バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の更新は。「鳴神ソラ様」のリクエストで小さくなった魔王達のお話です。少々短いかもしれませんがどうか宜しくお願いします


正月記念番外編 ロリロリパニック?

 

 

正月記念番外編 ロリロリパニック?

 

「「「……助けてください。龍也」」」

 

涙目でガクガクしている明久達を見ながら私は

 

「無理だ、私には私でやる事がある」

 

「あーう、にーちゃ♪」

 

「あーに、あーに♪」

 

ちょこちょこと寄って来る小さい女の子を抱っこしながら。

 

「そう怯えるなよ。ちっちゃくて可愛いじゃないか」

 

私がそう言うと明久達は背中を見せて

 

「これは怖いよ~」

 

「お、俺もだ! こんな恐怖はいまだかつてない!!!」

 

「……や、やめて! 噛まないで!!!」

 

明久達の背中には美波達に良く似た。5歳前後の女の子達の姿がある。それは間違いなく明久達の同級生の美波達だ。

 

遡ること30分前。 そこから全てが始まった

 

 

 

僕達は何時もの様に龍也の家で勉強を教わり。休憩の時に、龍也の妹が用意してくれた。ケーキと紅茶を前にしていた

 

「へー美味しそうねー」

 

「そうですね」

 

「龍也の妹だけあって、芸達者だよね」

 

にこにこと笑う美波達の向かい側では

 

「ほ、ほら。翔子! 龍也の妹がお菓子を用意してくれたぞ、先にそれを食べようぜ」

 

「……私は雄二を食べても良い」

 

真顔で雄二の服を引き裂こうとする。霧島さんと

 

「かわいーそんなに怯えなくても良いでしょ?」

 

「そうそう、お兄ちゃん。 愛子さんも私も、お兄ちゃんを苛めたいわけじゃないんだよ?」

 

「……し、しししし……信用出来ない!!」

 

ムッツリー二を両脇から掴まえようとする。愛子さんと陽向ちゃんは意地悪な笑みを浮かべている。ムッツリーニも可哀相だなと思っていると

 

「おー今日はチーズケーキかー」

 

「いいね! 私も好きだぞ」

 

「私はチョコケーキとかの方が好きなんですけどね」

 

はやてさん達もそんな話をしながら美波達の近くに座り。紅茶のカップにミルクと砂糖を入れて食べる、準備をしながら

 

「はよ、座りよ。紅茶冷めてまうでー」

 

「あの。お茶が冷めてしまいますから、先にどうぞ」

 

シャマルさんとはやてさんにそう勧められて。魔王となっていた面子も机の前に移動して、置かれたケーキと紅茶を口にして

 

「「「「はうっ……」」」」

 

ごとんと美波達の頭が机の上に落ちる

 

「え? ええ!? なにどうしたの? 大丈夫!!」

 

慌てて駆け寄るが皆には何の反応も無い。雄二とムッツリーニも流石に心配になって近寄ると

 

ぽんッ!

 

漫画とかアニメで見るような擬音と共に煙が発生する

 

「な。なんだ? なにが起こってるんだ!」

 

「ちょっとー龍也ー! 龍也ー!!」

 

慌てて隣の部屋の龍也を呼んだ所で煙が晴れて、そこには

 

「あう?」

 

「あーきぃー」

 

「にぱっ♪」

 

5歳前後の幼女達がそこにいた。世界のロリに対する修正力か、服はちゃんと子供サイズになっている

 

「え? うそ? なにこれ?」

 

ととととっと歩いてくる美波達に驚きながら隣を見ると。

 

「ちびっこいなー、これなら危なくは……「……えい」ふぎゃあああああッ!!!!」

 

雄二は小さい霧島さんに手首を捻り上げられて絶叫していた。えっ? ちびっこでも攻撃力は魔王のままなの?

 

「……た、助けて」

 

ムッツリーニの泣きそうな声に気付き振り返ると

 

「うわ……」

 

そこには悲惨とも言える光景がまっていた

 

「くんか……くんかくんか♪」

 

「はぐはぐっ♪」

 

背中に愛子さんと陽向ちゃんがしがみ付き。愛子さんは噛み付き、陽向ちゃんはくんかくんかと匂いを嗅ぎ続けている。あれは怖い、姿が子供だから余計怖い

 

「やめろ! 離れろ! 翔子オオオオッ!!!」

 

「……ユージの匂い♪ 好き♪」

 

「ぎゃあああ! 子供でも魔王は魔王かー!!!」

 

振り解こうともがいている雄二をご愁傷様と思いながら見ていると。背中がずしっと重いことに気が付き、恐る恐る背中を見ると

 

「「「にぱっ♪」」」

 

「えええええ!?」

 

背中に美波達がひっつき、にこっと笑っている。だがその笑みが魔王の笑みで恐ろしい

 

 

 

そして冒頭に戻る……

 

 

 

「よし、よし。良い子、良い子」

 

私はひしっと抱きついてくる、小さいセッテやはやてを背負いながら

 

「恐れるなよ。小さいくて可愛いじゃないか」

 

ふにゃーと幸せそうに笑う。セッテやはやてを見ながら言うと

 

「いや、見た目は可愛いけど……あいたたたた!!! 髪があああああッ!!!」

 

「イダダダ!!! 噛むなあアアア!!!」

 

「……ひっ! 痛い痛い!!」

 

髪とか噛まれたりして絶叫する。雄二達を見ながら

 

「子供はなー怯えとかに敏感なんだよ。だから抱っことか頭を撫でて上げればいいんだよ」

 

「ぎゅー」

 

抱っこしてと手を広げる。ヴィータを抱っこして、背中にはやてとセッテを背負い

 

「大丈夫って話しかけて。抱っことか頭を撫でてあげれば、そういう事はしないさ」

 

よしよしと言いながら子供との接し方を説明すると、おっかなびっくりと言う感じで小さい美波達に手を伸ばした

 

 

 

 

 

明久と美波達

 

「「「?」」」

 

小首を傾げる美波達に

 

「えーと、僕判る?」

 

「あーきー」

 

「あにょひさ」

 

「あひさ」

 

舌足らずだけど何とか判る。えーと次どうしようかなと考え込んでいると

 

「だっこー」

 

「えっ。ああ、はい」

 

抱っこと手を広げる美波を言われたとおり抱っこする。ふわふわと柔らかくて暖かい。子供ってこんなに暖かいんだ……

 

「むーあにょひさ。わしもー、わしもー」

 

「みーちゃんだけずるいーわたしもー」

 

抱っこ、抱っこと甘えてくる秀吉達に

 

(ああ、可愛い……やっぱり美波達は可愛いよ)

 

雄二とムッツリーニは魔王なんてごめんだって言うけど。やっぱり僕は彼女達以外にこんなに可愛い子を知らない。

 

きっと龍也も同じなんだろう。困らせられたりもするけど……やっぱり美波達と居るのが1番楽しいと僕は思う

 

 

 

 

 

雄二と翔子

 

あの馬鹿……なんて優しい目をしてやがる。 絶対魔王が可愛いとか考えてやがるぞ

 

「……抱っこ」

 

「嫌だ」

 

抱っこと手を伸ばす翔子から目を逸らしながら、そう言う。魔王なんて抱っこして堪るか。どうせ力ずくで来るんだ、身構えておこう

 

「……ぐす」

 

え? すぐに攻撃してくると思っていたのに。ちび翔子はぐすぐすと泣き始めてしまった

 

「……えぐ……ゆーじはしょーこが嫌いなんだ」

 

ぐすぐすと泣きじゃくり始めた。翔子を慌てて抱っこする

 

「ったく。こんなくだらないことで泣くなよ」

 

「……くだらなくないもん」

 

弱々しい力で服を掴む翔子。さっきと比べるとその力は見かけ相当の本当に弱い力だ

 

(え? まさか……あれか? 精神は肉体に引っ張られるって奴か?)

 

もしそうなら、さっきまでは元の翔子であり。今の俺の腕の中の翔子は本当に見かけ相当の小さい女の子という事になる

 

「……ゆーじ、おんぶ」

 

「ったく。しゃあねえな」

 

抱っこしていた。翔子を背中に背負うと弱い力で服を掴まれる。何時もの俺の骨を砕かんとする力とは比べるまでもなく。弱い力だ

 

(たっく……何時もこれくらい。大人しくしてくれてたらな……って違う! 違う!! 俺は魔王なんてごめんなんだ。普通の……普通の子がいいんだ!)

 

「ゆーじ」

 

「あん? なんだ?」

 

背中の翔子を見ようとして振り返ると。頬に柔からい感触と

 

「ゆーじ、しゅき♪」

 

その屈託のない可愛らしい笑みの翔子に俺は思わず停止してしまった……

 

 

 

 

ムッツリーニと2人の魔王

 

明久はとんでもなく優しい目をしてるし、雄二は停止してる。何を考えているんだ? 俺はそんな事を考えながら背中をソファーに預け。愛子と陽向の行動制限していると

 

「ねー抱っこしてよ」

 

「おにーちゃん、抱っこ」

 

きゅるるんとつぶらな瞳から目をそらす

 

(騙されるな! あれは魔王なんだ。俺の自由を奪う魔王なんだ)

 

そう自分に言い聞かせ。決して2人の目を直視しないでいると

 

「おにーちゃん……だっこしてよ。ねぇねぇ」

 

俺の服を引く陽向を見て。思わず脳裏に小さい時の陽向の姿がだぶる。両親も兄も滅多に家におらず、2人だけで過ごしていた……その時の泣き虫で甘えん坊の陽向を思い出し

 

「……少しだけ」

 

「うん♪」

 

すすすっと近寄ってきた陽向を抱っこする。弱々しい力で俺の服を掴む陽向の背中を撫でていると

 

「おにーちゃん♪」

 

にこにこと笑う陽向と目が合う。子供特有の透き通るような目と……そのあまりに綺麗な目に目をそらすと

 

「ねー私も、抱っこー」

 

何時も僕呼びの愛子が私と言って。しかも何時もの悪戯を企む目では無く、純粋な子供の笑みで手を広げてくる

 

「……お前も少しだけ」

 

「うん♪」

 

ぎゅっと抱きついてくる。愛子と陽向を見ていると

 

(こうしてると可愛い……っじゃない! 何時もの仕打ちを思い出せ!)

 

噛まれ・縛られ・出血死に追い込まれ(自業自得)……そんな酷い目に会わされている。この2人に絆されるわけがない……

 

「「にぱっ♪♪」」

 

(か、可愛い……って違う、違うんだ)

 

魔王に絆される訳でも、ロリコンでもない……俺は自身のアイデンティティに少しばかりの皹が入るのを感じていた

 

 

 

 

 

「おや? 寝てしまっているな」

 

おんぶしていたら眠そうにしきりに目を擦る。はやて達を部屋に連れて行き。寝かしつけてから居間に戻ると、ソファーに座り明久達にもたれるように眠る。小さな美波達を見て

 

「普通の高校生と言うのはこう言うものなのかね」

 

ネクロとの戦いを続けてきた私には良く判らないが。きっとこういうのが普通の学生というものなのだろう

 

「夏とは言え風邪をひくか」

 

隣の部屋からタオルケットを持ってきて。それをかけてやり、皆を起こさないように居間を出ると

 

「「「「「ただいまー」」」」」

 

遊びに行っていたヴィヴィオ達が帰ってくる

 

「おかえり。手を洗ってうがいをしておいで、おやつにホットケーキを焼いてあげよう」

 

はーいと返事を返し洗面台に向かっていくヴィヴィオ達を見て

 

「日々の小さな積み重ねが……幸福にと繋がっていくのかね」

 

私はそんな事を考えながら、コートからエプロンに着替えホットケーキを焼く準備を始めた……

 

 

 

正月記念番外編 ロリロリパニック 終り

 

 




魔王・魔王の話ではなく。ちいさな魔王達にドキドキする、明久達という話にしてみましたが……どうでしたか?
面白かったですか? もしそうなら良いのですが……それでは次回からは通常の投稿に戻しますので。これからもどうか宜しくお願いします

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