バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回も混沌な内容です!それでは今回もどうかよろしくお願いします



第42問

 

第42問

 

散らかった部屋の掃除を終えたところで

 

コンコン

 

控え目なノック音がする

 

「はーい」

 

返事をしながら扉を開け

 

「いらしゃい姫路さん。廊下で鉄人に絡まれなかった?」

 

そう尋ねると姫路さんは

 

「西村先生は居ましたけど。美波ちゃんに教わった地獄突きで突破しました」

 

…今の発言は忘れよう。主に僕の精神衛生上の為に

 

「ところで明久君はどうして浴衣姿なんですか?」

 

「これ?部屋にあったから着てみたんだけど。似合う?」

 

そう尋ねると姫路さんは

 

「はい、とっても似合ってます!今すぐ襲い掛かりたいくらいに」

 

「襲い…掛かる?」

 

その発言が信じられず尋ね返すと

 

「あ…今の忘れてください。ちょっと口が滑っただけですから」

 

口が滑ったという事は本音と言うことなのだろうか?だが怖くて聞けない

 

「姫路良く来てくれたな。早速だがプレゼントだ」

 

「浴衣…ですか?ありがとうございます。所で話って何ですか?」

 

突然渡された浴衣を受け取りながら尋ねる姫路さんに

 

「話って言うかお願いがあるんだ」

 

「お願いですか?何です」

 

無垢(通常時限定)な姫路さんを騙すようで気が引けるが

 

「うん。実はね?その浴衣を着た姫路さんの写真を撮らせて欲しいんだ」

 

「え…?浴衣の写真ですか?」

 

目をパチパチを瞬かせている姫路さん…えっと…なんて説明すれば良いんだろう…覗きの協力者を増やす為じゃ駄目だよね?僕が考え込んでいると

 

「…明久君と一緒なら、良いですよ?」

 

姫路さんが条件付で承諾してくれた、1人で写るのが嫌だったのか。それは盲点だった

 

「それくらいお安いご用さ!僕も秀吉も一緒に写るから」

 

「木下君が一緒なら嫌です。帰ります」

 

えええ!?なんで?僕が一緒でセーフなのに、なんで秀吉が一緒だとアウトなの!?訳が判らないよ

 

「まぁ待て姫路。秀吉も一緒で写真に写る事を承諾してくれるなら。良い物をやろう」

 

雄二が姫路さんに何かを見せる、残念ながら僕の角度からは見えない…一体何を見せているんだ?仕方ない姫路さんのリアクションから推測しよう

 

「そ…それは!?」

 

バッ!素早く鼻を押える姫路さん

 

「待って!?顔を真っ赤にして鼻を押えるって一体何を見てるんだ!?姫路さん!」

 

雄二が見せているものを確かめなければ、

 

「ムッツリーニ。明久を止めろ」

 

「…了解」

 

後ろからムッツリーニに羽交い絞めにされる、くっこうなったら

 

「秀吉!雄二が姫路さんに見せてる物を取り上げてくれ…何をしてるの秀吉?」

 

ごそごそとタオルに何かを包んでいる秀吉にそう尋ねると

 

「あ…いや…これは何でもないんじゃ、気にしないで良い」

 

「いや…顔を真っ赤にされて言われても説得力がないんだけど…」

 

姫路さんに劣らないくらい真っ赤の秀吉にそんな事を言われても説得力がない

 

「交渉成立です!」

 

「そんな勢いでひったくらなくてもやるよ」

 

凄まじい勢いで雄二の手から何かを奪い、懐に仕舞う姫路さん…くっこれで確かめる術が無くなった

 

「それじゃ頼む」

 

浴衣を持ってトイレに入る姫路さんを横目に

 

「一体何を見せたの?」

 

「秘密だ。それがお前のためだ。何ムッツリーニに話はつけてある。特別にお前と秀吉・姫路の特別な写真を撮ってやる。それで手を打て」

 

くっ…そんな賞品があるのなら文句をいえないじゃないか!

 

「はい!良いですよ」

 

浴衣を着た姫路さんがトイレから出てくる

 

「…クワッ!?」

 

ムッツリーニが凄い形相をしてカメラを構える

 

「うーし、ムッツリーニが鼻血を噴出してダウンする前に写真を撮るぞ」

 

雄二に言われ僕たちは並び写真を撮った…その後姫路さんはホクホク顔で部屋にへと戻って行った

 

「…もう…限界だ…」

 

「良く頑張った。ゆっくり眠ってくれムッツリーニ」

 

コクン…ブッシャアアアアアアッ!!!!

 

ムッツリーニは凄まじい鼻血の噴出音と共に意識を失った

 

「ムッツリーニも寝たし俺達も寝るか」

 

「あれを寝たって言って良いのかな?」

 

鼻血を噴出し出血多量で意識を失ったあの状態を寝たと言っても良いのだろうか?

 

「気にするな寝てる事に変わりはない」

 

「まぁ…そうだけど…」

 

まぁ大した事はないか、何時もの事だから僕はそう判断し、布団を被った…

 

(明日の朝、美波を掴まえて例のメールについて、訂正しないと…)

 

僕はそんな事を考えながら眠りに落ちた

 

「…キ、起きて…」

 

ゆさゆさと身体を揺さぶれる感覚…

 

「んむぅ…」

 

誰かは知らないが僕は眠いんだ、ほっておいて欲しい

 

「…もう、どうして寝てるのよ…」

 

ユサユサ!!

 

更に強く身体を揺さぶられる

 

「むう!」

 

「んにゃッ!?」

 

揺さぶる手強く払いのける

 

「起きなさいっての」

 

メキョ!?ポキョッ!!!

 

「!!!!」

 

何だこの激痛は肘の関節と手首の関節を1度外して、証拠隠滅の為にもう一度はめなおされた様な激痛がするんだけど!?

 

「アキ。起きた?」

 

「え。ああ…なんだ…美波か…それなら納得だよ」

 

攻撃力の高い美波なら今の激痛も納得…え?美波?

 

「ってどうしてムグゥッ!!!」

 

「大声出さない!!」

 

動揺して大声を出しかけた僕の口と鼻を塞ぐ美波

 

「落ち着いたなら手を離すけど…」

 

「コクコク!」

 

口と鼻が押えられているので呼吸できない、このままでは生死に関わる、僕は慌てて何度も頷いた

 

「大きな声出したら駄目だからね」

 

そう告げて美波は僕の気道を開放してくれた。僕は何度も深呼吸してから

 

「え~と…美波だよね?」

 

「なによ。その反応」

 

不機嫌そうに言う美波に

 

「いや…ポニーテールじゃない美波を見たのは初めてだから、その…可愛くて驚いた」

 

「!?…ありがと」

 

顔を真っ赤にし目を逸らす美波。薄着で顔を真っ赤にしてる美波は普通に可愛くてなんとも言えないが、僕をドキドキさせた

 

(ん?待て良く考えるんだ…そもそもなんでここに美波が…って!?さっきのメールか!?)

 

思い当たる節がそれしかない…しかし送ったその日にこうして行動に出るなんて…予想外に程がある

 

(落ち着け吉井明久、現状況をもう一度、考えてみよう…そうすれば答えは出るはずだ)

 

『第1 美波は魔王の思考に毒され、魔王化している』

 

   ↓

 

『第2 変なメールを送ってしまった…』

 

   ↓

 

『第3 可能性は極小だが、美波は僕が好きなのかもしれない』

 

   ↓

 

『第4 学生婚!?』

 

「いやいや!?そう言うのはもっと段階を踏ん…」

 

「アキ!皆が起きちゃうでしょう!!」

 

物凄い勢いで口を塞がれる

 

(いや、待つんだ吉井明久、もう一度考えるんだ。色々と段階をすっぽかしてる可能性がある)

 

『第1 学生婚!?』

 

   ↓  

 

『第2 魔王と化した姫路さんがこの話を聞く』

 

   ↓

 

『第3 魔王化とは好きな人を想いすぎ、行く所まで行ってしまう現象』

 

   ↓

 

『第4 =魔王と化している美波と姫路さんは僕の事が好き?(可能性はほぼ0)』

 

   ↓

 

『第5 導き出される答えは、かつて見た魔王様の持つ鎖に繋がれる未来』

 

   ↓

 

『第6 世間的な死』

 

 

謎は全て解けた!

 

「この上なく馬鹿な僕で良いの?考え直したほうが良いよ?姫路さんにもちゃんとそう言って欲しいな」

 

「結構普通な思考回路で安心したわ。その答えが導き出せるなら安心だわ」

 

だってこの答えしか出なかったんだもん。他に何かあるかな?

 

「でね…折角、勇気を出してここまで来たんだし…ちょっと位、良い思いしても良いよね?」

 

「あの…目が怖いんですけど?それに覆い被さられるのは恐怖を感じるだけど?」

 

両手を押えられた上に馬乗りされるのは非常に怖い(貞操的な意味で)

 

「目を…閉じて?」

 

「はーい、美波冷静になろうね?もう1度良く考えよう。周りを見てみなよ?」

 

美波に周りを見回すように促す

 

・可愛らしい寝顔の秀吉

 

・血の涙を流しながらカメラを構えるムッツリーニ

 

・僕と同じ状況の雄二

 

「…何か問題ある?」

 

「問題しかないよ?もう一度良く見てみようね?」

 

・あどけない秀吉の寝顔

 

・鼻にテイッシュを詰めながらもカメラを構えるムッツリーニ

 

・服を引き裂かれかけている雄二

 

「アキも服を破いて欲しいの?」

 

「違うからね?僕が言いたい事はそこじゃないよ?」

 

駄目だ、魔王化が進みすぎて冷静な思考じゃない。このままでは僕と雄二のENDは学生婚に決定してしまう

 

「…じゃあ、アキをお持ち帰りする」

 

「僕を持ち帰っても良い事はないよ?そのライオンも真っ青な肉食獣の笑みは止めてくれないかな?」

 

目が据わっていて怖い、本気で捕食されそうだ…何とか美波を冷静にさせないと

 

「むう…夢かな?明久が島田に押し倒されているように見えるんだけど…」

 

ごしごしと目を擦る秀吉…口調が何時もと違うがこれは好期だ!

 

「た、助け!「黙りなさい」むぐう」

 

助けを求めようとしたがそれより早く美波に口を塞がれる。くう…声が出せない!こうなったら秀吉が自然覚醒をしてくれる事を願うしかない!僕が必死に願っていると

 

「…ん?夢じゃない?…!な、何をしてるの!!明久の上から離れなさい!!!」

 

凄まじい怒声が響き渡る、その怒声に霧島さんと美波が思わず身を竦めたが…

 

「何事だ!今木下の声がしたぞ!」

 

一時的に危機は去ったが、第2の危機がすぐそこまで迫っている、だがそれよりも完全に女声だった秀吉に皆の視線が集中する

 

「はっ!?こほん、明久の上から離れるのじゃ!!!」

 

「いやもう遅いからね?」

 

今更今の爺口調に戻しても遅すぎる

 

「むううう…演劇の夢を見ていたせいじゃな…思わず女役の声を出してしまったわい」

 

あ、そうか…それなら納得だ…ってそんな場合じゃない!!!

 

「どうするの!?鉄人が来ちゃうよ!?」

 

この状況で鉄人に来られたら不味い、不純異性交遊の現行犯だ

 

「ええい!今考える!!だからどけ翔子!!」

 

馬乗りの霧島さんを押しのけ雄二が立ち上がる。そうか!それだ!

 

「ごめん!」

 

雄二と同じ様に美波を押しのけ立ち上がると同時に

 

「吉井に坂本!!お前らだとは判っているんだ!その場を動くな!!」

 

ドスの利いた鉄人の声がする

 

「良し!俺と明久が囮になる!その内に島田と翔子は部屋を出ろ!行くぞ明久!」

 

「判った!」

 

雄二に頷き勢い良く扉を開ける

 

バン!ドスゥッ!!!

 

「ふぬおおおッ!!よ、吉井、キサマぁぁッ!!!」

 

簡単に言うと僕が勢い良く飛び出したせいで、僕の頭が鉄人の胸部にめり込んだのだ

 

「ナイス!頭突きだ!逃げるぞ!!」

 

「了…」

 

雄二と走り出そうとした瞬間、鉄人が僕達の部屋を覗き込もうとしているのに気付いた

 

「ええい!!鉄人!僕はこっちだ!!」

 

僕の間違いメールのせいで部屋まで来てしまった。美波をひどい目にあわせる訳にはいかない!浴衣の帯を解きながら鉄人の後ろに回る

 

「キサマは西村先生と呼べと何度言えば…」

 

「どりゃあああ!!!」

 

鉄人の頭に浴衣を巻きつけ

 

「おまけだ!!」

 

その上から帯で縛り付ける

 

「今の内に!!」

 

中の2人に指示を出す、頷いてから駆け出す美波と霧島さん、これで何とか2人は逃がせた、後は

 

「吉井、貴様はつくづく俺の指導を受けたいようだな?」

 

鉄人から逃げ切るだけだ

 

「明久、後は頑張れよ、俺は寝る」

 

そうは行くか!おまえも道ずれだ

 

「西村先生すいません!雄二がこっそり持ち込んだ酒を隠す時間を稼げといった物で!」

 

「貴様!何て事を言ってくれるんだ!?」

 

これで雄二も指導の対象になった筈だ、さぁ一緒に何処までも逃げようじゃないか!

 

「吉井…坂本、貴様ら覚悟は出来てるんだろうな?」

 

ゴゴゴッ!!

 

そんな擬音が聞こえる

 

「「出来てません!!!」」

 

僕と雄二はそう叫ぶと同時に走り出した

 

「どうする雄二!なんとか鉄人を撒かないと!」

 

「龍也の部屋に逃げるぞ!!やつなら上手く匿ってくれる筈だ!」

 

覗きには協力してくれてないが、基本的には龍也は僕達側きっと助けてくれる筈だ、近くの龍也の部屋に向かう

 

「龍也助けて…」

 

扉を開け絶句した

 

僕たちに背を向け座っている龍也の背中にしがみ付き、その手を離しころころと転がり落ちるリヒトちゃん

 

「うにゃー」

 

龍也の膝の上でごろごろと甘えているアザレアちゃん

 

「お兄ちゃん」

 

ギューと全身で龍也に抱きついているユナちゃん

 

(雄二、ここは駄目だ!あの中に入っていく勇気はない!)

 

(安心しろ!俺にもない!!)

 

あの幸せそうに微笑んでいる3人、僕達が入っていけばあの幸せ空間は消える、そんな事は出来ない

 

「ん?誰…気のせいかな?」

 

龍也が振り返る前に音を立てず扉を閉め、再度走り出す。あんな幸せそうな3人の笑顔を消すくらいなら鉄人の指導を受けたほうが良いに決まっている。僕と雄二の判断は間違いじゃない筈

 

「ええい!こうなったら女子部屋に逃げるぞ!あそこなら鉄人は入れない!」

 

「なるほどって…駄目だ!!」

 

思春期の女子が一堂に会する女子部屋にパンツ一丁の僕が逃げ込めば

 

「…どう考えても死は免れないじゃないか!」

 

どう考えても死しか待っていない

 

「行くぞ!明久ッ!!」

 

「絶対に嫌だっ!!」

 

服を着ない事には逃げ込む事など出来ない、僕が嫌だと言うと

 

「この後に及んでそんな事を!受け取れ!」

 

雄二が何かを投げてくる…これは服だ!!

 

「流石雄二!」

 

「早く着ろ!」

 

雄二に促され服を着る

 

「雄二、セーラー服の装着完了したよ!」

 

何故?セーラー服なんか持ってるんだ!?これで捕まったら警察に突き出されるじゃないか!!

 

「これで逃げ込めるな!」

 

「これは全裸より致命的だ!そもそも何でセーラー服なんて持ってるんだ!!」

 

うちの学校はブレザーなのに…なんでセーラー服を持ってたんだ、とにかくこんな服を着ていては逃げる事も出来ない。慌ててセーラー服を脱ぎ捨てていると

 

「それじゃあ、ここからは別々で逃げるぞ!」

 

「馬鹿を言っちゃ行けないよ雄二、逃げるなら何処までも一緒さ☆」

 

こんな格好で1人にされて堪るか!

 

「断る!そんな姿の変態と並んで走る気はない!!」

 

「黙れ!!一緒に逃げるのが嫌なら、貴様のズボンを寄越せ!!!」

 

せめてそれ位くれても良いはずだ!雄二のズボンに手を伸ばす

 

「貴様!それが目的か!」

 

「脱げッ!!ヌゲェエーッ!!!」

 

「脱ぐものかああああッ!!!」

 

雄二のズボンを剥ぎ取ろうとしていると

 

「…お前たち、何をやってるんだ?」

 

「…いや…そのすまない…呼ばれた気がしてきたんだが…」

 

あ、鉄人と龍也だ…2人とも非常に気まずそうな顔をしている

 

「「……」」

 

雄二と顔を見合わせる。パンツ一丁の僕が雄二のズボンを剥ぎ取ろうとしている、この絵はかなり見苦しいものがある

 

「…まぁ女子に縁がないのは判るが。そう言うのは人目につかないところで、するように」

 

「…大丈夫、同性愛者でも友達のままだから。でも…私はそう言うのは…無理だから」

 

龍也と鉄人の生暖かい目が痛い、僕と雄二は即座に立ち上がり

 

「先生!指導を受けるから言い訳をさせてください!!」

 

「龍也!違うんだ!僕はノーマルなんだ!!!」

 

鉄人と龍也の誤解を解くために僕と雄二は涙ながら詰め寄った…その涙ながらの説得で何とか誤解は解けたが、指導から逃げる事は出来ず僕と雄二は3日目の熱い夜を過ごす羽目となった

 

第43問に続く

 

 

 




今回は明久視点オンリーでした。肉食獣化の美波と魔王化が着実に進む姫路。明久に明るい未来はあるのでしょうか?それは誰にも判らない(作者にもわからない)それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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