

 

投げ渡されたボールを召喚獣で受け取る。つまりさっきの真ん中はウチを信用してくれたからの要求だと……ウチは凄く嬉しくなって

 

「任せなさい! ノーヒットでチェンジよ!!」

 

好きな人からの応援ほどやる気の出るものはない。ウチはたぶん今なら3年だろうが、教師だろうが三振が取れそうな気がしていた

 

「勇ましいね。でも僕は簡単には三振しないけどね」

 

2-A 久保利光

 

数学 385点

 

久保がメガネを弄りながらバッターBOXに入る。その瞬間アキの身体がビクント動くのを見たウチは、三振を取るとか打たれないとか言う考えはなくなり

 

アキのサインには形だけ頷き。全力でスライダーを投げ込んだ。それはインコースから更にインコースにと食い込み、避ける間も久保に与えず

 

ドボォッ!!!!

 

最高速度を維持したまま久保の召喚獣の肋骨を抉った

 

2-A 久保利光

 

数学 4点

 

ちいっ!! 仕留め損ねたか!

 

デッドボール!!!

 

「やってくれるね……本当に!」

 

ウチを見て苛立った様子の久保にウチも睨み返しながら

 

「変態は死ね! アキに近寄るんじゃないわよ!」

 

ゲイとして弾けた久保は危険すぎる。排除したいと考えているのだが、中々上手く行かない

 

「良いだろう、その発言宣戦布告と受け取らせてもらうよ」

 

再びメガネを弄りながら一塁に向かっていく久保を見ながら、ウチはあることを決めていた

 

(全部デッドボールよ)

 

坂本の指示とかはやての話もどうでもいい。あの変態はなんとしても早い内に補修送りにすべきだと思った、久保の後のバッターは全球ど真ん中のストレートで討ち取りチェンジとなった。ウチはベンチに戻ると同時に坂本に

 

「久保と対決するときはウチか瑞希。最悪木下をリリーフに出して」

 

「申し訳ないんですが、久保と対決するときは私をリリーフに出してくれますか?」

 

「またぶつける気か? 押し出し1点とかは勘弁してくれよ?」

 

からかうように言う坂本にウチと瑞希は

 

「大丈夫、次は必ず殺るから」

 

「汚物は消え去るべきだと思いませんか?」

 

にこりと笑いながら言うと坂本は冷や汗を流しながら。そ、そうか考えとくって言ってから

 

「ところであれは許容できるのか?」

 

坂本の指差した先を見るとそこには

 

「えぐッ……えぐっ」

 

「よしよし、怖くない怖くない」

 

守備中は全く顔に出さなかったが、やはりゲイが怖かったのか。体育座りで泣いているアキの頭を撫でて慰めている木下の姿があって。ウチと瑞希は声を揃えて

 

「「何抜け駆けしてるのよ!(ですか!!)」」

 

そう怒鳴ったのだが木下は悪びれる表情を何一つ見せずに

 

「怖い目を見た明久を慰めてるだけだよ。どうこう言われる云われはないのじゃ」

 

馬鹿にするためにあえて前の爺言葉を混ざる木下にウチと瑞希は

 

「「離れろーッ!!!」」

 

「やだね♪」

 

「えぐえぐっ……」

 

ウチと瑞希と木下は泣いてるアキを中心にしてしばらくの間。睨み合いを続ける事になった……なおその間に4番の龍也は

 

カキーンッ!!!

 

「よしっ!」

 

あっさりとセンターライナーを打ち塁に出塁していた……なお点数は

 

2-F 八神龍也

 

数学 426点だった……

 

「なのは~私絶対龍也を討ち取れないよ~!」

 

「頑張って! 集中して!」

 

なのはとフェイトのそんな声がグランドに響いていた。なおこの後坂本は三振。はやては2ベースで1アウト1・3塁になったのだが続くウチと木下が三振し、チェンジになってしまった……

 

 

 

 

 

 

 

「いや。凄い試合ですな」

 

「普通の試合と比べても全くひけをとりませんね」

 

来賓の反応を見てご満悦そうな学園長を見ながら、私は

 

(確かに良い試合だ)

 

今丁度5回の表の攻撃の途中だが、未だ互いに0点同士の接戦だ。Aクラスがフェイト君や翔子君と速球派をメインに組み立てているのに対して、Fクラスは明久君をメインに、コースを狙う丁寧なピッチング。野球はスピードじゃない、コントロールだというのを示しているようにも見える。現に科学で300点越えのフェイト君を120点の明久君が翻弄している

 

(まぁそれも龍也達が遊んでるからなんだけどね)

 

ある程度は打つし空振りもとる、だけど全体的に考えれば龍也達は遊んでいる。だからこそ0の行進がスコアボードに刻まれているのだ。もし本気だったら二桁台の点の取り合いになっていると思う

 

キンッ!!

 

「あー、打ち上げちゃった!!」

 

フェイト君のしまったという感じの声のあとにパシンっとボールがミットに収まる音がする

 

「アウトー!!!」

 

1アウトとった所で、坂本君が

 

「タイム! ピッチャーの明久とレフトの姫路を交代します」

 

雄二君のタイムで明久君がレフトに下がり、レフトの瑞希君がマウンドに上がると

 

「おお、またさっきのやりとりかな?」

 

「面白いのよねえ。あの子達のやり取り」

 

その来賓の反応に学園長は苦虫を噛み潰したような反応をする。その理由は

 

「死ね。変体」

 

「口が悪いね。もっと女子らしくしたらどうだい?」

 

久保君VS魔王連合の対決だからだ。何球もファールが続き、互いに三振とヒットを狙いあう攻防が3分以上続くのは確かに見ものだろうが

 

(教頭このままだと不味いさね)

 

(ええ、私も同意権です)

 

この野球大会は試合時間に限りがある。このまま0対0の試合展開が続けば両者引き分けになってしまう、そうなれば教師の試合はお流れになる。教師対生徒を来賓も楽しみにしている、ドローは勘弁して欲しいそんな事を考えながら、久保君と瑞希君の対決を見ていると。1球目ストライク、2球目顔元へのボール、3球目ファール、4球目ストライク、5球目ボール、6球目再び顔狙いのビーンボールは

 

「予想とおりだよ!!!」

 

カキーンッ!!!!!!!

 

「!!!」

 

大根切りで弾き飛ばされた高いボールはそのままグランドの外へ消えて行った。ホームランだ

 

「ぶつける気なら。もっと速くぶつけるべきだったね」

 

勝負すると見せかけてデッドボールをぶつけてくると判断していた。久保君がそのデッドボールを完全に打ち返しにやりと笑いながらグランドを回っていく。救いはランナーが居なかった事だが、Fクラスは明久君からの打順だ。上手く連打をつなげれば勝てるが

 

(これは難しくなってきたぞ)

 

康太君はセッテに交代しているから連打は出そうだが、そんなのはAクラスも予想しているはずだ

 

(これはFクラスの敗退かな?)

 

マウンドの瑞希君は酷く動揺しているように見えるし。もう2、3点行きそうだと思ってみていると

 

「タイム!!」

 

レフトの明久君がそう叫んでマウンドに駆け寄る。馬鹿だ何だの言われているが明久君は人を思いやれる良い子だ、打たれてショックを受けている瑞希君をほっておけなかったのだろう。それを見た私は

 

(もう1回ひっくり返りそうだね)

 

もう一度どんでん返しが有りそうな気がして来た。龍也とはまた違うが、明久君も人を動かす力のある人間のようだ……

 

 

 

 

うーん。目に見えて落ち込んでるなあ……HRを打たれてへこんでいる瑞希を見て僕は

 

「雄二。ポジション交代、瑞希の球僕がとるよ」

 

「おいおい、大丈夫かよ? 俺レガース半分くらい死んでるぞ?」

 

とりそこねで点が激減している自身の召喚獣を見てそう言う雄二に

 

「大丈夫だよ。僕なら取れるから」

 

「そこまで言うなら任せるが、これ以上の失点は勘弁してくれよ?」

 

そう笑う雄二に僕は笑い返しながら

 

「それに次は日本史だからね。失点しても取り返すよ」

 

僕の唯一の得意科目だ。頑張ればHRだって打てると言うと、雄二はじゃっ任せたと言ってレフトに歩いていく

 

「さて。瑞希、後2人をしっかりおさえようか?」

 

7・8は200点台の生徒だが400点台の瑞希なら楽に押さえれると思いながら言うと

 

「うーピッチャー交代してください。私また打たれちゃいます」

 

さっきのHRのショックが大きいのかそんな事を言う瑞希に僕は

 

「ねえ? 野球ってピッチャーとキャッチャーってなんていうか知ってる?」

 

「え? 明久君何を?」

 

呆けている瑞希に笑いかけながら僕は

 

「バッテリーとも言うだけどさ。夫婦って言う風にも言うんだ」

 

「ふ、夫婦!?」

 

驚く瑞希にウィンクしながら肩を軽く叩きながら

 

「それくらいの信用を互いにしあうってこと。僕は瑞希を信用するからさ。この回だけしっかり抑えよう? 大丈夫次の回で逆転できるからさ。ね? 瑞希ちゃん?」

 

昔の呼び名をすると瑞希は酷く嬉しそうに笑いながら拳を握り締めて

 

「はい! 頑張ります!」

 

「うん! その息だよ。じゃあ行こうか」

 

守備位置について召喚獣に構えを取らせる。マウンドの上の瑞希は魔王モードと天使モードの両方の気配を発している、さしずめ

 

(堕天使モードって感じかな?)

 

そんなくだらない事を考えながらサインも何も出さず、真ん中にミットを構える

 

(全球全力ストレート1球だけ顔元に、あとは適当にボールと真ん中をランダムに投げて捻じ伏せよう)

 

そしてファースト、センターの守備位置の生徒だ。どちらも守備の要のポジション

 

(1球顔元の直球でボールへの恐怖心を与えれば、もう動けない)

 

400点越えの直球が顔にくれば誰だって恐ろしい、その恐怖を与えれば守備でさえ動きにくくなるはず

 

(まぁちょっと卑怯だけど……仕方ないよね)

 

そんな事を考えミットを構える。もちろん1球目は顔元のボール

 

「ッ!?」

 

その1球で顔をゆがめた時任君を見て僕は

 

(うん。作戦通りだね)

 

と心の中で笑いながらボールを瑞希に返しながら

 

「肩の力抜いて、楽に楽に!」

 

そう笑いながら返す、その後に投げられたボールもワンバウンドのボール球。これで相手は瑞希を荒れ球使いと見て待球してくるだろう。後は捻じ伏せて……最後の攻撃で逆転すれば良い。簡単な話だ1点くらいなんとでもなる。そのあとは連続してど真ん中のストレートが続いたが。時任君はスイングもせずアウトになり、その次も見送り三振でチェンジとなった

 

「さーて、この回で最後の攻撃になるが、多分龍也まで回せば敬遠になる。だから明久・セッテさん・ヴィータさん・姫路までで1点。龍也が塁に出たら俺かはやてさんでホームに返す、良いか? 簡単にアウトになるなよ、明久」

 

僕にそう言う雄二、確かに得意科目と言ってもミスればアウトになるだろう。塁に出てもゲッツーの可能性もある

 

「大丈夫だよ。僕で1点返すから」

 

「言うな。じゃあ、俺からの指示は1つだ。HRで良い! 行って来い!」

 

言われなくてもと返事を返しバッターボックスに立ち。召喚獣にバットでグラウンドの向こうを指させる、ホームラン予告だ

 

「ふーん。強気だね。明久」

 

フェイトさんがにやりと笑う。全試合登板し、変化球を投げるコツもコースの組み立ても出来るようになっている。そう簡単には打たれないと言う自信があるんだろう

 

「うん。僕の得意科目だし、打てると思うんだ」

 

そんな話をしていると僕とフェイトさんの点が表示される

 

2-F 吉井明久

 

日本史 287点

 

VS

 

2-A フェイト・T・ハラオウン

 

日本史 267点

 

どうやら点数は僕の勝ちみたいだけど、打てるかどうかと言うのは点数で決まるものではない。打てるかどうかは僕しだいだろうバットを構えながら狙い球を考えるのではなく。ヤマを張る

 

(カーブがあるからストレートは見ちゃ駄目だ)

 

カーブの後のストレート、ストレートの後のカーブ。どちらも体勢を崩すのに適した配球だ、しかも見てしまえばそれがイメージに残る。そうなれば非常に打ちにくくなる……

 

(1・2・3で振る。考える必要なし)

 

挑発したから多分1球目からストレートを真ん中に投げてくるだろう。大人しそうな顔をしているが、なのはさんもフェイトさんも気がかなり強いから。だから何も考えず全力でバットをフルスイングするだけだ。その為に目を閉じて耳に意識を集中させる

 

シュッ!!!

 

ボールがリリースされる音。それに続いてミットに向かってくる音それがバットに当たる距離に来たところで

 

「いっけえ!!!」

 

カキーンッ!!!!!!

 

思いっきりフルスイングして目を開く。白球はレフトのほうに飛んでいき、そのままグランドの外へ消えた

 

「ホームラーンッ!!!」

 

審判の声を聞きながら歩き出そうとしたら、なのはさんが

 

「嵌められたわけだね? 私もフェイトちゃんも?」

 

「うーん。まぁそうなるかな? ほら2人とも意外と気が「失礼なこといわない」あいだっ!!!」

 

即座に叩き込まれた拳骨に涙しながら、僕は

 

「まっ、瑞希の失点をね、無しにしたかったからね。挑発した事は謝っておくよ、ごめんね」

 

そう言ってからホームを一周してからベンチに戻り

 

「打ってきたよ。雄二」

 

「お、おう。まさか本当に打つとはな」

 

驚きだという顔をしてる雄二に失礼なと言ってから。ベンチに座るとグランドから

 

「馬鹿に打たれるとは、随分とお粗末な投球ですね。女狐?」

 

ぎりッ!!!

 

ここまでフェイトさんの歯を食いしばる音が聞こえてくる。勿論セッテさんにも聞こえているだろう

 

「ふふふ。ちゃんと勉強しないからですよ。女狐」

 

セッテさんの毒舌は最高潮だ。本当に切り替えが凄いと思う

 

「……セッテ様が大人しいのは龍也の前だけだな」

 

「だな。二重人格見たいに思えてくるぜ」

 

雄二とムッツリー二は怖い怖いと言っているが、僕的にはそれはありだと思う。なんかこう……うん。凄く可愛いと思う、ツンデレの別バージョンみたいで、とそんな事を考えていると

 

「ふっ。怒りに我を忘れるとは、本当に愚かですね」

 

カキーンッ!!!!!

 

セッテ様の嘲笑と共に快音がグランドに響き渡り。白球はグラウンドの外に消えた、2者連続ホームランでサヨナラだ

 

「私。ホームラン打ちましたよ! 龍也様ぁッ!!!」

 

褒めて褒めてって感じで龍也に抱きつくセッテ様。やっぱああいうところを見ると可愛いって僕は思えるけどなあ

 

「「「……」」」

 

そして羨ましいと言いたげにセッテ様を見ているはやて様たちも一途って感じで可愛いと思う

 

吉井明久 気付かぬうちに魔王への適応力が限界突破し、魔王と言う存在を可愛いというカテゴリーにまで昇華させていた……

 

「しかしサヨナラホームランで。かつとは中々劇的な試合だったな」

 

「だね。これで没収品を取り返すまであと一試合だね」

 

残るは教師戦だ。その為にお昼をしっかり食べてエネルギーを補充しておかないと

 

「うううー龍也ぁ……私負けたー」

 

「うううー龍也さぁん……」

 

「はいはい。判ったからそろそろ自分で歩け」

 

「「イヤです」」

 

龍也がずりずりとなのはさんとフェイトさんを引きずりながら

 

「昼だし、皆で集まって食べるか」

 

「お、良いのか?」

 

「ああ、色々と作ってきたからな。大量にある、それに瑞希も美波も用意してるんだろ?」

 

龍也に話を振られた美波と瑞希はうんと頷いてから。取ってくるから場所とっておいてと言って校舎に向かって行った

 

「ええーい!! いいかげん兄ちゃんから離れろ!!」

 

「兄貴から離れろー!!」

 

はやて様とヴィータ様がなのはさんとフェイトさんを龍也から引き離そうとしているのを見ながら

 

「あ、そうだ。秀吉折角だからお姉さんも呼んで皆で食べようよ。多分呼ばなくても霧島さんとか工藤さんも来ると思うし」

 

「良いなら。呼んでくるよ、大勢で食べたほうが楽しいから」

 

そう笑ってAクラスに行こうとする秀吉に僕は

 

「久保は呼ばないで」

 

「大丈夫。来るって言ったら叩き潰すから」

 

にっこりと黒い笑みで言う秀吉を見ながら。僕は雄二とムッツリー二に

 

「じゃあ、場所をとりに行こうか」

 

「だな。食うものを用意してもらうんだ、しっかり場所を位とっておかないとな」

 

出来るだけ涼しい木陰とかを取って置いたら良いだろうと話しながら僕達は場所取りのために移動し始めた…………

 

 

「機会が来ました」

 

ゆっくりと歩いていく明久を見ていた影はそう呟き……その顔を喜色に染めながら

 

「予告ホームランとは、さすがアキ君。格好良かったですねぇ」

 

うふふと楽しげに笑いながら歩き出し、思いっきり転んだ

 

「な、何をするんですか。小暮!」

 

「いや。緩みきってる顔を引き締めてあげただけですわ、余り緩んだ顔と言うのは殿方にはあんまり良い印象を与えませんから」

 

「え? そうなんですか?」

 

「そう言うものですわ。しっかり頭を冷やしてから話しかけることをお勧めします。では」

 

そう笑って歩いていく小暮を見ながら

 

「頭を冷やす……水でも被りますか」

 

とんでもなく馬鹿なことを呟き、その影はゆっくりと校舎のほうにと消えて行った……

 

第90問に続く

 

 

 




次回は食事回ですね。わいわいがやがやで行きたいと思います。そして何回も出てくる「???」はそろそろ登場させたいですね
もしかすると感の良い人は気付いているかも? いや、無いか……だって名前とかも出してないし。
ちなみにこの「???」後々のバカテスの物語に大きく関わってくるので、どういう風に関わるか楽しみにしてもらえると嬉しいです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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