バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回からはホンネと召喚獣の話に入って行こうと思います。前後半にしようと思っているので今回もどうか宜しくお願いします



第78問

 

第78問

 

「ははは。これはこれで面白いですね。学園長」

 

「そうさね、まさかこんな事になるなんてね」

 

臨時教頭のスカリエッティは自分から売り込んできただけあり。中々優秀な男で、召喚獣のアレンジは抜群に上手かった

 

「半自動化でこんな事になるとは、いやはや実に面白い」

 

色々と試していて完成した。召喚獣の半自動化は望む形ではないが形にはなった

 

「意識と無意識の間を読み取るとは実に面白い、データ取りをしたいですね。学園長」

 

「試運転をしたいねえ。しかし高得点の教師達に頼むのもなんだしねえ。どうしようか?」

 

2人で誰にデータ取りをさせようかと話していると

 

『死ぬ! 殺される!! 誰か助けてくれええええ!!!』

 

『雄二! 叫んでいる暇があったら走れ! 生きる為に!!!』

 

ドドドッと走る足音と悲鳴が学園町室に響き渡る

 

「あの馬鹿達を助けて、やらせようさね?」

 

「それは良いですね。早速声を掛けましょう」

 

丁度良い生贄を見つけた。科学者コンビはにやりと笑った

 

 

 

 

「「「召喚獣の試運転?」」」

 

夏休みの特別補習の合間。海に行ったときの写真を全員で見ていると、その中に僕と雄二がナンパしている写真が混ざっており、それを見たことで魔王化した美波と霧島さんから逃げている時に、博士に助けられ。冷静になった2人と共にFクラスに戻ると教頭がそう言った。

 

「何を企んでいる、ジェイル」

 

「別に何もだよ、龍也。いろいろと試してみた事があってね、でも実際に動かさないと判らないし。ここは召喚獣の扱いに慣れているFクラスに頼もうと思ってね」

 

人の良い笑みを浮かべている博士を怪しいと言う目で見ている龍也。長い付き合いらしいので、何か嘘を付いているのなら見抜いてやろうとしているように見える。

 

「それに試運転と言っても別にあれをやれ、これをやれって言うものじゃない。呼び出して適当にうろつかせればいい」

 

まぁそれくらいなら大丈夫そうだけど、龍也が絶対裏があると言いたげな視線をしているのが気になる。僕がそんな事を考えていると

 

「それでしたら、私もお手伝いしますよ。教頭先生」

 

「……私も」

 

魔王化しなければ優等生の、霧島さんと瑞希が言うが博士は

 

「それはあんまり良くないかな? 君たちだと点数が高すぎるから」

 

ごめんねと笑う博士は

 

「というわけで、試運転は明久君・雄二君・康太君・木下君・美波君に頼むよ。科目は古典でね」

 

そう笑う博士に雄二が

 

「待ってくれ。博士、俺はかなり点数を取れていたはずだが?」

 

「うん。188点、そう悪くない点数だよね。でもね学園長が指定してるから、私じゃどうにも出来ないかな」

 

雄二のやつまた点数上げてるな、まぁそれでも霧島さんにまだ遠く及ばないけど

 

「試運転は今から1時間。召喚フィールドはテスト用に学校全体に展開しておくけど……一応は教室からは出ないでね。上手くやってくれたら図書券と食事券を出すから、頑張ってね」

 

ご褒美つきと言う言葉に思わず、歓声の声が出るが。龍也ははやてさん達はいまだに妖しいと言う視線をしている。博士はその視線を気にした素振りも見せず、教室から出て行った……

 

「まぁ、早速始めましょうか」

 

「そうだね。こうしていても始まらないし」

 

「……うん」

 

美波・秀吉・ムッツリーニがうんうんと頷き召喚獣を呼び出そうとする

 

「いや、ちょっとま……」

 

龍也が止めようとするがそれより早く。3人が召喚獣を呼び出す

 

「「「試獣召喚」」」

 

何時もの幾何学模様から現れたのは、何時もと同じ大きさの召喚獣だった

 

「良かった。サイズは前のやつに戻ってるみたいね」

 

「良かった。ブリュンヒルデだと明久が怖がるから」

 

「……耳と尻尾も元通り」

 

3人の言うとおり、見た限りは見慣れた召喚獣と同じだけど……

 

「武器を持ってないな」

 

「そうやね、それに服装も学校の制服見たいやね」

 

召喚獣を観察している龍也達の声を聞きながら。制服姿の召喚獣を見てみる

 

「一応、今のところおかしな部分は無いね」

 

「安心するのは早いだろ? さっきの話を聞く限り弄ったのは操作系だ。動かしてみてからが本番だろう?」

 

雄二の言葉を聞いた秀吉は頷きながら

 

「確かにその通りだね、早速動かしてみようかな」

 

秀吉がそう呟いた瞬間、腹部衝撃が走る

 

「げふっ!? な……なんで?」

 

「ええ!?」

 

皆が驚くのが見えるが、僕はそれ所ではなかった。今まで感じた事の無い激痛だった

 

『気絶しない? じゃあ今度は首』

 

子供のような声とは想像できないほど冷たい響きを伴って動くのは

 

「ひ、秀吉のしょ、召喚獣?」

 

魔王化特有のどす黒い光をその眼に宿した、秀吉の召喚獣がちょこちょこと歩いていた

 

「今勝手に動いたよな?」

 

「うん、私も見てた」

 

龍也とはやてさんの声を聞きながら、呼吸を整えていると

 

『むー!! アキ! 苛めちゃだめ!』

 

『うるさい! このっ! このっ!!』

 

『やったなー!! このっ! このっ!!』

 

「ウチの召喚獣と秀吉の召喚獣が殴りあいしてる」

 

「本当だね」

 

驚いている美波と秀吉にセッテさんが

 

「貴女達が動かしているわけじゃないですよね?」

 

「うん。特に何かをさせようとかは思ってないけど」

 

「私も」

 

動かして居ないと美波と秀吉は言っているが

 

『ふーッ!!!』

 

『しゃーっ!!!』

 

2人の召喚獣は互いに威嚇しながらぐるぐると歩き回っている。ムッツリーの召喚獣はごろりと寝転がっている。それを見ていた雄二が

 

「しかし。これはあれだよな? 自動操縦って感じだよな?」

 

確かに自動操縦っぽいけど、召喚獣は

 

『嫌い! 美波嫌い! 向こう行け!』

 

『うー! ウチも秀吉嫌い! 向こう行って!!』

 

ぎゃーぎゃーと騒ぎあい、殴り合いをしている。

 

「……あのさ、2人って凄く仲悪い?」

 

僕がそう尋ねると2人は

 

「まぁ……そんなに好きって訳じゃないけど。ここまで喧嘩したいとは思ってないけど」

 

「嫌いなのは認めるけど。ここまで嫌いじゃ」

 

2人の呆れたような視線の先では、互いに互いにマウントポジションを取ろうとごろごろと転がりながら喧嘩している。唯一普通なのは

 

『……この視点の低さならいつでも、スカート……ふぎゃっ!?』

 

ティアナさんとセッテさんの下でそう呟いた、ムッツリーの召喚獣は思いっきり踏み潰され

 

「「死ぬ?」」

 

「……すいません。許してください、お願いします」

 

絶対零度の視線にさらされ土下座して謝っていた。ムッリーニはいつも通りだけど、2人の召喚獣は凄い事になっていた

 

 

 

 

 

 

あのやろう。とんでもない事をしてくれたな、多分ジェイルがやったのは無意識の領域を読みとり。そこから自己を形成させたのだろう、ジェイルが良くやるガジェットや機械にある程度意識を与えるのを応用した物だろう。喧嘩している美波と秀吉の召喚獣を見ていると

 

『いいもん! ウチはアキに遊んでもらうもん!』

 

いーだ! と舌を出して明久の後ろに隠れる美波の召喚獣。ん? 

 

「なぁ? 明久。お前召喚獣に触られてるのか?」

 

「うん。触れるよ」

 

業とかどうかは判らないが。どうやら物に触れるようだな。

 

「そんなのはどうでもいいからこっちに来なさい!」

 

『やっ! ウチはアキのとこにいる!』

 

明久の足にしがみ付いたままの召喚獣を見て、瑞希が

 

「今。召喚主の意思に逆らいましたよね?」

 

「ああ。確かに逆らってるな。見ろよあれ」

 

「痛い! いたいいたい!! 止めてお願い!!」

 

『うー明久の馬鹿! 馬鹿!』

 

秀吉の召喚獣が明久の脛を蹴り続けている。それを見た秀吉が

 

「や、やめんか! 明久が痛がってるでしょ!」

 

止めに入るが召喚獣はジト目で

 

『そう思ってくるくせに、自分だけ見てくれれば良いのにって思ってるのに……明久を監禁しようとか考えてるくせに』

 

「……え? 嘘でしょ?」

 

明久が自分の足を蹴っている召喚獣に尋ねると。召喚獣は

 

『ほんとだよ。美波も瑞希も大嫌いだもん』

 

「余計な事を言わないで!!」

 

秀吉が慌てて自分の召喚獣を抱き上げて走り去る。これ以上余計な事を言われて堪るかと言う防衛手段には間違いないのだが

 

「どうしよう……僕。秀吉との接し方が判らなくなっちゃった」

 

もう手遅れっぽいがな……私は溜め息を吐きながら、遊んで遊んでと明久の足にじゃれ付いている。美波の召喚獣を見ながら

 

「無意識の領域の読み取りと言っていたな?」

 

「ああ。そう言ってな、つまりは体面より欲求に従った行動を取っていると見れば間違いないか」

 

だから美波の召喚獣は

 

『むふー』

 

「すっごい楽しそうなんだけど。このこどうすればいい? 美波」

 

明久の背中を昇ったり降りたりし、頭の上でころころと寝転がっている召喚獣を指差し、明久が尋ねると

 

「こっちに渡して欲しいんだけど?」

 

「美波が呼んでるよ?」

 

『やっ! ウチはここが良い』

 

「無理っぽいよ。美波」

 

駄々っ子な美波の召喚獣に頭を抱えている明久は、私達の方を見て

 

「えーとだから、この子は幼稚園児くらいの知識があるって事?」

 

「認識は間違っていない。中々賢いな明久、だけど……もう1個忘れてはいけない。本音と言うか願望に忠実なんだ」

 

さっきの秀吉の召喚獣に美波の召喚獣にしてもだが、どうにも自分の願望に忠実と見て間違いないだろう。

 

「そうなんだ……じゃあ、さっきの秀吉のは本当なんだ」

 

はぁーと深い溜め息を吐く明久。まぁさっきの発言は衝撃的だったもんな……まさか秀吉に監禁願望があるとは思っても見なかったし

 

「……この召喚獣。消えない」

 

「……ふぃ、フィールドが広すぎる」

 

自分の召喚獣を抱えて走りだした。秀吉が荒い息のまま戻ってきたのを見て。雄二が

 

「それにしても面白いな。秀吉の隠し事まで判るなんて、中々出来る事じゃないぞ」

 

「そうですよね。木下さんのポーカーフェイスは凄いですもんね」

 

感心したように言う雄二と瑞希の言葉に秀吉が

 

「いやいや。何を言って『やった! 演技を褒められた! 嬉しい♪』……」

 

ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んでいる召喚獣を見て。明久が

 

「ねぇ、秀吉。僕の事殴りたいとか、監禁したいとか思ったことある?」

 

「な、何言ってるの!? そんなことあるわけ」

 

『美波と瑞希と仲良くしてる時は凄くイライラするの」

 

「余計な事を言っちゃだめ! 嘘だから! そんなに泣きそうな顔をしないで!?」

 

明久は半泣きで自分にじゃれ付いていた。美波の召喚獣を抱えている

 

『嘘じゃないもん。ほんとだもん』

 

「だから! お前は黙ってて!!」

 

自分の召喚獣に怒鳴りつける秀吉を見ながら。雄二は

 

「絶対召喚獣を召喚したらだめだな。何が起きるか考えただけでも怖い。

 

隠し事の暴露に半暴走状態の召喚獣を見た以上。召喚獣を召喚したいとは思わないだろう。私と雄二がうんうんと頷いていると瑞希がぼそりと

 

「……本音を喋っちゃうですか……」

 

何か悪い事を思いついたのか、黒い笑みを浮かべて瑞希は何かを書いて明久の前に突き出す

 

「明久君。これなんて書いてあるか読めますか?」

 

「えっと、格差問題かな?」

 

「はい。正解です」

 

ポンッ! ←明久の召喚獣登場

 

「嘘ー!? 続けて言っても駄目なの!?」

 

まさかサモンとついていれば良いとは。随分とアバウトなんだなと私が思っていると

 

「はは。相変わらず馬鹿だな明久「……法の精神を書いた人は?」モンテスキュー……はっ!?」

 

ポンッ! ←雄二の召喚獣登場

 

なんて事だ、間が開いても召喚されるとは……雄二と明久の召喚獣が出てきたのを見た、美波は

 

「ナイスよ! 2人とも! さぁアキ、答えなさい! あんたの好きな人は誰!」

 

『ウチはね! ウチはね!』

 

「あんたは言わなくて良いの!!!」

 

「あ、明久君! 私も知りたいです!」

 

「……雄二。私のことはどう思ってるの?」

 

魔王達が明久と雄二に詰め寄るが、2人の召喚獣は

 

『馬鹿明久! お前の名前のせいで呼び出しちまったじゃねぇか!』

 

『アホ雄二! 人の不幸を笑うからだ!』

 

取っ組み合いの喧嘩をしている。そして本体同士も

 

「死ね。馬鹿明久!」

 

「そっちがしね! 雄二!」

 

取っ組み合いの殴り合いをしている。まぁ喧嘩もしたくなるよな

 

「兄ちゃん。リヒトから電話」

 

「ん? なんだ?」

 

突然はやてに差し出された携帯を受け取ると

 

『にーさま、にーさま。リヒトね! 今日鮭の巻物食べたい♪」

 

鮭の巻物?……ああ

 

「サーモンか?」

 

『うん、そーだよ!』

 

楽しそうなリヒトの声を聞いていると

 

ポンッ!! ←私の召喚獣登場

 

「はぁッ!? なんで!?」

 

「「「「やった成功だ!!」」」

 

イエーイと手を叩き合う。はやて達……しまった嵌められた!? 

 

「これで龍也様の本音が聞ける!」

 

「録音機用意しないと!」

 

聞く気満々のセッテとヴィータを見ながら

 

(なんとかこの場を切り抜ける方法を……)

 

この魔窟から逃げる方法を考えていると、Fクラスの扉が開き

 

「皆お待たせー! あれ? 何々!? 面白そうな事になってるね! 僕も混ぜてよ」

 

部活を終えた工藤が合流してきた……ヤバイ。なんか嫌予感しかしないんだが……

 

 

第79問に続く

 

 




本音を喋る龍也さんの召喚獣登場。次回は今回異常に混沌な話になると思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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