バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はダウト……と言いたいのですが。あるユーザー様から素晴らしいアイデアを頂いたので、その話をしようと思います
ただしかしそのルールをちゃんと把握出来ているのか? と言うのが不安ですが……どうか今回も宜しくお願いします

なお今回も前後編となっておりますので今回はその話までは進まないと思いますので、次回の更新もどうか宜しくお願いします


第75問

 

 

第75問

 

 

ざわざわ……

 

 

「瑞希次で決着をつけさせてもらうわ」

 

「ええ。私もそのつもりです」

 

バチバチと火花を散らす。瑞希と美波、そしてその近くでは

 

「ひ、卑怯者……」

 

美波によって行動不能になった秀吉が大の字で倒れている。そして……

 

 

 

「……じゃあ。次雄二が負けたら、この書類に拇印を押す」

 

「断るに決まってんだろ! なんだこの! 奴隷契約書って!?」

 

「……雄二が負けたら。雄二は私の奴隷、私が負けたら……ぽっ」

 

「頬を赤らめても全然可愛くないからな!! 翔子!」

 

「……じゃあ。カードを配るね」

 

「人の話を聞けえええええ!!!」

 

雄二は雄二で色々と追い詰められている。はやてさんの全開具合は色々と霧島さんに悪影響を与えているようだ

 

 

 

 

「じゃあ~次僕が勝ったら。ムッツリーニ君は犬耳装備ね♪」

 

「……嫌だ」

 

「嫌なら勝とうね? ムッツリーニ君?」

 

「……にげ……ッぎゃあああああああ!?!?」

 

「言ったでしょ? 決着が付くまで逃げれないって♪」

 

「……し、死ぬ……」

 

カードをおいて逃亡しようとしたムッツリーニに電撃が走る。 ゲームが始まった以上逃げるという事は認めないシステムらしい

 

 

雄二達が手にしているカードはトランプや遊戯王といった定番のカードゲームではなく。はやてさんが持ってきた謎のカード……

 

(E-カードって絶対あれ。龍也からなのはさんとかを引き離す為のゲームだ!)

 

自分以外が龍也に近付く事を極端に嫌う。はやてさんらしい考えかただ

 

そして僕は……

 

「じゃあ、ウチが勝ったらアキと出掛けるのはウチね」

 

「させません。明久君と出掛けるのは私です」

 

「ねぇ? 僕の意見とか財布の都合の事考えてくれてる?」

 

僕の意見とか話とかはガン無視でゲームを始める。美波と瑞希

 

「じゃあ私から」

 

「スルー!? 聞こえてるんでしょ!?」

 

「市民・市民 ドローね。じゃあ次はウチ」

 

「はい、どうぞ」

 

「お願いだから何か反応してよッ!!!!」

 

僕は瑞希と美波によって手足を縛られた状態で必死にそう叫びながら

 

(ど、どうしてこんなことに)

 

涙でにじむ視界の中。どうしてこんなことになったのかを思い出していた。切っ掛けは本当に些細な事だった

 

 

 

夏休みの途中に2日ある。半日出校日、昼まで時間があると思った僕は雄二達に

 

「ねえ。暇だったらダウトでもしない?」

 

そう、この一言が今思えば全ての悲劇の始まりだったのだろう。どうせ昼まで時間があるしと雄二・ムッツリーニ・秀吉は二つ返事で勝負を受けてくれた

 

「龍也は? 順番でやらない?」

 

帰る準備をしてる龍也にそう声を掛けると

 

「すまないが、家でリィン達が待っているので帰る。また今度誘ってくれ」

 

「あーそうだったな。んじゃな龍也」

 

龍也と言えば、妹思いで家族思いのお兄さんだ。妹達が家にいるのに学校で遊んでいくわけがない

 

「そういうわけだ。じゃあな」

 

カバンを担いで帰っていく龍也。そして教室の隅では

 

「ごにょごにょ」

 

「ええ!? こ、このカードはそんな追加機能が!?」

 

「そうそう。始めれば逃げれん……後は判るやろ? 美波」

 

「……うん」

 

なにか怪しい話し合いをしてる。はやてさん達の姿がある

 

(また何かの魔王アイテムかな?)

 

魔王アイテム。魔王同士が独自のネットワークを用い交換し合う、鬼畜使用の捕獲アイテムであったり、監禁用の道具の総称だ。主な流通ルートははやてさんかセッテさんだ

 

「よーし。じゃあ配るねー」

 

まぁすぐに被害は無いだろうと思い。僕達はダウトを始めた……

 

~20分後~

 

「むむむむ……」

 

僕の嘘は呆気なく、雄二達に見破られあっという間に手札は倍以上に増加してしまった。これは不味い、このままではお昼を僕が奢る事になってしまう

 

「ふっふふ。馬鹿の癖にダウトなんかやろうって言うからだ」

 

「……明久。俺は牛丼の特盛り。味噌汁と卵つき」

 

「お、良いなー。んじゃ俺はカルビ丼の特盛りと味噌汁」

 

既に僕の負けは決定なのか、にやにや笑いながら言う雄二とムッツリーニ

 

「ま、まだ負けてない! 6!」

 

「ダウトだよ。明久」

 

「何で判るの!?」

 

秀吉のダウト宣言。僕の出したカードは5これでまた手札が増えてしまった事を嘆きながら尋ねると

 

「ふふ。明久は嘘がつけないからすぐ判るよ」

 

くすくす笑う秀吉にむうううと唸りながら

 

「僕さ、負けたらお昼代無くなりそうなんだけど?」

 

「じゃあ、ダウトをやるなんて言うんじゃない」

 

「……その通り」

 

にやりと笑う雄二とムッツリーニ……ぐうう。その通りだけに反論できない

 

「お昼食べれなくなるの?」

 

「うん。雄二とムッツリーニと秀吉に奢ったら自分の分は無いかな?」

 

家に帰れば何か作れそうだけど……姉さんがいるからなーとぼやいていると

 

「あ、じゃあ。私の家来る? 姉上いるけどお昼くらいならご馳走するよ?」

 

「ええ? ほんと「何の話をしてるんですか? 明久君」……えと? 何で魔王モードなんですか? 瑞希」

 

背筋が凍るような寒気を感じ振り返ると。魔王モードの瑞希が僕を見下ろしていた

 

「なんででしょうね? 坂本君。私と変わってくれませんか?」

 

ニコリと魔王の笑みの瑞希に雄二は

 

「あ、ああ! 良いぞ!!」

 

自分の命の危機を感じ取ったのか素早くカードを瑞希に手渡す

 

「貴様! 僕を見捨てるのか!?」

 

「うるせえ! 俺は自分の命が惜しい!」

 

「この裏切り者!!」

 

何時も助けてやってるのに! 何時も僕が困っている時にはどうして助けてくれないんだ!!! だけとムッツリーニなら

 

「土屋。ウチと変わって」

 

「……はい。どうぞ!」

 

「貴様もか!? ムッツリーニィィッ!!!」

 

あっという間に僕は魔王×2と準魔王に囲まれてしまった

 

「じゃあ。最初からですね、明久君カードを」

 

「え……うん」

 

どうせ逃げれないと悟った僕は持っていたカードを瑞希に手渡した

 

「じゃあ。配りますね」

 

そう笑ってカードを配る瑞希。まぁ魔王は怖いけど……お昼を奢らなくて済み……

 

「じゃあ明久君が負けたら。午後から明久君の奢りで映画を見に行きましょう」

 

「ウチはあれかな? クレープ」

 

「え。えーとじゃあ私は。欲しかった演劇の本」

 

「ま、待って! ええ? どういう流れなの!?」

 

お昼代が浮くところかそれ以上の出費になりそうで、思わずそう言うと

 

「断るなら断っても良いですが、その場合は……判りますよね?」

 

「ウチは出来たら。アキにはひどい事したくないかな?」

 

にっこりと笑っているが。断れば死・もしくは捕食ルートに直行しそうな感じだ

 

「……はい。判りました」

 

断れば。物理的な死もしくは社会的に死を向かえる気配を前に、僕は諦めの境地に達し配られたカードを手にした

 

 

 

 

 

 

俺とムッツリーニは明久VS3大魔王のダウトを観戦していた

 

「ろ。6!」

 

「「「ダウト」」」

 

「ふぐううううッ!?!?」

 

さっきからこの調子である。そもそも魔王の洞察力と観察力を前に明久の馬鹿の勝率は0%である

 

(くく。見てる分には最高だな)

 

明久のダウト宣言はことごとく外れ。魔王達のダウト宣言は全て的中

 

「……」

 

「「「にこにこ」」」

 

負けるたびに絶望と言う顔をする明久とそれを見て笑う魔王。その温度差は見ているだけで笑えてくる

 

「はい5です」

 

「6よ」

 

「7」

 

「は、8!」

 

流石に一巡目は動かないよな。だがあの魔王達の目を見ろ

 

(((全て計算通り)))

 

自分達の計画通りに進んでいる事を確信しているあくどい笑みを浮かべている

 

(さーて。明久の奴の負けは確定だが。その後はどうなるんだろうな)

 

明久に課せられた罰は、映画・食べ歩き・演劇の本と俺達が要求した物より割高だ。奴の財布具合を考えると誰か一人の要求しか応えることは出来ないだろう。となれば

 

(魔王同士の争いになる。それはそれで見ものだな)

 

計算高いの姫路 直接戦闘派の島田 場のコントロールの長けた秀吉 それぞれが自分の流れに引き込もうとするだろう。となれば戦闘派の島田は不利そうに見えるが

 

(あの目。何か企んでやがるな)

 

ダウトにも集中しているが、まだ他に何か考えているのが判る。

 

(さーてどうなるか楽しみだな)

 

にやにやしながら明久達のダウトを見る

 

「きゅ、Q」

 

「「「ダウト」」」

 

「も、もう許して……」

 

他の3人の手札は4枚や5枚。それに比べて明久は20枚以上、勝率が無くなったのか明久はカードを置いて両手を上げた 

 

「じゃあ。決着をつけな……「死んで。秀吉」ふぐっ!?……ひ、卑怯……者」

 

おっ? 島田が動いたな。素早く秀吉の鳩尾に正拳を叩き込んで意識を刈り取った島田は。トランプを片付けて代わりに見覚えの無いカードを机の上に置き

 

「ここからが本番ね。アキ」

 

「え。ええ? ど、どういうこと!? それにこのカードは何!?」

 

「はやてに貰ったのよ。E-カードって言うらしいわ、ルールはまぁこんな感じよ」

 

島田がカードのルールを説明する

 

 

 

1 皇帝と奴隷側に判れ1対1の対決。持ち札は市民4皇帝1と市民4と奴隷1

 

2 皇帝のカードは市民のカードに勝ち、市民のカードは奴隷のカードに勝ち、奴隷のカードは皇帝のカードに勝つ、というじゃんけんのような法則があり、5枚のカードを出し終えた時点で勝利数が多いプレイヤーが勝ち。5分経過した場合順番を無視してカードを置いて良い

 

「負けたら。アキは何でも言う事を聞くと」

 

「勿論私達が負けても同じという事で」

 

「どういうことなのさ!? やだよ!? そんなルールのゲーム!?」

 

「拒否したら、折る」

 

「即決の脅しはやめてよ!!!」

 

明久の奴ダウトから色々な枷が付いたゲームに強制以降か可哀相だな。まぁ見てる分には

 

「……雄二もゲームしよ?」

 

「しょ、翔子!?」

 

何時の間にか肩を翔子が掴んでいる、翔子の左手には明久の前に置かれた物と同じカードが

 

「……ルールは聞いてるよね?」

 

「拒否権は……ねぇみたいだな?」

 

背中に感じる鋭い切っ先。断ればブスリだろう

 

「……話が早くて助かる。さっ、座って?」

 

翔子に促され畳の上に座る。明久の方では既にゲームが始まっているようでまずは島田と明久、次に明久と姫路のようだが……

 

「ウチの勝ちね?」

 

「う……ううううッ……」

 

既に明久の1敗。魔王との読み会いに勝てるわけが無い。だがそれは俺も同じだ

 

(なんとか機会を見て逃げないと不味いな)

 

俺はそんな事を考えながら翔子から渡されたカードを見て

 

(ムッツリーニだけか助かるのは)

 

同じ魔王被害者友の会の人間の癖に仲間を見捨てるとは酷い事だ

 

「じゃあ。ムッツリーニ君も座ろうね?」

 

「……はい……」

 

やはり奴も魔王に捕まったか。いい気味だ、奴も俺と明久と同じ様に地獄に落ちろ

 

「はい。明久君の負けですね?」

 

「う……うう。なにこのゲーム、難しいよ」

 

と嘆いている。そんなに難しいのか? 見たところ単純なゲームみたいに見えるが……

 

 

 

だが後に俺は知る事になる。この単純そうなゲームに隠された戦略性と複雑な読みあいの深さに……

 

第76問に続く

 

 

 




次回はルールをよく理解していませんがE-カードの話にしようと思います。
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

E-カードの次の話は龍也とはやて達の話と明久と美波の話にしようと思っています。それでは次回の更新もお願い致します

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