バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は魔王じゃないはやてとかの話をしたいですね。魔王は結局の所恋してるだけの乙女であり。純粋悪じゃないと言う感じの話にしたいです
少々短めですがどうか宜しくお願いします


第77問

 

 

 

第77問

 

 

白の魔王と金の悪魔

 

「はやて達を出し抜いて。龍也を遊びに誘うと思います」

 

「フェイトちゃんは、はやてちゃんとかを出し抜けると思ってるの?」

 

フェイトちゃんにそう尋ねると。フェイトちゃんは

 

「無理?」

 

「うん。無理でしょ、はやてちゃんの直感とか、ヴィータちゃんの洞察力を出し抜けると思えないでしょ?」

 

動物的な感を持つヴィータちゃんと、私達を大好きだけど大嫌いと言っているはやてちゃんが私達を見逃すとは思えない

 

「でもでも! 折角の休みだから! 龍也と遊びに行きたい!」

 

自分の想いを何よりも優先するフェイトちゃんに軽い頭痛を覚えながら。部屋を出ると

 

「~♪~♪」

 

楽しそうに歩いて行くリヒト達を見かけて

 

「なんだろう?」

 

リヒト達が向かう先は龍也さんの部屋では無く、ホールのほうでありそれがきになり、私達もその跡を着いて行くと

 

「髪の長さはどうする?」

 

「何時もと同じで良いです♪」

 

ブルーシートを引いた上にイスを置いて。首から床屋さんにあるようなカバーをつけた。リィンちゃんの髪を切っている龍也さんがいた

 

リズミカルな鋏の音を聞きながら。隣のフェイトちゃんに

 

(相変わらず芸達者だね。龍也さん)

 

(うん。私もそう思う)

 

龍也さんと言えば基本的に何でもこなすが、まさか理容師の真似事まで出来ると思っていなかった。そんな事を考えている間に髪を切る音がとまり、ドライヤーの音が聞こえてくる。リィンちゃんの頭を見ると綺麗に整えられていて、本職にも負けない出来になっている。感心しながら見ていると

 

「なのはとフェイトか。おまえ達も切ってやろうか?」

 

ドライヤーを置いて尋ねてくる龍也さんに一瞬戸惑う。リィンちゃんとかならまだしも私達は流石に……

 

「おいおい。そんなに不安そうな顔をするなよ。はやてとかヴィータの髪を切ってるのは私だぞ?」

 

長年一緒に居るが知らなかった事実だった。良い店で切っているとか言っていたが、まさか龍也さんに切ってもらっているとは予想外だった

 

「で、どうする?」

 

もう1回切るか? と尋ねてくる龍也さんに私とフェイトちゃんは

 

「お願いします」

 

「お願いするよ」

 

そう返事を返し龍也さんの方に向かって歩き出した……

 

 

~45分後~

 

「どうかね?」

 

私の首に巻かれていた布を外しながら尋ねてくる龍也さんに

 

「す、凄いです!! 私がミッドで行ってる店より綺麗です」

 

ミッドで名店と言われている店と比べても龍也さんのほうが綺麗だ

 

「ははは、それは失礼と言うものだろうよ。向こうは本職だぞ?」

 

からからと笑う龍也さんは、ほらと私の肩を押して立つ様に促しながら

 

「今度はフェイトだ。おいで」

 

「はい」

 

私と入れ違いで椅子に座る。フェイトちゃんを離れた所から見ていて気付いた

 

(あ、……そうなんだ)

 

髪の長さとかこそ聞いているが。首筋や耳元は龍也さんが決めて切っている、それは私達が動きやすい長さに整えられていて。

 

(良く見てくれてるんだ)

 

龍也さんが私達を良く見ていてくれていると言う、証拠で私はそれがとても嬉しかった……

 

 

 

 

ヤンデレストーカーは乙女なんです

 

夏休みのある日。ふと窓の外を見ていると龍也様が出かけていくのを見かけて、私は龍也様がどこに行かれるのかが気になりこっそりと跡をつけ始めた

 

「……」

 

「?」

 

私の視線に気付いてか一瞬立ち止まり、振り返る龍也様から隠れ気配を殺す。六課に来る前はネクロに追われるのは毎日の事だったし、六課に来た後はネクロの追跡等もやっていたので、気配を殺すのは得意だ。

 

「気のせいか?」

 

龍也様は暫く立ち止まっていたが、また歩き始める。それを見ながら壁に背中を預け

 

(龍也様が1人で出かけるなんて珍しいですね)

 

リィン達もいるし狸どももいるのに1人とは珍しい。それに

 

(忘れてるんでしょうか……そうだったら悲しいな)

 

8月と言うのは私にとっては特別な月だ。だが今回は龍也様は何も言ってくれなかった、もしかすると忘れられてるのではと言う不安が頭を過ぎる

 

(いえいや。龍也様が忘れているわけがありません)

 

一瞬不安になった自分に何を馬鹿なと言い聞かせ。また龍也様の後を追って歩き出した

 

(どんどん街の中心に入っていきますね)

 

レストラン街やアンティークショップが立ち並ぶ区域に龍也様が入っていくのを、ある程度距離を取って着いて行くと

 

「よし、ここが良いか」

 

龍也様が立ち止まったのは店の外見からして高そうな海鮮料理専門のレストランだった。1人で外食するような店ではないと……

 

「セッテ。居るんだろ? 出ておいで」

 

龍也様に突然声を掛けられ。驚きながら龍也様の隣に立つと

 

「良し良し、やっぱり居たな」

 

「あのやっぱりって?」

 

龍也様にそう尋ねると龍也様はにこりと笑いながら

 

「家で誘うとはやて達がうるさいからな。折角の誕生日にそれは嫌だろう?」

 

覚えていてくれたんだ……普段は何か欲しい物は? とか尋ねてくれるのにそれが無いから不安だったが、龍也様はちゃんと覚えていてくれた

 

「それで昼にレストランを予約した。あとは幻術を解くだけだ。食事を終えたらぶらぶらと見て回ろう、服とか小物とかな」

 

そう笑いながら言ってくる龍也様に頷き。私と龍也様は幻術を解く為に1度裏路地に入ってから。レストランにと足を踏み入れた

 

「……にぱー」

 

自室のベットに寝転がり。アザレアから買った、龍也様人形(4800円)を抱き抱えながら

 

「龍也様と2人きりで食事も出来ましたし、プレゼントも買っていただきました~」

 

食事の後。龍也様に選んで買って頂いたブレスレットを見ながら

 

「今年の誕生日は最高でした~」

 

家族と過ごす誕生日も悪くは無いのだが、龍也様と2人きりと言うのはそれ以上に最高だった……また来年の誕生日が楽しみだと思いながら、私はそのまま目を閉じて眠りに落ちた

 

 

 

猪突猛進娘と計算高い魔王

 

ミッドの魔導師としては馬鹿らしいと思うのだが、この世界ではこの世界のやり方がある。私は学校から出された課題をやっていると

 

「ティアー! 遊びに……「うるさい。馬鹿スバル」へぷっ!?」

 

遊びに行こうと誘いに来たスバルの顔に枕を投げつける。ただの休暇で来ているスバルが遊びに行きたいと思うのは当然だが、私は私でやら無ければならない事がある。

半分苛々していると

 

「最近さー、ティア。部隊長に似て来てない」

 

「……」

 

無言でいるとスバルは

 

「自覚あるんだ」

 

「……認めたくは無いけどね」

 

自分でもある程度は判っていた。最近部隊長に考え方が似てきたと、だがそれは認めたくない事実でも合った

 

「まぁそこまで来たら戻れないでしょ」

 

「……うん。そう思う」

 

1度魔王の思考を覚えてしまうともう駄目だ。それこそが正解だろ思ってしまう、もう普通に戻るのは難しいだろう。

 

「ティアが忙しいならしょうがないなー。リヒトちゃん達と遊んでくる」

 

「悪いわね。宿題が終ったら付き合うわ」

 

「ん~じゃあ。スイーツ巡り希望♪」

 

にへらと笑うスバルに

 

「はいはい、いいところ案内してあげるから。勉強の邪魔しないで」

 

了解~と笑って出て行くスバルを見ながら。課題に目を戻す

 

(判りはするんだけど。面倒くさいわね)

 

ミッドでPCによる書類整理に慣れてしまっているので、手書きと言うのはどうも面倒くさく思えてくる

 

(まぁ仕方ないか)

 

やらなければならない事と割り切り。シャーペンで答えを書いていると窓の外から

 

「おっ、スバルだ。遊んでくれるのか!」

 

「うん。今何してるの?」

 

「野球です! スバルは野球を知ってますか?」

 

「キャッチボールくらいなら出来るよ?」

 

「決まりだね。はいスバル。グローブ」

 

リヒトちゃん達に混ざって聞こえてくるスバルの声。

 

「案外面倒見良いのよね。スバル」

 

六課では結構リヒトちゃん達の面倒を見ていることがあるし、他の部隊から研修に来た新人と一緒に訓練をしていたりと結構面倒見がいい性分なのかもしれない。と考えていると

 

「ん? スバルか、スバルも遊んでやっていてくれたのか?」

 

「はい。こうしてやってみると面白いですね」

 

龍也さんの声が混ざる。うん……まぁ当然よね。龍也さんがリヒトちゃん達をほっておくわけないし。

 

バシッ! バシッ! と何かを叩く音が聞こえてくる。スバルが良くやっているミット打ちに似た音だと思う

 

「龍也さん。そのグローブなんですか?」

 

「ん? これか? これはキャッチャーミット。良し! アギト来い」

 

「おー」

 

アギトちゃんの声がした後。パシンと小気味いい音が聞こえてくる

 

「良し良し、ナイスボール」

 

「どんどん行くぞー」

 

パシン。パシンと小気味いい音が連続で聞こえてくる。

 

(なんか楽しそうだなー)

 

朝から勉強しているからか。余計に楽しそうに思える

 

「えーい」

 

ぱすん

 

今度は気の抜けた音が聞こえてくる。

 

「リィンへたっぴー♪」

 

「……が、頑張って」

 

「ボールを放す位置が悪いんですかね?」

 

「むむ……アギトちゃんみたいの音がしないです」

 

「ちゃんと振りかぶんないと駄目だぜ」

 

きゃっきゃっ♪ と楽しそうな声が聞こえてきて宿題に集中できない。

 

「リィン。耳の横を腕が通る感じで力一杯腕を降るんだ」

 

「なるほどです。えーい!」

 

パスッ!

 

「おお。音が変わったです♪」

 

「そうそう。その感じ。はいもう1回」

 

パシーン。パシーンと小気味良い音が聞こえてくる。本当に楽しそうだな~

 

「い、行きます」

 

「おお!? サイドスロー?」

 

スパン!!

 

「おお! アザレアちゃん凄いです!」

 

「本当ですね。意外と運動神経良いんじゃないですか?」

 

「凄い凄い!」

 

「こう、シュン? って感じですね。ボールが角度があるから見にくそうですね」

 

皆のお褒めの言葉にアザレアちゃんがぼそぼそと

 

「か、顔が見えないように投げてたら。自然と……ああ、なったんです」

 

「うん。でも良い感じのボールだよ」

 

「……そ、そうですか? 嬉しいです」

 

その後も何度かスパン、スパンと軽い音が聞こえてくる。

 

「今度はスバルも投げて見るか?」

 

「ええ? 私投げ方知らないですよ?」

 

「教えてやるよ。おいでおいで」

 

……まぁ流れだからね。スバルもそりゃ言われるわよね

 

「こう振りかぶってだな。腕を振って投げると、スバルは体重移動が得意だから。体重移動もすると良いな」

 

「良し判りました。やってみます」

 

……なんかちょっと腹立たしいかもしれない。私が勉強してるのにスバルだけ龍也さんと遊んでいるなんて認めても良いのだろうか?

 

「行きまーす!!」

 

バシーンッ!!!!!

 

轟音が庭から響いてくる。あの馬鹿全力で投げたわね……

 

「おお……すっごい音です」

 

「ほんとほんと」

 

「……み、耳が痛いです」

 

「大丈夫?」

 

そりゃ確かにこんな所まで響いてくる音だ。近くのアギトちゃん達は音だけでビックリしただろう

 

「ナイスボール! まだ投げるか?」

 

「はい! これたのしーです!」

 

段々イライラしてきた……なんで私が頭を抱えているのにスバルだけがあんなに楽しそうなのだろう? こんなの許されるべきではないに違いない

 

バシーンッ!! バシーンと聞こえてくる音を暫く聞いていたのだが……

 

「もう駄目だわ」

 

私の手の中でシャーペンが砕け散る。私はその残骸をゴミ箱に叩き込んで、帽子を被り部屋を後にし庭へと向かった

 

「ん? ティアナか。 ティアナもやってみるか?」

 

私に気付いた龍也さんがそう声を掛けてくれるので

 

「はい。やってみたいですが……投げ方が判らないのですが、良いですか?」

 

スバルとかエリオは良く訓練明けに龍也さんとキャッチボールをしているので、投げ方を知っているだろうが、私は投げ方を知らないのでそう言うと

 

「いいよ。教えてやるから……そうだな。ティアナは腕も足も長いからサイドスローが良いかもな」

 

サイドスロー? サイドって横? 私が首を傾げていると

 

「アザレア。投げてみてやってくれ」

 

「……は、はい。ティアナさん、こうやって投げるんですよ」

 

アザレアちゃんが足を膝の高さくらいまで上げて、大きく前に踏み込みながら右手を大きく伸ばして。身体全体を使ってボールを投げる

 

スパン!

 

小気味良い音を立ててミットに収まるボールを見て

 

「なるほど。やってみます」

 

「ほい。ボール」

 

ふわりと山なりに投げられたボールを受け取り。さっき見たようにゆっくり足を上げて、大きく腕を伸ばしボールを投げる

 

パシン!

 

乾いた音を立ててミットに収まるのだが……

 

「まぁ。最初はこんな物だろうな」

 

龍也さんは立ち上がり、明後日の方向に飛んで行ったボールを掴んでからからと笑っている

 

(結構難しいのね。これ)

 

見ている分には簡単そうだったが、実際は結構難しいようだ。

 

「暫く立ってるから。軽く投げてみたらどうだ?」

 

そう声を掛けてくれる龍也さんに頷き。そのまま暫く何度かボールを投げた……

 

 

「結構楽しい物ね。野球って」

 

その日の夜お風呂の後。スバルにそう声を掛けると

 

「野球だけじゃなくて。身体を動かす物は何でも楽しいよ」

 

ストレッチをしながらそう返事を返すスバルに

 

「そう言えばさ。なんで龍也さんは座ってボールを投げてくれなかったのかな?」

 

アギトちゃんとかスバルは座っている龍也さんにボールを投げていたのだが。私はずっと立ったままだったのでそう尋ねると、スバルは

 

「胸だね」

 

「? どういうことよ?」

 

胸? どういうことか訳が判らず尋ね返すとスバルは、自分が腕の動きとかを確認する為の姿見を指差して。

 

「その前で腕振ったら判るよ」

 

スバルに言われたとおり。鏡の前で腕を振ってみて私は赤面した

 

「気付いた? もうこれでもかって胸が暴れてるでしょ?」

 

足を振りかぶった時、腕を引き伸ばした時も激しく胸が横揺れしているのだが、ボールを投げた時は、もうとんでもないくらい胸が震えていた

 

「……龍也さん見てた?」

 

「見てたよ。少しだけ顔が紅かったかな?」

 

「何で教えてくれないのよ」

 

「判ってやってるのかと思ってたから」

 

「んな訳ないでしょうが!!!!」

 

思わずそう怒鳴る。判ってやってたら痴女じゃない。文句を言い足りずスバルに近付くとスバルは

 

「でもさ。赤面してくれてるって事は意識してくれてるって事じゃない? まるで脈なしって訳じゃないし良いんじゃない?」

 

「……そう言われるとそうね」

 

赤面も何もしてなかったらまるで私には興味が無いという事だが、赤面してくれているという事は多少なりとも意識してくれていると言う証明に他ならない

 

「前向きに考えれば良いんじゃない? じゃあ私はちょっと走ってくるから」

 

手を振って出て行くスバルを見送りながら。私はまた今度もリヒトちゃん達が野球をしているときに参加しようと、心に決めた……

 

 

 

 

 

結局は義妹が勝利者(?)

 

 

「何しに来た?」

 

「「一緒に寝に来た」」

 

「帰れ」

 

「「やだ」」

 

もうこのやりとりを5分近く続けている。部屋の扉を閉めようにもはやてとヴィータがガッチリ扉を掴んでいて。閉める事は出来そうに無い

 

「もう1度言う。自分の部屋に帰りなさい」

 

「「絶対いや」」

 

もう2人の中で私の部屋で寝ることは決定事項なのか。交渉の余地は無さそうだ……だがここで折れては駄目だ。説得し自分の部屋に返さなければ、私はそう思う説得を試みた……

 

 

 

 

「やっぱりこうなるんだよな」

 

説得を試みたのだが、結局涙目で「兄貴は私が嫌いなのか?」と「兄ちゃんは私が嫌いなんか?」の前に私の心が折れて結局2人を部屋に入れてしまった。

 

何時までたっても2人の涙目には弱かった

 

「もう駄目な所まで来てしまってるよな」

 

兄離れしろ兄離れしろと言い続けて来たが、もう駄目なのかもしれない。幸せそうに眠る2人の頭を撫でてから私も横になり眠りに落ちた。

 

 

 

尚翌朝。はやてが覆い被さりながら迫って来たのだが、何とか凌ぐ事が出来た事をここに記す

 

第78問に続く

 

 

 




スバルとティアナがメインでした。大魔王なはやて様とかも好きなんですが、はやて様に続いてナンバーズとスバルティアナが好きな物なので、メインに持ってきました
次回はホンネを喋る召喚獣をやりたいですね。龍也さんとかは割りと普通な感じになるかもしれないですね。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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