バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は海でのイベントですね。ナンパに困る龍也(?)と美波達・スイカ割り・昼食・そしてナンパに挑戦(自ら三途の川へと歩みを進める雄二達)と何時も以上にハイテンションでお送りします
それでは今回もどうか宜しくお願いします



第70問

 

第70問

 

「スイカとバットを用意してるなんて明久にしては気が利くな」

 

スイカを抱えながら言う雄二に

 

「当たり前だろ? 海と言えばスイカ割りをやらないのでどうするのさ?」

 

そんな話をしながら海に向かって歩いているとムッツリー二が

 

「……そろそろ、お昼……何か用意しないと、リヒトが居るからたくさん買わないといけない」

 

あー食欲魔神リヒトちゃん、更には女子とは思えない勢いで食べるスバルさんとかなりの量を買い込まないといけないだろう

 

「龍也がおにぎりとか持ってきてるって言ってたが……」

 

「多分全部ちびっ子軍団が食べるよね」

 

ちびっ子が6名、どう考えても僕達の分は無いだろう

 

「後は焼きそばとかカレーでも買う……ん? ムッツリー二? どうした?」

 

ムッツリー二が指差したほうを見る、遠くの方に姉さん達と海の家の方向に龍也とあれは……フードを外してるからアリウムちゃんだ。遠くの方から龍也と姉さん達の声が聞こえてくる

 

「カワイイ子ばっか……ちょっ無視しないでよ」

 

「友達が待っているので」

 

凛とした声できっぱりと断る瑞希。なんか最近たくましくなってない?

 

「あの……良かったら写真とってくれませんか?」

 

「すいません。妹が待っているもので」

 

「1枚だけ! 1枚だけで良いんです!」

 

逆ナンされてる龍也。というか何時の間にか黒コートを脱いでジャケット姿になっている。流石にコートは暑かったのだろうか?

 

「龍也は見た目良し。性格良しだからな、これで逆ナンされないと言うのは無いよな」

 

うんうんと雄二と頷いていると

 

「少しだけ! ねっ少しだけ!」

 

ナンパ男はしつこく付き纏っている。あ、美波が拳を握り締めた……アッパーでもする気かな?

 

「申し訳ありませんがお断りします」

 

姉さんの声が聞こえる。うんこれなら大丈夫そうだ

 

「兄上様、早く行こう、皆待っている」

 

「ああ、そうだな、失礼する」

 

「ああ……」

 

女の人の横を通り皆が待っている場所に向かって歩く龍也。僕達も行こうと思い歩き出した瞬間、現実として認めたくない声が聞こえた

 

「ウホッ 良い男!!」

 

背筋が凍った……えっ今の声なに?

 

「雄二、い……今の声……」

 

「思い出すな! 幻聴だ! この海辺にそんな変態は居ない!!」

 

「……暑いから聞こえた幻聴。そうに決まっている」

 

だよね! ここにホから始まってモで終わる性癖の持ち主なんていないよね!? さっきの声は幻聴に決まっていると僕達が互いに確認していると遠くから

 

「あまり大きな声で言えませんが実は……」

 

「へ……変態だ!?」

 

ちょっと待て! 一体姉さんは何を言っているんだ!?

 

「それだけではありません。他にも毎日……」

 

「そ、それは日本の法律で許されるのか!?」

 

ナンパ男が物凄く動揺してる、本当に姉さんは何を言っているんだ!?

 

「ごめん! ちょっと馬鹿姉を止めてくる!!」

 

「急げよ、変態のレッテルを貼られるぞ」

 

「……もう手遅れ」

 

そう笑いながら言うムッツリー二に

 

「今度は絶対匿わない! 魔王に食われてしまえ!!」

 

もう今度はムッツリー二は助けない、魔王にでも喰われるがが良いさ!! 僕はそういってから姉さんとナンパ男の元へ向かったのだが

 

「出たーッ!! 鬼畜変態の弟だ! 身内も性別も気にしないケダモノの王だーッ!!!」

 

もう全てが手遅れでした……もう来年からこの海に来れないよ僕

 

 

 

 

 

目の幅の涙を流す明久達が持ってきたスイカでスイカ割をすることになったのだが……

 

 

「ていっ!!」

 

「ふぎゃあああああッ!?」

 

「間違えた」

 

リヒトがバットでジェイルを強打。わざとかそれとも事故か? それが問題だ

 

「大丈夫ですか? お父さん」

 

「ああ、大丈夫だともセッテ、バットくらいなら……「あっ、滑った……」ふごおっ!?」

 

リヒトの手からすっぽ抜けたバットがジェイルの顔にめり込む。やっぱわざとの様な気がする

 

「あちゃーリヒトも駄目かーじゃあ次明久」

 

「うん、判った」

 

ヴィータからバットを受け取る明久、人数が人数なので1人位成功していてもおかしくないが

 

「明久君! もっと右ですよー!!」

 

「違うわアキ! 実は左!」

 

「そうと見せかけて反対側だよ!!」

 

皆が適当な事を言うので中々成功しない

 

「そこから反転し左の七歩。前進してバットを振り下ろせ」

 

「その場から二歩後退、斜め右に6歩歩きバットを振り下ろしなさい、馬鹿」

 

はやてとセッテが互い互いの場所を言っている。相変わらず仲が悪いにも程がある

 

「……雄二、この水着どう?」

 

「前と一緒だ」

 

「……絞殺死・窒息死どれがいい?」

 

「それは2つとも一緒だ!!!」

 

雄二は翔子と生死をかけた勝負をしている、手を掴まれたらそのまま首を絞められるだろう

 

「ムッツリー二君♪」

 

「……手をワキワキト動かすな。そして俺によるな」

 

「その反応かわいーッ! もっと苛めたくなる♪」

 

「誰か助けて……」

 

康太と愛子のやり取りはリヒト達には悪影響だな。目を塞いでおこう、悪影響だ

 

「そこか!」

 

ボス……明久のバットは砂浜にめり込んだ。

 

「どうやら失敗のようだな。では私だ」

 

目隠しを受け取りバットを構える

 

「あれ? 龍也居合い斬りでもする気?」

 

「だよな? バット脇に構えてるし」

 

ぼそぼそと話す明久と雄二の声を聞きながら気配を探り……

 

「そこだっ!!」

 

ダンッ!!!

 

「バットでスイカが真っ二つに!?」

 

「おかしいって! バットだよ!? なんで断面がそんなに綺麗なの!?」

 

「居合いの応用だよ。私とお父さんとお兄ちゃんも出来るよ」

 

「龍也の周りに普通の人間はいないのか!?」

 

「類は友を呼ぶって奴だね!」

 

「リヒト、それ少し違う気が……」

 

吐息を吐きながら目隠しを外し

 

「じゃあ分けるか。ジェイル。ナイフ」

 

「ほい」

 

ジェイルからナイフを受け取りスイカを切り分けた、皆で分けて食べていると

 

「むーこんなのじゃ足りない」

 

「ですねー。お腹空きました」

 

「ヴィヴィオもー!」

 

ちびっ子×2スバルがお腹が空いたといい始める

 

「あー確かにそろそろ良い時間だよね」

 

「何か買いに行かんといかんな」

 

うんうんと頷くなのはとフェイト、さっき買ってきたたこ焼きとかは全てリヒトの胃袋に消えた。相変わらず凄い食欲だ

 

「そうだな、買いに行こう。皆、おいで」

 

「「はーい」」

 

返事をして近寄ってくるヴィヴィオ達を見ていると

 

「別に龍也は待っててくれても良いのよ?」

 

美波のその言葉に私は

 

「リヒトの食べる分を女子だけで運べると思うか? しかも今回はスバルも居るんだぞ?」

 

それにリィンたちも結構食べるし、私達に居たっては人数も多い。女子だけで運べる量では無い事は一目瞭然だ。あっと言う美波達に

 

「まぁそう言う訳だ、私も行く。はやて達はどうする?」

 

聞かなくても判るが一応聞く、いくに決まっていると返事を返すはやて達にはぁと溜息を吐き

 

「じゃあ、明久と雄二、留守番宜しく」

 

2人に留守番を頼み私達はまた海の家に向かったそこで

 

「イカ焼き7個、やきそば10パック。お好み焼きはどうする?」

 

「「食べるー♪」」

 

「じゃあ。お好み焼きも10パック、カレーも8人前お願いします

 

「は、はひっ!」

 

海の家の厨房がパンク寸前になるのだが、まぁその分儲かるのでとんとんと思っていただこう

 

 

 

 

 

 

 

 

「急に肩が軽くなったね。何でだろう?」

 

「奇遇だな、俺もだ」

 

明久も同じ事を考えていたか、その理由はすぐに判るが……

 

「女性陣と龍也がいないからだよね?」

 

「それしかないだろう?」

 

病んでいるが美少女揃い、龍也に至っては銀髪蒼眼と目立つ容姿だし、それこそ目立つなと言うのが不可能なレベルだ

 

「所でムッツリー二は?」

 

「カメラのレンズを洗浄するって言ってたぞ?」

 

またどうせ鼻血で駄目にするのになと思いながら辺りを見る

 

「意外と女の人だけのグループっているんだね」

 

「ん?そりゃそうだろ? ナンパする男も居ればナンパされる女が居て当然だろ?」

 

そんな話をしている遠くからまた

 

「ウホッ!! 良い男ッ!!!」

 

「ひいいーッ!! 来るなーッ!!!」

 

走る音と悲鳴が聞こえてくる

 

「ここってまともな人間いないのかな?」

 

「言うな、明久。時に現実を見るな……それが長生きの秘訣だ」

 

どうにも最近まともな人間にあっていないと内心思いながら、皆が来るのを待っている問い

 

「お待たせしました。2人とも」

 

「少々手間取った」

 

皆が手に袋を持って戻ってくる

 

「お帰り、結構時間が掛かってたけどどうしたの?」

 

「うむ、リヒトの分を頼んだら……」

 

「頼んだら?」

 

「店員が半泣きになった」

 

そりゃそうだ、あの食欲魔神の食べる量は並じゃないからな

 

「そりゃそうやろ? リヒトだけで5000円は飛んだで」

 

5000!? 一体どれだけ買ったというんだ

 

「それにそれを除いても面倒ごとがあったし」

 

苦々しく呟く秀吉の隣で工藤が

 

「僕達、またナンパされちゃったんだよね? まぁはやてさんとセッテさんは問答無用でビンタしてたけどね」

 

当然だな、はやて達は龍也にしか興味がない、寧ろビンタで済んだ程度で良しとすべきだ

 

「やれやれ、私が止めなければナチュラルに骨を踏み砕かない勢いだった」

 

訂正。魔王相手にビンタだけですんで本当に良かったなナンパ男。俺がそんな事を考えていると島田が

 

「ホント、撃ちああいうのって苦手なのに……」

 

「……私も苦手」

 

そう呟いた翔子に

 

「いつもの様に腕力……「……そんな事を言う口はこれ?」ぐあああああッ!! 頭蓋骨がーッ!!!」

 

俺が翔子に吊上げられてる中、明久は

 

「大丈夫だった? 僕も着いていったほうが良かったかな? ごめんね気が利かなくて」

 

魔王に順応しこれが普通と言うか魔王娘に惚れ始めている明久は俺を無視し美波達を気遣っている。ある意味洗脳されたと思って良いだろう

 

「うむうむ、明久の態度は良いと思うぞ、女性に優しくは当然のことだ」

 

その優しさのせいで魔王を量産してる龍也は少し考えるべきだと思う

 

「しかし、あれやな? 雄二の耐久力も上がってきてるな?」

 

「だな、アイアンクローを平然と耐えてるあたりそう思う」

 

俺もそう思うがそれは認めたくない事実だ。

 

「大体、坂本は龍也様と違って女心を理解していないのでナンパなど出来るとは思いませんがね」

 

「龍也は女心を理解してるといって良いの?」

 

「優しいと思いやりがあるという点で評価します」

 

龍也が女心を理解する? ありえないな! 大体龍也が女心を理解してたらこんなに魔王は量産されないはずだ!!

 

「……雄二はモテない。だから私が貰ってあげる」

 

「余計なお世話だアアアアッ!? グア!? 首!? 首まで絞めるなあアアアア!?」

 

目に光を宿していない翔子は俺をアイアンクローで吊るし首を絞めるという凶悪なコンボを披露してくれた。不味い!? このままでは死ぬ!? 誰か助けてくれ。

 

「翔子それくらいにしよう。折角買ってきた昼食が冷める」

 

俺の願いが通じたのか助け舟を出してくれた龍也。その言葉を翔子は

 

「……うん」

 

ぱっと手を離され地面に落ちる、その際打った腰を擦りながら座る、龍也の周りは案の定というかちびっ子軍団が集結し、ちびっこの間にはやてやヴィータが座っている。

 

「はい、雄二。手貸すよ」

 

「サンキュー」

 

明久に手を引かれ立ち上がり。皆揃って昼食タイムとなったのだが

 

「ウマウマ♪」

 

「うーん、微妙です」

 

もぐもぐがつがつと消えていく多数のお好み焼きはたこ焼き、その大半はちびっ子軍団が食べている。そのあまりの勢いにただただ唖然となる

 

「ほい、スバル。ティアナ、おにぎりとジュース」

 

投げ渡されるおにぎりとジュースを受けとるティアナとスバルは

 

「龍也さん暑くないんですか?」

 

「何が?」

 

ここで何が? と返せる龍也は本当に人間かと思う長袖長ズボン、どう見ても夏場の格好ではない

 

「……はい、雄二♪ 雄二の分のおにぎりとお好み焼き」

 

「え。ああ。サンキュー」

 

普段からずっとこうやってお淑やかならば……

 

(って違う違う、俺は魔王に惹かれるなんて酔狂な人間じゃない)

 

俺は差し出されたおにぎりとお好み焼きを受け取った……

 

 

 

 

 

 

昼食後、龍也は釣竿を持って岩場に向かい。ちびっ子はペンションに戻り昼寝タイム。はやてさん達は1回泳ぐと言って今泳いでいるのが見える僕と雄二はのんびりと海を眺めながら

 

「また鼻血吹いてたね」

 

「あ。ああそうだな」

 

昼食中工藤さんがムッツリーの前にしゃがみこんだ、別に色仕掛けしようとかの意はなかったはずだが。胸元が目の前に見えムッツリー二は血の海に沈んだ。そして復活したムッツリー二はカメラの戦場の為にまた別行動をしている

 

「ぐぼああッ!?」

 

「えっ!? 何で急に血を吐いてるのさ雄二!!」

 

突然血を吐いた雄二に驚き尋ねると。雄二が指差すのが見えその先を見ると

 

「きゃーきみ! 写真撮るの天才じゃない!」

 

「またまた照れちゃって可愛い♪」

 

「え? 嘘!? ムッツリー二がナンパされてる!?」

 

龍也ならまだしもムッツリー二が!? それを見た雄二は

 

「明久」

 

「何?」

 

何か覚悟を決めた表情で雄二は僕の手を取り

 

「ナンパするぞ」

 

「ええ!? やだよ! 死にたくない!!!」

 

姉さんに瑞希達見つかる=死だ、そんなのはごめんだ

 

「手伝わなければ、お前が島田とキスしたバラす」

 

「外道!! 散々助けってやってそれか!?」

 

振りほどこうにも奴の手は万力の様に僕の手を締め上げている。振りほどけそうには無い

 

「いくぞ! 明久ッ!!!」

 

「いやだーッ!!!!!」

 

僕は全力で抵抗したが雄二に無理矢理引きずられ、いやいや三途の川直行切符を手にした……

 

~20分後~

 

「駄目じゃないか! 雄二!!」

 

「くっ何が駄目だと言うんだ!!」

 

雄二のナンパはほぼ全滅。終いには警察を呼ばれかけていた

 

「大体1人で居るのを見つけたからって全力疾走ではぁはぁしながら話しかければ誰だって通報するよ!!!」

 

「そうだな……ふー見返してやるという気持ちでナンパしたから駄目だったんだな、良く判った、じゃあ最後に好みの相手を探そう」

 

「まだやる気なの!? 僕もうやだよ!!!」

 

無理矢理連れて来られ、その挙句ナンパの片棒を担がされ、何時姉さん達に見つかり三途の川送りになるかもしれないのに、どうしてまだ付き合わなければならないのだ

 

「良いのか? お前だってそれなりに声を掛けていただろう?」

 

「うっそりゃ、雄二と一緒なんだし僕だけ無言って言うのもおかしいと思ってさ」

 

軽く相槌を打った程度だ。ナンパにはならないと思う

 

「まぁ良い、後一組だけだ。それで最後にしよう」

 

もう1時間は経ってるだろうし、そろそろ戻らないと不味い

 

「じゃあ、戻りながら見繕うか」

 

「はいはい……はぁー姉さんたちに見つからないと良いけど」

 

僕は肩を落とし雄二と共に皆のいるところに向かって歩き出した

 

「あの2人で最後にしようぜ」

 

「もう好きにしてくれたら良いよ」

 

雄二の指差したのは、栗色の髪の切れ長の目をした美少女と前髪で目を隠してパーカーを着込んだ少女の2人組みだ

 

「おーい! そこの2人!」

 

言うが早いが雄二はその2人に駆け寄って行った。僕は溜息を吐いて後を追った。雄二は何度か会話をしているのが見える。どうせまた駄目だろうと思いながら近付くと

 

「仕方ないなぁ、じゃあ私が浜辺まで連れてってあげるよ!」

 

「へ? べつにそこまでしてくれなくても……」

 

雄二は栗色の髪の少女に手を引かれ海に入っていくのが見える。なんだ成功したのか良かったね。じゃあ僕は帰ろうくるりと踵を返したところで

 

「一緒に遊ぼうよ。1人って言うのもつまらないし」

 

「へっ!? 良いよ!! 僕は友達も待ってるし!」

 

そう言うがパーカーの子は僕の手を引いて海に入っていった。どうしよう……早く皆の所に帰りたいのに。そして海に腰まで入ったところで

 

「お? なんだ髪の色が脱色されて……黒?」

 

「……私の髪は元々黒だから」

 

この声って霧島さん? え? もしかして全部バレてる? 

 

「……明久なんて馬鹿なことを」

 

そして僕の腕を掴んでいた少女の声が知人の声に変わる

 

「……ムッツリー二?」

 

「……そう。お前達のせいで女装させれた挙句がこれだ」

 

恨み100%の目のムッツリー二に

 

「さっきの声は?」

 

「……スピーカーで秀吉」

 

襟元にマイクがある、なるほど……そう来たわけか。もう逃れる事は出来そうに無い

 

「明久、私たちが居るのにナンパとか死にたいんだよね? いいよ、1回殺してあげる」

 

ああ……目が笑ってない秀吉の笑顔が脳裏に浮かぶ

 

「話だけでも聞いてくれないかな?」

 

「……判決は決まってる。死刑だそうだ」

 

「そんな!? 顔を見て話せば判って……ムッツリー二? それどうしたのさ?」

 

カツラヲ取ったムッツリー二の首筋には噛み跡の様なものが……まさか

 

「……俺でさえ逆ナンされてたことを追求され、最終的には工藤に噛まれた」

 

ああ逆ナンで噛み付きなら僕と雄二の命は無いだろう

 

「ならせめて逃げ……」

 

「……逃がすと思っているのか? 俺がお前を逃がせば俺は島田達に殺される。そして戻っても殺される。貴様もみちずれだ。明久」

 

その目は既に己が死を受け入れた目だった。雄二は雄二で

 

「……ナンパスルナンテ……ユルセナイ」

 

「がっ!? 首!? マジで首……絞まってる……」

 

両手で首を絞められ吊上げられている

 

「……イッカイシンデ。ユウジ」

 

「ごっ!? げほっ!? し、死ぬ!? マジで……はぷっ!?」

 

海に沈められる、持ち上げられ首を絞められるの繰り返し、本気で殺すきだ!? そしてムッツリー二の襟元のスピーカーから

 

「明久君。いっぺん死んでください」

 

「アキ……やっぱり死ぬしか、アキの馬鹿は治せないのね?」

 

「アキ君。姉さんは哀しいです……弟を失うということが」

 

「明久はナンパなんてしないで私たちを見ててくれると思ってたのに……哀しいよ」

 

「ムッツリー二君も一緒に殺って上げるから寂しくないよ♪」

 

もう僕達の死は確定事項のようだ。ムッツリーにも目の幅の涙を流し

 

「……今まで楽しかったよ。明久」

 

「うん僕もそう思うよ、凄く楽しかった、一応提案するけどさ」

 

「……なに?」

 

「一緒に逃げない?」

 

「……無理。だって」

 

ムッツリー二の指差す先には猛烈な勢いで泳いでくる何者かが見える

 

「ムッツリー二、もし生きてたらまた会おう。そしてまた3人で馬鹿をやろう」

 

「……うん」

 

 

 

そして僕の意識は闇に飲まれて消えた……海の底は暗くて静かで寒かった……僕は雄二の手を強引にでも振り払えば良かったと思いながら沈んで行った……

 

 

第71問に続く

 

 




結構ハチャメチャだったと思いますが。どうでしたか? 面白かったのなら良いのですが。次回は夏祭りになります、これはちびっ子と達也のほのぼのをメインにするつもりです。

それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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