バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回からは海水浴編になります、当然龍也達も参加となるので混沌な展開になるのは必須ですよね?
それでは今回もどうか宜しくお願いします



第69問

 

第69問

 

「ああ、そうか。判った私達も一緒に行こう」

 

【そうしてくれる……その……方が楽しいから……】

 

ぜえぜえと肩で息をしながら電話をしている明久に

 

「なにかあったのか?」

 

【ちょっと姉さんと……お話をしててね】

 

「そっか、まぁ今日は早めに寝ると良い。じゃあ明日な」

 

【うん】

 

電話を切り、そのまま皆が集まっている居間に向かうと既にはやて達は荷造りをしてる

 

「連絡があったのか?」

 

「うん、翔子がなメールくれた」

 

「私達は愛子がね」

 

どうもそれぞれに連絡があったようだ。

 

「そっか、じゃあ私はユナ達に準備をさせてくる」

 

部屋で遊んでいるだろうとユナ達の部屋に行くと

 

「む? 兄上様か?」

 

「アリウム。珍しいな。皆は?」

 

アリウムの姿しか無いのでそう尋ねると

 

「うむ。かくれんぼなのだが……皆魔法を使っているので索敵が得意な私が出てきたんだ」

 

遊ぶのは良いが魔法まで使うなよ……呆れながら

 

「かくれんぼは終わりだ!」

 

手を打ち鳴らしステルスを強制解除させる

 

「あれ?」

 

「兄だ。どうしたんだ?」

 

「わーい。パパだー」

 

「あいた!?」

 

「重いですー」

 

ごろごろと出てくるヴィヴィオ達に

 

「明日泊まりで海水浴に行く事になった。準備するぞ」

 

はーいと元気よく返事をするヴィヴィオ達の着替えや水着の準備をしながら

 

(とりあえず私は釣竿の準備でもするか)

 

プライベートビーチで無ければ私は泳げないし、釣竿の準備でもするかと考えていた……

 

 

 

 

翌朝集合場所で車が来るのを待っていると

 

「今日は海に行くには最高の天気だな」

 

Tシャツにハーフパンツといかにも夏といいう感じの格好をした雄二が言うと

 

「全くだね。 今から楽しみだよ」

 

「風邪って聞いてたけど大丈夫?」

 

風邪と聞いてた秀吉がいたのでそう尋ねると

 

「うん、もう大丈夫だよ」

 

薄手の白いパーカーと七分丈のパンツを可愛らしい格好をしてる秀吉の隣で

 

「……血液パックが痛まないか心配」

 

ロールアップジーンズで抱えたクーラーボックスを心配そうに見るムッツリーニ

 

「所で明久君。今更なんですけど、この人数が車に乗りきるんですか?」

 

僕達で9人、龍也達で16人かなりの人数だが

 

「大丈夫だってさ、龍也はバイクで、博士が中型免許を持ってるからはやてさん達はそれで来るってさ」

 

へーと頷く霧島さんと工藤さんを見ていると、かなり大型のキャンピングカーとマイクロバスのような車がやってきた。いうまでも無く博士と姉さんだ。

 

その影から派手なエンジン音と共に現れる漆黒のバイク。こっちは龍也だ、サイドカーに荷物を乗せて居るのが見える

 

姉さんが運転する車に乗り込み、僕達は海にと向かった……

 

その道中で窓の外を見ながら

 

「やっぱ様になってるなあ」

 

「お前もそう思うか?」

 

僕達の車の横を走る大型のバイク。べヒーモスと言って博士が作ったやつらしいが、それに跨る龍也は異様なほど様になっている

 

「僕もバイクの免許欲しいなー」

 

「ん? どうしてよ?」

 

前の席の美波がそう尋ねて来るので

 

「いやーなんか格好良くない? バイクって」

 

「ウチには良く判んないわ」

 

んーやっぱ男にしか判んないかなー、僕はそんな事を考えながらバイクをぼんやりと見ていた

 

~3時間後~

 

僕達は今日泊まる予定のペンションに到着していた。緑に囲まれつつも潮の香りがする絶好の場所だ

 

「わぁ……眺めが良いですねー」

 

「凄いわねー。風も気持ち良いし」

 

「……絶好のロケーション」

 

「晴れて良かったねー」

 

僕達の車の女子組みが感嘆の声を上げる隣では

 

「海ー!」

 

「私は初めて、ちゃんと泳げるかな?」

 

「……だいじょうぶ……だと思う」

 

「わーい! ヴィヴィオ海すきー!」

 

きゃいきゃいとはしゃぐちびっ子軍団が居る。見ているだけで和む気がする

 

「んじゃまー荷物置いたら早速海に行くか~」

 

「はーい」

 

はやてさんがちびっ子を先導し自分達が泊まるペンションに向かうのを見ながら

 

「僕達も早く行こうか?」

 

「そうだな。海が見えたら泳ぎたくなったもんな」

 

「……コクコク」

 

こうして僕らも着替える為にペンションにと向かった

 

「こんなものだろう」

 

「そうだな」

 

浜辺では龍也と博士がパラソルにブルーシートそれに飲み物が入ったであろうクーラーボックスと準備万端で僕達を出迎えてくれた

 

「あれ? 龍也は泳がないの? というかそれ以前に暑くないの?」

 

長袖に黒のロングコートと何時も同じ格好の龍也にそう尋ねると。龍也は珍しく服の袖を捲って僕達の前に出した

 

「そ、それは?」

 

「何があったんだよ。お前」

 

傷・傷・傷。傷だらけの腕を見て驚きながら尋ねると

 

「昔事故でな。目の傷だけじゃなくて背中とかも傷だらけでね。まぁそんな訳で泳げないのでここで荷物番をしながらヴィヴィオ達の面倒でも見てるよ」

 

「私はあれだ、ここのところ研究室に篭りきりだったんで、のんびりと休むとするよ」

 

海に来たのに泳げないなんて……ただ博士は目の下の隈がはんぱないので眠いだけだろうが……海に誘ったのは不味かったかもしれないと僕が考えていると

 

「気にするな。それに私は泳ぐより釣りが好きだ」

 

そう言って釣竿の準備をしている龍也、余計な気遣いをするのも良くないか……

 

「それにしても今回は玲さん様久だな」

 

「ん? 車の事?」

 

そう尋ねると雄二は

 

「それもあるが「不純異性交遊禁止」ってやつだ、あれのおかげで翔子が暴走しなくて……」

 

そこで黙り込んだ雄二に博士が

 

「その程度で彼女が止まるかな? 既にはやて君の並み暴走機関車だと思うがね」

 

その言葉に青褪める雄二の肩を叩いて

 

「いざとなれば博士が助けてくれるさ」

 

ちょっとおかしいけどあの人も教師だし。きっと大丈夫

 

「いやー多分あれだと思うよ? 私はすぐ回復するからボコボコにされると思うよ?」

 

博士の耐久力と回復力は凄まじく高い、きっと魔王は何の躊躇いもなく狩に来る。博士自身それが判っているのか苦笑しているのを見た。雄二はダラダラと冷や汗を流す雄二は僕の肩を握り締め

 

「いざとなった場合助けてくれたら、1週間昼食を奢ろう」

 

「OK、任せて。出来る限り努力するよ」

 

どこまで出来るか判らないが、努力しよう。友人を見捨てるなんて真似は出来ないから

 

「なにやっとるんや? あんたら」

 

「あれ? はやてさんは泳がないの?」

 

はやてさん達が来るがはやてさんとシャマルさん、それにリインさんは服のままだった

 

「私達はヴィヴィオ達の面倒を順番に見ることにしたので、最初は服のままです」

 

ちっちゃい妹が沢山だからか……やっぱ普通のお姉さんは違うなあと思っていると。工藤さんを先頭にスバルさん達が歩いてくるのが見える。

 

「お待たせ。準備に手間取っちゃって」

 

「あー海久しぶりだねー」

 

「そうだね」

 

元気な声でそう話しかけてきたのは工藤さん、海を見ているのはなのはさんとフェイトさん。工藤さんはジーンズを短くしたようなパンツと上は普通の水着、なのはさん達はあまり露出や胸元を強調しないデザインの水着を着ている。それでも元がめちゃくちゃ可愛いので際立って見える

 

「さすが水泳部だな。水着も麦わら帽子も似合ってるもんだ」

 

「ありがと……でも僕は」

 

そう言うと魔王の笑みでムッツリーニを見る工藤さんは

 

「どうかな? 可愛い?」

 

「……ふっ自惚れるなよ。工藤愛子」

 

ムッツリーニがそう言って目をそらす。明らかに意識してるのが判る。僕でも判るんだ工藤さんが判らないわけは無い

 

「ふーん、じゃあこんなのはどう?」

 

姿勢を低くしてウィンクしながらムッツリーニを見る。工藤さんそして次の瞬間

 

「ダバダバダバ」

 

蛇口を捻ったように鼻血を出すムッツリーニ。そして反対側では

 

「じゃあ泳いできますね。龍也様」

 

「おう、気をつけてな、あとナンパがムカついたからって暴力沙汰を起こさないでくれよ」

 

「善処します」

 

「そこではいって言ってくれないから不安になるんだよ。セッテ」

 

深い溜め息を吐く龍也、セッテさんは基本龍也以外の男なんてゴミ同然という扱いをするので、この注意は当然といえる

 

「まぁ私も注意しますよ。龍也さん」

 

「ああ、今私は心底スバルが来てて良かったと思うよ。セッテとティアナが喧嘩しないようにとナンパしてきた奴を半殺しにしないように気をつけてくれ。昼食はここの海の家の物だが。夕食はしっかりしてるのを用意してるから」

 

「判りました! 任せてください」

 

スバルさんが2人のストッパー役を任命されたようだ。これは妥当な判断だといえる、だってスバルさんは魔王化して無いから

 

「ふふー本当かわいいねムッツリーニ君は♪」

 

「ブッシャアアアアア……今年の日射病は性質が悪い」

 

「ふーん♪ じゃあこんなのはどう?」

 

「ごふっ!? ブッシャアアアアアアアッ!!!!!」

 

工藤さんがタタでさえ短い水着のズボンの裾を捲る、ああ、駄目だもう助からない……折角遊びに来たのに、まさか友が逝くのを見るなんて思っても見なかった

 

「お待たせしました」

 

「……愛子はあんまり土屋を苛めないように」

 

霧島さんと瑞希がやってきた。その後ろから歩いてくる美波と秀吉の姿も見える

 

「いやーあんまりムッツリーニ君の反応が良くて」

 

「……」

 

倒れ臥しているムッツリーニを突いて遊んでいる工藤さんを見ていると

 

「どうですか? 似合ってますか?」

 

瑞希が着ているのは前に僕が一緒に選んだ水着、あの時も綺麗だったが今こうして太陽の下で見ると尚の事綺麗に見える

 

「う、うん。凄く似合ってると思うよ?」

 

「そうですか、明久君に選んでもらった甲斐がありました♪」

 

嬉しそうにいう瑞希だが、僕はそれ所ではなかった……迫り来る死の気配がする……

 

「明久? どういうことかな?」

 

「ちゃんと説明してくれるよね? アキ」

 

「アキ君? 不純異性交遊は禁止しましたよね?」

 

ああ……魔王が来た。どうして僕の人生にはこうも死亡フラグが多いのだろう

 

「……雄二。一緒に泳ごう」

 

「嫌だね」

 

「……感電死・窒息死・出血死。どれが良い? オススメは全部……」

 

スタンガン・ロープ・ナイフをどこからから取り出し見せる。霧島さん

 

「うし! 行くぞ! 翔子」

 

生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた雄二の反応は早かった。素早く霧島さんの手から凶器の数々を取り上げ、ユナちゃんに悪いと言ってからユナちゃんが掘っていた穴(貝でもいるのかと興味を持ったらしい)に凶器を埋める。この間約3秒……人間は生命の危機を感じるとここまで早く動けるのかと感心した。

 

「……うん」

 

雄二が霧島さんの手を引いて歩いていくのを見ながら。僕は振り返り

 

「少し話を聞いてくれる?」

 

「「「駄目♪」」」

 

ですよねー僕は逃れられない死を受け入れた……

 

 

 

 

 

「ねーパ……お兄様。明久がどっかに連れて行かれてるよ? なんで?」

 

「ヴィヴィオ、お前は見ないほうが良い。 それよりも折角海に着たんだ。遊んでおいで」

 

涙目で引き摺られていく明久を見せないようにしながらヴィヴィオに言うと

 

「お兄様は?」

 

パパと言い掛けたヴィヴィオの頭を撫でて。

 

「ここで見てるよ」

 

ヴィヴィオもこういうところで私が泳がないのをの知っているので我侭は言わない

 

「ヴィヴィオ、行くです! 砂でお城を作りますよ!」

 

「うん!」

 

ヴィヴィオと歩いて行くリィンと

 

「初めての海! 楽しみだなー」

 

「あんまりはしゃぐなよ。リヒト」

 

「OK! 私は全然冷静だよ!!!」

 

「どっからどう見ても冷静じゃないなお前」

 

ハイテンションのリヒトの隣で頭を抱えているアギト

 

「では私達も行きましょうか、姉さん」

 

「ああ、そうだな」

 

「溺れないようにちゃんとみとかんと。じゃあちょっと言ってくるでー兄ちゃん」

 

しっかり者のユナとリインフォースと、珍しくちゃんとお姉ちゃんをしているはやてを見ていると。隣にちょこんと座っているアザレアに気付く

 

「お前は泳がないのか?」

 

「……知らない人が沢山で……怖いです。兄さんと一緒……が良い」

 

本を開き私にもたれるアザレアの頭を撫でながら

 

「そっか、じゃあ一緒に見てるか?」

 

「……はい」

 

そう笑うアザレアに

 

「お前は本当に不器用だな。アリウム」

 

びくっと肩を竦めたアリウムに

 

「アザレアはもっとおどおどと喋る。似せようと頑張ったのは判るが……あんまり似て無いぞ。まぁ待て」

 

慌てて逃げようとするアリウムの手を掴んで、そのまま膝の上に座らせる

 

「偶にはこうして過ごすのも悪くない、一緒に海を見ようか」

 

「良いのか? 私は……アザレアの様に可愛らしいとは程遠いぞ、兄上様」

 

その言い様に苦笑しながらアリウムの頭を撫でる。きょとんとするアリウムに

 

「そんな事無いよ。アリウムも可愛い私の妹だよ」

 

「む……そ、それなら良いが」

 

なんといえば良いのか判らないという表情をしてるアリウムに

 

「不器用だな、お前は……」

 

本当にアリウムは……不器用な子だと思いくすくすと笑いながら

 

「私はお前の兄だからな、いつでもこうやって抱きしめてあげれる。だから素直に甘えにおいで」

 

「……はい」

 

小さな手で私のコートの裾を握り締めた。アリウムの頭を撫でながら

 

「後で海の家に昼食を買いに行くが、何か食べたいものはあるか?」

 

「……やきそば」

 

ぼそりと言うアリウムに

 

「そっか、じゃあ後で一緒に買いに行こうな」

 

「うん」

 

こくりと頷くアリウムと一緒に海を見ていると

 

「おや? アリウム君。珍しいね」

 

「悪いか?」

 

珍しいと言われ少し不機嫌そうなアリウムを見たジェイルは

 

「とんでもない、良い機会だ。写真を撮ってあげよう」

 

「しゃ、写真だと!? こ、断る!」

 

腕の中でジタバタ暴れるアリウムに

 

「アリウムと一緒の写真はそう言えば1枚も無いな。良い思い出だ、一緒にとって貰おうか?」

 

「む……兄上様が言うのなら」

 

アリウムが暴れるのをやめて被っていたフードを脱いだ所で

 

「はい、チーズ」

 

カシャッ!

 

現像された写真は後日、私のアルバムに貼られ。アリウムは自分の小遣いで買ったロケットペンダントに写真を収め首から下げるようになる

 

「んー写真取ってるのか? 兄貴」

 

海から上がってきたヴィータにタオルを手渡しながら

 

「丁度良い所に来た」

 

「なんだ? 何か私にようか?」

 

タオルで拭きながら尋ねてくるヴィータに

 

「ジュースとかを買いに行こうと思うんだ。一緒に来ないか?」

 

ヴィヴィオ達が思ったよりハイペースでジュースを飲んでいるし、明久達の分も考えると数が足りないので買いに行かないといけない

 

「判った、私も行く」

 

パーカーを羽織ったヴィータを見ながら

 

「じゃあ、留守番宜しく」

 

「OK、帰りにたこ焼きでも買ってきてくれ」

 

ひらひらと手を振るジェイルに判ったと返事を返し

 

「よし、いくぞ。アリウム」

 

「判った」

 

立ち上がったアリウムの手を握り、隣を歩くヴィータと共に海の家に向かってのんびりと歩き出した

 

 

 

 

 

第70話に続く

 

 




次回からはもっとドタバタになると思います。今回はあくまで海に到着と言うのがメインでしたから。短めの話です、その分次回からはもっとはじけようと思っています

それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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