バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回は一言で言うのなら「混沌」なお話です、それでは今回もどうかよろしくお願いします



第41問

第41問

 

「むにゅーお風呂気持ち良かったです」

 

「…目の前クラクラ~」

 

「…た、大変!み、水を…」

 

パジャマ姿でフラフラと歩いているユナを見て、慌てて冷蔵庫に走り水を取り出すアザレア

 

「ど、どうぞ」

 

「あ、ありがとう。アザレア」

 

渡されたペットボトルの水を飲んでいるユナに

 

「お前は血圧が低いからな、熱いお風呂は苦手だろうに」

 

早めに出るように言ったのに嫌だと言い張り、のぼせてしまったユナにそう言うと

 

「むーお兄ちゃんと一緒が良かったんです」

 

「よいしょ、よいしょ」

 

パタパタと団扇を扇ぐアザレアに礼を言いながら、そう言うユナ。言動や態度は大人っぽいが結局それは背伸びをしてるだけで、中身はアザレア・リヒト以上に甘えん坊のユナの傍に座りながら

 

「んじゃ、髪を梳こうか」

 

「ん、お願いします」

 

くるりと身体を反転させ、髪を私のほうに向けるユナの長い銀髪に櫛を通していると

 

「じゃあ、次。私!」

 

「…じゃあ、私は…その次で」

 

ちょこんと座り込むアザレアとリヒトを見ながら

 

(…平和だな~)

 

先生が居るのでそこまで変な行動に出ないはやて達に、こうして甘えてくるユナ達…

 

(ネクロも居ないし…平和そのものだな~)

 

願わくばこの平和が長く続きますように…私はそんな事を考えながらユナの髪を何時もの三つ編みに結んでいた…

 

 

 

龍也が身近な平和を楽しんでいる頃、女子部屋では

 

「第2回!」

 

私のコールに合わせて

 

「「「イエーッ!!」」」

 

なのはちゃんとフェイトちゃん、それにセッテの合いの手。ちなみにヴィータとティアナは現在入浴中だ

 

「恋話大会~!!!」

 

「「「イエーッ!!!」」」

 

「ノリが良いね…」

 

「前もこんな感じでしたね~」

 

「…今日も勉強」

 

私達のテンションについて来れない、愛子と瑞希と翔子を横目に

 

「さー!今回で第2回目の恋話大会!今回のゲストは「工藤愛子」と「霧島翔子」です!!」

 

「あれ?ボクって何時の間にゲストになってるの?」

 

「…はやては結構強引」

 

首を傾げる愛子と、手帳を取り出す翔子

 

「さーて、んじゃま…まずは愛子!あんたは康太の事どう思ってるん?」

 

「ふぇ!?な…なななな!!!何の話かな!?そもそもボクは代表を連れて来ただけだし!!そろそろ部屋に帰るね!!」

 

回れ右して逃げようとする愛子…だがそんな事は出来はしない

 

「逃がしません」

 

「駄目だよ?愛子?」

 

「高町さんにセッテさん!?お願い!放して!!」

 

逃げようとした愛子はなのはちゃんとセッテに捕獲されていた。ふふん!逃げれるなんて思わんことや

 

(やれやれ、もう20歳を越えてるのに…ノリが女子…グフォッ!?)

 

「今失礼な事考えやろ?」

 

やれやれ油断も隙も無い。私が右手を振っていると翔子が

 

「…はやて?今何も無い空間に拳を繰り出してたように見えたんだけど?」

 

首を傾げながら尋ねてくる翔子に

 

「ん?気にせんで良いよ、馬鹿な事を考えたどっかの魔法使いに制裁を加えただけやから…」

 

気にするまでも無い事だ、今は愛子を吊るし上げる事の方が優先だ

 

「さー、愛子、きびきび吐こか?」

 

「放してーッ!!魔王!魔王がこの部屋に沢山居るよ!!」

 

なのはちゃんとセッテに拘束されながらも逃げようともがく愛子…やれやれ。愛子は知らんのか…

 

「愛子、良い事教えたるわ…魔王からは逃げられないやで?」

 

この部屋を見に来る先生など居ない、先生の間でも私達の危険性は知れ渡っているから。私がそう言うと愛子は

 

「…言ったら、部屋に返してくれる?」

 

「勿論♪私達は女子に力を貸したいだけや」

 

10年以上恋してる私達は、悩める恋する乙女の背を押したいと思ってるだけや、悪意なんて無い

 

(貴女達に恋愛相談すると高確率で魔王化します…げふっ!?)

 

「今失礼な事考えやろ?」

 

「失礼ですね?」

 

「少し頭冷やしましょうか?」

 

私と同じ様に敏感に自分達の悪口を感じ取った、なのはちゃんとセッテも同じ様に神速の左を虚空に向かって打ち出していた

 

「…なんで何も無い空間に拳を繰り出すの?」

 

「それはボクも気になるよ」

 

不思議そうな顔をする2人に、私達は口を揃えて

 

「「「「ん?気にせんで良いよ、馬鹿な事を考えたどっかの魔法使いに制裁を加えただけやから…」」」

 

そう、馬鹿な事を考える魔法使いに相応しい制裁を与えただけ。何の問題も無い

 

「んじゃさ。愛子は康太の何処がいいんよ?」

 

「あっ、やっぱり言わないといけないんだ」

 

「勿論♪なんなら私が兄ちゃんを好きな理由を言っても良いで?」

 

別に聞かれて恥かしいなんて思わないしな

 

「んじゃ、さきにはやてさんの話を聞かせて欲しいな」

 

そう言って観念したように座り込む愛子に頷き

 

「まぁ、私は今は普通に歩けるし走れる。でも昔は足が不自由でな車椅子やったんよ」

 

「「「えっ?」」」

 

驚愕という表情をする3人。まぁ今の私を知ってる分この話は信じられんやろな

 

「本当だよ、私がはやてちゃんと知り合った頃ははやてちゃんは車椅子だったよ」

 

なのはちゃんが本当だよ?と言ってくれる

 

「んで、私と兄ちゃんは6歳かな?それくらいのときから2人きりでな。足の動かない私を色々と助けてくれててな、んで気が付いたら好きになってたんよ」

 

私が昔を思い出しながら言うと翔子が

 

「…2人の両親は?」

 

「んーその前にさ、私と兄ちゃんは本当に兄妹やと思う?」

 

私がそう尋ねると愛子が

 

「違うの?」

 

「うん、血の繋がった兄妹やない。私と兄ちゃんは従兄妹や。私のお父さんのお兄さんの息子。それが私の兄ちゃんや」

 

まぁ、本当はもっと込み入った事情があるのだが、話す必要は無いだろう

 

「そうなんだ…従兄妹って結婚できたっけ?代表」

 

「…法には引っ掛からない」

 

翔子がそういった後には

 

「まぁ私は大して気にしてないんやけど。私と兄ちゃんの両親は5歳の頃に両方とも死んでまってな。それからずっと2人きりやった」

 

「「「……」」」

 

しんみりしてしまう3人に

 

「ああ、別に気にしてへんし、私は兄ちゃんがいてくれれば幸せやし。そんな顔せんとって」

 

不味い事を聞いてしまったと良いう表情の翔子が

 

「…じゃあ。あの3人は?」

 

「ユナ達か?あの子達はヴィータの両親のほうの家族の子。でもまあそっちの人も死んでまって、ヴィータ達はこっちに来たんよ」

 

「苦労してるんですね。はやてちゃん達」

 

「知らなかったな…そんなに苦労してるなんて」

 

「…私に手伝える事があったら教えて。協力する」

 

んー良い子やね…皆…

 

「ありがと、気持ちだけ受け取っとくわ。今の所困ってる事もないし、心配せんといて」

 

笑顔で返事を返していると

 

「ふーさっぱりしたー」

 

「戻りました」

 

ヴィータとティアナが髪を拭きながら戻ってくる。これは絶妙なタイミングやな

 

「2人とも良い所に来たなー。今から愛子が康太の良い所を話してくれるんやて」

 

「へー、それは気になるな」

 

「私も実は気になってました」

 

乗り気な様子で布団に座り込むヴィータとティアナを確認してから

 

「んじゃま、今度こそ愛子の番な」

 

「う…ボクも聞いたしちゃんと話すよ」

 

愛子が観念した様子で康太の良い所を話し始めたところで

 

ピピピ

 

「あっ、メールですね」

 

瑞希の携帯がメールの着信を知らせる。瑞希は携帯を見て

 

「何か明久君達が呼んでるんで、ちょっと行って来ますね」

 

そう言って部屋を出て行く瑞希を見送りながら

 

「ほれほれ、はよ教えてな」

 

「うっ…そんなにせかせないでよ…」

 

渋々語り始めた愛子の話に、私達の部屋は大きく盛り上がった…この話は消灯時間まで続いた…

 

 

 

 

 

「あっ返信だ」

 

雄二の作戦の為にに姫路さんと美波にメールを送って数分後、僕の携帯に返信が来た

 

「判りました。お菓子とか持って。後で遊びに行きますね」

 

姫路さんからの返信の後、すぐに

 

「別に良いけど…こんな時間に何?」

 

若干警戒してる様子の美波からの返信の後に3度僕の携帯がメールの着信を知らせた

 

「ん?誰からだろう?」

 

誰からのメールかな?首を傾げながらメールを開くと

 

「気になったんだけど、お前は何で覗きにそこまで必死なんだ?そもそも本当に女がすきなのか?坂本や木下の尻が好きだって言ってた気がするんだけど」

 

な、なんて事を言うんだ!須川君はこれはとんでもない誤解だ!すぐにでも認識を改めさせないと!慌ててメールの文面を考える

 

「勿論好きだからに決まってるじゃないか!雄二なんかよりずっと!!!」

 

素早く文面を入力し送信ボタンを押す

 

「やれやれ、本当に僕の周り馬鹿が多くて困るな」

 

そんな事を考えながら携帯の画面を見ると

 

「メール送信中…島田美波」

 

あれ?あはは…僕は随分疲れてるみたいだな。だってメールのあて先表示が間違ってるように見えるよ

 

目をゴシゴシと擦ってからもう1度携帯の画面を見る

 

「メール送信完了…島田美波」

 

「ゴフッ!?」

 

送信先を見た瞬間、口からあり得ない音が出た。…まぁまて落ち着くんだ吉井明久。そこまで危険なメールは送ってない筈だ。送った文章をもう一度見直してごらん?自分にそう言いながらメールを見る

 

 

「勿論好きだからに決まってるじゃないか!雄二なんかよりずっと!!!」

 

なんて男らしくて力強い告白文なんだ、我ながら惚れ惚れする…って!!!

 

「バカぁッ!!!僕のバカぁッ!!!ある意味自分の才能にビックリだよ畜生!!!!」

 

これは不味い!!僕の人生最大のピンチだ!よりによって魔王化により常識等を捨て始めてる美波にこんな文を送るなんて!!この合宿中に僕は色々と終ってしまう…学生結婚?…出来ちゃった婚?ありえる…

 

「と、とにかく訂正のメールだ!!」

 

さっきのは誤解なんだという事を伝えなければ!!慌てて訂正の文面を考えていると

 

「どうした明久?何か悲鳴が聞こえたが?」

 

のほほんとした表情の雄二に

 

「色々と大変な事になっちゃたんだ!!!このままだと僕の人生が終ってしまうんだ!!!邪魔しないでくれ!!」

 

「何をそんなに慌ててるんだ?っとと」

 

ツルン(雄二がバナナの皮で滑る音)

 

ドタッ!(雄二が僕を巻き込んで倒れる音)

 

バキャッ!!(雄二が僕の携帯を押しつぶした音)

 

「それで明久。大変な事とはなんだ?」

 

身を起こしながら言う雄二に

 

「たった今、貴様が作った状況だ!!!」

 

僕の携帯は無残な電子パーツへと分解され見るも無残な姿を晒していた…

 

「ん?これはお前の携帯か。すまん、今度修理して返す」

 

自分が悪いと思ったのか珍しく素直に謝罪してくる雄二…だが今はそれところではない

 

「と、とりあえず今は雄二の携帯を貸してくれ!魔王が来る前に!!」

 

「魔王?…なんだ、まだ島田と姫路にメールを送ってなかったのか?」

 

首を傾げながら携帯を差し出してきた雄二の手からひったくるように携帯を奪い、アドレス帳をみる。まだ間に合う筈だ…

 

坂元結時のアドレス帳登録…一件 霧島翔子

 

僕が絶句しているとそれに気付いた雄二が携帯を覗き込む

 

「む?翔子のやつまた勝手に俺の携帯を弄りやがったか、機械音痴の癖に…これでまた家でアドレス帳を入力しないとならないじゃないか」

 

雄二がぶつぶつ何かを言っているなか、僕の頭脳はある結論に達していた…美波の番号や、アドレスを暗記してるわけも無い…もう訂正の余地は無い…もう何もかも終ってしまった…

 

「明久?何をそんなに深刻そうな顔をしてるんだ?まるで間違えて告白にも取れるようなメールを送ってしまって。弁明しようとしたところで俺に携帯を壊されて、何にも出来なくなってしまった、何て顔をしているぞ?」

 

雄二のアドレス帳に残された最後に1人にメールを打ちながら

 

「雄二…貴様も地獄に落ちろ」

 

「えっ?まさか…マジなのか…?…おいっ!待て止めろ!!俺が悪かった!!」

 

僕が何をしようとしているのか気付いた雄二は制止に入るがもう遅い

 

「もう一度きちんとプロポーズをしたい。今夜浴衣を着て俺の部屋に来てくれっと…」

 

「待て!!頼む!!それだけは止めろ!!」

 

僕の手から携帯を奪い返そうとする雄二の手をかいくぐり

 

「黙れ!!貴様も僕と同じ様に色んなものを失え!!送信!!そして!」

 

近くに見える雄二の湯飲みの中に

 

「地獄に落ちろ!!雄二ィィッ!!!どりゃあああッ!!!」

 

携帯をその中に突っ込む

 

「俺の携帯がアアアッ!!!!どうしてくれるんだ!!これじゃあ壊れて弁明も出来ないだろうが!!!」

 

「うるさい!僕も同じだ!!一緒に地獄に落ちろ!!」

 

貴様も大魔王に食われてしまえ、これが今僕に出来る唯一の復讐だ

 

「くそ!!何で俺は足元を見なかったんだ!!と、とにかく!今は翔子の部屋に行って誤解を解かないと!!」

 

慌てて部屋を飛び出そうとする雄二の前に立ち

 

「行かせない!!お前も地獄に落ちるんだ!!!」

 

「どけ明久!!ついでに島田の誤解も解いてきてやる!!だから今は俺の邪魔をするな!!」

 

必死な形相の雄二を先に行かせまいとブロックしていると

 

「そういえば…霧島は魔王たちと同じ部屋じゃったなぁ…」

 

思い出したように秀吉が呟く、それと同時に雄二の顔色が青を通り越して土気色になる

 

「どけええッ!!」

 

「うわッ!!」

 

渾身の力で僕を振り解き廊下へ続く扉を雄二が開いた瞬間

 

「ふんっ!!!」

 

「ぐへっ!?」

 

ドゴッ!!!!(鉄人が雄二に拳を叩き込む音)

 

グシャベキグチャッ!!!(雄二がテーブルや荷物を巻き込んで壁に激突する音)

 

「部屋を出るな」

 

鉄人が僕を見ながらそう告げる。僕は即座に敬礼し

 

「了解です!」

 

ぴくりとも動かない雄二に代わり返事をする。もう僕も雄二も終り。これが僕達に待っていた末路なんだろう…

 

「ところで、この部屋は片付けなくて良いのかのう?これでは布団も敷けぬぞ?」

 

ガラスの破片等が散乱している、確かに片付けたほうが良さそうだ

 

「そうだね、とりあえず片付けようか?」

 

倒れたテーブルを起こし。床に散らばったものを拾う。ゴミはゴミ箱に入れて…秀吉の荷物は右。割れた花瓶やガラスの破片は左、んで僕の荷物は右、雄二はゴミだから左

 

「グオオオオッ!?せ、背中にガラスの破片がッ!!!」

 

飛び起き苦悶の悲鳴を上げる雄二に

 

「あ、雄二起きたらなら手伝ってよ」

 

雄二のせいでぐちゃぐちゃになったんだし、手伝ってくれても良いはずだ。僕がそう言うと雄二は

 

「待て!お前には俺の背中の傷が見えないのか!?」

 

背中を向けながら言う雄二に

 

「大丈夫、致命傷では無さそうだから」

 

どれもこれも致命傷には見えない、だから大丈夫だと言うと

 

「そう思うのなら、お前にもこうだ!!!」

 

雄二が僕の鞄の上にガラスの破片を撒き散らす

 

「ああ!!僕の着替えがガラスの破片まみれに!?」

 

これで危なくて着替えれない。何て事をしてくれるんだ!こいつは!!

 

「お前もこの痛みを味わえ!!どうせお前も死ぬんだ!これくらいどうってことは無いだろうがっ!!」

 

勝ち誇った笑みを浮かべる雄二に

 

「それなら浴衣を着るさ!!秀吉とペアルックだしね!」

 

秀吉が着るのと同じ浴衣を持ち上げながら言うと

 

「むっ…そうなるのかな…うーん。嬉しいような…なんて言えば良いんだろう?」

 

首を傾げながら言う秀吉…うん?なんだ雰囲気と喋り方が違うような?何時もと違う雰囲気を指摘しようとする前に

 

「…羨ましい」

 

ムッツリーニが恨めしそうに言う…ふふん、そうだろうそうだろう…あれ?僕は何を考えてたんだっけ?何かを考えていたのは覚えているが。何を考えていたのか思い出せない…まぁ忘れてるという事は大した事じゃないんだろう。僕はそう判断し

 

「まぁいっか。ほらほら、秀吉もムッツリーニも手伝ってよ。大分片付けないと布団を敷けないよ」

 

片付けながら2人にも手伝うように促す。さてと…姫路さんが来るまでに片付けれると良いんだけど…僕はそんな事を考えながら部屋の掃除を再開した

 

第42問に続く

 

 




はい!今回はここまでです!!次回はもっと混沌とさせれると思いますのでどうかお楽しみに!!それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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