バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回は明久達が3年生に驚かされる番です。これがどちらかと言うとメインなので。3話くらいの構成で行きたいと思います
それでは今回もどうか宜しくお願いします



第60問

第60問

 

「さて、今日は俺達の肝試しの番なんだが……1つ言いたい」

 

「なんだ? 雄二」

 

「何だじゃねえええ!? お前はお前でチビッコ軍団に囲まれてるし!! 明久は口から魂でてるし!! こんなんで大丈夫かって事を言いたいんだよッ!!!」

 

龍也は昨日と同じくチビッコ軍団と遊んでるし。明久は明久で島田達の喧嘩に巻き込まれ死にかけてるし、不安要素しかない

 

「大丈夫何とかなるさ!」

 

「お前のその自信が羨ましい。まあ悩んでても仕方ないか。んじゃ昨日発表したとおり、出来る限り男女ペアで別れてくれ」

 

龍也と明久の取り合いで闘争が起きるだろうが、そこは俺には何の関係もないので龍也と明久で頑張ってもらおう。俺?俺は……

 

「……雄二。他の子を誘ったら……刺すよ?」

 

「HAHAHA。そんなわけ無いだろ? 翔子」

 

背中に何か突きつけられてる。チクッと痛むそれは多分の刃物類。そして翔子が突きつけてる箇所は肝臓。致死性の怪我をし易い箇所だ。俺は両手を上げて翔子の言い分を全て聞かないと命が無いと判っている、つまり自分の事で手一杯なのに明久や龍也まで面倒見切れないのである

 

 

 

 

「なぁ、明久。あれどうしようか?」

 

「僕も同じことを龍也に尋ねたいよ」

 

私と明久の前で繰り広げられているジャン拳『誤字であらず』を見る

 

「じゃんけん……死ねぇッ!!!」

 

「その行動パターンは判ってる!」

 

ジャン拳。殴り倒し強制的に勝利を得る、悪魔のゲーム

 

「下手な中国映画見るよりスリルがあるね」

 

もう殆ど手の動きが見えないほどの格闘戦を繰り広げるはやて達に

 

「どうしようか? あれ」

 

「本当だねえ、どうしよう?」

 

解決策が見当たらない、だがあの喧嘩は止めないと、どうやって止めようか? 私が頭を抱えていると意外な所から救いの手が現れた

 

「喧嘩する人はモテないって昨日TVで言ってましたよねー? アギトちゃん」

 

「そうだよな。喧嘩する=乱暴な奴って事になるもんな」

 

「力づくで自分の思い通りにしようとする人はイヤだって、皆言ってますもんね」

 

「やっぱり優しくて人の話を聞く人がモテるんですよね」

 

絶妙なコンビネーションのアギト達の言葉がはやて達に届き、急に乙女モードになりその場に正座し、手を差し出した

 

「……えーとあれ? 僕達に選べって事?」

 

「だろうな。どうするよ?」

 

明久は3人から1人だが、私は6人から、しかも全員が殺し屋の目で私を見てる。目は口ほどにものを言うと言うがこれは凄い威圧感だ

 

「私は少し考えさせて欲しい」

 

「まぁ当然だよね。僕は……そうだね」

 

明久は考える素振りを見せ3人の前に立つと

 

「ほいっ」

 

「わわッ!?」

 

リヒトがサッと明久の足を払いバランスを崩させる。倒れかけた明久は咄嗟に美波の手を掴む

 

「アキはウチと組む見たいね」

 

「なっ、納得行かない!! 今のはノーカウント!」

 

秀吉が文句を言うが美波はさっと立ち。組み合わせ表に自分と明久の名前を書き

 

「はい、ありがとう。リヒトちゃん」

 

「わーい!! ポッキーだっ!!!」

 

リヒトが美波に買収されてたのか……だからあのタイミングで足払いを……なんて計算高いんだ

 

「卑怯!? ずるすぎる!!!」

 

「そ、そうですよ! 美波ちゃん!!! ずるいです私だって明久君と」

 

2人が文句を言うと美波はふふんと胸を張り

 

「卑怯? 計算高いだけよ。瑞希なら良いと思うけど、あんたと組まれるくらいならその前にと手を売っただけ。それに瑞希は組めないでしょ? あの召喚獣をアキに見せたい?」

 

瑞希の恥じらいを上手く利用した作戦だった。魔王化すると頭が良く回るようになるが、美波の変わりようは凄い

 

「うっ……そ、それは……嫌ですぅ」

 

「くうううう……まさかこんな手で来るとは」

 

「美味しーです♪」

 

こりこりとリスの様にポッキーを食べるリヒト、彼女を釣るには食べ物で事足りる……食いしん坊なリヒトの思考回路を充分に熟知した行動だった……

 

「さー、大体決まった。まずは他の参加者から楽しんでもらおう」

 

パンパンと手を叩く雄二

 

「珍しいね、雄二が他人を優先するなんて。らしくないんじゃない?」

 

明久がそう言うと雄二は

 

「何。俺達が言いだしっぺなんだ、先に自分達が楽しむのはお門違いって言うもんだろう?」

 

「して。その心は?」

 

「翔子と2人きりで暗い場所を歩くなんて嫌だと言うことだ。何をされるか判らんからな」

 

うむ、その対応は正しい。魔王と2人きりで暗い場所を歩く? そんなのただの自殺行為だ。だから私もすぐには決断を出せない。安全を考慮するなら他の人間を選べば良いが、その人がはやて達の標的になる危険性がある。軽はずみな行動は私含めて危険すぎる

 

(どうしたものかね)

 

どうすれば良いのかを考えながら私達はFクラスへと向かった

 

 

 

「見てるだけでも面白いですー」

 

龍也の隣で楽しそうにモニターを見るリィンちゃんと

 

「こ……怖いです……」

 

小さな声を更に小さくし龍也のコートをしっかりと掴むアザレアちゃんを見ながら、ムッツリーの設置したモニターを見る。江戸時代風の街並みを進んで行くBクラスの生徒を見ていると

 

『よし。何も無いな……行くぞ』

 

『う、うん』

 

曲がり角を確認してから進む2人を見ながらモニターを見ていた、姫路さんと美波と秀吉が

 

「何も無いみたいだね……」

 

「何もない見たいね。あそこは安全ね」

 

「ちゃんと見ておかないといざ行って見るとすぐ失格になっちゃいますもんね」

 

びくびくしながらモニターを見る3人を見ていると

 

『『ギャアアアアアッ!?』』

 

「「「きゃああああッ!!!!」」」

 

「ぎゃああああッ!!! 肋骨! 肋骨が砕かれる!!!」

 

モニターの悲鳴に驚いた美波が凄まじい力で僕を締め上げる。肋骨がミシミシと軋む痛みに絶叫していると

 

「……失格」

 

冷静に呟くムッツリーニが非常に腹立つ。お前も魔王が居るんだ魔王にへし折られろ

 

「ひう……ううーん」

 

「ああ!? アザレアが気絶した!?」

 

龍也の回りも騒然としていた……

 

「うむ。私達も昨日モニターで確認しながら仕掛けたが、やはり向こうも同じ事をしてくるようだな」

 

昨日僕達もしたモニターによる奇襲。当然だが向こうも同じ事をしてくるのは当然だ

 

「どうする龍也」

 

「Fクラス勢を専攻させよう。なにあいつらはグロテスクな光景を見慣れてる。そう簡単には叫び声などあげんだろう」

 

「それは僕とか雄二の事を言ってるのかい? 龍也」

 

グロテスクにされるのは主に僕と雄二しかいない。龍也はそうだと言ってモニターを見るが。次に映ったのはまたもやBクラス

 

「すまん編成が間にあわ無かった。次からFクラスが専攻する」

 

雄二がそう説明してる中にも

 

『『ひゃあああああッ!?』』

 

「「きゃあああああッ!!!」」

 

「今度は頚椎がアアアアアッ!?」

 

僕の腰の骨が悲鳴を上げる。このままでは僕は死んでしまう

 

「きゅう……」

 

「あっ、ユナちゃんも気絶した」

 

「怖がりだからなーユナとアザレアは」

 

よいしょっと言いながら気絶した2人を抱っこする龍也。どう見てもやはり子煩悩なお父さんにしか見えない

 

「にいちゃーん。私も怖いなー?」

 

「白々しいですよ、狸。その程度であなたが怖がるものですか」

 

魔王同士が互いに互いを牽制しあっている。龍也も龍也で大変だな

 

「うっしゃー行くぜ!! 神に勝利をっ!!」

 

「神に勝利オオオッ!!!」

 

異様に士気の高い須川君と福村君がBクラスに突入する、さすが怖いものになれている2人は何の躊躇いも無く進んで行く

 

『お。あそこだな。何か出るって場所』

 

『だな』

 

前の2組がやられた通路に差し掛かった2人がふと隣の壁を映すとそこには血塗れの生首が浮いていた、更にはその後ろには口裂け女が居る。

 

「「「きゃああああッ!!!!」」」

 

「ふぐううううッ!!!今度は左腕がアアアアッ!?」

 

ガッチリと決められた関節が痛い。だが須川君と福村君は平然と

 

『おっ、この人。口大きいけど美人だな。スタイルも良いし』

 

『いやいや、こっちの方が美人だな。首から下が無いからスタイルは判らないけど、美人そうだ』

 

召喚獣を品定めしていた。さすがはFクラスこの程度では揺らぐわけが無い

 

『それにしても暗いな。何か無いか?』

 

『俺達は懐中電灯禁止だもんなぁ。全く1年とは随分扱いが違うな。おっ見ろよ、あそこにある提灯借りていこうぜ』

 

文句を言う2人は途中で見つけた提灯に手を伸ばすが。それに突然手足が生える。どうやらセットに召喚獣を紛れ込ませていたようだ、中々粋な演出だ

 

「「「きゃあああッ!!!」」」

 

「美波達は僕に恨みでもあるのかなあああ!?」

 

再びガッチリと極められた関節の痛みに絶叫している僕にモニターの2人の声が聞こえてくる

 

『掴めないな。召喚獣か』

 

『じゃ、召喚獣なら掴めるな』

 

だがそんな粋な演出もまるで意に介せず、召喚獣を呼び出しその提灯を掴む須川君達。提灯を掴むゾンビ凄くシュールな光景だった

 

「な……なんかかなりシュールな光景ね」

 

「そ、そうですね。TVを見てるみたいですね」

 

落ち着きを取り戻した2人がやっと僕の関節を極めるのを止めてくれる。はぁ痛かった……

 

「兄貴~怖い」

 

「よしよし、ヴィータはお化けとか苦手だもんな」

 

子供をあやすようにヴィータさんの頭を撫でる龍也。相変わらず両手に花どころか花に埋もれてる感じだ

 

「……雄二。怖いから手を繋いで欲しい」

 

「黙れ翔子。お前はあの程度で怖がる女じゃないだろう? 叫び声もあげてないし」

 

「……怖くて声が出なかった」

 

「嘘付け。悲鳴を上げるタイミングが判らなかっただけだろう?」

 

手を掴もうとする霧島さんとそれを跳ね除ける雄二、2人の激しい争いの中秀吉が

 

「しかし、雄二よ。肝試しは男女ペアにするんじゃなかったの?」

 

そう尋ねられた雄二は

 

「大体そう言う風になるようにしてるんだが、やはりなFクラスの男子は一部を除いて人気が無くてな。女子に嫌われてるんだ、だから致し方なく男子男子のペアになってもらってる」

 

そうなんだ。まぁFクラスは男子のほうが多いしそうなるのは仕方ないか

 

『あーしかし神に勝利を捧げる為とはいえ。何でこの俺が須川なんかと』

 

『お前がモテないから悪いんだろうよ』

 

ぶつぶつと文句を言い合う2人は徐々にヒートアップして行き

 

『何だと須川! お前だって朝から20人くらいに声掛けて全滅してただろうが!』

 

『ち、違う! あれは別に断られたわけじゃない! タイミングが悪かったんだ!!』

 

『俺だってそうだ! タイミングが悪かっただけだ!!!』

 

その叫びで赤いラインを超えてしまった

 

「失格したやん。とんでもなく馬鹿な事して」

 

「耳が痛いな」

 

はやてさんの鋭い毒舌に顔を顰める雄二だが。次の朝倉君達は無事にチェックポイントまで辿り着き、召喚獣勝負にまで漕ぎ着けたが

 

「駄目でしょうね。Fクラスでは3年には勝てない」

 

ティアナさんの言葉通り、チェックポイントを護る3年生と朝倉君達が召喚獣を呼び出す

 

「Aクラス 近藤良文 科学 326点& Aクラス 大竹貴美子 科学263点」

 

かなりの高得点だ。対して僕達の2年生の点は

 

「Fクラス 朝倉正弘 科学59点 & Fクラス 有働住吉 科学……」

 

『『ぎゃああああッ!?』』

 

ああ!? 点数が表示される前にやられてる

 

「無能すぎて笑えますね。これだから馬鹿は嫌いです。ねえ? 皆さん?」

 

「そうよねー馬鹿な人は嫌かな?」

 

「聞きましたか? Fクラスの皆さん。まず女子にモテたいのなら学をつけなさい。馬鹿はモテませんよ?」

 

魔王ゆえのカリスマ性を充分に発揮するセッテさん。さすが魔王だけあり説得力のある言葉だ

 

「でもまあ。頭の良さだけが魅力じゃないと思うけどね」

 

「私も美波ちゃんと同じ意見です」

 

?何で2人をちらちらと見るの? 僕の後ろに誰か居る? 

 

「鈍感すぎるのもどうかと思うけどね」

 

「ええ。判りますとも美波」

 

何か意気投合してるけど。何がきっかけだろう?

 

「よし!これでチェックポイントまでの道のりは判った! あのチェックポイントを護る3年に勝てそうなペアはどんどん突入してくれ!」

 

雄二のその言葉に真っ先に反応したのは

 

「「「俺達に任せとけ!!!」」」

 

「お前らは対抗できる点じゃないだろ!?」

 

Fクラスの面々で龍也が呆れ顔で

 

「どうしてこうもFクラスは馬鹿なんだ?」

 

僕もそう思うよ……乗りと勢いで喋るのはどうかな? 皆……結局朝倉君達から7組のペアが突入し、何とか5組目のBクラスのペアが最初のチェックポイントを制覇した……

 

 

 

 

「はぁ。良かったです、これでBクラスには行かなくて良いんですよね。明久君」

 

「う、うん……そうだよ。姫路さん」

 

がっちりと明久の手を掴んで言う瑞希。怖いからかそれとも怖いと言う名目で明久の手を掴んでいる為か……私としては両方の可能性が高いと思いながら見ていると

 

先ほど3年生を撃破したペアがDクラスへと向かう。さて次はどんな仕掛けがあるのやら

 

「私は怖いから不参加にして欲しいんですけど」

 

「うーん。それは難しいかもね。一応これも授業だから」

 

珍しく明久が正論を言ってるなあ

 

「ううーん……」

 

「あっ、ユナとアザレアが起きたよ?」

 

気絶していた2人が漸く意識を取りもどす、ヴィヴィオは持って来たお菓子とぬいぐるみで恐怖を紛らわせているが、しっかりと私の服を掴んでいるので怖いと感じているのは明白だ

 

「この調子で皆さんが全部クリアしてくれると良いんですけどね」

 

怖いのが苦手だといっている瑞希に明久が

 

「はやてさん達も居るし。僕も頑張るから、ねっ美波」

 

「そ、そうね。アキ一緒に頑張りましょう」

 

美波が複雑そうな表情で頷く、自分も怖いのに瑞希を優先にする明久にやきもきしてるのだろう。

 

「まだリタイアの人数には余裕がある。何とかクリアして欲しいものだが……」

 

雄二がそう言いながらモニターを見ると

 

『怖かったらいつでも言えよ真美。俺が守ってやるから』

 

『うん、頼りにしてるよ。真一君』

 

ほう、仲が良いと思ったら彼氏彼女の関係か。見ていて微笑ましいね。

 

『『チッ!!』』

 

と思ったのは私だけだったようだ。A・B・C・D・Eの男子生徒が舌打ちする。だがFクラスの面々は舌打ちしない。うんうん少しは成長……

 

「坂本。次は俺に行かせろ、あのバカップル2人に本物の敵は2年に居ると教えてやるんだ」

 

「待てよ近藤、ここは【安心確実の仲間殺し】の異名を持つこの俺、武藤啓太に任せてもらう」

 

「いやいや。【逆恨み清算します】がキャッチコピーのこの俺、原田信孝が適任だ」

 

やれやれ全く学習しない連中だ。いい加減どうしてお前達がモテないのか気づけよな。私はそんな事を考えながら拳を握り締めて立ち上がる

 

「まぁ俺は好きにしろと言いたいが。どうもお前達はいっぺん説教の様だぞ?」

 

「「「え?」」」

 

驚き振り返る3人に

 

「昔からこういうだろう? 人の恋路を邪魔するのは馬に蹴られて死ねと。馬は居ないから私の拳で死ね」

 

私はそう言いはなってから馬鹿3人に拳を振り下ろした……いっぺんどうしてお前達がモテないのかFクラスの連中に教えてやらないと……私がそんな事を考えながら馬鹿を粛清しているとモニターから悲鳴が聞こえてきた……どうもまた前途多難のようだな……

 

 

 

第61問に続く

 

 

 

 




今回は2年生の肝試し編でした。次回は中篇です、それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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