バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです
今回は2-Aと3-Aの試合のハイライトを見ている、明久達と言う感じの話にしようと思います
面白いと気に入ってもらえるといいのですが。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第87問

 

第87問

 

僕達の心に酷い傷を与えた。学年競技 2人3脚障害物レースを終え、一休みしていると

 

「そう言えば、今隣のグランドで2-Aと3-Aが試合しているな、丁度良い偵察にいこうぜ」

 

そう笑いながら言う雄二だが、僕はどうしても聞きたいことがあった

 

「雄二? 頭に凄い青あざがあるんだけど。なんで?」

 

そう尋ねると雄二は遠い目をしながら、空を見上げて

 

「さっきさ、翔子に連れて行かれてただろ?」

 

「うん、見てたよ」

 

僕には冥界に引きずり込まれる生贄のように見えた。だがそれは言わないほうが良いだろうと思っていると、雄二は目に涙をため

空を見たまま

 

「翔子がな。抱き上げ方がなってないとか言ってな。さっきまで吊り上げられてたんだよ……くそったれ、雨が降りそうだぜ」

 

目頭を押さえている雄二、その表現は中々いいとおもうよ。僕はそんな事を考えながら

 

「お疲れ様、じゃあ見に行こうか。龍也とムッツリーニも誘ってさ」

 

女子組みは着替えとかで1度校舎に戻っている。走ったりしてちょっと気持ち悪いらしい、美波は靴下がヌルヌル通路でべたべただから代えてくるって言ってたし、だから男連中で見に行こうと思って辺りを見て

 

(い、一体何が!?)

 

「康太。しっかりしろ、まだ死ぬには早いぞ」

 

「……(顔真っ青)」

 

さっきの鼻血の音で何らかのオシオキを受けていたとは思っていたが、瀕死状態過ぎる。 若干不安に思いつつ

 

「あのさ、2-Aと3-Aの試合見に行くんだけど来る?」

 

僕がそう尋ねると龍也とムッツリー二は

 

「ああ、見に行くよ」

 

「……俺も」

 

ふらふらと立ち上がったムッツリー二と龍也を見ていると、体育館の試合を偵察に行っていた須川君が戻ってきて

 

「どうやら。3-Eと3-Fは引き分けみたいだな」

 

これで次の競技まで時間が空いた。僕たちは通常競技の出場も無い。今の内に見に行こう

 

「じゃあ、須川。俺達はちょっと偵察に入ってくる。何かあったら呼んでくれ。龍也ー、ムッツリーニ解説頼むぞ!」

 

待機所で休んでいた龍也とムッツリーニにも声を掛け。僕達は隣のグランドに向かった……

 

 

 

 

あー。ちくしょう、頭痛てぇ。翔子のアイアンクローのダメージに顔を歪めながら隣のグランドを見に行く

 

丁度2回表が始まった所で、打順は工藤・木下・横田・久保と続く打順だ

 

(凡退ってわけじゃなさそうだな)

 

打順は6番から、となると1回は2人はHITを打っている筈だ

 

(しかし2-Aが凡退するほどの投手って言うのは誰だ?)

 

3年の投手は長身で細身の男子。穏やかな笑みを浮かべているがなにか不気味な感じがする

 

(名前は高城雅春。3年の主席か……

 

『3-A 高城雅春』

 

『現代国語 424点』

 

VS

 

『2-4 工藤愛子』

 

『現代国語 297点』

 

点数は400点越えか……見ているうちに白球が投じられミットに突き刺さる

 

ストラーイク!!

 

棒立ちの工藤がバットを構えなおさせているのが見える。運動神経のいい工藤でも召喚獣で打たせるのは難しいのか、かなり集中してるように見える。

 

(こっちを見たら打ちそうだけどな)

 

試合に集中してるから気付いてないが、もしムッツリー二に気付いたら、絶好のアピールチャンス! とかいって撃ちそうな気がする。そんな事を考えていると龍也が

 

「かなりの直球だな。簡単にはバットにすら当たらんな」

 

「だな。さっきの回のHITは翔子か、高町達だろうな」

 

俺がそう言うと龍也も同じ考えなのか、そうだなと良いながら

 

「意地の悪い投球だ」

 

2球続けてMAXスピードのストレートと来て。3球目はがくんと球速を落としたスローボー、工藤は体勢を崩し空振り三振

 

次の木下はバットにこそ当てたが、ショートゴロ。続く横田は空振り三振

 

(これは投手戦になりそうだな)

 

俺はそんな事を考えながら、途中で買ってきたスポーツドリンクの封を開けながら

 

(もし2-Aが負けたら、後はねえな)

 

最悪2-Aに勝ってもらうというのも考えたが、やはり他力本願では駄目だ。あれは俺が取り返すべきものだから

 

(しゃーねぇ。ちょい集中してみとくか)

 

2-Aと3-Aの点の割合、召喚獣の動きの早さとうを俺はしっかり観察し始めた……

 

 

 

 

 

 

 

(中々面白い試合だ)

 

私は試合を見ながらそう呟いた。2回・3回と互いに3者凡退。2年の投手はフェイトだった、そして持ち球はスライダー

球速のあるフェイトにはいい武器だ。それに対して3年はカーブ、球速差を生かしての打ち取るピッチング狙い。どっちも投手戦と言う感じがしていたが、4回表試合が動いた。と言うか

 

「打ちますから! 見ててください!」

 

バッターボックスのなのはとネクストのフェイトが私に気付き。そして控えの翔子が

 

「……雄二、私打つから!」

 

雄二に気付き。やる気を全開にしたからだ。それを見た明久は

 

「愛されてるねぇ。2人とも」

 

緑茶のペットボトルを両手に抱えてのほほんと笑う。なんか出会った当初とかなり性格が変わってきてる。

 

(なんか悟りを開き始めているのかもしれない)

 

雄二や康太と一緒に馬鹿こそやっているものの、性格には落ち着きが出始め、そして優しさが全面的に出てきている。そのせいか学園新聞の彼氏にしたい男子生徒のトップ10にランク入りしている。むろん、美波達を敵に回したいと考える女子は居ないので遠くから眺める程度になっているが、それでも人気が出てきている

 

「……明久、変わったな」

 

康太がそう呟くと明久はえっ? って顔をしてから

 

「そうかな? 僕はずっと僕だと思うよ?」

 

首を傾げ試合を見ている明久を見ていると

 

カキーン!

 

快音を響かせてなのはが内野安打を放ち、それに続いてフェイトがカーブに見せかけたスローボールをがセンターに弾き返した。ノーアウト。1・2で翔子の打順が回ってきた

 

「……打つ、絶対に打つ」

 

そして翔子は明らかに気合に満ちた表情で、マウンドの上の男子を睨んでバットを構えている

 

(凄い気迫だな)

 

雄二が見ている、それだけで翔子の気合は最高潮になっている。獣じみた眼光を放っている

 

「くっ!?」

 

流石の3年の生徒も若干後ずさっている。それだけの気迫を……

 

「……雄二が見てる、雄二が見てる。ここで打つ、ここで打つ、ここで打つ……」

 

自己暗示に加えセルフ魔王化をしてる、道理で気迫が凄いわけだ

 

「……俺さ、どうしたらいいのか判らない」

 

雄二が額から汗を流しながら呟く、雄二が恐れるのは無理もない。魔王と言うのは得てして恐ろしい物だ、抵抗があるのも判るが。

 

それでもそれだけ魔王が愛してくれてくれているという事だ。だがそれを受け入れるまでが大変なんだ

 

「……俺も怖い」

 

「だよな。魔王は怖いよな」

 

雄二と康太が怯えている中。明久はのほほんと笑ったまま

 

「僕は魔王な瑞希も美波も好きだけどねぇ」

 

明久はどうも、もう魔王化してる面々を完全に受け入れ。魔王好みの性格にと変わりつつある。きっとそれは私のせいで

 

(まぁ本人がそんなに悩んでないし。良いかな)

 

明久は幸せそうだし、別にたいした問題は無いだろう。そんな事を考えている内にサインの交換を終えて、投手が振りかぶりながら

白球を投じた、それは凄まじいスピードでミットに突き刺さった

 

「ストラーイク!!」

 

気圧されてこそ居るが、球威の変化は無い。インハイ胸元の厳しいコースだ

 

(あれで顔を起こさせるつもりだったんだろうな)

 

翔子はインハイのストレートに若干ひるんだ素振りを見せたが、私はあれはフリだと思った。あの程度で動揺するとは到底思えないからだ。

 

だが3年バッテリーはサイン交換をし、アウトローにカーブを投げ込んだ、インハイが効いてるから打てないという考えだろうが

 

(甘いな……)

 

私は心の中でそう呟いた、翔子はアウトローに向かって落ちていくカーブを見てにやりと笑うと、すり足で前に出ながら落ちるカーブを掬い上げるように全力でフルスイングした

 

カキーンッ!!!!!

 

「!? そんな!?」

 

3年の顔の横を抜けてセンターの一番奥に向かって飛び

 

「くそ! 間に合えー!!!」

 

落下地点に向かって飛ぶが、グローブは届かずグランドに跳ねた

 

「フェアー!!!」

 

なのはとフェイトがホームに帰還し。翔子は2塁、2点タイムリーツーベースだ

 

「くっ! まだですよ!」

 

気を落ち着けるために深呼吸した、3年は続く。工藤・木下・横田を3者三振で切って取ったが

 

「2点は重いな……」

 

「だな。2点はきついな」

 

なのはとフェイト、そして愛子も翔子も私達を見て気合に満ちている。

 

(これは2-Aの勝ちか?)

 

私はそんな事を考えながら、打順に立つ3年生を見て

 

(ん? 明久を見てる?)

 

ちらりと明久を見て、一瞬口元がほころんだように見える。

 

(明久の知り会いか?)

 

私はそんな事を考えながら打順に書かれた名前を見た。そこには

 

『高城雅春』

 

と書かれていた……なんであんなに嬉しそうに笑ったのかが私にはわからなかった

 

 

 

カキーンッ!!!

 

「ホームラーン!!!」

 

フェイトさんの投じたスライダーは完全に捕らえられ、場外へと弾き返された。点差は

 

『2-A フェイト・T・ハラオウン』

 

『英語 428点』

 

VS

 

『3ーA 高城雅春』

 

『英語 431点』

 

ほぼ互角だったが、バッターの高城と言う男の先輩の方が一枚上手だったようだ

 

「凄いねぇ、勢いに乗るんじゃないかな?」

 

ホームランで勢いづくんじゃない? って僕が言うと龍也と雄二は首を振り

 

「駄目だな。焼け石に水だ」

 

「だな、今の一撃でフェイトの顔つきが変わった。もう次は無い」

 

龍也の指摘するとおり、マウンドのフェイトさんの目つきが変わっている。いつもは人懐っこい笑みを浮かべているが

 

今は鋭い眼光を放ち、バッターを見据えている

 

「うっ……」

 

その余りに鋭い眼光に3年生が気圧されているのを見て

 

「確かにもう駄目そうだね」

 

ズバーンッ!!!

 

「ストラーイク!!」

 

棒立ちでストレートを見送る3年生を見て僕はそう呟いた。闘志とかが完全に消えてフェイトさんに飲み込まれている

 

いくらなんでもあの状態ではヒットは打てない

 

「く……そっ!」

 

キン!

 

乾いた音を立てて舞い上がった白球はフェイトさんの頭上に向かって落ちてくる

 

パシッ!!!

 

「アウトー!!!」

 

ボールを見ることなく腕を振るったフェイトさん、そのグローブには白球が納まっている。

 

「はーなんか堂々としてるねぇ」

 

ずっと野球をして来た人でもあんな堂々とした動きは出来ないと思う。ちなみにムッツリーニはその動きで揺れた胸と髪を何枚も写真を撮っていた、それを見ながらグランドを見ると

 

「……あとでオシオキ決定……」

 

工藤さんが物凄い怖い顔をしてムッツリーニを見ていた。このことは教えてあげるべきかどうなのかと考え

 

(どうせ無駄だし、言わないでおこう)

 

言った所で魔王から逃れる術は無い。なんとか奴が逃げ延びる事を願うしかない、僕はそんな事を考えながら試合に視線を戻した

 

「ストラックアウト!! チェンジ!!!」

 

力なく歩いていく3年生チームを見て僕は

 

(どうも次は2-Aとの試合か)

 

あと1回、2-Aチームには攻撃がある。下位打線だがそれで追加点を取る事は出来る。同じ下位打線でも3年生はフェイトさんの球を打てない。ここからの逆転は無いと思って見るなか

 

ガキーンッ!!!!!

 

「ホームラン!!!」

 

2-Aチームが更にホームランを打ったようだ。打った打者を見ると

 

(うっ!? 久保君だ)

 

丁度2塁を踏んだところの久保君と目が合った瞬間、とんでもない寒気が走った。最近顔を見合わせないようにしてたのに……

 

肝試しで弾けてから久保君が怖い。嫌な寒気と冷や汗が流れ続ける、そりゃそうだ。同性愛者に狙われるなんて恐怖以外の何者でもない

 

(うう……対戦したくない)

 

久保君と対戦するのが怖い。もう頼れるのは龍也達と美波達だけ……

 

(美波とかの後ろに隠れよう)

 

明久の中では既にもう美波や秀吉は自分を護ってくれる人と言う印象が強く出ていた。それは彼がヒーローではなくヒロインにとジョブチェンジした証でもあった

 

なお次の回も3者凡退で終わり。2-Aと2-Fの試合が決定した

 

 

 

 

 

 

うん。やはり2-Aの勝ちか、私の予想通りの展開とは言え凄い展開だった

 

(3年生も良く粘ってくれたなあ)

 

そんな事を考えながら来賓席を見ると

 

「いや、とても素晴らしかったよ」

 

「ええ、とても面白い試合でしたよ」

 

「つぎは2-Fと2-Aですよね。さっきの試合と同じくらい面白い試合だといいですねぇ」

 

とかなりの高評価だ、次の試合では龍也達もエントリーするだろうし。これでもっと注目を集めれると思っていると

 

(教頭。次の試合は大丈夫さね?)

 

小声で尋ねてくる学園長に私は頷きながら

 

(勿論です。次の試合は凄いはずですよ)

 

龍也が出るのは間違いないし、はやて君とかもエントリーするはず、次の試合は魔王同士の接線による打ち合いか激しい投手戦になる事間違いなし!

 

(さぁ龍也盛り上げてくれよ)

 

待機所に戻る龍也の背中を見ながら。心の中でそう呟いた……

 

そして次の試合は私の希望通り激しい試合となり、来賓も大満足の試合となる事になる

 

 

 

「さて、次のオーダーを決めよう。とは言え次の競技もある、慎重に考えていこう」

 

雄二を中心に試合のオーダーを決める。次の相手は2-A、なのはとフェイトが居る。それだけでも強いのに優子と久保も居る

オーダーはとても重要だ。

 

「まず、俺とムッツリーニ・明久・秀吉は出る。次に龍也とはやてさん、んで島田とヴィータさん、最後にティアナさん。控えはセッテさんと姫路で行く」

 

高点数組みを揃える雄二。最初みたいに馬鹿みたいに高点数をとるのを私達はやめて、今はAクラスの上位くらいの点に抑えている

これならAクラスといい勝負が出来るだろう

 

「なぜ私が控えなんですか?」

 

オーダーを聞いたセッテが雄二に詰め寄りながら言うと、雄二は

 

「ハラオウンと喧嘩されたら困る。乱闘ノーゲームは勘弁してくれ。それに足をくじいてるんだろう? 影響は無いと思うが

様子見したほうがいい」

 

セッテとフェイトの相性は凄まじく悪い。その事を計算に入れたら控えにしか入れようが無い。セッテは凄まじく短気だから喧嘩を売られると買ってしまうからだ。それに雄二の言う捻挫のこともあるからか、ティアナが控えなのは康太や美波が苦手な科目のときの交代要員と言うところか……

 

「くっ……判りましたよ」

 

しぶしぶ下がるセッテを見ながら雄二は

 

「と言う訳だ。次の試合は集中しないと突破できないだろうが、協力よろしく頼む!」

 

そう頭を下げる雄二に頷きながら、私は

 

「次は向こうも総力をつぎ込んでくるだろうな?」

 

「ああ、翔子は間違いなく来るだろうし、高町とハラオウンも出てくる。点差は間違いなくあるが、こう思えば良い。午後の教師戦の予行練習だってな」

 

なるほど良い例えだな、と笑っていると

 

「では続きまして、2-A対2-Fの召喚野球を始めます、選手の生徒は移動を始めてください」

 

そのアナウンスを聞いた雄二は私達を見て

 

「行くぞ! 俺はこんなところで負けられないからな!!」

 

気合十分と言う様子の雄二に先導され、私達はグランドに向かった……

 

そしてそこで私は予想もしない、試合展開を見ることとなった……

 

第88問に続く

 

 




今回も短めでした。次回はちょっと長くなる予定です、試合もオリジナルですしね、面白いかどうかは不安ですが全力で頑張りたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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