バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は次回の続きで、ショタ化した、龍也・雄二・明久。猫耳獣人化したムッツリー二の話になります。 ドタバタ? になり。収拾が付くかどうかが不安ですが、どうか今回も宜しくお願いします

なお、夏休み編は色々とオリジナルのイベントをしたいですね。有力は……明久と魔王集や拉致される雄二とかの話になりますね。まぁ色々考えていこうと思います。

あと最近変な電波が来ます。前に久保に「ウリィィッ!!」って言わせましたよね? あれ以降何故か。久保の召喚獣が「ザ・ワールド!! 時よ止まれ!!」とか「無駄無駄無駄無駄ッ!!!」とかやってるのが思い浮かぶんですよね。 後美波の召喚獣が「オラオラッ!!!」をやってるのとか、「ウチが時を止めた」みたいな、ジョジョのシーンが思いつくんです。 これは1度書くしかないか!? とまた迷走し始めている混沌の魔法使いです。でも反応が怖いから踏み切れなかったりするんですけどね。読者の方に聞くんですけど。そう言うネタ面白いと思います?



第66問

 

第66問

 

 

「りー。はーてねーちゃがはなにしてるの?」

 

「ちっちゃい、お兄様は見ないほうがいいですよ?」

 

リインの膝の上のちっちゃいお兄様の目を塞ぐ。恐らくあと数分でにらみ合いからの喧嘩にシフトすると思うのです、それはちっちゃいお兄様の見せないほうがいいですから

 

「だーれだ?」

 

「りー? じゃないの?」

 

「違うですよ。だれが声を掛けたかを答えるんですよ?」

 

むーと唸るちっちゃいお兄様。ちなみに今声を掛けたのは、アザレアちゃんではなくアリウムちゃん。これは難しいですよ~と思いながら辺りを見回すと

 

「うにゃ! うにゃっ!!」

 

猫かした康太とかいう人が猫じゃらしに夢中でじゃれ付いているのですが。

 

「良い? 兄と妹じゃ恋愛は成立しないんだよ?」

 

「黙ってください、貧乳」

 

今にも殴り合いに発達しそうな、2人に気付いていないのは幸いというべきか不幸というべきか、どっちなのでしょう?

 

「あー。アギト!」

 

「はずれですう♪」

 

「むー」

 

首をかしげるちっちゃいお兄様は、とっても可愛いです♪ いっつも格好良いお兄様もこうなると凄く可愛いです。と思っていたらリィンの腕の中からお兄様が居なくなります。どこへっ!?

 

「にーさま! ぶんぶん!!」

 

リヒトちゃんがお兄様を抱っこして回転を……って!?

 

「リヒトちゃん! 危ないですよ!?」

 

「ぐるぐるーッ!!!」

 

「きゃっ♪ きゃっ♪」

 

お兄様は楽しそうですが、リヒトちゃんはこれでもかと高速回転、流石はリィンと同じ融合騎だけはあります。でもとっても危ない気がするのです

 

「……繰り返す。僕は翔子お姉ちゃんと結婚します」

 

「なぁ? 結婚てなんだ?」

 

「……それはとても良い物、ずっと私と一緒に居るという事」

 

「いま、一緒に居るぞ?」

 

「……なんていえば」

 

ボイスレコーダーを構えているあの人はとっても怖いです、物凄く怒ってるオットーさんに似てます

 

「あっ」

 

「わーい」

 

「ああああ!! 兄がーッ!!」

 

振り返ると宙を舞うちっちゃいお兄様……凄く楽しそうですね……

 

「あぶなーいっ!!」

 

スライディングでアギトちゃんとアリウムちゃんがキャッチ。セーフです、良かったですう……で手を離したリヒトちゃんは

 

「ウマウマ♪」

 

お菓子を貪る様に食べてます……ユナちゃんが無言で持っていた本(分厚い冒険物)を振りかぶり

 

「成敗!!」

 

「!?!?」

 

頭から煙を出して沈黙するリヒトちゃん、ユナちゃんの攻撃力の高さには驚きです。ユニゾンでは防御系の魔法ばっかりなんですけどね。ユナちゃんは……

 

「ねーちゃ! もなみとあそぶー!」

 

「アキ君。私と遊びましょう、ね?」

 

「やだーッ!! もなみーとかみじゅきとあそぶー!!」

 

ジタバタ暴れる馬鹿そうな人とそれを抑えるお姉さん。 この状況どうしたら良いんでしょうね……

 

「お菓子食べる?」

 

「たべりゅ!!」

 

ヴィヴィオにお菓子を差し向けられているちっちゃいお兄様を見ながらどうすれば良いのか考えていると

 

「随分と騒がしい……」

 

あ、お姉様です。 部屋の状況を見たお姉様はぷるぷると震えながら

 

「シャマルーッ!!! 今すぐ来なさい!!!」

 

「は、はいいいいッ……」

 

お姉様の怒声が家中に響き渡りました……

 

 

 

 

 

「シャマル! お前は勝手に料理をするなと何度言えば判るんだ!」

 

「す、すいません~」

 

正座してるシャマルに怒鳴る、全くレシピ通りに作れば普通なのに、アレンジをするととんでもない料理になるシャマルの警戒を怠った私の責任だ

 

「はーて、ねーちゃ。リーンが怒ってる」

 

「うんうん、そうやね♪」

 

「聞いてゥ?」

 

「聞いてるでー」

 

ほくほくとした顔で小さい兄上様を抱き抱えているはやて、それに

 

「ねーちゃ。なんでもなみとあそんだら、めっなの?」

 

「それはですね……なんといえば良いのでしょう?」

 

はやてと同じ臭いのする見たことの無い女性と、割れた窓ガラス。ああ……同類なんだと一目で判る

 

「ふぎゃーッ!!」

 

「痛がってるでしょ! 手を放しなよ!!」

 

「それはこっちの台詞ですー」

 

猫? を引っ張り合う2人に頭を抱え

 

「……リピートアフターミー。雄二は翔子が好き」

 

「りぴーとあふたーみー? ゆうじはしょーこがすき」

 

「……ちょっと違う。リピートアフターミーと雄二の所は俺って言うこと」

 

「むずかしい」

 

「……頑張って。私の為に」

 

ボイスレコーダーを持った女の子に抱えられた活発そうな男の子を見て

 

「全員良いかげんにしなさいッ!!!」

 

そう怒鳴り、ちびっこ達を取り上げる

 

「「「ああ!?」」」

 

「ああじゃありません!!」

 

ちびっこを保護してから

 

「全員正座してください」

 

「何を言ってるのですか?」

 

首を傾げる問題児全員を見据え

 

「もう1度だけ言います……正座してください!」

 

「「「はい……」」」

 

私の気迫に負けて正座する全員を見ていると

 

「りーん、おこっちゃ。めっ!」

 

「けんかよくない?」

 

「そうだぞー」

 

「うにゃうにゃっ!」

 

喧嘩はよく無いと言うちびっこ達に微笑みかけながら

 

「これは喧嘩ではなく仲裁ですので。ちょっと静かにしていてくださいね? リィンちょっとちっちゃい兄上様をお願いします」

 

「はいですう。お菓子ありますよー」

 

おかしーと言いながらリィンに近付いていくちっちゃい兄上様を見て

 

「では……説教を始めます」

 

この人たちには説教が必要だ、私はそう判断し説教を始めた

 

~30分後~

 

「「「あ、足しびれ……」」」

 

「まだ話は終わってませんよ!! 正座崩さない!」

 

「「「は、はい!!」」」

 

正座を崩しかけたはやて達に怒鳴ってから再度説教を始める

 

「良いですか! 子供に何をやってるんですか貴女達は! 邪な欲望に負けてどうするんです良い大人が!」

 

「「「はい……すいません……」」」

 

正座したまま謝る全員を見ながら

 

「大体なぜ普通に遊んであげると言う選択肢が無いんですか! まったく」

 

石畳に正座のシャマルの膝の上に重石を追加する

 

「ぎぶっ! ギブです!!」

 

「黙りなさい! 諸悪の根源!」

 

これでシャマルの膝の上の重石は2つ目。顔が青褪めているシャマルに

 

「貴女が全ての原因なんですからね! きちんと反省してください!!」

 

「だからって……石畳に正座は酷いですう」

 

るるーと涙を流すシャマルは無視する。何度も同じ事をやっているので今度はきちんと反省させる

 

~更に30分後~

 

「「「も、もう無理……」」」

 

もうそろそろ限界ですね。それに言うことも全部言いましたし

 

「ですから皆で遊んであげてください! 判りましたね」

 

「「「はい……」」」

 

全員頷いたのを確認してから

 

「正座を崩していいです」

 

この言葉と同時に崩れ落ちるはやて達を見ていると。ちっちゃい兄上様達が倒れてピクピクしてるはやて達に近付いて

 

「あそぼ」

 

「あそんで」

 

「だいじょーぶ」

 

「うにゃー?」

 

足をぽんと叩く、子供の力で痛みはまるで無いだろうが脚が痺れている今。そのダメージは

 

「「「あしがー!!!」」」

 

足を押さえて絶叫するはやて達を見たちっちゃい兄上様たちは面白いと言う表情になり

 

「「「「ねーあそぼ」」」」

 

「「「し、しびれー!!! いたたたた」」」

 

足をつんつんと突かれ絶叫するはやて達、これで多少は懲りたでしょう

 

「シャマルも反省しましたか?」

 

「ハイ……ゴメンナサイ……モウシマセン」

 

ちゃんと反省したようですし重石をどけるとしますか……私はシャマルの足の上の重石をゆっくりと退け始めた

 

 

 

 

 

 

 

~ちび明久と魔王様~

 

 

 

「ぼーりゅー! えい!」

 

ぽんぽんと跳ねるゴムボールを投げてくる、アキにこにこと笑うその顔はとても楽しそうだ

 

「もなみ、ぼーりゅ!」

 

「はいはい」

 

軽くボールを返すと

 

「わぷっ」

 

どうやら思ったより力が弱いらしくボールに押されるアキ。

 

「おもしろーい! つぎひー」

 

きゃっきゃっ笑うアキが今度が秀吉にボールを投げる。やはりさっきと同じ様に軽く何度か跳ねて秀吉の手に収まったボール

 

「よーし、いくよ~」

 

「うん♪」

 

転がして返されたボールを両手で受け止めて、今度は瑞希のほうを向いて頭の上に捧げるように持つアキ

 

「えーい♪」

 

瑞希は運動神経悪いけどあれくらいなら……

 

「あいたた」

 

ぽこんと頭に当たるボール、運動神経悪すぎとウチは思ったが

 

「だいじょーぶ? いたいに、いたいのとんでけー」

 

瑞希の頭を撫でてそう笑うアキと計画通りと悪い笑みの瑞希。

 

(わ、わざと……そりゃそうか)

 

幾ら運動神経が悪いからって5歳児の力で投げられた。ボールが取れないわけが無い

 

「ありがとうございます、もう痛くないですよ♪」

 

「だいじょーぶ?」

 

「ええ、大丈夫ですよ」

 

にこにこと笑う瑞希から離れたアキは手を上げる。それを見た瑞希が軽くボールを投げ返す

 

「よいしょ。じゃ、つぎねーちゃ♪」

 

「いつでもどうぞ」

 

ボール投げるのを受け止める態勢に入る玲さん。まぁちゃんとお姉ちゃんらしい事をしてると思っていると

 

「やー!」

 

とんとんと跳ねるボールをスルーする玲さん、なんでスルー? ウチ達が首を傾げていると

 

「すいません、もう1回投げてくれますか?」

 

「うん」

 

ボールを拾いに行くアキ。そしてその背中を凝視する玲さん。そしてアキがボールを拾って来て再度ボールを投げようとすると。

 

「待ってください。アキ君」

 

「?」

 

首を傾げるアキに玲さんは

 

「上から投げてくれますか?」

 

「うん、いーよ」

 

アキがボールを捧げ持った瞬間、また玲さんが姿勢を低くする。そしてなぜ姿勢を低くするのかウチは理解した。アキがボールを上で持つと服が引っ張られて少し服が上に上がる、その隙間から見える素肌を凝視してる。それには瑞希と秀吉も気付き。恐らくこの瞬間だけウチ達の考える事は完全に一致しただろう

 

(((へ、変態が居る!? しかも度し難いレベルの!?)))

 

弟の素肌を見てはぁはぁしてる。完全な変態だ……

 

「はい、今度は取れましたよ。行きますよ」

 

ボールを転がして返す玲さんだが勢いが強い。あれではアキがと見ていると

 

「うきゃっ!?」

 

ボールの勢いに押されころんと引っ繰えるアキ。頭を下にして足が上に来ると。玲さんはいそいそと携帯を取り出し半ズボンの下から素足を連続で写真を取っている

 

(((変態だーッ!!!!)))

 

恐らくまたウチたちの考える事は合致しただろう。しかもはぁはぁしながら鼻血を出している。これが男だったら直ぐ逮捕されるレベルの変態具合だ

 

「よいしょ……ねーちゃ。何で顔を押さえてるの?」

 

「いえ、少し興奮しただけですよ? 何の問題もありません」

 

鼻にテッシュを詰める玲さんを見て、変なねーちゃと笑うアキ……そしてまたはぁはぁしてる玲さん

 

(だ。駄目だ! アキの近くに玲さんが居るのは危険すぎる!?)

 

主に貞操とかの問題で……あれは捕食者だとわかる。しかもウチたちとは比べ物に無いレベルの……

 

(子供であれだったら……元に戻ったらどうなるの!?)

 

アキが家に帰りたくないといった理由が良く判る……今度帰りたくないと言ったら保護してあげよう。ウチはそんな事を考えながら投げられたボールを受け取った……

 

 

 

 

~猫ムッツリーニと2人の魔王様~

 

「うにゃ」

 

丸まり頭を掻いているムッツリーニ君に手を伸ばそうとすると

 

「させません」

 

手を弾かれる、この子変態にも程がある。お兄ちゃんなんだよ!? 血が繋がってるんだよ!? だが陽向がムッツリーニ君を見る目は熱っぽく、頬は紅い。 もうあれは駄目な感じのブラコンの目だ

 

「頭を撫でるだけー」

 

「僕に駄目って言って何やってるのさ」

 

伸ばしかけた手を今度は僕が弾く。ぎろりと睨んでくる陽向の目を真っ向から見返す。光の無い淀んだ目だ。まぁ多分僕も同じ目をしてると思うけどね、互いににらみ合い威嚇を続ける、とにかく自分が触れないのにあっちだけ触るなんて不公平にも程がある。向こうが譲歩しないのにこっちだけ譲るなんて出来るわけが無い、互いに互いの行動を

見張っていると

 

「ふにゃー」

 

丸まっていた態勢からググーと背筋を伸ばす猫ムッツリーニ君。ピコピコと動く耳と尻尾が愛らしい。シャマルって言う人の話によると夕方には元に戻るらしい。ではそれまでが勝負だが、時間は後3時間~5時間程だし。それまでにこの子を倒さなければ、猫ムッツリーニ君を愛でる事は出来ない。だが問題はあっちも同じ事を考えていると言うことだ。あっちはあっちで僕を倒すつもりだし、僕は僕であの子を倒すつもり完全に硬直状態だ

 

(まずは如何にムッツリーニ君をこっちに興味を持たせるかだ)

 

何時ものムッツリーニ君ならスカートなり胸元をはだけるなりで興味を持たせれるが。今の猫状態ではそれは効果が無い(試したので良く判る)では猫の興味を引くものは何だ? 猫じゃらし? ボール? だがそのどちらも僕の手の中には無いし、陽向の手にも無い。では他の方法で

 

「ちっち。おいで、おいで」

 

「にゃう?」

 

舌を鳴らし手を動かす陽向にムッツリーニ君の興味が行くのが判る

 

「こっち、こっち。こっちにおいで」

 

同じ様に舌を鳴らし指を振るとムッツリーニ君がこっちを見て尻尾を振る。興味を持ったようだ、だが陽向は真似された事で

 

「真似しないで下さい」

 

「真似じゃないし、変なこと言わないでくれる?」

 

猫として考えた結果だし真似したわけじゃない。だがこのままでは何時までも決着は着かない。更なる一手を考えなければ……少し考えいいアイデアが浮かぶ

 

「えい」

 

自分のワンピースの首元にあるリボンを外し振る。尻尾を逆立て飛び掛る態勢に入るムッツリーニ君、これで僕の勝ちだ。僕が勝利を確信していると

 

「こっち! こっちですよ!」

 

髪留めをぶつけかちかちと音を立てる陽向。立っていた尻尾がまたぺたんと地面にたれ僕の手元と陽向の手の中の髪留めを見るムッツリーニ君。勝負はまだ終らないようだ

 

 

 

 

 

 

~しょた雄二と病んでるお嬢様~

 

 

 

「……なぁ。しょーこは何で俺と遊んでくれるんだ?」

 

「……私が雄二が好きだから」

 

絵を描きながら尋ねてくる雄二にそう返事を返すと

 

「すきってなんだ?」

 

「……ずっと一緒に居たいって思うこと」

 

この時の雄二は知識欲が強いのか色々と質問してくる。それに返事を返しながら雄二を見つめていると雄二はにこっと笑い

 

「じゃあ、俺もしょーこ好きだ」

 

一瞬ドキリとした、今まで雄二に好きだなんて言われた事が無く。とても驚いた……だがそれ以上に罪悪感も感じた

 

(……なんか騙してるみたい)

 

私は雄二の事が好きだと胸を張って言える。だけど雄二は違うのかも知れない、そう思うと今の雄二に私の望む事を言わせるのはあんまり良くないことだと思う

 

「なんかなーわかんないだけど……俺、しょーこ守らないといけないと思うんだー」

 

にこにこと絵を描きながら雄二は

 

「よく判らないんだけど。しょーこが泣いてるのが見えるんだ、鞄を持っててさ。んで俺を守ろうとしてくれてるのが判るんだ。だから今度は俺がしょーこを守るんだ」

 

それは私が小学生のときの事だろうか。確かにそういう事はあった。子供になってても本当に大事な事は覚えていると、シャマルは言っていた、そう言えばあの時から雄二は喧嘩とかをし始めた、それはある意味私を守ろうとしてくれていたのかもしれない。そう思うと自然に笑みが浮かぶ。くすくすと笑いながら絵を描いている雄二を膝の上に座

らせる

 

「しょーこ? なんで急に抱っこするんだ?」

 

首を傾げる雄二を後ろから抱きしめて

 

「……雄二が私を守ってくれるなら、私も雄二を守ってあげるよ」

 

「違うぞ。俺がしょーこを守るんだ」

 

きょとんと首を傾げこっちを向こうとする雄二、だけど今の私の顔はとても見せられたものじゃない。きっと耳まで真っ赤だろうから。抱きしめて後ろを向けないようにしてから

 

「……雄二が私を守ってくれて、私が雄二を守る。それでおあいこ。ねっ?」

 

「よくわかんないけど。それで良いのか?」

 

「……それで良いんだよ。雄二」

 

やっぱり私の思いは間違いじゃなかった♪ ぎゅーと雄二を抱きしめて後ろから雄二の書いている絵を見ていた……

 

 

 

~ちび龍也と魔王軍とちびっこ軍団~

 

世の中にはままならない事が多数あります。そして今私の目の前の光景もまたその1つです

 

「リー遊ぼ」

 

「遊ぶのは良いんですけどね……はやてちゃん達と遊んで貰ったらどうですか?」

 

ちび龍也様は予想に反してリィン達に懐いています、何度か呼びはするんですが。如何せん興味はあちらにあり、あまり近付いてきてくれません

 

「本能的に遠ざかれてるのかしら」

 

「まさか……」

 

ティアナがそう呟くので違うと言いたいが明らかに遠ざかる仕草を見せる龍也様にまさかと言う思いが頭を過ぎる

 

「リインフォース、見てみい。私のところ来てくれへんやん」

 

「それは私のせいではないのですが」

 

自分のところに来てくれないと狸がいじけているのを見ながら。どうやって龍也様をこちらに呼ぶか考えていると

 

「リィン、そろそろ出かけましょう。葉月が待っています」

 

「あーそうでしたね、葉月ちゃんと遊ぶ約束をしてましたね」

 

そう言って遊びに出掛ける準備をするリィンに龍也様が

 

「いっそ。だめ?」

 

「駄目だぞ。兄、はやて達と遊んでないとな」

 

くるりと龍也様をこちらに向けるアギト、龍也様は暫く何かを考える素振りを見せて

 

「うん♪」

 

とととと歩いてくる、誰だ! 誰のところに来る。途中まで真っ直ぐはやてとヴィータの所に行っていた龍也様だが途中で反転して、フェイトのほうを向く

 

「「……」」

 

崩れ落ちるはやてとヴィータ、そして嬉々とした表情のフェイトとなのはだが、2人を手を見た龍也様はまたくるりと背を向ける

 

「「……なんで!?」」

 

崩れ落ち涙を流すなのはとフェイトを見て。気付きました今必要なのが何なのか。机の上のクッキーを手にすると

 

「おかしー♪」

 

やはり今の龍也様はお菓子を欲していたのだ。つまりお菓子を持ってる人間のところに来る! クッキーを差し出すとその隣からポッキーが差し出される

 

「……猿真似を」

 

「チョコの方が上」

 

ティアナがそう笑う、どっちだ! どっちに来る! 歩いてきた龍也様は

 

「あーん♪」

 

口を開けて笑う。そのあまりの可愛らしい表情の一瞬呆けたが、クッキーを口に入れて上げると。嬉しそうに食べる龍也様。ああ……なんと愛らしいことか……普段の格好良い龍也様も良いが、この可愛い龍也様もまた良い

 

「あーん♪」

 

「はい、あーん」

 

今度はティアナがポッキーを上げると今度はリスの様に食べる龍也様。やはり可愛らしい……食べ終えた龍也様は

 

「セーもテーナも大好き♪」

 

ごふっ……意識が飛ばされる、やはり龍也様こそ私の理想像だと再認識したときだった……

 

 

 

 

 

「やけに騒がしけどなに?」

 

トレーニングの一環である重石をつけてのランニング(出かけるならついでにと頼まれた買い物)から帰ると妙に騒がしい首を傾げながらリビングに行くとその謎が判った。ちびっこと化した龍也さんとその友達とはやてさん達が遊んでいたのだった。

そしてこの状況を作り出したであろう、シャマル先生はぐったりとしている。どうやらこっぴどくリインフォースさんに怒られたようだ

 

「ねぇ、龍也は私のこと好き?」

 

「フェイ? フェイもみんなもだーいすき♪」

 

望んでいた反応ではないが嬉しそうに笑う。フェイトさん達を見ていると

 

「あースバリュー」

 

駆け寄ってきた龍也さん。普段は見上げるが逆に見上げられるの初めてだ。

 

「だっこー」

 

「あ、はい」

 

しゃがみ込んで龍也さんを抱っこする。ふにふにと柔からく子供特有の甘い香りがする。ふと辺りを見ると

 

「んー眠い」

 

「……じゃあ子守唄を歌って上げる」

 

「うん……」

 

うとうとと舟を漕ぐ雄二とそれを抱っこして子守唄を歌う翔子

 

「んー」

 

美波達とお手玉で遊んでいた明久も舟を漕いで眠そうだ

 

「眠いのですか? アキ君」

 

「んーちょっと……ねむい」

 

目を擦っていた明久だが大きく欠伸をするところんと丸くなる

 

(どうやらもう元に戻るみたいだね)

 

元に戻る際強烈な眠気に襲われ眠りに着くのは何度も見ている。だからもう時間なのだと判る

 

「あのね? 僕ねーねーちゃももなみもみじゅきもひーもみんなだーいすき♪」

 

そう笑い眠りに落ちた明久とその反対側では

 

「これは仲良くして欲しいと言うことなのでしょうか?」

 

「そうとしか思えないよね、これ」

 

ちょこんと座る愛子と見知らぬ少女の膝の上で丸くなり寝ている、猫化した康太。どうやら時間差がある物の元に戻るようだ。抱っこしている龍也さんを見るとやはり眠そうにしている。その背を撫でながら

 

「眠いのですか?」

 

「んーねむい」

 

こっくりこっくり舟を漕ぐ龍也さんに思わず笑みを零し。ゆっくりとその背を撫でて

 

「それではおやすみなさい。龍也さん」

 

「んん」

 

寝息を立て始めた龍也さんをソファーに横にすると

 

「あー最後はスバルかー」

 

「まぁ殆ど何も出来なかったで、これくらいは良いでしょう?」

 

こうなると判っていたのならランニングに何か出掛けなかったのに惜しい事をした。5分も寝れば目を覚ますと同時に元に戻るだろう

 

「皆さん、ケーキを買って来たのですが、如何でしょう?」

 

頼まれていたケーキの箱を見せながら尋ねると皆頷いてくれた。

 

「じゃ、龍也さん達が元に戻る前にお茶を入れようと思うんですけど。紅茶とコーヒーどちらが良いですか?」

 

誰がどれを飲みたいかを聞いてキッチンに向かう、偶にはこうやってやるのも悪くない、何時もは龍也さんとかセッテとかがやってしまうから。そんな事を考えながらお湯を沸かし始めた

 

 

 

 

 

「んん……寝ていたのか」

 

ゆっくりとソファーから身を起こす。シャマルの料理を食べたところまでは覚えているが記憶が抜けている。近くに居たセッテに

 

「私は寝ていたのか?」

 

「え。……ええ! とてもよく眠っていましたよ?」

 

何かきょどきょどしてるなぁ? やましい事でもあるのか?

 

「あ、あのさ? 何で姉さんが居るの? それにもう5時ってなんで?」

 

首を傾げている明久に玲さんが

 

「ええ、瑞希さんにアキ君が寝てしまって起きないと連絡を受けたので迎えに来たのですよ」

 

「そ、そうなの?」

 

「ええ、全然起きなかったので玲さんに迎えに来てもらったんです、ね? 美波ちゃん」

 

「え、ええ。そうね」

 

何か美波達もきょどきょどしてるなあと思っていると

 

「……な、なんで!? 愛子と陽向が仲良くなってるんだ!?」

 

「まぁ色々とあって。協定と言うか約束事と言うか。まぁそんな感じで仲良くなったんですよ。お兄ちゃん」

 

「ま、そう言うわけかな?」

 

笑顔の愛子と陽向にそう言われた康太は

 

「……う。嘘だ!? 陽向が女子と仲良くなるなんてあり得ない!! 世界が滅ぶ前触れだ!!」

 

「もう失礼しちゃうなあ、ねえ? 愛子さん」

 

「そうだよねえ? 別に友達くらいなるよねえ?」

 

そう笑いあう愛子と陽向を見てガクガク震える康太。 どうやらこれからは魔王が2人に増えるようだ、私は何も出来ないが頑張ってもらおう

 

「翔子、なぜお前は俺に膝枕をしている?」

 

「……良く寝てたから」

 

「そうか、じゃあもう良いから、俺の肩を押さえている指を退けろ」

 

「……いや」

 

「じゃあ自分でどける」

 

「……させない」

 

翔子がゆっくりと身体を前に倒す

 

「ば、馬鹿! やめろ! 何する気だ!?」

 

「……胸で窒息させて家に連れて帰る」

 

「誰かー!? 翔子を止め……むぐう!?」

 

「……あんまり動かないでくすぐったい」

 

相変わらずエンジン全開だな、翔子は……

 

「おはようございます龍也さん。紅茶を用意したのですがどうですか?」

 

「ん? スバルかありがとう」

 

紅茶の入ったカップを受け取る。スバルはそのまま全員に紅茶とコーヒーを配り。机の上にケーキの箱を置いて

 

「勉強を始める前に一息入れたらどうでしょう? 色々買ってきましたから」

 

にこりと笑うスバルに促されガトーショコラを取って食べながら

 

 

「何かとんでもなく酷い目に会った気がするんだが、思い出せない」

 

「龍也も? 実は僕も」

 

「奇遇だな。俺もだ」

 

「……俺も」

 

明久達も同じ様に記憶が抜け落ちているらしい、何があったのか思い出そうとするがどうしても思い出せない

 

「まぁ思い出せないという事はたいした事じゃないんだろう?」

 

そうそうと頷くはやて達、なぜか妙にツヤツヤしてるが、これも気にするような事では無いだろう

 

「じゃあ、おやつ食べ終えたらまた勉強しよか?」

 

「えー」

 

「もう良いだろう? もう4時だし」

 

乗り気で無い雄二と明久だったが、それぞれある言葉を聴いて顔色を変えた

 

「では、アキ君、家に帰ってゆっくり私が個人レッスンをしてあげましょう」

 

「……どうせ1人じゃ勉強しないんだから私の家の監禁……ごほん、雄二の部屋で勉強を教えて上げる」

 

そういわれた2人は顔を青褪めさせ、勉強用具の準備をしながら

 

「そうだね! 折角だから龍也とかはやてさんに教えてもらいながら勉強しようかな!」

 

「そ、そうだな! それが良いな!!」

 

慌てる雄二と明久に苦笑しながら、休憩を終えて勉強を再開した

 

第67問に続く

 

 




少々今回は短めでしたがどうでしたか? 面白かったのなら良いのですが、次回は明久関連のイベントをやろうと思います。美波とか瑞希とか秀吉とか色々考えてはいるんです。問題はちゃんと形に出来るかなんですけどね。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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