バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、さて極ヤンデレの玲さんは動かし易くて良いですね。はやてさんと同じ感覚で使えるので私としては大助かりです、それでは今回も混沌なお話ですが。どうかよろしくお願いします!



第47問

 

第47問

 

「雄二の家に泊めて貰えないかな。ちょっと今日は家に帰りたくないんだ、っとこれでOKと」

 

学校に向かいながら雄二にメールを送る。これで何とか減点は最小限に抑えられるだろう。そんな事を考えながら学校に続く坂道を登っていると

 

「明久!」

 

「あ、おはよう秀吉」

 

小走りに走ってくる秀吉に挨拶を返す、もうこの女子の制服にも見慣れたが。本当に良く似合っていてとても可愛い

 

「うん?」

 

秀吉が僕の顔を覗き込み、ゆっくりと観察するような素振りを見せる

 

「な、何かな?僕の顔に何か付いてる?」

 

そう尋ねると秀吉は

 

「明久、今日のお前は何か何時もと違うと思ってね…顔色も良いし、珍しく朝食でも摂れたの?」

 

す、鋭い……

 

「何で何時もと違うって判るの?」

 

「そりゃいつも見てるからね」

 

……何時から秀吉は僕の事を異性として意識してくれたんだろうか?ここまで一瞬で見破られると。何時からそうい相手として認識してくれていたか気になる

 

「そ、そうなんだ…まぁたまには僕だってちゃんと朝ご飯食べないと死んじゃうし」

 

「ふふ、そう言うことなら偶には私に連絡をくれれば。朝ご飯くらい作りに行ってあげるよ?」

 

そう笑う秀吉はとても魅力的で可愛かったが。もし今秀吉がくれば僕の自由気ままの1人暮らしは即終了

 

「はは……気持だけ貰っておくね」

 

そう返事をするのが精一杯だった…だがその返答は秀吉には面白くなかったらしく

 

「なんじゃ?その空返事は?ワシの気持ちは迷惑とでも言いたいのかのう?」

 

最近判った事だが、秀吉は怒ると元の爺口調に戻る。なので凄く怒っているのが判る

 

「いや!ほら朝は忙しいだろうし、秀吉に迷惑を掛けたらいけないし!」

 

「迷惑でも何でもないんじゃがの?」

 

「それにほら、僕の家は秀吉の家から遠いし!」

 

「自転車があるからの、気にしないで良いぞ?」

 

ぐう……このままでは秀吉に論破される!この状況を打破する手段は何かないのか!僕が焦っていると天の助けが舞い降りた

 

「ん?なにしてるんだ?明久。秀吉」

 

のんびりとした声に振り返り僕は呆れながら

 

「その台詞そっくりそのまま返すよ龍也」

 

「?どこかおかしいか?」

 

「おかしいとこだらけじゃ……どうしてそうなってるんじゃ?」

 

現在の龍也、背中はやて様。右隣ヴィータ様。左隣セッテ様。斜め右なのは様。斜め左フェイト様。なのは様とフェイト様の中間ティアナ様という状況……もう両手に花所か花に埋もれているとしか言いようがない状況だ。しかしその全てに毒があるのが龍也にとっての悲劇だろう

 

「ふむ、はやてがまず背中に飛び乗って、後はなしくずしてきにこんな状況になった」

 

背中に3人も背負ってるのに平然としてる龍也の体力は一体どうなっているんだろうか?

 

「凄いのう……背中に3人もいて重くないのかのう?」

 

「鍛えてますから」

 

ぐっと親指を立てる龍也。一体どんな鍛え方をしてるんだろうか……しかしこれは大きなチャンスだった

 

「秀吉!僕先に行くから!!」

 

「あ、待て明久!話はまだ済んでないぞ!!」

 

秀吉が龍也に注意を引かれている間に全力で坂を駆け上る

 

「ん?明久は何を急いでいるんだ?」

 

「……むうう……龍也のせいじゃ!!龍也のせいで明久を逃がしてしまってではないか!!」

 

「ああん!何兄ちゃんのせいにしてるんや。自分で追いかけたら良いやろ?」

 

「その通りです、木下秀吉、欲しい者は己の行動で手にすべきです」

 

のんびりとした龍也の声と若干苛立ちの混じった声で怒鳴る秀吉の声に、明らかに不機嫌そうなはやて様達の声を背に僕は一気に坂を駆け登って行った……

 

「おはよー……あれ?雄二なんで今日はズボンが体育のハーフパンツなの?」

 

教室に入るなりハーフパンツ姿で不機嫌そうな雄二が目に入りそう尋ねると

 

「お前のせいだ!!お前のせいで俺は下半身超クールビズ仕様で登校する羽目に……ええい!!貴様のズボンを寄越せえええ!!」

 

行き成り拳を振るってくる雄二。その拳を鞄を使いながら防ぎ

 

「行き成りなに!?何があったのか詳しく説明してよ!!」

 

「黙れ!死ね!!貴様のズボンを寄越せえええ!!」

 

鬼気迫る表情の雄二とは会話にならない。どうしたものかと考えていると

 

『おい、知ってるか?坂本の話』

 

『ああ。なんでも裸Yシャツで登校してきたらしいな』

 

『まったく、流石としか言いようがないな……最近色々と驚く事が多いが……今回は流石に度肝を抜かれたぜ……』

 

聞こえてきたのはクラスメイト達のそんな会話

 

「……」

 

「……」

 

こういう時、友人として何を言えば良いのだろう?暫く考えてから

 

「雄二……何か辛い事があったのなら相談に乗るよ?」

 

よく話し合えば分かり合えるはずだ……友人として雄二の悩みを聞く。それが正解の筈だ

 

「ち、違う!!俺は自らそんな格好になった訳じゃない!!後トランクスは死守したからギリギリセーフな筈だ!!」

 

何か嫌な事でも思い出したのか。青い顔でいう雄二の肩に手を置き

 

「うんうん。そうだね。辛い事があって精神がギリギリの所まで行っちゃったんだよね?」

 

「そんな憐れな者を見るような目で俺を見るな!!大体貴様の送ってきたメールのせいだ!!」

 

「僕のメールの所為だってそんなわけあるわけがないじゃないか。きっと他に何か原因があったんだよ」

 

きっと聖典「エロ本」肖像画「生写真」美術品「エロDVD」のいずれかが原因のはずだ

 

「いや、お前のメールはかなり際どかったと思うんだが?」

 

際どいって……そんなおかしいメールじゃなかったと思うんだけどな?……しかしこの雄二の発言の所為で僕にも飛び火が降りかかった

 

「際どいメール?……坂本君。詳しく教えてくれませんか?……事と次第によってはお話しないといけません」

 

ノオオオオオッ!!!!

 

魔王モードの姫路さんだ!!やばいやばい!!雄二が変な事を言えば僕は即座に三途の川行きだ……僕が冷や汗を流していると

 

「ああ、良いぜ教えてやる」

 

雄二はそう言うとポケットから携帯を取り出し

 

「一字一句完全に読み上げてやる。そして貴様は死ね!明久!!」

 

雄二はそう言うと大声でメールの内容を読み上げた。

 

「雄二の家に泊めて貰えないかな。ちょっと今日は家に帰りたくないんだ!!これが貴様の送ってきたメールのないようだ!!何を考えてこんなメールを送ってきやがった!?この馬鹿野郎が!!」

 

そしてその直後、僕の両足は地面からサヨナラを告げていた……

 

「そう……昨日のメールの内容を無視して。坂本にそんなメールを送ってたのね……少しお話してあげるわ。アキ」

 

血も凍るような美波の静かな声が聞こえたと思った瞬間。僕は頭を掴まれ吊り上げられていた……

 

「あの……弁明を聞いて貰えますか?」

 

僕の言葉に対する美波の返答は

 

「……」

 

「ぬあああああッ!!!無言で力を増すって!!痛たたたたッ!!」

 

頭蓋骨がミシミシと乾いた音を立てている。こうなったら姫路さんと秀吉に助けを……

 

「「……」」

 

いやあああああ!?!?2人とも魔王モードになってるううう!?光の消えた瞳が死ぬほど恐ろしい

 

「さて、逝きましょうかアキ?」

 

「お願い!!話を!弁明の機会おおおおおッ!!!!」

 

僕はそのまま暗がりにへと引きずりこまれていった……結局僕に待っていたのは死亡フラグだったようだ……

 

 

 

 

「明久。保健室に行くべきではないのか?」

 

お昼休みになったタイミングでそう尋ねる。

 

「は……はは。平気さ……僕には今勉強が必要なんだ」

 

青い顔でそう言う明久。服についてる赤い物はトマトジュースだと信じたい……

 

「いや、お前が今更勉強しても駄目だろ?」

 

「ヴィータに同意や。もう手遅れやろ。あんたの場合」

 

はやてとヴィータにきつい事を言われた明久は

 

「ははは……きっついなぁ。でも僕にだってやれば出来ると思うんだ」

 

「へこたれないとはまた珍しい。一体何があったんです?馬鹿」

 

明久の呼称が馬鹿になってる……セッテ、せめて名前で呼んでやれよ

 

「あははは……何でもないよ、さてとお昼食べないと」

 

鞄から明久が弁当箱を取り出そうとしたところで

 

「明久。今日はたまたま早起きをしてな、弁当を作ったんだけど……一緒にどう?」

 

「明久君。私もお弁当を作ってきたんです。一緒に食べましょう」

 

「アキ。偶にはちゃんと栄養のある物を食べないと死んじゃうわよ。一緒にお弁当にしましょう」

 

空気が凍りつく……睨み合う。美波・瑞希・秀吉の3人……巻き込まれるのを嫌った雄二と康太は

 

「……伝染する魔王化現象」

 

「俺も他人事じゃないんだよな……翔子にも魔王化の影響が出てるし」

 

ぼそぼそと呟きながら背中を丸めていた……生命の危機を敏感に感じるようになってきたようだ

 

「いや……今日は自分で作ってきたから……」

 

「ワシの弁当は食べられんというのか?」

 

「明久君……最近はちゃんと作れてるんですよ?……ですから……私のを見てそう言うのは止めて欲しいんですけど」

 

「……」

 

無言で拳を握り締める美波と怒りながらも話し合いをしようとする。瑞希と秀吉の温度差が凄い

 

「うーん。実力行使も正解やよね?」

 

「いや、私はそうは思わんが……」

 

はやての悪影響が凄い……康太の言葉ではないが。魔王化は伝染するというのは本当のようだ。

 

「……いや……悪いんだけど僕にも事情が……」

 

うん?これは珍しい。極貧生活の明久なら喜んで食べると思ったのだが……魔王を3人前にしても断ろうとする明久

 

「「「………」」」

 

しかしそれは魔王化状態の瑞希達を刺激する結果となっている。纏う闇色のオーラの色が増してきている。このままでは食事時には相応しくない光景が待っているだろう

 

「ははは。見てる分には面白いな」

 

雄二がのほほんと笑っているが。お前もそんな事をやってる余裕はないはずだ、気付いてないのなら教えてやるとしよう

 

「雄二。後ろに翔子が居るぞ?」

 

「なにい!?」

 

慌てて雄二が振り返る、そしてその顔が凄まじい勢いで青褪める

 

「……雄二。吉井からのメールには返答した?」

 

魔王化状態の翔子の冷たい囁き声……雄二は

 

「……」

 

恐怖のあまり硬直という選択肢を取ってしまった、しかしその選択肢は間違いとしか言いようがない

 

「……そう。やっぱり雄二にはお仕置きが必要……だから大人しく私にトランクスを頂戴」

 

冷気を撒き散らしながら雄二に手を伸ばす翔子……

 

「嫌に決まってるだろうが!!」

 

フリーズから再起動した雄二が全力で走り出す、それと同じタイミングで

 

「それじゃあ!お昼の後で!!」

 

魔王の視線に耐え切れなかった明久が雄二の後を追って走り出す

 

「「「「逃がさない!!」」」」

 

そしてそれを追走していく美波達。私はそれを見ながら

 

「お昼休みが終るまでに明久たちが戻ってこれると良いな」

 

逃げ切るか・魔王達に捕まるかという選択肢しかない。明久達の無事を祈りつつ

 

「康太も一緒に食うか?」

 

「……龍也はマイペースだな」

 

肩を竦めながら歩いてくる。康太もマイペースだと思ったのは私だけではないだろう……はやて達と昼食を食べ始めてから30分ほど経った所で

 

「「ギャアアアアアアッ!!!!」」

 

雄二と明久の悲鳴が響き渡った

 

「龍也さん。あの2人大丈夫ですかね?」

 

「大丈夫でしょう?馬鹿なのですぐに回復しますよ」

 

「うん。私もそう思うよ」

 

「……龍也も結構酷な事をさらりと言う」

 

そんな会話をしつつ、私達の昼休みは終わった……

 

 

 

 

ひ……酷い目に会った。暫くは美波と姫路さんと秀吉のエガオを夢で見そうだ。勿論悪夢として……普段ならこのまま家に帰りたいが

今家にはとんでもない姉がいるし、期末テスト対策もしたい

 

「雄二。ちょっと良いかな?」

 

「ん?何だ明久」

 

帰り支度を止めて尋ねてくる雄二に

 

「今日なんだけどさ、雄二の家に泊めてくれない?それで期末テストの勉強を教えて欲しいんだ」

 

僕がそう言うと教室がざわめいた

 

「馬鹿が進んで勉強を?……天変地異の予兆ですかね?」

 

「兄貴。早く帰ったほうが良いと思うぜ。雨が降るぞ雨が」

 

「うん。私もそう思うで」

 

「……いや、その評価は酷すぎないか?明久だって勉強位するだろ?」

 

はやて様達の発言に軽く傷付いていると

 

「勉強を教えて欲しいだと?……やれやれお前はまだ7の段が覚えられないのか?」

 

「違う!誰も九九の暗記に不安があるなんて言ってない!分数の掛け算だって出来るからね!」

 

「ああ。じゃあこれか。三角形の面積の求め方か?」

 

ああ!!もうそれくらい判ってる!!

 

「(底辺)×(高さ)=(三角形の面積)!いい加減僕を馬鹿扱いするのは止めなさい!!」

 

僕がそう言うと龍也が僕の肩を叩き

 

「明久?……2で割るのを忘れてるぞ?」

 

「……えっ?……い、今のは勢いで言ったからで……普段はちゃんと解けるんだ!」

 

僕が慌ててそう言うと龍也はうんうんと頷き

 

「大丈夫そう言う事にしておいてやるから」

 

「龍也にまで馬鹿扱いされた!!」

 

龍也から見るとそりゃ僕は馬鹿だけど。この出来の悪い弟を見るような目は止めて欲しい

 

「どうしたの明久?熱でもあるの?……それとも何か特別な理由でもあるの?」

 

そう尋ねてくる秀吉に

 

「いや、さっき雄二が言ってたじゃないか。「試験召喚システムのデータがリセットされる」とか「期末テストの結果が悪いと夏期講習がある」とか。僕もそろそろ木刀じゃなくてちゃんとした装備が欲しいし、夏休みも満喫したいし頑張ろうかなって思ってさ」

 

「……明久らしくない」

 

「そうね。アキがその程度で勉強をするなんて思えないわね」

 

近付いてきた美波とムッツリーニにそんな事を言われる。2人の中で僕は一体どんな評価を受けているのだろう……僕が首を傾げていると雄二が

 

「まぁ勉強くらい教えてやるが。その代わりお前の家でだぞ?」

 

「って僕の家は駄目だよ!!あっ!龍也の家でやろうよ!」

 

龍也を指差して言うと龍也は

 

「あーすまんが無理だ。ジェイルが変な機械を作ってそれが爆発したせいで。リビングとかが崩壊してるから」

 

博士……なにやってるんですか……あの人は頭良いけどやっぱマッドだったんだ……今日見ないなって思ってたけど。事故のせいで怪我をしたせいなのかもしれない

 

「んじゃ。明久の家で決まりだな」

 

「待って!僕の家は駄目だよ!!今日は都合が悪いんだ!!」

 

あの姉を皆に見せるわけには。僕が慌てて言うと

 

「駄目な理由でもあるん?」

 

何か面白いものを見つけたと言う表情のはやて様に

 

「い、家の鍵を落しちゃって」

 

「管理人に言えば良いやろ?」

 

「じゃなくて家が火事で……」

 

「火事にあったのに弁当を作ってYシャツにアイロンをかけてきたんか?」

 

ぐううう……はやて様の冷静な切り返しに対応できない

 

「判ったよ。今日は大人しく家に帰るよ」

 

鞄を担いで皆から背を向けようとしたところで

 

「待てよ明久。何をそこまで隠そうとしてるんだ?」

 

ヴィータ様に肩を掴まれる。にやにやと面白いものを見つけたと言う表情をしている

 

「うえっ!?何も隠してないよ!」

 

手を振り解こうとするが、凄まじい握力で振り解くなんて真似は出来そうにない

 

「何があるのか判らんが……この馬鹿がそこまで隠そうとするものには興味あるな。うし。確認しに行って見るか」

 

雄二が笑いながらそう言う……えええ不味い!不味いって

 

「雄二駄目って言ってるじゃないか!」

 

「そうね。アキの新しい一面が見えるかも」

 

「興味ありますね」

 

「うむ、面白そうだから私も行こう」

 

ええええ!?龍也が来るってことは皆来るじゃないか!なにか、なにか駄目な理由を僕が必死に考えて居ると

 

「よし、意見もまとまったし。明久の家に行くか」

 

「龍也!?猫の様に僕を掴むのは止めてくれ!」

 

襟をつかまれ持ち上げられる。しまったもう逃げる事が出来ないじゃないか!

 

「おーッ!」

 

「やめてーッ!!」

 

もう皆行く気満々と言う表情をしていて。止めることは出来そうに無い……もう僕に出来ることは家に姉さんがいない事を願うだけだった

 

第48問に続く

 

 




次回は玲さんとはやて・ヴィータの邂逅になります。もう混沌な流れになるのは決定ですね。出来るだけ面白い流れにしたいと思います
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

PS フェイトのアンケートや龍也さんの決め台詞募集に参加してくださった方から。現在番外編のリクエストを募集しています
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