第35問
明後日が学力強化合宿への出発の日なので、その前に勉強道具の買出しをしないといけないと思い、美波と瑞希にショッピングモールに案内してもらった、お礼に喫茶店で
「いやー本当ありがとうな。私、この街来たばっかりで、勝手が判らんかったんや。お礼に何でも奢るで好きなの頼んで」
笑いながらそう言うと美波と瑞希は、注文してから。真剣な表情をして
「その1個聞きたいんだけど。良い?」
「ん?なんや?」
私とヴィータを指差しながら美波は
「ヴィータは龍也が好きだよね?」
「うん!大好き、寧ろ愛してる」
即答するヴィータに頷き、今度は私に
「はやても龍也が好きだよね?」
「うん♪愛してるで♪」
私も即答すると美波と瑞希は
「じゃあ、何でそんなに仲良しなの?」
「じゃな、何でそんなに仲良しなんですか?」
同じ事を尋ねてくる、私は
「んー最初から仲良しやったわけやないよ?最初はヴィータが気に入らなくてしかったなかった。私から兄ちゃんを取り上げる思って」
「うん、最初は喧嘩ばかりだったよな」
2人でうんうんと頷きながら言うと
「じゃあ、なんで?今は仲良しなの?」
真剣な表情で尋ねてくる美波に
「うーん、兄ちゃんはかなり鈍感やから。1人じゃ駄目やと思って」
「兄貴は鈍感だから、1人じゃ力不足だと思って」
「「それじゃあ、協力しようってなったんや(だ)」」
2人で口を揃えて言うと、美波と瑞希は
「それで良いの?」
「それで良いんですか?」
良いとは自分が一番じゃなくて?という事だろう、私は自分で頼んだミルクティーを飲みながら
「んー別に良いかな?私にとって重要なのは、兄ちゃんが自分の側に居てくれることや。もし自分の側に居てくれるなら、私は2番でも、3番でも良い…まぁ実力で1番の座は手に入れるけどな」
にっと笑いながら言うと
「そ、そうなんだ…それで良いんだ…はやては」
プルプル手を震わせながら、コーヒーを飲む美波に
「まぁ、そう言う訳や。明久は馬鹿やけど、思いやりもあって行動力もある。更には料理も上手や。へんに競い合ってると横からサッと攫われるで?2人とも?」
「「ブフォ!?」」
飲んでいたコーヒーと紅茶を噴出す、美波と瑞希に
「汚いんやけど?」
ぎりぎりで間に合った、おしぼりガードを畳ながら言うと
「ウ、ウウウウ、ウチは別にアキのことなんか…」
「わ、わわわわ。私も明久君の事なんか…」
そこで黙り込む2人に
「まぁ意地張ってるならそれでも良いけど。そのままやと何にも変わらんと思うけどな。精々友達以上恋人未満のままやと思うよ?」
明久は馬鹿だが、人を惹き付ける何かを持ってる。それに惹かれている2人にそう言うと、美波は
「でも…それは犯罪だし」
ぼそぼそと言う、美波に私は
「そうか、んじゃ、私から2人にとっておきのアドバイスをしたるわ」
私はここで言葉を切り、間を取ってからにやりと笑い
「ばれなきゃ、犯罪やないんやで?」
と告げた…それを聞いた2人はお互いに顔を見合わせながら
「協力ってありだと思う?瑞希?」
「私はありかと思います。美波ちゃん」
そういったところで2人は黙り込み、暫く何かを考える素振りを見せた後
「恨みっこなし、どっちが1番でも喧嘩しない。そして日本の法律でアウトでも…ウチはアキの側に居たい、だからウチは愛人でも良い」
「同感です、いざとなれば明久君を連れて。海外に行けば良いんです」
2人で握手している、どうやら無事結託したらしい
「んーんじゃ、私からアドバイス…聞く?」
ヴィータがそう尋ねると、2人は
「「是非お願いします」」
頷いたので、私とヴィータはアドバイスを始めた…
島田美波、姫路瑞希の思考回路の闇が増した…
ステータス変化
島田美波 病み度65+120病み度合計185
姫路瑞希 病み度85+100病み度合計185
2人のスキルに、「結託LV2」「法を破るもの」「一途過ぎる想いLV4」「洗脳LV1」「調教LV2」が追加されました。
スキル解説
結託LV2 同じ異性を好きになった者同士のみが取得できるスキル。本来ライバル関係にある者同士が協力し合い。1人の異性を追い詰める。LVが高いほど追い詰める効力が増す
法を破るもの 日本の法律を破る覚悟、自分の幸せを第一に追求するスキル。病み度に+20の補正が掛かる
一途過ぎる想いLV4 ただ1人の異性に向けられる想い。それがたとえ相手が嫌がる事でも止める事の出来ない感情。LV4では何が何でも物にする、という想いだけで行動する。対象が他の異性に目を奪われている場合、その女を排除しようとする考えに移行する。更に病み度に+30の補正が掛かる
洗脳LV1 繰り返し対象に自分達の存在を刷り込ませるスキル。洗脳されたと気付いた時にはもう遅い。対象の心は完全にスキル発動者に埋め尽くされている。LV1では成功率は低い
調教LV2 痛みもしくは優しさにより、対象の考え方を固定するスキル。発動者だけが自分の味方もしくは理解者だと思い込ませる。相手が単純であるほど効果が高い
島田美波のジョブが「帰国子女」から「魔王」に変化しました。
姫路瑞希のジョブが「優等生」から「魔王」に変化しました。
ジョブスキル
共通ジョブ効果
対象に近寄る、異性を威嚇する。
対象に近寄る、特殊性癖者に気付く。
自分に言い寄る、異性もしくは同性に殺意を覚える
対象を攻撃しようとする者に殺意を覚える
固有スキル
島田美波 修羅 対象を攻撃、もしくは傷つけた者に報復に出るスキル。攻撃力・凶暴性+20%
姫路瑞希 笑顔の鬼神 対象者には慈悲深く愛溢れる表情を見せるが。敵対者には恐怖を与える魔王の笑み。 支配力+30%
※魔王にジョブチェンジした場合。通常ジョブに戻る事は出来ません…闇の道をただ進むのみになります
イベント変化…
吉井明久に調教、洗脳、逃れられない優しい呪い、2人の花嫁フラグ発生…
「うわああッ!?何だ!?強烈な寒気が!」
吉井明久は自分に迫る危機を感じ取った!しかしもう手遅れである。彼の運命はすで決している
~学力強化合宿前日~
「む?明久どうしたんじゃ?顔色が優れないようじゃが?」
教室に入るなり、そう尋ねてくる秀吉に
「うん…何か判らないんだけど…悪い予感がするというか、嫌な事が起きるような気がして…」
昨日寝る前に感じた寒気のせいで、熟睡できず早めに出てきたのだ。僕がそう言うと秀吉は
「ふむ?考えすぎではないか?何か怖いTVかゲームでもやったのではないのか?」
「うーん、確かに昨日ホラーゲームはしたけど…それかなぁ?」
そんな話をしながら、1度荷物を清涼祭の売り上げで買いなおした。新品の卓袱台の上に置くと
「まぁ、気にしすぎじゃな。それより明日からの学力強化合宿が楽しみじゃのう?」
「そうだね、4泊5日なんて修学旅行みたいだよね」
そんな話をしながら荷物をロッカーに入れようとしたとき
カサッ!
手の先に何かがあたる感触がした
「ん?何だろう?」
中身は殆ど空(昨日鉄人に没収されたから)の筈なんだけど…不審に思い覗き込むと封筒が入っていた。宛名の欄に僕の名前が書いてるのが見える
(ま、まさか、ララララ、ラブレター!?)
驚きながら便箋を手に取ると、秀吉が
「うん?どうしたのじゃ?明久…そんなに嬉しそうな顔をして?」
不思議そうな顔をして尋ねて来る秀吉に
「な、なんでもないよ!大した事じゃないから見なかったことにしてくれない?」
両手を胸の前で合わせて頼み込む、すると秀吉は
「む、むう…明久がそう言うなら深くは問わんが…」
「ありがとう!助かるよ!それじゃあ!」
これ以上何か聞かれる前にとダッシュで教室を飛び出し、屋上へ向かう
「さてと…これ、誰がくれたのかな?」
首を傾げながら便箋の中を取り出す…
心地良い日差しとさわやかな微風を浴びながら、取り出した手紙には…
『貴方の秘密を握っています』
「脅迫文じゃないか、どちくしょーッ!!!」
思いっきり手紙を地面に叩き付け、僕は涙ながらそう叫んだ…
脅迫文にひとしきり涙した後、教室に戻ると美波が
「アキ、どうしたの?朝からそんな顔して?」
「うん、ちょっとね…大丈夫大した事じゃないよ」
脅迫されたなんていえないのでそう言うと、美波はとても、そうとても優しさに満ちた表情で
「何か悩みが有るなら、ウチが相談に乗ってあげるわよ?」
その余りに優しい表情に僕は、
「そ…その…今朝実は…」
「今朝…どうしたのアキ?」
優しく尋ねてくる美波に
「なんか…ロッカーに脅迫状が入ってたんだ」
その脅迫状を美波に見せると、美波は
「そう、脅迫状ね…アキを虐める人間が居ると…そう言うことね?アキ」
天使の表情から一転、悪鬼の様な表情になった美波は
「ちょっと、用事があるから出て来るわ。大丈夫。アキは何にも心配しなくて良いわ。ウチが何とかしてあげるから」
美波はそう言うと凄い勢いで出て行ってしまった
「明久、島田が人を殺しそうな勢いで出て行ったが…何があったのじゃ?」
首を傾げながら聞いてくる、秀吉に
「何か、脅迫状が入ってて、それを美波に話したら出て行ったんだ」
「ふむ、そうか…島田も大分はやての考えに毒されたという事か…」
納得という表情の秀吉を見ながら、脅迫文の中身を見る
「えっと…『貴方の傍に居る異性にこれ以上近づかない事、もし忠告を聞かなければ、同封されてる写真を公表します』…写真ってこれかな?」
同封されている封筒を開け中身を見る、そこには
「僕の黒歴史がッ!?」
無理やり着替えさせられた、メイド服姿の僕の写真が封入されていた
「この前の学園祭の写真じゃな。じゃがこれは皆知っておる。これでは脅迫にはならんじゃろ?」
秀吉の言うとおりだ、これでは脅迫にならない筈…では後の2枚は何が…2枚めの写真に映っていたのは、やはりメイド服の僕だが、そのスカートの中身が見えている。無理やり穿き替えさせられたボクサーパンツが丸見えだった
「イヤアアアアッ!?トランクス!トランクスは勘弁してください!!」
無理やり着替えさせらた光景がフラッシュバックする
「明久!どうした!?何があったのじゃッ!?」
暴れる僕を取り押さえる秀吉に
「あ…ああ?、秀吉…?クイントさんじゃない?…ははは…良かった」
「あのトラウマを抉られたのか?」
同じ事をされた秀吉がそう尋ねてくる。僕はコクリと頷いた…秀吉は
「あれは…辛かったのう…偶に悪夢を見るぞい」
「うん、僕もあの人達にエガオが忘れられないよ」
トラウマの所為でだが…2枚目でこれなら…3枚目は…ごくりと唾を飲み込んでから3枚目を見る…クイントさんに馬乗りされ、無理やり服を剥かれている僕が映っていた
「もうイヤだアアアアッ!!!」
僕のトラウマをざくざく抉るこの写真は悪夢以外の何物でもない。その写真を胸の中に抱え込みながら涙を流していると。秀吉が
「何じゃ!?そのリアクションは?一体何が写っておるのじゃ!?」
写真を覗き込もうとする秀吉に
「見ないで!!穢れた僕の写真を見ないで!!!」
「落ち着くんじゃ!!皆が注目しておるぞ!」
秀吉の言葉で気付いた。周囲のクラスメイトの視線が集中してる事に…僕は大きく深呼吸しながら
「はぁ…はぁ…うんもう大丈夫。落ち着いた」
その写真を懐にしまいながら言うと、秀吉は
「人生1度くらいメイド服は着る物じゃが…無理やり着替えさせられるのは…絶対にないじゃろうなぁ」
秀吉の明らかに一般人とは違う、思考回路に突っ込みを入れようかと悩んでいると
「明久君、おはようございます…あと…木下君も…」
後から可愛らしい声がした。間違いない姫路さんの声だ…ただ秀吉を呼ぶ声が凄く怖かった気がするけど…何でだろう?
「どうしたんです?明久君。もしかして…木下君に虐められたんですか?もし…そうなら…」
何故だ!何故姫路さんがはやて様と同じオーラを出せるんだ!?敵を見る目をしている姫路さんに
「いや、別に何でもないんだ。少し相談に乗って貰ってただけだから。虐めとかじゃないよ!」
「そう…ですか、それなら良いんですけど…」
オーラがゆっくりと霧散していく。何故だろう、はやて様クラスの魔王が居ると。周りにも魔王が出るのだろうか?
「時に、姫路よ。仮にじゃが、明久が無理やり着替えさせられてる写真が合ったら…どう思うかのう?」
秀吉、その聞き方は無しだ。野球で言えばビーンボールも良い所だ
「うーん…そうですねぇ…私も同じ事をすると思います」
…良し、僕の答えは決まった…無言で教室の窓を開け。窓枠に足を掛ける
「先立つ不幸を御許しください」
「明久!やめるのじゃ!!飛び降りなんで早まった真似をするでない!!」
後から羽交い絞めにしてくる秀吉に
「放して秀吉!!僕はもう生きて行ける気がしないんだ!!!」
姫路さんに同じ事をやられたら、僕はもう駄目だ…色々と終ってしまう。だからその前に命を絶とうとしていると秀吉が
「そうじゃ!!ムッツリーニじゃ!ムッツリーニならばこの手の話に詳しいはずじゃ!事情を話して…」
「ムッツリーニに介錯してもらうの?切腹は嫌なんだけど…」
「死ぬ方向から離れよ!明久!事情を話して、脅迫犯を見つけ出して貰うのじゃ!!」
お、おおおッ!!何で気付かなかったんだ!流石は秀吉だ
「ナイスだ!秀吉!流石は僕のお嫁さんだ!!」
「待て!そんな事を言う…「木下君…お話しません?」…嫌じゃあアアアッ!!!「逃がしません、やはり木下君は私の敵です。ここで排除しましょう」
ダダダッ!!と全力で走り去る秀吉と、それを追って駆けていく姫路さんを見ながら。僕はムッツリーニの席へ向かったのだが…
「ま、待て話しあわんか?ワシは姫路を応援するぞ?」
「…そうですか、では…死んでください」
「イヤアアアアアアッ!?」
ボキャッ!!!
「さよなら…木下君」
廊下から聞こえてきた、あの絶対零度の声は気のせいだと思いたかった…
「さて、お前は事情があり「強化合宿」は断ると言っていたが。それは小さい妹の事だろう?」
「ええ、誰か居ないとアザレア達だけになってしまうので、私は行くのを止めようと思ったのです」
朝、職員室に呼ばれていたので。西村先生と話しながら2-Fに向かっていると
「それなんだが、特別に妹を連れて来ても良い。だからお前も参加しないか?」
「…良いんですか?そんな事をして?」
1人の生徒を特別扱いしても良いのか?と尋ねると
「いや、理事長と教頭の許可は得てる。その上で聞いてるのだが…」
なるほど…あの御節介焼きの馬鹿博士の差し金か…
「それで…どうだ?参加しないか?」
「…そうですね。折角そこまでして頂いたんです、参加しますよ」
西村先生とジェイルの心遣いを無下にするわけにも行かない。だから参加するというと
「そうか、それは良かった。手続きはこっちでしておく、明日ちゃんと来いよ。龍也」
優しい笑みを浮かべる、西村先生に
「ええ、今日帰ったら急いで準備しますよ」
行くつもりがなかったので準備していない、だから急いでしないとな。そんな話をしながら西村先生と2ーFに向かった。教室では康太のところに雄二と明久が居て、何かを話していた…また何かの遊びの打ち合わせだろうか?秀吉がいないのは気になるが…大した問題はないだろう
「席に着け、HRを始めるぞ」
自分の席に座ると、西村先生がしおりを配りながら
「さてと、明日から始まる。「学力強化合宿」だが、だいたいの事はそこに書いてある。1度読んでおけ、それと集合場所と時間だけは間違いないように…他のクラスと違って…Fクラスは…現地集合だからな」
その言葉にFクラスの面々は
『『『案内すらないのかよっ!!!』』』
そのあまりの扱いに涙していた…
第36問に続く
美波・瑞希、魔王化ルート確定。明久、覗きによる死亡フラグ成立…更には「アザレア達」も合宿へ…混沌が更なる加速をしていきます。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
PS 秀吉、女で良いんじゃないですかね?「僕は友達が少ないの」雪村みたいな感じで…ふとそんな事を思う混沌の魔法使いです