バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回はオリジナルの話にしたいと思います、それでは今回もどうかよろしくお願いします


第44問

 

 

第44問

 

「随分ご機嫌そうじゃのう、姉上」

 

家に帰るなり不機嫌そうな秀吉に出迎えられる

 

「まぁね。だって龍也君と一緒の教室で勉強できるのは中々に楽しいわ」

 

素直に機嫌が良い理由を言う。今回の覗き騒動に女子側で参戦していた龍也君は、停学処分にならず、登校しているが、7人の為にFクラスに先生を振るのは時間の無駄という事でAクラスに混じって龍也君達は勉強している、魔王様達のせいであんまり話す事は出来ないが。同じクラスと言うのは中々に考え深い物がある

 

「そうか…それは良かったのう…」

 

「あんた喧嘩売ってるの?」

 

不機嫌その物の表情の秀吉にそう言うと

 

「だって…明久に会えないのはつまらない」

 

「素が出てるわよ、あんた」

 

地声である私と同じ声になり、爺言葉を使うのを止めた秀吉にそう言うと

 

「家だから良いもん」

 

「…子供化までしてるわよ」

 

口調まで変わり始めている事を指摘すると

 

「うーうー!!明久ー」

 

バタバタと足を動かす秀吉…もう完全に意中の相手に会えず禁断症状を起こしてる少女にしか見えない。まぁそもそも秀吉は女なのだが…

 

「…もう男装止めたら?」

 

「それはできん相談じゃ」

 

即座に爺言葉に戻し即答する秀吉。恋しつつもこうも切り替えが上手な秀吉には正直尊敬の念もあるが…ここは

 

「でもさ、知ってる?島田さんと姫路さん。吉井君の家にプリントとか持って行ってるらしいわよ?」

 

「!!!…肉食獣が明久の家に!?」

 

肉食獣とはひどい言い方だ、だが実際あたしもそう思う。あれはもう清純派ヒロインではなく、捕食者に近い境界線まで行ってしまっている

 

「危険だよ…明久が食べれちゃう…」

 

「また素が出てるわよ?」

 

完全に女口調に戻ってしまった秀吉にそう言うと

 

「こうしてられない!見に行かないと!!」

 

「だから、女口調になってるって」

 

「もうキャラ設定とかしてる場合じゃないの!明久が食べられる前に助ける義務が私にはあるの!」

 

慌てている秀吉はこうしてられないと言うと、バタバタと部屋に駆け込んでいく

 

「…効果は抜群ね」

 

予想以上の反応だ。あたしが驚いていると

 

「姉上少し出かけてくる!」

 

「ちょっ!それあたしのワンピース!」

 

白いワンピース姿の秀吉にそう怒鳴ると

 

「胸元が苦しいけど借りるから!」

 

「あんたは喧嘩売ってるのか!!」

 

胸元が苦しいって…よりによってそれを言うとは

 

「それじゃあ!夕ご飯は適当に自分で用意して!」

 

「ちょっ!あたし料理できないわよ!?」

 

あたしの叫びを無視して秀吉はそのまま出て行ってしまった…ぽつーんと残されたあたしは

 

「…レトルトでも買って来ようかしら」

 

夜には帰ってくるだろうが、食事の準備は当然無理だ。つまりあたしが何か用意しないといけない

 

「…やっぱ料理の勉強はすべきね」

 

はぁっ…と溜め息を吐きあたしは財布を持って出掛けて行った…

 

 

 

 

「じゃあね、アキ。手紙ちゃんと渡したから」

 

「ありがと、美波。これで1つ謎が解けたよ」

 

今日美波が家に来た、一瞬何事かと思ったが、尋ねてきた理由は清水さんの脅迫文に対しての謝罪文を届けに来てくれたとの事だった

 

「それと、折角の放課後にここまで来て上げたんだから。今度何か埋め合わせをすること。良いわね?」

 

ビッと僕の顔を指差した美波に

 

「あ…うん、判ってる。何か奢る」

 

僕がそう言うと美波は

 

「別の何かでも良いけどね?」

 

ふふと笑う美波だが。目が全く笑ってない…正直超怖い。はやて様のようなプレッシャーを感じる。僕が身震いしていると美波は

 

「今のところは冗談よ。じゃあね、アキ」

 

ちょんと僕の鼻を押して、ウィンクしてから美波は帰って行ったのだが…

 

「今の所って言ったよね?…じゃあ…止めよう考えるのが怖い」

 

もし美波の考え方が変わったら?と考えると怖いので考える事を放棄して。自分の部屋に戻ると

 

ピンポーン

 

「ん?忘れ物かな?」

 

美波が忘れ物をしたのかな?と思い玄関に向い

 

「はーい…どち…優子さん?」

 

玄関にいたのは白いワンピース姿の木下優子さん?だった

 

「むっ…ワシじゃ」

 

「ひ、秀吉!?な、なななななんで?女の子の格好を!?」

 

僕が驚きそう尋ねると

 

「む…まあその色々理由があるんじゃが。とりあえず上がってもいいかの?」

 

「あっ、ごめん。どうぞ」

 

玄関で話しっぱなしと言うのもおかしい。秀吉を家の中に招き入れる

 

「お茶でいいよね?」

 

「うむ」

 

麦茶をいれ秀吉の前に置く…

 

(可愛いな…)

 

白いワンピースを着込み、髪を弄る秀吉はなんと言うか凄く可愛かった

 

「明久…そうじっと見られると落ち着かないんじゃが?」

 

「あっ…ご、ごめん」

 

どうやら相当凝視していたようで、落ち着かない様子でそう言う秀吉に謝ってから

 

「そうそう!さっきね美波が来てね。脅迫犯がわかったんだ」

 

これがきっかけで覗き騒動になったので、秀吉を安心させようとそう言うと

 

「島田が…来ておったのか?」

 

ひい!?何か怒ってる!

 

目が据わっている秀吉が妙に怖くて目を逸らすと

 

「何故目を逸らす?やましい事でもあるのかのう?」

 

回り込まれる…笑っては居るがなんと言う迫力だ。僕の本能が逆らってはいけないと告げている

 

「別に何も無いよ!ただ今度何か埋め合わせをしろって言われただけ」

 

「埋め合わせねえ…なんで明久が埋め合わせをする必要があるんじゃ?」

 

ノオオオオ!!怖い!怖いよ!!秀吉の目が超怖い!!誰か助けてーッ!!

 

「まぁ、良いがの…明久が誰と仲良くなろうがワシには関係ないことじゃ」

 

「いや、全然良さそうって感じじゃないけど?」

 

目が怖いし、雰囲気が何より刺々しい…とんでもなく不機嫌そうだ

 

「えっと…」

 

「なんじゃ?」

 

……話題が無い!、ど、どどど…どうしよう?

 

僕が秀吉の雰囲気に困り果てていると

 

「ぷっ…ははは。どうしたんじゃ?明久、まるで浮気がばれたような夫の様な反応じゃぞ?」

 

からからと笑う秀吉…まさか…

 

「今の…怒ってた振り?」

 

きっと怒ってた振りだ、そう思い尋ねると秀吉は

 

「うんや。8割方は本気じゃ」

 

…怒ってたんだ!?でもなんで…暫く考え込み。1つの結論が出る

 

「まさか…秀吉ってさ…女の子だったりする?」

 

冗談で言ったのだが…

 

「……サッ…」

 

「無言で目を逸らすって何!?えっ!えっ?まさか…本当に!?」

 

僕がそう尋ねると秀吉はそっぽを向いたまま。コクリと頷いた…

 

「嘘…?」

 

「嘘とは何だ。嘘とは…ワシは…私はちゃんとれっきとした女だよ」

 

声のトーンが変わる…優子さんと全く同じ声に目を見開くと

 

「双子だからね。声も殆ど一緒なの」

 

そりゃ…そうだって聞いたことあるけど…

 

「えっ?な。なんで男の振りを?」

 

「家庭の事情ってやつかな?まぁいつかはばれる事だけどね」

 

完全な女口調に秀吉に驚く…男にしては可愛いと思ってたけど…まさか本当に女の子だったとは…いままでずっと男だと思ってたのに…

正直脳の処理が追いつかない

 

 

「まぁそう言うわけだから…まあ島田とは何とも無かったようだからもう帰るね」

 

すっと立ち上がった秀吉に

 

「え…と…本当に女の子なんだよね?」

 

「疑ってるの?…まぁ信じにくいけど本当だよ。証拠は…うーん…胸触ってみる?」

 

ブンブン!!!

 

慌てて首を振ると秀吉はくすっと笑い

 

「冗談だよ、冗談…そう簡単に触れさせたりしないんだから」

 

くすくすと笑う秀吉は…確かに女の子にしか見えなかった…

 

「で、でもなんで僕にそんな事を?」

 

隠してた筈だ…それを何で僕に教えてくれたのか判らず尋ねると。秀吉は悪戯っぽく笑いながら僕の鼻を押して

 

「それは勿論、明久が好きだからって言ったら?」

 

「えっ…ええ?」

 

僕が驚き素っ頓狂な声を出すと

 

「ふふ…まぁ。それは明久の判断に任せるけどね?…それじゃあの。また学校で」

 

何時もの口調と声のトーンを代え玄関に向かって行く秀吉…僕は呆然とその背中を見送る事しか出来なかった…

 

 

 

 

やりすぎたかの…

 

ワシは帰り道でそんな事を考えていた…明久が島田達と一緒かもしれない、それを聞いただけで家を飛び出したが。正直自分でもなんであんな真似をしたのか判らなかった

 

(むうううう…とにかく、島田と明久を近づけてはいかん。それだけしか考えて無かったしな)

 

しかし…女だといったのは失敗だった。明久に言われ、動揺してしまい思わず言ってしまったがそれは今思えば失敗だった

 

(むうう…どうしたものか…)

 

明久は隠し事が苦手、絶対何処かで墓穴を掘る…

 

(これはそろそろ、女子として動くべきか…)

 

そもそも女子と男子が同じ行動をするのにも限度がある。体力や腕力的にはもう男子には勝てないレベルになっている。ワシの事情を知る教師からは既にもう女子の制服が渡されており、早い内に本当の事を言った方が良いと進められている

 

(ふーむ…明久に言ってしまった以上、ばれるのは時間の問題…ならば…)

 

人に言わればれるよりかは自分手言った方が楽と言うもの…

 

(停学が終ったら女子の制服で通うかの…)

 

もうどうせばれるし、ならば女子のほうが良い…だって…

 

(それなら明久ともっと仲良くなれるかも…)

 

魔王化してる二人は怖いが、それでも私は明久が好きだ…馬鹿だけど、思いやりがあって優しい明久が大好きだ。だから何時までも男の格好をしてるわけにはいかない…このままでは明久が捕食されるかもしれない、それは嫌だ

 

(ふふ…考え方が変わるまでか…恋とは恐ろしい)

 

卒業するまでは男の振りをするつもりだった…だがその考え方が変わるまで、私は恋をしてしまった…

 

(魔王にも負けたくない…)

 

大体あの2人のやり方は気に食わない、恐怖と痛みで自分達好みにするなんて、同じ女としてその考え方は認めたくない

 

(つまらない対抗心だけど…それで良い)

 

明久は今の天然具合が良いのだ。それが変わってしまうのは正直嫌だ…

 

(まだまだ勝負は始まったばかり…絶対に負けないんだから)

 

今まで感じていた、皆を騙していたと言う罪悪感が無くなった。私の足取りは非常に軽いものだった…

 

 

第45問に続く

 

 




えーと。明久が秀吉が女だと知りました、今回はそれだけがしたかったわけです。そして停学解除後は、魔王と敵対するわけですね
まさしくカオス、それこそが私の領域です。次回はなんにしましょうかね…龍也さんの話でもやりましょうか…それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします!!

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