バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はオリジナルの話で行きたいと思います、面白いかどうかは不安ですがどうか今回もどうか宜しくお願いします


第72問

 

 

 

第72問

 

海水浴から2日たったある日の昼下がり

 

「アキ君が居ないと暇ですね」

 

広い我が家に1人きりと言うのも暇な物です

 

「まぁ勉強を頑張るといっているのを止めるのも悪いですしね」

 

龍也君に家にお邪魔して勉強をする。と言って朝から出かけていった、自分から勉強する気になっているのは良いんですが……

 

「秀吉さんと美波さんと瑞希さんも一緒と言うのが、気に食いませんね」

 

私と同類である。3人と一緒と言うのがどうにも引っ掛かる

 

「……折角の長期休暇なのに」

 

仕事を急いで片付け。貰った長期休暇なのに。アキ君と一緒で無ければ意味が無いじゃないですか……

 

「? なんでしょうこれ?」

 

机の上に置かれたクッキーの箱が目に止まる。

 

「アキ君が食べてないなんて珍しい」

 

食いしん坊であるアキ君が食べてないとは……少し興味が沸いた

 

「食べてみましょうか……1つくらいなら」

 

私は少し悪い気もしたが。1つだけそのクッキーを取り口にし

 

「……少し胃がピリピリしますが。美味しいですね。あと1個……」

 

今まで食べた事無い味のクッキーは、とても美味しくて。結局5個食べてしまいました

 

「このクッキーどこで買ったのか……は。はれ?」

 

クッキーを食べ終え紅茶を飲んでいると。急に視界が揺らぎ……私は意識を失った……

 

 

 

 

龍也の家での勉強を終えて。家に帰ると底には信じられない光景が待っていた

 

「おかえりなさい。アキ君」

 

「どういうことなんですか? 姉さん」

 

家に帰ると、小学生くらいの身長の姉さんがソファーに腰掛け。ノートPCを叩いていた

 

「机の上のクッキーを食べて。意識を失いまして、目が覚めたらこんな姿になっていまして」

 

見た目こそ小学生だが、はっきりとした口調の姉さんの言葉に

 

「クッキー!? まさか!?」

 

思い当たったのはシャマルさんの作った。謎効果が多数起きるパルプンテクッキー。罰ゲームで無理やり持ち帰らせられた、クッキーが半分になっている

 

「食べたの? あれ?」

 

「ええ、少々刺激の強い味でしたが。実に美味しかったです」

 

信じられない。普通に食べたら即死しかねないクッキーを刺激が強いの一言で済ますなんて……

 

「アキ君。お腹がすきました」

 

「え? ああ……何か作るよ」

 

エプロンを身に付けようとすると姉さんがソファーから降りて

 

「いえいえ。作る必要はありませんよ」

 

「え?」

 

その言葉に驚きながら振り返ると姉さんは。その手にロープと手錠を持ち。魔王の笑みを浮かべていた

 

(ば、馬鹿な!? 子供化しても思考回路は魔王のままだと!?)

 

強烈な寒気を感じ。よろよろと後退すると姉さんはにこやかに笑ったまま。僕を見て

 

「アキ君を美味しく頂きますから♪」

 

その笑みは何時もより凶悪で恐ろしく見え。本能的に後退するがすぐに壁にぶつかってしまう

 

「ふふふふ……ふふふふふ」

 

目が妖しく光っているのが死ぬほど恐ろしい。逃げたくても背後は壁。右隣はTVと完全に詰んでいる

 

「ふふふふ……いただきまーす♪」

 

「い、イヤアアアアアアアアアッ!?!?」

 

今だかつて無い恐怖に僕は思いっきりそう叫んだ……

 

 

 

 

 

「ん? アキからメールだ」

 

アキからのメールを見ると

 

「な。何があったの?」

 

思わず動揺してしまうくらい。メールの中身は酷かった、タイトルは「奴が来る」

 

『あああ!? 来る! おいつかれるうう!? た、たすけ!! 助けてええええ!? 美波! お願いだから助けて!!! いやああああ!? 来たぁ!? もう追いついてきたああああああああ』

 

走りながらメールを打ったのか。凄まじく動揺しているのが判る

 

ドンドン!!!!

 

メールの着信から2分。玄関の扉が激しく叩かれる

 

「もしかしてアキ?」

 

葉月が居ないので。玄関の扉を開けると

 

「み。美波いいいッ!!!!」

 

「わわ!! ど、どうしたのアキ」

 

鍵を開けると同時に凄まじい勢いで突進してきたアキを、正面から抱きとめる

 

「やつが! 奴が来るんだ!? お願いだから匿って!!」

 

奴って誰とは思ったが。とりあえず頷き、玄関に鍵を掛けて。リビングにアキを迎え入れる

 

「で、誰に追われてるの? 秀吉? 瑞希? それとも久保?」

 

アキを追いかけそうな面子の名前を上げると。アキは怯えきった表情で首を振る。その様相は酷い有様だった、目の下には隈、髪には木の葉が大量についていて、素肌の見えている場所は細かい切り傷が大量にある。そしてその背中には小さなバッグを背負っている

 

「本当にどうしたの?」

 

タオルと絆創膏と消毒液を手渡しながら尋ねるとアキは、背負っていたバッグを降ろしながら

 

「シャマルさんのクッキー」

 

ぽつりとそう呟いた。シャマルさんのクッキー、数多の不可思議な現象を引き起こす謎のクッキーだ

 

「まさか……玲さんが食べたの?」

 

コクリと頷いたアキは怯えきった表情でガクガク震えながら

 

「小学生くらいの背丈になって。今まで以上に魔王になってて……て、手錠とロープがアアアア!?!?」

 

「大丈夫! 大丈夫だから!!!」

 

頭を抱えて絶叫するアキを軽く抱きしめる。その身体は異様なほど冷えていた

 

「アキもしかして、一晩中?」

 

夏場なのに異様に冷え切っていて、まさかと思いながら尋ねると

 

「う、うん。なんとかロープを引き千切って逃げてきたんだけど。信じられないくらい速くて、隠れてもすぐ見つかるし。雄二とムッツリーニには連絡つかないし、もう美波達しか頼れる人間が居なかったんだ。ごめんね」

 

「あーうん。良いの良いの。頼ってくれたのは凄く嬉しいから」

 

何時も困らせる側だが。こうやって頼ってくれるのは非常に嬉しい。そう思っているとぐーとお腹の鳴る音がする、思わずアキを見ると

 

「ほ、本当ごめんね! 昨日の夜から何も食べてなくて……」

 

恥かしいのか顔を赤くしながらそういうアキに

 

「もう、そうならそうと早く言いなさいよ。昨日の残りで良ければ暖めて上げるから、ちょっと待ってて」

 

「あ、ありがとう。美波……ちょっと休んでてもいい? 朝から走りっぱなしで疲れちゃって」

 

「良いわよ。ちょっと待っててね」

 

キッチンに向かい。昨日の残りシチューを温めながら。パンをトースターに入れてベーコンと卵を炒める。温めるだけとベーコンと卵を炒めるだけだからすぐに完成し。皿に盛り付けてアキの所に持っていく

 

「はい、どうぞ」

 

「あ、ありがとう!」

 

そう笑って食べ始めるアキは

 

「うん。美味しい!」

 

「そ、そう?」

 

美味しいと褒められるのは素直に嬉しい。 正直な所アキの方が料理が上手いのでそう言われるのは凄く嬉しい、暫くアキが無心で食べているのを見ていると

 

「ふー美味しかった。ありがとう美波」

 

そう笑うアキは本当に美味しかったと言う顔をしていて。温めただけと炒めただけでここまで喜ばれる、と今度は持って手のこんだのを作ってあげたいなと思ってしまう

 

「どうするのアキ。クッキーの効果が切れるまで……ってどうしたの?」

 

アキの顔が凍りついている。ガクガクと震えながら窓を指差す

 

「窓の外になにか……」

 

振り返り窓の方を見ると

 

「みーつーけーたー♪」

 

ロリと言うのは邪悪で邪な笑みを浮かべる。玲さんが窓の外にいた

 

「ああああッ!?!?」

 

尋常じゃなく震えるアキ。長い事刻まれていたトラウマのせいで完全に怯えきっている

 

「アキ! 逃げるわよ!!!」

 

怯えているアキの手を引き。アキが担いでいた鞄を拾い上げながら玄関に向かう

 

「もう回り込まれてるよ! 絶対!」

 

「なら全力で走ればいいでしょ!!」

 

靴を履いて。急いで鍵を閉めて走り出す。幾ら魔王とは言え小学生の足幅なんてたかが……

 

「逃がしませんよ。アキ君」

 

「って早ッ!? なにあのスピード!?」

 

ウチとアキの全力疾走にやすやすと追いついてくる。玲さんに驚く

 

「姉さんは常識は致命的に欠けてるけど。運動神経と勉強はい様なほど出来たんだよ!! あの時から!」

 

なにそれ!? 龍也並みにチートキャラじゃないの! 全力で走っているのに全然引き離せ無いどころか。ドンドン距離が詰められている

 

「こうなったらどこかに隠れるしかないわね! 坂本と土屋には連絡つかないの!?」

 

走りながら尋ねるとアキは

 

「メールで助けてってメールが来た。向こうも向こうで魔王に追われてるみたいなんだ!」

 

「役に立たないわね! 坂本も土屋も!!!」

 

普段アキに助けられてるくせに。アキが助けて欲しい時に助けないなんて役に立たないにも程がある

 

「もう瑞希とかに電話するしかないわね! とりあえず玲さんを引き離すわよ!!!」

 

「う、うんっ! って早ぃッ!? どうしてあんなに速いの!?」

 

ちらりと後ろを見ると凄まじく綺麗なフォームで地面を蹴る。玲さんはドンドンそのスピードを上げている

 

「もう仕方ないわね!!!」

 

「ってええ!?」

 

アキの足を払い横抱きに抱き上げて。全力で走り出す。さっきまでアキに合わせて走っていたが。もうそんな事をしてる場合ではない

 

「なんで!? 何で僕を抱き上げてるのにスピードが上がるの!?」

 

「ちょっと黙ってなさい! 舌噛むわよ!」

 

腕の中で訳が判らないと言う顔をしている。アキにそう怒鳴りつけウチは全力で地面を蹴って走り出した

 

 

 

 

 

 

「くそ……魔王どもめ。何て用心深いんだ」

 

俺は前に明久とムッツリーニと一緒に作った。学校の近くの林に作った。隠れ家の中で双眼鏡を使い翔子を監視していた。きょろきょろと辺りを見回しながら手にした地図に何か印をつけて。変な機械を電柱にセットしている姿が見える

 

「あれは一体何なんだよ」

 

思わずそう呟くと背後から

 

「……通ると持ってる携帯に連絡が来るセンサー」

 

「ムッツリーニ!? ど、どうしたんだ!? その有様は!」

 

ボロボロの服に明らかに噛まれたであろう噛み跡を首筋につけた。ムッツリーニが息も絶え絶えと言う感じでそこにはいた

 

「……陽向にな。朝から奇襲を受けてな」

 

「そうか、魔王な妹は恐ろしいな」

 

ただの魔王なら家に帰れば助かるが。魔王な妹となると話が変わる。家に帰ろうが魔王は家で待っている、逃げ道なんてどこにも無い

 

「……そういう雄二は?」

 

「朝から窓ガラスが粉砕されると同時に、翔子が部屋に突入してきてな。10分くらい白兵戦を続けて隙を突いて逃げてきた」

 

女子に力負けするとは思わなかった。容赦なく意識を刈り取ろうと連続で急所を狙ってくる。翔子の力は明らかに俺より上だった、魔王化により思考回路だけではなく身体能力も尋常じゃなく。強化されていた

 

「……よく逃げれたな?」

 

「服を投げつけたらそれを掴もうとした隙にな」

 

同年代の女子が、自分の服を抱きしめて。恍惚とした表情をしているのは正直引いたが、そのおかげで逃げ切れたのでなんとも言えない気分だ

 

「明久と連絡はついたか?」

 

「……ついてない。何があったといえば。間違いなく魔王関連の事だと思う」

 

4人の魔王だもんな、見てる分には面白いが自分も魔王に追われていると。とても可哀相に思えてくる

 

そんな事を考えながら双眼鏡を見ていると

 

「おいおい。何があったんだよ。明久の奴」

 

島田にお姫様抱っこされ。信じられないスピードで移動している。魔王化により身体強化は同年代の男子を抱えて走れるほどとは……

 

「……雄二。玲さんがロリ化して、嬉々とした表情で走ってる」

 

ムッツリーニが見ている方向を見ると。明久と島田を追いかけて嬉々とした、狩人の表情をしている小学生くらいの玲さんの姿があった

 

「何があったんだ? マジで」

 

どうしてあんな状況になっているのか判らない。だが俺達も魔王から逃げている以上、助けに行くことは出来ない。何とか逃げ切ってくれる事を祈るしかない

 

「……雄二魔王がこっちに向かってきてる」

 

「ちっもう来たか」

 

この隠れ家が見つかるわけには行かない。手荷物を入れた鞄を背負い。互いに着ていたTシャツを交換し

 

「じゃあな。ムッツリーニ、無事にまた会おう」

 

「……ああ」

 

俺はムッツリーニを追っているであろう。陽向と工藤のほうにと走り出し。ムッツリーニは翔子のほうに走り出した。

 

これは何回も魔王から逃げてるうちに編み出した戦術だ。奴らは匂いと服装で距離が離れていても発見し走り出してくる。Tシャツを変えるだけでも大分誤魔化せる

 

「「居た!?」」

 

ムッツリーニと分かれるとすぐ近くまで来ていた。陽向と工藤の視界にわざと入り自分のほうに注意を引き寄せてから。全力で走り出した

 

無事に魔王から逃げ切り平和な時を過ごす為に、そして自由の為に……絶望的なまでの戦力差を感じながらも戦いを挑んだ……

 

第73問に続く

 

 




今回は魔王に追われる明久達をメインにして見ましたが。どうでしたか? 面白かったでしょうか?

次回は瑞希や秀吉に加え。龍也さんを交えてドタバタ喜劇にして行こうと思います。

出来たら3話構成くらいにしたいなと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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