バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は本音を喋る召喚獣の続きとなります、ドタバタギャグで行こうと思っていますので今回もどうか宜しくお願いします


第79問

 

 

第79話

 

「へぇ~本音を喋る召喚獣か~面白そうだね!」

 

にやにやと笑う工藤さんに僕達は

 

「「「全然面白くない!」」」

 

友達との接し方もわからなくなってしまったし、隠しておきたいことも言いかねない状態はどう考えても面白い物ではない

 

「じゃあ……ほんとに本音を喋るのか試してみようかな~」

 

その言葉に僕たちはターゲットにされまいと、咄嗟に目を伏せる。そんな中工藤さんはゆっくりと相手を選び

 

「ムッツリーニ君」

 

ああ、やっぱりドS魔王のターゲットはあいつしか考えられないと思っていたよ

 

「ねえ、1つ聞かせて欲しいんだけど」

 

「……こっちは話す事なんか」

 

『……エロの話なら大歓迎』

 

召喚獣がムッツリーニの言葉を遮って言う。工藤さんはにやにやと苛めっ子の笑みを浮かべて

 

「ん~そういうのも良いんだけどね。今僕が聞きたいのは……ねぇ? ムッツリーニ君」

 

一瞬間を置いてから工藤さんはにやりと笑い

 

「いつも僕の事興味ないって言ってるけど。ほんとは僕に興味あったりする?」

 

そう問いかけられたムッツリーニは鼻を鳴らし

 

「……何を馬鹿な」

 

『……スパッツの中はどうなってるの?』

 

「……!!!(バシバシッ!!!)」

 

『……痛い』

 

セクハラとも取られかねない発言をする召喚獣の頭を叩きまくるムッツリーニ。なんと憐れな……だが助けたいとは思えない、下手をすれば僕もターゲットにされかねない

 

ここは黙っていよう。それが僕の身を護る事になる

 

「へー本当に喋るんだね、面白~い♪」

 

Sの本能が刺激されるのかますます笑みを深める。工藤さんにムッツリーニが

 

「……面白くなんか無いッ!!!」

 

『……パンツ見たい」

 

「……黙れッ!!!(バシバシバシッ!!!)」

 

全力で自分の召喚獣の頭を叩いているムッツリーニを見て

 

「あはははっ!」

 

「ぷーくっく。欲望にここまで忠実やと笑ってまうな」

 

魔王属性の面々は楽しそうに笑っている。やっぱり魔王属性はSの属性が付加されるに違いない。

 

「じゃあ、もうちょっと遊んじゃおうかな~♪」

 

工藤さんが僕と雄二と龍也を見ながら

 

「ねぇ。吉井君、坂本君、龍也君」

 

にやにやと笑いながら自分のスカートの裾を掴んで

 

「スパッツだからつまらないかもしれないけど……僕のスカート捲ってみる?」

 

そう笑いながらスカートをぴらぴらと捲ってくる。

 

「何を言ってるのさ工藤さん? 僕はそんなに『捲って良いの? 捲るー♪』いやらしい人間じゃないよ」

 

「そうだぞ工藤。俺たちをからかう『待て明久。俺が先だ』無駄だからな」

 

僕と雄二が盛大に自爆するなか龍也とその召喚獣は

 

「年頃の女の子がそんな事を言うものじゃない『年頃の女の子がそんな事を言うものじゃない』

 

流石は龍也だ、真面目の代名詞とも言える龍也の本音は全く偽られる事が無かった。だが僕達には

 

「アキちょっとこっち来なさい」

 

「明久君。お話があります」

 

「……雄二。おいで」

 

魔王3人衆にこっちに来るよう呼ばれた。

 

(ああ。臨死体験か……)

 

逃れられない死の気配を感じた……

 

 

~~暫くお待ちください~~

 

「全く、覗きや本の没収で少しは懲りなさい。そうやっていやらしいことばかり考えてると、また問題になっちゃうんだからね? 少しは龍也を見習いなさい。ねっ瑞希」

 

「はい、その通りです。まぁ年頃だから仕方ないとも思いますけど……愛子ちゃんをそういう目で見るのはだめです! 今度そんな事を考えると私も美波ちゃんと一緒にお仕置きしますからね!」

 

「……雄二。浮気は許さない」

 

魔王の視線×6に晒された僕と雄二は

 

「「肝に銘じておきます!!」」

 

額を畳にこすり付けて謝る。龍也はと言うと

 

「やっぱ兄ちゃんは真面目やよね」

 

「やはり男性は真面目な方が良いです」

 

「真面目なのは当然だろう?『人生真面目が一番だ』

 

召喚獣の言葉と龍也の言葉は全く同じ。本気でそう思っているのは間違いないだろう。

 

「ごめんね。ムッツリーニ君、吉井君、坂本君、龍也君」

 

手を合わせて謝る工藤さん。なんだやっぱりただの冗談なんだと思いながら

 

「……俺は愛子になんか興味ない」

 

「本当だよ。ひどいよ工藤さん」

 

「ちょっとは自重してくれ」

 

「やれやれ。かからうにはほどほどにしたほうが良いぞ? 相手が本気になったらどうする気だ?」

 

僕達がそんな事を言っていると工藤さんは

 

「うん。からかって嘘ついちゃってごめんね?」

 

うん? 嘘? あ。なんか凄い嫌な予感がする

 

「そう。僕嘘ついてたんだ。今日僕ね……」

 

スカートをギリギリまで持ち上げ、小悪魔の笑みを浮かべて

 

「今日。スパッツ穿いてないんだ」

 

『『『ッ!?!?』』』

 

『恥じらいは無いのかね?』

 

僕達の召喚獣が慌てて工藤さんの足元に向かい。龍也の召喚獣はやれやれと肩を竦めている、ついでに言うと

 

「ふー最近の子は怖い」

 

本体も肩を竦めているが……僕達には

 

「「「いっぺん死んでみる?」」」 

 

闇のオーラを纏った魔王衆による死の裁きが下される事になった……

 

 

 

明久達が死の制裁を受けて三途の川の番人カロン氏と雑談をしている頃

 

「はっ!? 何か私にとても良い事が起きてる気……へもっ!?」

 

「陽向ちゃん!? どうしたの? 先生ッ!? 陽向ちゃんが!!!」

 

「なんだどうしたー!?」

 

テニスの試合に向けて合宿中、もう超能力の格まで昇格された、兄への監視能力で敏感に感じ取ったのだが。そのせいで打ち返されたスマッシュを顔面に喰らい意識を吹き飛ばされていたりする

 

さらに玲はというと

 

「はっ!? アキ君がまた自爆しているような!?」

 

両親に呼ばれ日本を離れていた玲はものはついでと、日本で暮らす為に荷物を纏めていたのだが、日本で明久の召喚獣が自爆しているのを感じ取り慌てて立ち上がったのだが

 

「あいたッ!?」

 

慌てて立ち上がったため箪笥の角に小指を強打し、バランスを崩し、積み上げていた荷物に手を付いてしまい

 

「あっ……いたたたた!? きゃうっ!?」

 

崩れてきた荷物に埋もれ、動けない所に大事にしていた明久のアルバムの角が頭に命中し、意識を失っていたりする……

 

なお両者とも目を覚ました時に口にしたのは

 

「早く家に帰りたい!!」

 

「早く日本に帰りたいです!」

 

涙目でそう叫んでいた……それを見た陽向の学校の教師と玲の同僚はまたかという表情をし、通常思考に戻るまで無視していた……

 

人間の最も秀でた部分はきっと適応力なのかもしれない……

 

 

ピクピクと痙攣している明久達を見ながら。自分の足元の召喚獣を見る、私と同じように額を抑えている。やはり私の本音も頭痛を感じているのだろう

 

「……雄二。私もスパッツ穿いてない」

 

「アキってば、どうしていっつもそんなにいやらしい事を考えているの?」

 

「明久君。ちゃんと反省してください」

 

明久達を冥界送りにした翔子たちの声を聞きながら。コートから本を取り出しページを開くすると

 

(おお。召喚獣も同じ事をしている)

 

小さいコートから同じ様に本を取り出しページを開く召喚獣に感動を覚えていると

 

「なんか、いつもと変わらん」

 

「そうですね。本音を教えてくれると思ったんですけど」

 

「何にも変わってないにも程がありますね」

 

期待していたほど召喚獣が面白くないとぼやいているはやて達の声が聞こえてくる。だがそんな期待をされても困ると言うものだ

 

「それとさー僕今日今朝ちょっと寝坊しちゃって、ブラしてないんだよね♪」

 

楽しそうに言う愛子の言葉に明久達が涙目で

 

「「「もう勘弁『『『ブラがどうしたッ!?』』』してください!」」」

 

「愛子。そういう風にからかうのは良くない『そうだぞ、恥じらいは捨ててはいけない』

 

私の召喚獣は私と同じ事を言い。明久達の召喚獣は愛子に注意をしている。やはり私の本音はどこまで言っても真面目と言うことなのかもしれない

 

「……雄二」

 

翔子が雄二に近寄る。雄二はこれでもかって怯えているが

 

(殺気が無い? 何をする気だ)

 

さっきまでの殺してやると言いたげな殺気が無い事に首を傾げていると

 

「ふふ♪」

 

「むおっ!?」

 

雄二の頭に手を伸ばして胸の中に抱き抱えた。

 

(ああ、色々回りまわって。積極的になってしまったのか)

 

愛子に雄二の注意が引かれるのが嫌だったんだな。と1人で納得していると翔子は

 

「……嬉しい?」

 

「ば、馬鹿を言え! こんなのは嬉しいわけが……『イィィヤッホオオオオオッ!!!』あるかああああああ!!!!!」

 

力の限り叫んでいるが召喚獣の声を打ち消す事が出来なかったようだ。翔子はその声を聞いて更に嬉しそうな顔をして

 

「……じゃあもっと抱きしめて上げる♪」

 

「何言ってわぷっ!?『キャッホオオオオオ!!!』放せええええッ!!!」

 

胸の谷間に顔を埋めさせられた雄二は顔を真っ赤にして叫ぶが、翔子はその反応を見て更に嬉しそうな顔をしている。それを見ていると明久の召喚獣が

 

『良いなぁ雄二! 羨ましい! 羨ましいよ!!』

 

ぴょんぴょんと跳ねている召喚獣、そしてそれを見た美波と瑞希は

 

「アキ。まだ反省が足りてないみたいね」

 

「明久君。翔子ちゃんもそういう目で見たら駄目です」

 

魔王2人に睨まれ、涙目で土下座した。だがその程度でバーサーカーモードの魔王が許してくれるわけも無い。美波が拳を握り締めた所で

 

『アキはウチのちっちゃい「駄目ええええッ!?!?」

 

何かを言い掛けた召喚獣を抱っこして走り去った、それを見ていたセッテは

 

「もっと素直になれたら。美波は想うような関係になれるでしょうね」

 

とにやにやと笑っているのを見ながら、時計を見て

 

(まだ半分ほどか……明久達は大丈夫だろうかねぇ?)

 

明久達が無事に帰宅できるのかどうかを気にしながら、私は読んでいた本のページを捲った

 

 

 

 

 

 

「明久君が異性に興味があるのは当然だとは思いますが、翔子ちゃんや愛子ちゃんをそういう目で見るのは駄目です。判りますか?」

 

「はい……ごめんなさい……」

 

瑞希のお説教を正座で聞く。さっきまでの打撃とこの小言で身体と心が痛い

 

「ちっちゃい兄ちゃんおいで」

 

『断る』

 

はやてさんが手を伸ばすが、龍也の召喚獣はそれを右手で弾き距離を取る

 

「……見た目は可愛いのに、中身は殆ど変わらないな」

 

「何故そんなに落胆する?」

 

龍也と召喚獣は全く何時も通り。魔王を警戒しある程度距離を取ったまま近付かない、そのスタンスはしっかり召喚獣に引き継がれているのだが、

 

(でも幼児程度の思考回路って言ってたけど。龍也って小さい頃からあんな感じなのかな?)

 

あの冷静で大人な対応を子供の頃からしていたのかな? と思っている中

 

「大体ですね。そう言う事に興味があるのなら、私か美波ちゃんに声を掛けたらいいんです。判りますか? 木下さんは絶対に駄目ですからね。判ってますよね?

 

もちろんはやてさん達をそういう目で見るのも駄目ですし、同性愛も勿論駄目です。特にあの変態の久保に近付くのも駄目です。判りますか?」

 

腰に手を当ててお説教をする瑞希の話の方向性がずれてきている。だがその仕草自体は愛嬌があってとても可愛らしい

 

「明久君、聞いてますか?」

 

「は、はい! 勿論!!」

 

不味い。きちんと話を聞いていないと怒られているのにこんな事を考えているなんてバレたら

 

『怒ってる瑞希ちゃんも可愛いね! 今日は痛いお仕置きもされないし!』

 

僕の召喚獣がそんな事を言いやがった

 

「のおおおおッーッ!?」

 

慌てて自分の召喚獣の口を押さえ、瑞希から目をそらす

 

「あ、明久君!?」

 

驚いている瑞希の声が聞こえる。バレたら不味いって言ってるのにこのバカ召喚獣! 折角お仕置きが無かったというのに! 恐る恐る振り返り、瑞希の様子を窺う

 

(あ、あれ? どうしたのかな?)

 

瑞希の顔は怒っているのに嬉しそうと、表情が読めない顔をしていた。とりあえず物理的なお仕置きがないと良いんだけど……

 

「コホンッ! と、所で明久君!」

 

「は、はい! なんですか!?」

 

身の危険を感じながら返事を返す、僕の隣では

 

『やっぱりおしおきなの?』

 

不安そうに召喚獣がそう呟いていた。だからこのバカは余計な事を言わないでくれ!!

 

「い、いえ。そうじゃなくて……その、突然ですが、今明久君に好きな人は居ますか!!」

 

真っ赤になりながら瑞希がそう尋ねてくる。

 

「ほえ? 急にどうしたの?」

 

『ほえ? 急にどうしたの?』

 

言われた言葉の意味が判らず召喚獣共々首を傾げる

 

「……ええ、判っていました。明久君がこう言う事を理解してくれないって言うのは判っていたんです。まさかここまで理解してくれていないんですね」

 

落胆する瑞希をみながら言われた言葉の意味を考える。ふと思い出したのは先日見た映画のことだった

 

『えーとたしか先週見た映画でそんなのがあった気が? 確か煙草に火をつけた煙草をくわえて天に召されるんだっけ? うーん。僕はまだ未成年なんだけど……』

 

「あの、瑞希? 僕はまだ未成年だし、成人しても身体に悪いから煙草を吸う気はないんだけど?」

 

僕がそう言うと瑞希は大きく溜め息を吐きながら

 

「どうしてこういう解釈が出来るんでしょう?」

 

? 何を言っているのか判らない? 何故そんなに嘆いているのだろう?

 

『アキはウチと両想いなのかな? 秀吉に惹かれてるのならお仕置きしないと』

 

「うん。それはウチも思う」

 

『右手と右足くらいなら折っても良いかな?』

 

「どうせなら両足をへし折るくらいが良いかも」

 

『それが良いね♪』

 

召喚獣とそんな会話をしている美波の声が聞こえてくる、お願いだからそんな事はしないで欲しい。僕がそんな事を考えていると瑞希が

 

「そうじゃないですよ明久君。私が聞いているのは、純粋に。今明久君に好きな人がいるのか? いないのか?ってことです。お願いですから正直に答えてください」

 

真剣な表情でそう尋ねてくる瑞希。だけどこういうことってあんまり人前で言うことじゃないと思う。僕がそんな事を考えているとタイミングが良いというか間が悪いというか、雄二と龍也も

 

「……雄二。雄二はどう? 私のこと好き?」

 

「兄ちゃんの好きな人って誰?」

 

僕と同じ様な質問をされている。龍也と雄二は

 

「いや、私はあんまりそういうことを考えたことは無いからな。判らんよ?」

 

「ふん。くだらねぇ、そんな質問に答える義理は無いな」

 

うんうん。あの反応が正しいはずだ、だいたいこんな所で僕の好きな人を告白したら……あれ? これ不味くない? と僕が思った瞬間僕の召喚獣と龍也達の召喚中が可愛らしく小首を傾げながら

 

『えっとね。僕が好きなのはね?』

 

『俺? 俺は勿論……』

 

『私の場合はずっと……』

 

僕達の意思に反して秘密を暴露しようとする召喚獣。それを見た龍也の反応は素早かった

 

「消え去れッ!!!」

 

『ッぎゃああああッ!!!』

 

全く躊躇いも躊躇もない見事なまでのサッカーボールキックで、自らの召喚獣をゴミ箱に蹴り込む

 

「「「ああ!? 何て事を!?」」」

 

龍也の召喚獣の言葉に耳を傾けていた魔王様達が嘆くのが聞こえるなか、僕と雄二も

 

「飛んで行け!! ボールの様に!!!」

 

「唸れ!! 俺のハリケーンシュートッ!!!」

 

『『ふぎゃああああッ!!!』』

 

僕と雄二の全力キックを喰らって悲鳴を上げながら、ゴミ箱に蹴り込まれる召喚獣。当然ながらフィードバックで体が痛むがそんな事を考えている場合ではない、何としても秘密を護ることが重要なのだ。僕達が秘密を護れたことに安堵していると

 

「へーコイバナなら反応するんだ」

 

「その過剰な反応。なんとしても話を聞きます!」

 

「……雄二、絶対に聞かせてもらう」

 

どうも今のやり取りで、魔王達の何かに火がついたようだ……僕は

 

(なんだ? この邪な気配は!?)

 

何をしても聞き出すと言いたげな魔王達の視線とオーラを前に恐怖を感じずにはいられなかった……

 

 

第80問に続く

 

 




切がいいのでここで終わりにしました。次回は壮絶な魔王と魔王被害者友の会の壮絶な争いを予定しています。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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