バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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今回は前回の続きでロリ化。玲さんに追われている美波&明久と雄二&ムッツリーニペアの話になると思います
今回もドタバタで行こうと思います。それでは今回もどうか宜しくお願いします



第73問

 

第73問

 

 

「くそ! 速すぎる!?」

 

工藤とムッツリーニの妹の脚力がとんでもないことになっている。運動神経には自信があったのに、その自信さえ破壊されそうだ

 

「「フフフ……」」

 

魔王化のせいで理性を失い。光のない目で走ってくる2人から

 

「くそっ!! 誰か助けてくれ!!」

 

誰も助けてくれる者は居ないと判っているのに。そう思わずにはいられなかった……

 

 

「……こ、怖い」

 

空を切って飛んでくるナイフとロープに結ばれた手錠を回避しながら

 

(こ、これなら愛子と陽向の方が楽だ!!)

 

掴まえて監禁もしくは捕食しか考えていない。あの2人のほうが気が楽だ

 

「……逃げるなんて……許さない……1度殺して身体と魂に教えて上げる」

 

殺す気だ。霧島は間違いなく雄二を殺す気だ。もし俺が捕まれば、偽った罪として俺も殺されかねない

 

(くそ!! これは不味い! 不味すぎる!!!)

 

どんどん追い詰められているのが判る。俺が生き残る為には。なんとしても1度霧島を引き離す必要がある

 

(……くそ!! 誰でも良い!! 誰でも良いから俺を助けてくれ!!!)

 

誰も助けてくれないと判っているのに。俺はそう思わずにはいられなかった……

 

 

 

 

「は、速い! もうすぐ後ろに来てるよ! 美波!」

 

美波に抱き抱えられたまま。後ろを見る、物凄く楽しそうな顔をして姉さんが走って来ているのが見える。 それは正しく獲物を追いかけて楽しんでいる肉食獣の笑み

 

「大丈夫よ、何とか振り切るから!!」

 

僕を抱えたまま更にスピードを上げる。美波だが若干息が切れ始めている。当然だ、僕を抱えているんだ。体力の消耗が激しいのは当然の事だ

 

(何とか1度姉さんを巻かないと)

 

ロリ化しているので体力と歩幅は何時もの姉さんより劣っている筈なのに。

 

「ふふふ……こうやって追いかけるのも楽しい物ですね……すぐに掴まえてあげますからね」

 

にやりと邪な笑みを浮かべている姉さんは、本当に楽しそうだ……だがその分余計に恐怖が増している

 

(何とか1度巻くには……)

 

ここは見通しの良い通路だ。隠れる所もやり過ごす所もない。町の上に上にと追われているので隠れ場所がある訳もない

 

(考えろ。考えるんだ……)

 

何時も魔王から逃げている経験を生かせ。かならずこの窮地を逃れる方法がある筈だ……何時もの僕なら出来ない手段。魔王化してる美波が居る……1度美波の手を叩いて。地面に降ろしてもらい。思いついた方法を話す

 

「ねぇ? 美波。僕を抱えたまま飛べるかい?」

 

「着地地点が判ってるなら、行けると思うけど?」

 

その返事に僕は胸に抱えていたバッグから、ロープを取り出し

 

「そこの木に掛けて。飛ぼう、下の道路に行けば1度身を隠せるだけの時間が手に入る、僕じゃ出来ないけど……美波なら出来ると思うんだ」

 

僕の身体能力じゃ出来ない。でも魔王化によるブーストで身体能力が強化されている美波なら出来るかもしれない

 

「ふふん……いーじゃない。ウチを信じてくれるのね?」

 

女子とは思えないくらい男らしい笑みの美波に頷くと

 

「OK。飛びましょう、高さはそんなにないから上手く着地できるわ」

 

美波の言葉に頷き。ロープの先に、夜間逃げる時に使う懐中電灯を結び。

 

「よっ!!!」

 

道路脇の木の幹に結びつける。力任せに引っ張る分には解けないが、引っ張り方を変えればするりと解ける結びかた。何度も何度も魔王から逃げるうちに身に付けた知識だ。ぐっと引っ張って外れない事を確認してから

 

「OK。お願い」

 

「了解」

 

よっと言う軽い掛け声で僕を持ち上げた美波は

 

「行くわよ!」

 

自分の腰元にロープを結んで飛び降りた。ロープで一瞬落下のスピード落ちた瞬間。腰に結んだロープを解いて着地した美波は

 

「よいしょ!!」

 

ぐいっとロープを引っ張り。飛び降りるのに使ったロープを回収する。逃げるのに使う貴重な道具だし、残しておくと姉さんまで降りてくる危険性があるからだ。

素早くロープをまとめて。バッグに入れる

 

「良し。行くわよ」

 

「うん!」

 

ロリプレデター化した姉さんから少しだけ逃げる時間が確保できた。

 

「飛び降りるとは……ふふふふ。追いかける楽しみが増しましたね」

 

にやりと笑いながら僕と美波を見ている。姉さんの視線から逃げる様に走り出したのだが

 

(このままじゃ。追いつかれる)

 

ロリプレデターとも言える姉さんの身体能力は、美波より上だ。何とか逃げるのに協力してくれる人間が必要だ

 

(くっ! 龍也が助けてくれれば!!)

 

 

明久が龍也に助けを求めた時。くしくも雄二とムッツリーニも龍也に助けを求めていた

 

ピキーンッ!!!

 

「はっ」

 

何かを感じ取った龍也は下を向く。そこでは両手を広げたリヒトが

 

「にーさま、抱っこ」

 

にぱっと笑うリヒトに龍也は微笑み返しながら

 

「はいはい。おいで」

 

リヒトを抱っこしていた。明久達の助けを求める叫びは龍也には届かなかった……

 

 

 

 

 

取りあえずと隠れこんだのは。何時もで開放されている公民館の中だった

 

「とりあえず。瑞希に連絡したから。瑞希の家に向かって走るわよ」

 

1度隠れて。水分補給と息を整えてからそう言うと。アキは

 

「駄目だ。姉さんを巻いてから8分たってる。もう近くまで来てると思う……瑞希の家までは到底辿り着けない」

 

「じゃあ。どうするのよ」

 

走って逃げるにはあの玲さんの足は速すぎる。それに頭の回転が速いから隠れると言うのも無理がある

 

「僕と美波で周囲を警戒しながら、移動するしかない。瑞希の家に逃げ込めるなら逃げ込む。無理なら別のルートを考える」

 

魔王からずっと逃げていたせいか。アキの逃走におけるスキルが異常なほど上達してる

 

「ふーん。じゃあアキの逃げ方を信じるとしましょうか」

 

ウチは追う側だ。逃げ方と言うのは知らない。ここはアキに任せるとしよう

 

「信じられても困るんだけどね、行こう」

 

そう言って立ち上がるアキは

 

「追う側とすれば、逃げ道の無い方に追い込みたいよね?」

 

「まぁ……そうね。逃げる道を断ったほうが掴まえやすいもの」

 

ウチがそう言うとアキは。鞄からマークをつけた地図を取り出して

 

「雄二とムッツリーニも逃げてるだろうから……多分。逃走ルートの何処かで霧島さん達に会っちゃうから」

 

何か凄いわ。凄いブツブツ呟きながら逃走経路を考えてる。

 

(そりゃ掴まえられないわね)

 

街の地図と学校の地図には。予測される追いかけられ方や罠が設置されるであろう。場所にマークがつけられているのが見える。

 

何時も追いかけるのに掴まえられないのはこの地図のせいかもしれない

 

「ねぇ美波。瑞希に外に出て来て貰うのって出来る?」

 

「出来ると思うけど何で?」

 

魔王化しないと運動音痴の瑞希に何の用が……

 

「瑞希にこっちの右半分の通路を見てもらいながら。秀吉には左半分の通路を見てもらいながら……こっちに来てもらって」

 

地図を指でなぞりながら。どうするか説明しているアキは

 

「ここの十字路で合流。多分こっちの通路から雄二とムッツリーニも逃げてくるだろうから。皆で合流できる」

 

アキは坂本と土屋が多用する逃走経路と。霧島達が使う追走ルートが重なる場所を大胆にも、秀吉と瑞希と合流する地点とした。その旨をメールで2人に送る準備をしながら

 

「そして、ここの十字路から龍也の家は近い。龍也の家に逃げ込めば、魔王化したとは言え姉さんも自由には動けない。そこであえて姉さんを待ち受ける」

 

「あのさ。それって龍也っていう武力を信じて。プレデターを受け入れるってこと?」

 

「まぁ……そうなるかな。 多分捕食はされないって信じたいです」

 

その程度で倫理観とかを捨てた玲さんが止まるとは思えないが……

 

「ふふふふ……みーつけたー♪」

 

ぞっと底冷えする。玲さんの声が遠くから聞こえる

 

「ね? もう来たでしょ?」

 

ガクガク震えているアキの顔は信じられないくらい青い

 

「そうね、もうアキの作戦しかないわね」

 

かつーん、かつーんと歩く音が近付いてくる。

 

「じゃあ、行こうか」

 

「足。震えてるわよ?」

 

無茶苦茶震えている足を指差すと

 

「うん。でも走れるから」

 

「じゃあ。行こう!」

 

開いている窓からウチとアキが飛び出すと同時に、通路から玲さんが姿を見せる。もうこうなれば逃げるしかない。ウチとアキは全力で合流地点を決めた、十字路にと走り出した……

 

 

 

明久と美波が逃亡を開始したころ。雄二は

 

「くそったれ!! ばれた!!!」

 

工藤と陽向に俺がムッツリーニじゃないという事がバレた

 

「ふふふ……よくここまで僕と陽向ちゃんを騙してくれたね」

 

「その罪死んで償ってください」

 

なんて殺意だ! マジで殺されかねんぞ!! 自分の生命の危機をリアルで感じた俺は

 

「ムッツリーニは俺と逆方向に逃げてる!! そこの交差点を曲がれば奴が隠れてる場所はすぐ近くだぞ!!!」

 

命の危機を前に仲間を捨てた……いざとなれば人間。自分の命のほうが大切だ、俺がそう叫んだ瞬間。2人は素早く反転し姿を消した

 

「ふーこれで何とか助かったか?」

 

魔王2名が離れた事で安心していると

 

「……見つけた。雄二……1度死んで?」

 

2人が消えた通路から。黒髪を翻し翔子が姿を見せる。それを見た俺は

 

「ぎゃああああああ!? 翔子ーッ!!!!」

 

さっきとは比べられない。生命の危機に俺は恥も外聞も捨てて悲鳴を上げた

 

「……ふふふふ。絞殺・刺殺・溺死・毒殺。どれが……良い?」

 

「どれもお断りだーッ!!!!」

 

奴は殺ると言ったら必ず獲りに来る。俺は即座に反転し全力で走り出した……

 

「「あっ……」」

 

走り出して数分後。俺と同じ様に必死な形相のムッツリーニと合流する

 

「てめえ! 俺を売りやがったな!!!」

 

「……そっちこそ!! 恥を知れ恥を!!!」

 

互いに全力疾走を維持したまま。罵り合っていると

 

「「「ふふふふ」」」

 

重なり合う3つの不気味な笑い声が聞こえてくる。俺とムッツリーニは

 

「「今は命が大事だ!!!」」

 

裏切られた事は別にして協力する事にし。更に力強く地面を蹴りながら

 

「「龍也!! 頼むから俺達を助けてくれー!!!」」

 

魔王の扱いに慣れている。龍也に届かないと知りつつも助けを求めた

 

 

 

 

ピキーンッ!!!

 

雄二とムッツリーニがそう叫んだころ。自宅の龍也は

 

「はっ!?」

 

敏感に何かを感じ取った龍也に

 

「どうぞ。龍也様」

 

少しだけ魔王の笑みを浮かべた。セッテは残念と言う顔で紅茶を差しだしていた。

 

「ああ、ありがとうセッテ。少しうたた寝していた様だ」

 

龍也は雄二とムッツリーニの生命の危機には気付かなかったが、自分に迫る危機には眠っていても気付いていた……

 

 

 

 

 

「こっちには玲さんは居ませんね」

 

明久君と美波ちゃんから。ロリ化した玲さんから逃げてるから、周囲を見張って欲しいとの連絡を受けたので。辺りを見張りながら指定された十字路で待っていると

 

「ん? 姫路……お前も連絡を受けたのか?」

 

「木下……さんもですか」

 

私だけと思ったのに……と若干気落ちした気持ちでいると

 

「ああ!? 居た! おーい! 秀吉! 瑞希!!」

 

「よ。良かった~何とか合流できた!!」

 

その声に振り返ると、明久君と美波ちゃんが走ってくるのが見える

 

「そ、そっちに姉さんいなかった?」

 

「はーはー。死ぬ……流石に長距離走り続けるのきつい」

 

大きく肩で息をしている。美波ちゃんと明久君を見ていると

 

「「来るなーッ!!!」」

 

必死な叫び声が聞こえてくる。振り返ると工藤さん達に追いかけられている坂本君と土屋君の姿が見える

 

「と、とりあえず龍也の……いえ、に逃げたいんだ……」

 

「も、もう限界……は、走って飛んで。隠れて……も、駄目……」

 

瀕死の明久君と美波ちゃんの手を引いて。私達は近くの龍也君の家にと走り出した……

 

龍也の家にと逃げ込む明久達を見た魔王達は

 

 

 

「ふーん。そこに逃げるんだ」

 

「まぁいいでしょう。もう逃げ道はないでしょうからね」

 

「ふふふ……今行きますからね。アキ君」

 

ふふふと笑いながら。龍也の家にと乗り込んでいった……

 

第74問に続く

 

 





次回はどうしましょうかね。暴走しかける魔王達を抑える龍也とかの話とかにしようかな

それとも魔王に襲われる被害者の面々にしようか……色々と考えたいと思います。
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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