バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。この5巻が終ると補習&肝試しと夏休み編ですよね。肝試し編と夏休み……うん、オリジナルの要素を突っ込む所が沢山ありますね。それに向けての話と勉強の話です。それでは今回もどうか宜しくお願いします



第51問

 

第51問

 

異世界ミッドチルダに存在する、機動六課では現在深刻すぎる問題が発生していた。それは歴戦の騎士であるシグナム達でさえ頭を悩ませる問題だった……

 

「お兄様……お兄様……お兄様……」

 

「あれどうしましょう?シグナムさん」

 

「どうしようもないな」

 

兄上のぬいぐるみを抱きしめ、ぶつぶつと呟いているリィン……寂しいのを我慢するのが限界になり少々壊れ始めている

 

「ふぎゃっ!?」

 

「わわ!アギトさん大丈夫ですか?」

 

何でも無い所転ぶアギト……手に持っていた書類があたりに散らばる。それを拾いながらキャロが

 

「やっぱりあれですか?お父さんに会えなくて寂しいとかですか?」

 

軽くそう尋ねられたアギトは

 

「ええ?いや……そんな事全然……ねえ……よ?」

 

「すいません。聞いた私が悪かったです」

 

ずーんと暗いオーラを背負いがっくりと項垂れるアギト

 

「そうさ……私はしっかり者だ……兄が……兄が……居なくたって……ちゃんと……ちゃんと……」

 

「本当すいません。変な事聞いて」

 

自分に言い聞かせるように呟くアギトも結構限界に来ている。融合騎であり見た目より長く生きている、アギトとリィンだが、結局の所まだ子供である。リィンとアギトは構って欲しくて遊んで欲しくて仕方ないのだ。しかしその肝心の甘える事の出来る兄上が居ない、それは確かにストレスとなり2人を追い詰めていた。私達がどうするか悩んでいると

 

「むきーッ!!ユナちゃん達はずるいです!!自分達だけお兄様に遊んで貰うなんて許されないです!!!ずるいし卑怯ですう!!!

 

「ああ!?リィンさんが壊れた!?シグナムさんどうしましょう!?」

 

ぶんぶんとぬいぐるみを振り回しているリィンを見て。エリオがそう尋ねてくるが

 

「対処法を考える少し待て」

 

「そんな事言ってる場合じゃないですよ!?魔法陣!魔法陣展開してますよ!?」

 

そう言われてリィンの背後を見ると確かにベルカ式の魔法陣が展開されている。術式はブラッディダガー!?やばい!この部屋が大破す!?

 

「アギトさん!?駄目です!!!紙ばっかのこの部屋で炎系の魔法は駄目ですよぉッ!!!」

 

「兄に会いたい、兄に会いたい……」

 

むううッ!?こっちも不味い!!無意識に術式を組んでるアギト。本気で不味いこの部屋だけではなく。その両隣を巻き込む大爆発が起きかねない。

 

「仕方ない!バインドで拘束するしか」

 

「何を騒いでいるんだお前達は?」

 

この部屋の騒ぎに気付いたリインフォースがやって来てそう尋ねてくる

 

「兄上に会えなくて暴走し始めてるんだ!バインドで拘束するから手伝ってくれ」

 

「そんな必要は無い。やっと申請していた書類が通ったんだ」

 

リインフォースは小脇に抱えた書類ケースから書類を取り出し

 

「リィンとアギトに兄上様の居る世界へ行く許可が下りたぞ」

 

その言葉にリィンとアギトは正気になり

 

「ほんとですか!?お兄様の所に行って良いんですか!!」

 

「兄の所に行って良いのか!?姉!!」

 

リインフォースに詰め寄りそう尋ねるリィンとアギトにリインフォースは

 

「ああ、しかし今すぐではない。もう少しすると兄上様が通っている学校が夏休みに入るそうだ。その時期に合わせて仕事と言う名目で行って良いと言う許可が下りた。リンディさんに感謝だな」

 

うんうんと頷くリインフォースの言葉を聞いた、リィンとアギトはパタパタとカレンダーの前に行き

 

「えーと……えーと。赤丸ですか?」

 

「花丸だ!花丸に決まってる!!!」

 

きゃっきゃっと騒ぎながらカレンダーにぐりぐりと丸を描いている、その姿を微笑ましいと思っていると

 

「ただな、シグナム。リィンとアギトを除くと兄上様の所に行けるのはあと1人なんだ」

 

「えっ?全員じゃないのか?」

 

「当たり前だろ?皆行ったら誰が六課の仕事をするんだ?」

 

それはそうだが……希望者が多数出るんじゃ……私がそんな事を考えているとリインフォースは

 

「希望者多数の場合……」

 

「希望者多数の場合は?」

 

「バトルロイヤルで決定される」

 

「何でバトルロイヤルなんだ!?」

 

っていうかAランク魔道師と騎士のバトルロイヤルなんて演習場大破決定じゃないか!

 

「一応上層部の決定だ」

 

「誰だ!?誰がそんなのを考案したんだ!?」

 

「リンディさんとクイントさんが主体だな」

 

「あのお騒がせコンビか!?」

 

六課を毎回荒らす竜巻のような2人組みなら、そう言う事を考えてもおかしくは無い

 

「ちなみメールで六課全員に参加希望者を募っている」

 

「もうそこまでしているのか!?あの2人は!!!」

 

「お前は参加しないのか?シグナム」

 

「むっぐう……参加する。兄上に会いたいのは私も同じだ」

 

そうだろうそうだろうと頷くリインフォースは

 

「開催は1週間後だ、作戦でも練っておくと良い」

 

「お前は参加しないのか?」

 

リインフォースにそう尋ねると

 

「ふっ、参加するに決まっているだろう?」

 

そう笑いリインフォースは部屋を出て行った

 

「兄上に会えるチャンスだ」

 

これは願っても無いチャンス、これを逃さぬ手は無い。高町とハラオウンが居ないので一番の強敵はスバルだろう、純粋な攻撃力なら兄上に匹敵するレベルまで上がっているからだ。だが作戦次第では勝ちは拾える……

 

(しかしそう一筋縄では行かない筈だ……しっかり作戦を練らないと)

 

私はそんな事を考えながら仕事部屋を後にした。残されたエリオとキャロは

 

「仕事するの僕達だけ?」

 

「がんばろ!エリオ君!ルーちゃんも呼ぶから!」

 

「うん」

 

この日、機動六課の大半の職員が職場放棄をした……今日も何だかんだで機動六課は平和だった

 

 

 

ゾクゥ……

 

いまだかつて無い寒気を感じ身震いをする、それに気付いた雄二が

 

「調子が悪いんなら帰っても良いぞ?」

 

「いや、問題ない。何か強烈な寒気がしただけだ。ところで美波、お前の家はここから近いのか?」

 

「ええ、もうちょっとよ」

 

私達は現在、雄二の家から美波の家へと移動していた。最初は雄二の家に行ったのだが流石にこの人数では手狭だった。どうするものかと考えている時に美波の親から電話があり。葉月が家に1人らしいと知った明久の提案で美波の家へ移動することになったのだ

 

「いやー昨日は明久の家で今日は雄二と美波の家かー何か面白い発見でもあるかな?」

 

「私は別に興味は無いんですけどね」

 

今日はヴィータでは無く。セッテが着いて来た、なんでもヴィータは今日はユナ達と遊ぶ約束してるからと言って早足で帰っていった。

流石は面倒見の良いお姉ちゃんだ。ヴィータも姉が板についてきたようだ

 

「ここよ、ちょっと待っててね」

 

美波が家の鍵を開け靴を脱ぎながら

 

「ただいまー、葉月居るー?

 

「おかえりなさい!お姉ちゃん!!」

 

トトトっと駆けて来る葉月に、リィンとかの姿を重ねて見てしまい微笑ましい気分で見ていたが。それは次の葉月の行動でその微笑ましい雰囲気は消え去った

 

「葉月ちゃん、こんにちは」

 

明久が顔を見せた瞬間、葉月が華が咲くような笑みで笑ったかと思うと、そのまま数歩下がった

 

「うん?葉月何してるの?」

 

美波の問いかけにも答えず葉月はそのまま勢いよく駆け出しながら

 

「馬鹿なお兄ちゃーんッ!!!」

 

明久の手前で跳躍し明久の鳩尾に頭から突っ込んだ

 

葉月の行動

 

突撃 威力 3500

 

「えっ?全力ダッシュ!?」

 

明久はその予想外の行動に完全に困惑し停止していた

 

明久の行動

 

行動不能

 

「ごふうっ!!!」

 

クリティカルヒットッ!!!!

 

明久 HP5800→800

 

明久の身体がくの字に折れる、それでも倒れないのは男の意地か……だがあの突撃には見覚えが合った。あれはユナ達たちが得意とする全力突撃に良く似ていた

 

「葉月?それは誰に教わった?」

 

「あっ!黒いコートのお兄ちゃんです!これはですねーコートのお兄ちゃんの妹さんに教えて貰いました!!」

 

すまない、明久そのダメージの半分はきっと私のせいだ。残りの半分はユナ達のせいだろう

 

「こんにちは、葉月ちゃん。お邪魔しますね」

 

葉月は明久に抱きついたまま瑞希達の姿を見て嬉しそうに笑う

 

葉月の行動

 

ヒーリング 威力 7500

 

明久の行動

 

行動不能

 

明久 HP800→5800

 

その華の咲くような笑みを見て明久の体力が回復している。こういう所もユナ達に似ている

 

「ほらほら、葉月何時までもアキに引っ付いてないの。皆が中に入れないでしょ?」

 

「はーい、馬鹿なお兄ちゃん!こっちにどうぞ!」

 

「っとと、そんなに引っ張らなくても大丈……ん?」

 

明久が葉月に引っ張られ廊下を歩く、その途中で開いている部屋を覗き込もうとした瞬間

 

「ちょっ!アキ何見てるの!!!」

 

美波の行動

 

覚醒→2回行動

 

「フリッカーか!?」

 

美波が腕を振るう、あの軌道は間違いなくフリッカージャブッ!?

 

美波の攻撃

 

フリッカー 威力2900

 

「あがっ!!」

 

パパパン!!!

 

軽い音を立てて明久を打ち据える美波の拳

 

明久の行動

 

行動不能

 

明久 HP5800→4200

 

追加効果 麻痺

 

「勝手に人の部屋見ないのッ!!!」

 

美波の行動

 

三連地獄突き 威力4500

 

「ふぐううッ!!!」

 

明久の行動

 

行動不能

 

明久 HP 4200→900

 

良いスピードと角度で命中した地獄突きで明久が蹲った瞬間

 

「いい!この部屋は絶対に入ったら駄目なんだからね!!!」

 

美波の行動

 

ガゼルパンチ 威力6500

 

沈み込んだ美波の拳が明久の肝臓を完全に打ち抜いた

 

「げほ!!!」

 

明久の行動

 

行動不能

 

明久 HP900→-4700

 

明久は蹲り、ピクリとも動かない……素晴らしいまでの連携攻撃だ

 

私が感心していると

 

「まったくお前らはなにやってるんだ?それでチビッ子。リビングはこっちか?」

 

「はいです!こっちです!!」

 

雄二がやれやれと言う素振りで蹲る。明久の襟を掴み引き摺って歩いて行く、私達は葉月と雄二に先導される形でリビングに向かった

 

「お姉ちゃん?テーブルで何をするんですか?トランプですか?」

 

明久の隣にちょこんと座りそう尋ねる葉月に美波は

 

「今日はね。皆でテスト勉強をするの」

 

「あう……お勉強ですか。……それじゃあ葉月はお部屋で大人しくしてるです」

 

寂しそうな声でそう呟いた葉月……私達の邪魔にならないようにと思ったのだろうが

 

「まぁ待て葉月、良かったら私達と一緒に勉強をしないかね?」

 

小さな子がそこまで気にする必要は無い。そもそも子供の特権と言うのは甘える事だと私は思う。だから甘えたい時には甘えれば良いそう言うものだと私は思う

 

「え?葉月も一緒にお勉強しても良いんですか?」

 

「勿論さ!」

 

明久が私が口を開く前にそう言う。どうやら明久も私と同じ考えだったらしい

 

「どうせ、1人に教えるのも2人に教えるもの同じだしな」

 

「雄二。それは僕が小学校5年生レベルって言いたいのかな?」

 

「違うのか?明久」

 

「龍也にはそんな事言われたくなかった!!」

 

よよよと崩れ落ちる明久の肩を葉月が叩く

 

「一緒にお勉強できて嬉しいです!!」

 

「葉月ちゃん……」

 

子供特有の純真爛漫の笑みに癒されている表情の明久

 

「それじゃあ、葉月はお勉強道具を持ってくるです!」

 

元気よく歩いて行く葉月を見ながら

 

「さてとテーブルが居るな……」

 

ごそごそとコートを探る

 

「えーと……あった、あった」

 

コートから折り畳みの机を引っ張り出すと

 

「龍也、そのコート一体何?」

 

秀吉が引き攣った顔で尋ねてくる、私は

 

「唯のコートだ」

 

「……普通はコートから机は出て来ない」

 

「確か……ジェイルが子供のような笑みで4次元コートだ!とか言ってた気がする」

 

「あの人本当に先生?どう見てもマッドだよ?」

 

「何を言ってるんです?お父さんはマッドですよ、前にロボットに変形するバイクとか、リボルバー型散弾銃とか作ってましたし」

 

セッテの言葉に皆が凍りつく……私達はもう慣れたがやはり普通の人の感覚ではおかしいのだろうか?

 

「……スカリエッティ先生が何かを作ってきたら気をつけよう」

 

「「「異議なし」」」

 

瑞希達が声を揃えてそう言ったが、次のセッテの言葉に瑞希達が多大な反応を示した

 

「後は豊胸剤とか痩せ薬とかも作ってましたね……ああ、後惚れ薬」

 

「セッテ、今度豊胸剤貰えないかしら?……出来るなら惚れ薬のほうが欲しいんだけど」

 

「是非私に痩せ薬を!……あっ!でも惚れ薬のほうが欲しいんですけど」

 

「私も出来たら豊胸剤を……惚れ薬でも良いけど」

 

恋する乙女は手段を選ばない……今度ジェイルに惚れ薬の解毒薬を用意させよう。そんな事を考えているうちに葉月が戻ってきて、勉強会が始まった……

 

 

 

 

 

2時間ほどワイワイとみんなで勉強し、美波が注文してくれたピザで空腹を満たし。僕達としては珍しく何の問題も無く時間が進んだ

 

「もうこんな時間か、そろそろお開きにするか」

 

「あっというまだったね」

 

秀吉が大きく伸びをしながら言う、今までの爺言葉では無く本来の口調の秀吉は、本当にどこから見ても女の子だ。どうして今まで気付かなかったんだろう

 

「いや、しかし龍也とセッテさんとはやて様の教え方は完璧だなあ」

 

「当然です、私は完璧でなければ意味が無いのです」

 

「んー唯の暇つぶしやから結構テキトーやったけどなあ」

 

「まぁクラスメイトだしな。協力は惜しまんさ」

 

からからと笑う龍也と興味無さそうなはやて様。そして当然と言う感じのセッテさん

 

「さてと後はまた今度にして。今日は帰ろうぜ」

 

「そうですね、美波ちゃん、今日はありがとうございました」

 

姫路さんと雄二が立ち上がりながら言う、僕もそろそろ……と思ったが立ち上がれずそのまま座り込む

 

「こっちこそありがと。ほら葉月。お礼を言いなさ……葉月?」

 

「すう……すう」

 

葉月ちゃんは猫の様に僕の膝の上で丸くなり寝息を立てていた

 

「もう、葉月ったら。アキ悪いけどそこのソファーで寝かしてくれる?」

 

「あ。うん……そうしたいんだけど……」

 

葉月ちゃんはしっかりと僕のシャツを掴んでいるので、帰れそうに無い

 

「こら、葉月起きなさい。アキが帰れないでしょ?」

 

「むう……帰っちゃいやです」

 

更に力強く僕のシャツを握り締めた

 

「葉月、あんまり我侭言うとお姉ちゃん怒るわよ」

 

「葉月は偶にしか馬鹿なお兄ちゃんに会えないです……だからもうちょっとだけこのままで」

 

寝ぼけてるからこそ聞けた葉月ちゃんの本音だった

 

「美波。もう少し僕ここで勉強して行っても良いかな?」

 

「え?」

 

「だな。明久は残るべきだよな」

 

「甘えたいんだろう、まだ子供だからな」

 

からからと笑う龍也と雄二の言葉を聞いた、美波は

 

「そ、それじゃあ。もう少しだけ葉月に付き合ってくれる?」

 

「うん。良いよ」

 

美波の許可も下りたしもう少しここで勉強していくとしよう

 

「あ、あの!それじゃあ私も!」

 

「え?姫路さんは駄目だよ。女の子なんだし……そうだな……1人じゃ危ないから雄二にでも送ってもらって早く帰らないと」

 

「でも心配なんです。イロイロと」

 

心配されるような事なんて無いと思うけど……

 

「ほれ、行くぞ姫路。明久は言い出したら聞かないからな諦めろ。ムッツリーニは秀吉を頼む」

 

「……引き受けた」

 

「私……一応護身術くらいは身に付けてるけどね?まぁ念のためにお願いするよ」

 

そう言って荷物を持つ秀吉達、だが姫路さんは

 

「でもやっぱり私も!」

 

「駄目だよ。姫路さん夜は危ないんだ。雄二あんまり遅くならないうちに姫路さんを家まで送ってあげて」

 

「判ってる。ほら行くぞ姫路。こうなると明久は考えを曲げないからな」

 

「うう……そんなあ……また美波ちゃんだけ良い思いを……」

 

がっくりと肩を落とし歩いて行く姫路さんを見ながら。僕は勉強を再開した

 

「そういえば、あのぬいぐるみってアキが買ってくれたんだよね?」

 

「ぬいぐるみ……?ああ、あのキツネのやつ?そうだけど?」

 

僕は観察処分者になるきっかけとも言える事件だったのでよく覚えていて、僕がそう答えると

 

「葉月が嬉しそうに教えてくれてね。すごく嬉しかったんだ」

 

「そうだよね。妹が自分のために頑張ってくれたんだもんね、嬉しくもなるよね」

 

僕がそう言うと美波は

 

「違うわよ、アキが買ってくれたってのが嬉しいの」

 

「え……ああ。そうなんだ」

 

美波のとても綺麗な笑みがすぐ隣にあって、なんだか落ち着かない

 

「好きな人からのプレゼントって言うのはそれだけも嬉しいんだから」

 

「えーと……僕のこと?」

 

「そうに決まってるでしょ?アキは鈍感なんだから」

 

くすくすと笑う美波、何時も結構酷い目に会っているけど……それでも僕は美波を嫌いにはなれない、そりゃ少し乱暴だけど……それでも優しい女の子だからだ

 

「でも出来たら今度はアキからの手渡しで何か欲しいなあ……なんて」

 

「えーと……何か考えとく」

 

そう言わざるを得ない甘い雰囲気に僕がそう言うと

 

「ん、楽しみにしてるわよ」

 

ううう……なんで僕こんなこと言っちゃたんだろ……僕が頭を抱えていると

 

「んにゅ!」

 

葉月ちゃんが寝返りを打って僕の膝から転がり下りる

 

「んい?むうう……むにゅむにゅ」

 

猫の様に顔を擦る葉月ちゃんを見ていると

 

「ん、葉月もアキのシャツを離したみたいね、気をつけて帰りなさいよ」

 

「あ、うん。判った、じゃあねまた明日」

 

「ん、また明日」

 

美波に見送られ僕は家へと向かって歩き出した……

 

 

 

 

歩いて行くアキの背中を見ながら

 

「もし葉月が居なかったらウチ。何しただろ?」

 

もしも葉月が居なかったら理性が飛んでいたかもしれない。そう思うほどウチの胸は高鳴っていた

 

「焦ったら駄目。落ち着いていかないと」

 

自分に言い聞かせるように呟く。恋の駆け引きはとても難しいものだ、焦って動いては全てが台無しになる。

 

「もう少しこのままで良いかな」

 

今のこの感じは嫌いではない。ウチが居て、瑞希が居て、秀吉が居る……皆でワイワイやるのは嫌いではない、まぁ秀吉は少しばかり気に食わないが……

 

「さてと……ウチも寝ますか」

 

ぐうーッと大きく背伸びをする。今日は良い夢が見れる気がする……

 

第52問に続く






今回は前半が「リリカルなのは」後半が「バカテス」でした。リリカルの内容で判ったと思いますが、夏休み編は「リィン」と「アギト」が参戦し、更にあと1人リリカルのキャラを出そうと思っていますが。リリカルのほうはアンケートで決めようかなと思っています誰が良いか?教えていただけると嬉しいです。ただ感想欄では不味いのでお手数ですが、メッセージか、活動報告の欄でお願いします。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします

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