バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回で2巻の内容は終わりです。その後に3.5の「僕とバイトと危険な週末」後に、3巻に入りたいと思います、それでは今回もよろしくお願いします


第33問

 

 

第33問

 

「龍也、遅いね」

 

「そうだな、どうしたんだろうか?」

 

雄二と龍也が遅い事を話していると

 

「すまん、遅れた」

 

頭に包帯を巻いた龍也が教室に入ってくる。

 

「龍也!?どうしたんだ?その頭は?」

 

心配そうな雄二の言葉に龍也は

 

「なに、人助けの結果だ」

 

からからと笑って鞄を置き、僕達の前に来て

 

「で、どうだ決勝は行けそうか?」

 

召喚大会の事を尋ねてくる龍也に

 

「多分大丈夫、雄二に勉強を教えてもらったし、博士と龍也にも教えて貰ったから」

 

「そうか、それは良かった。頑張れよ」

 

「おう、任せとけ。絶対優勝してくるぜ…ところではやて達は?」

 

それは僕も気になっていた、いつも一緒のはやてさん達が居ない事を尋ねると

 

「なんか2-A見てから来るって言ってたけど?」

 

「ふーん、なのは達と話でもしてるのかな?」

 

雄二がそう呟いたと同時に、はやてさん達が教室に来たが

 

ゴゴゴゴッ!!!

 

そんな擬音がふさわしいオーラを身に纏い、不機嫌そうに座布団に座った

 

(た、龍也?なんか怒ってるけど?)

 

(私に聞かれても判らん。昨日からあんな感じだ)

 

龍也とひそひそ話してると、教室の戸がガラリと開き、お姉さんが入ってきた

 

(?なんか顔が赤くない?)

 

(だな。真っ赤だ)

 

雄二とそんな話をしてると、お姉さんは僕達のほうに来て

 

「龍也君…やっぱり怪我を…大丈夫?」

 

心配そうに龍也に話しかける

 

「あー、これか?全然平気だ、それより」

 

平気だといってから、龍也がお姉さんの顔を覗き込む

 

「な、何かな?」

 

耳まで真っ赤のお姉さんに龍也は

 

「いや、綺麗な顔に怪我はないかと確認を…」

 

「だ、大丈夫だからッ!!そんなに見ないで…」

 

「ん、悪かった」

 

このやり取りで理解した、はやてさん達が不機嫌な理由を…

 

(…落としたのかな?お姉さんを?)

 

(だろうな、あの反応を見る限り間違いない)

 

恐らく昨日何かあり、龍也がお姉さんを落とした為に、はやてさん達は不機嫌なのだ

 

「き、昨日はありがとう、おかげで助かったわ。そ、それじゃっ!」

 

お姉さんがFクラスを出て行こうとしたところで立ち止まり、はやてさん達を見て

 

「はやてさん…アタシ…負けないから」

 

そう言い残しお姉さんは教室から出て行った…

 

(惚れてるよね?あれ間違いなく龍也に惚れてるよね?)

 

(ああ、間違いない)

 

雄二とひそひそと話をしていると、秀吉が来て

 

「龍也!話は聞いたぞい!昨日姉上を助けてくれたそうじゃなッ!!感謝するぞ」

 

嬉しそうに龍也に駆け寄る、どうやら僕達の予想は当たっていたようだ

 

「いや、当然の事をしたまでだよ、秀吉」

 

「いやいや、普通は出来んぞ。崩れてくる荷物を自分の背で受け止める…なんて真似は」

 

その言葉に絶句した。朝ロープで囲われていたステージ…その周りに散乱した機材と荷物…何があったのか?と考えながら来たが、まさか当事者がここにいるとは…

 

「友達を助けるのは当然だ、秀吉」

 

「うむ、親に代わり感謝するぞ。少々乱暴な姉じゃが、大切な家族なんじゃ…助けてくれて本当にありがとう」

 

何度も何度も頭を下げる秀吉に龍也は

 

「気にしなくていいさ。それより今日は清涼祭の2日目だ、そっちを頑張ろう」

 

喫茶店を頑張ろうと龍也が言ったところで、鉄人が来て。席に座るように言ってからHRが始まった

 

「今日で清涼祭は終わりだ、各々記憶に残るような思い出を作って欲しい。あと龍也は今日は出し物に参加しない事」

 

鉄人が龍也を名指しする。名を呼ばれた龍也は不思議そうな顔をして

 

「何故です?」

 

「あのな、お前は怪我してるんだ、大人しく校内の出し物でも見て回ってろ。良いかこれは朝の職員会議で決まったことだ。おとなしく言う通りにしてろ。良いな?」

 

「平気なんですけどね。これくらい…」

 

龍也が面白く無さそうに言うと鉄人は強い口調で

 

「絶対に、出し物には参加するな、良いな」

 

「…判りましたよ、言うとおりにします」

 

龍也が頷いたのを確認してから、鉄人は

 

「それでは、クラスの出し物の準備を始めてくれ。龍也は少し話がある…来い」

 

龍也を連れて教室を出て行った…残された僕らは

 

「よーし、それじゃあ準備を始めるぞッ!」

 

「「おーッ!!!」」

 

雄二に先導され、清涼祭の喫茶店の準備を始めた…

 

 

 

 

西村先生に連れてこられたのは、補習室だった。

 

「龍也…昔、お前に何があったんだ?あの傷…尋常じゃないぞ?」

 

傷を見られた以上聞かれるのは仕方ないか…私は溜め息を吐きながら

 

「他言無用でお願いしますよ?」

 

「判っている」

 

西村先生に念を押してから、傷に付いて話し始めた…魔法関連の話を除いてだが…話を聞き終えた西村先生は

 

「…なるほどな。そんな事が…辛かったな」

 

「別に対して気にして無いですよ。今は今、昔は昔…気にしてどうにかなる話じゃないですし」

 

私がそう言うと西村先生は、私の肩を叩き

 

「困った事があったら、いつでも相談してくれ…俺に出来る事なら協力させてもらう」

 

「そうですね、困った事があったらご相談します、それでは失礼します」

 

「ああ、ではな」

 

西村先生に一礼してから補習室を後にした…

 

(私の人を見る目も捨てた物じゃないな、あれだけ親身になってくれる先生はそうはいない)

 

かつて、私とはやてを助けてくれた石田先生の事を思い出しながら

 

(ふふ、どこの世界にも良い人間はいるものだ…)

 

私はそんな事を考えながらブラブラと校舎を歩き始めた…

 

「ふむ…1人というのは暇な物だ…」

 

出し物を見ながらそう呟いた。こういうお祭りを1人で回るのは味気ない。かと言ってはやて達を連れ出すことも出来ない。

 

(さて…どうしたものか…)

 

暇だから内緒で2-Fの協力に行ったが、美波と瑞希にやんわりと断られ、仕方ないので少し早めに昼食をとった後、これからどうするか考えながら歩いていると

 

「龍也、丁度良かった。少し手伝ってくれないか?」

 

「ジェイル?どうしたんだ?」

 

「実はね…困った事があってね」

 

ジェイルの話を聞いて私は

 

(良い暇つぶしになりそうだ。明久と雄二の驚く顔が目に浮かぶ)

 

この世界で仲良くなった2人の驚く顔を想像し、笑みを浮かべながら

 

「良いよ、協力する…しかし問題があるぞ?」

 

「かまわんよ、それくらいこっちで何とかする」

 

ジェイルの言葉に頷き、私はその場を後にし召喚大会の会場に向かった…

 

 

 

 

「吉井君と坂本君、入場が始まりますので急いでくださいね?」

 

係員の先生に頷き、通路を歩いていると

 

「さて、皆様。長らくお前たせしました!これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行います!」

 

アナウンスの声が聞こえてきたが…どうにも聞き覚えのある声だった

 

「ねぇ雄二、今の博士の声じゃ?」

 

「ああ、あの声は間違いない、博士だ」

 

どうやら雄二も気付いたらしい。僕と雄二が困惑してるなか

 

「実況はこの度、文月学園の臨時教頭となりました!ジェイル・スカリエッティが務めさせて頂きます!皆様よろしくお願い致します」

 

どうやら自分の紹介を兼ねて、実況をするらしい。

 

「面白い事考えるよな、博士って」

 

「そうだよね」

 

普通はこんな所で自己紹介をしようなんて考えないだろう。流石は博士だと感心してると

 

「それでは出場選手の入場です!!2年Fクラス所属、坂本雄二君と、同じくFクラス所属吉井明久君です!皆様拍手でお迎えください!!」

 

拍手が雨の様に降る中、僕と雄二はステージに向かって歩き出した。

 

「なんと、最高成績のAクラスを抑えて決勝戦に進んだのは、2年生の最下級クラスの生徒コンビです!これはFクラスが最下級という認識は改める必要があるかもしれませんッ!!」

 

博士が僕達にウィンクしながら言ってくれる。これは嬉しい紹介の仕方だ、観客にも良い印象を与えれるだろう

 

「さて、2人に対する選手は本来は決勝に進んだ、3年Aクラス所属の夏川俊平君と常村勇作君なのですが…2人は体調不良の為、棄権しました…その為特別な選手を用意しました!!」

 

博士が観客席を指差す、それにつられ僕達も観客席を見た。すると

 

ダダッ!!

 

観客席を駆け下りてくる黒い影が見える…その影は勢いを付け観客席から飛び出した

 

「「「「!?!?!?」」」」

 

僕達と観客が驚く中、黒い影は空中で3回転してから僕達の前に降り立った…黒いコートに銀髪。

 

「「龍也ッ!?」」

 

見間違える訳が無い龍也だ、僕達が驚いていると

 

「2人の対戦相手は…2年生最高成績を誇る。八神龍也君だッ!!!事情がありFクラス所属ですが、彼の成績はAクラス主席を上回る。超優等生です!」

 

博士が楽しそうに龍也の紹介を始める

 

「彼の成績は非常に優秀な為、今回特別に決勝戦のステージに上がって貰いました。皆様どうか拍手をお願いします!」

 

博士に促され観客が拍手をするなか、僕は龍也に

 

「ちょ、ちょっと!?何でいるのッ!?」

 

勝ち目が無い相手が対戦相手なので、慌てて尋ねると

 

「なに、ジェイルが説明してくれただろう?お前たちの対戦相手が棄権したので、私が相手をすることになったのさ」

 

にやりと笑う龍也、そんな僕と雄二じゃどう足掻いたって龍也には勝てない…

 

「今回私は30分ほどしかテストを受けていない、万全じゃないんだ…言いたい事は判るだろう?やる前から諦めるなよ、明久」

 

!?そうだ。気持ちで負けちゃあ、絶対勝てない。真っ直ぐに龍也を見据えると

 

「良い目だ。参加した甲斐があるというものだ」

 

楽しそうに笑っていた。例えるなら弟子と戦うのが楽しくてしょうがない師匠のような…そんな笑みだった

 

「それでは試合に入りましょう!選手の皆様、どうぞ!」

 

博士に促され、僕達は大きな声で

 

「「「試獣召喚(サモン)ッ!!」」」

 

自らの分身を呼び出した、1人の龍也のほうが早く姿を現し、点が表記される

 

『Fクラス 八神龍也 日本史 415点』

 

 

確かに何時もの龍也を比べると低いが、それでも充分驚異的な点数だ

 

「気持ちで負けるな、俺たちだって引けは取らない筈だ」

 

雄二に励まされ、頷いていると僕達の召喚獣も姿を見せる

 

『Fクラス 坂本雄二 日本史230点』

 

    &

 

『Fクラス 吉井明久 日本史190点』

 

「良いじゃないか、2人合計すれば私を超えてるじゃないか」

 

僕達の点を見て嬉しそうに言う龍也に

 

「ギリギリだけどね」

 

僕がそう言うと龍也は

 

「点数だけじゃ、決まらないさ…それじゃあ、始めようかッ!!」

 

ドンッ!!

 

龍也の召喚獣が背中の翼を使い急接近してくる

 

「明久!俺が押さえる!その間に攻撃を叩きこめっ!!」

 

雄二が龍也を止めた所で攻撃しようと振りかぶるが

 

「遅い!」

 

「ぐっ!」

 

龍也の召喚獣の回し蹴りが僕の召喚獣の胴を捉える、フィードバックで凄まじい吐き気が襲ってくるが

 

「まだまだぁッ!!」

 

歯を食いしばりそのまま攻撃を仕掛ける

 

「いいぞ!明久!距離を開けさせるな!攻めろッ!!」

 

雄二と共に2人掛りで龍也に襲い掛かるが

 

「ふむ、中々のコンビネーションだ」

 

手に持った剣で、背中の翼で、時にはその手と足で、僕と雄二の攻撃を受け流す

 

(何て操作技術だ!僕とは比べ物にならないぞッ!?)

 

召喚獣の扱いに慣れている僕を上回る、龍也の操作技術に驚いていると

 

「なにぼんやりしてやがる!明久ッ!来るぞッ!!」

 

「しまっ!?ぐはっ!!」

 

龍也の一撃が僕の召喚獣の胴を切り払う、フィードバックの強烈な痛みが襲ってくる

 

(ぐう…これは不味い…)

 

龍也の圧倒的な操作技術…焼けるような脇腹の痛み。気持ちが折れそうになった瞬間

 

「明久。お前の想いはこの程度か?瑞希の転校を阻止するんじゃないのか?」

 

龍也がそう声を掛けてきた。そうだ僕が参加したのは…姫路さんのためだッ!!歯を食いしばりなんとか耐える

 

「良いぞ、本気で来い!私を打倒して見せろッ!!」

 

龍也の声に雄二が

 

「おうよ!!お前を倒して!俺達の勝ちだっ!!」

 

雄二が目配せしてから突っ込む。僕はそれに頷き、力を溜める

 

「オオオオオッ!!喰らええええッ!!!…なんてなッ!!」

 

雄二が来ている制服を脱ぎ、龍也の視界を隠すように広げる

 

「くっ!?」

 

ドガンッ!!

 

龍也の一瞬焦った声の後に、凄まじい衝撃音がする。雄二の召喚獣の拳が龍也の召喚獣の胴を捉える、しかし龍也の召喚獣の攻撃も雄二の召喚獣を捉えていて、それが致命傷だったのかゆっくりと消えていく雄二の召喚獣。

 

「へっ!やったぜ…後は決めろよ!明久ぁッ!!」

 

「おうよっ!!行くぞっ!!龍也ぁッ!!」

 

その影から飛び出し龍也の召喚獣目掛け、木刀を振り下ろす

 

「なるほど…雄二は捨て駒だったか…恐れ入る」

 

龍也の感心した言葉の後に、龍也の召喚獣が吹き飛び消滅する。それと同時に

 

「点の差をコンビネーションで打ち破った、坂本・吉井ペアの勝利です!!」

 

「いいいよっしゃああああッ!!!」

 

全身が激しく痛んだが、それでも僕は大きく拳を掲げそう叫んだ…今まで味わった事の無い充実感に満足しきっていた…

 

 

 

 

「やれやれ、負けてしまったか…」

 

嬉しそうにガッツポーズをしてる、明久を見ながら呟くとジェイルが

 

「なに言ってる態と負けたくせに。あの程度で視界を失いはしないだろう?」

 

「まぁな。しかし勝っても面白くないし、それに明久と雄二の頑張りも見たし。私としては満足の結果さ」

 

今回ジェイルの頼みを受けたのは、明久と雄二の成長具合を見る為だった。手加減したとは言え、私を撃破した2人の成長を見れただけで充分だ

 

「おや?何処に行くんだい?」

 

「昨日の今日だ。少しばかり血が足りん、休ませて貰う。明久に言っておいてくれ、優勝おめでとうってな」

 

頭の怪我を指差し言うと

 

「そうか、判ったよ。明久君には伝えておくよ」

 

「ああ、頼むよ。後夜祭には参加すると言っておいてくれ」

 

私はそう言うと会場を後にした…

 

「少しばかり疲れた…」

 

グランドの隅の着に背中を預け休んでいると…睡魔に襲われ私は眠りに落ちた

 

ドーンッ!ドーンッ!!

 

「むっ?いかん、眠っていたか…」

 

後夜祭の合図の花火の音に目を覚ました、私は頭を振りながら身を起こし

 

「やれやれ、歳かな…こんなに眠ってしまうとは…」

 

3時間近く眠っていた自分に呆れながら

 

「確か…後夜祭は近くの公園だったな…見に行ってみるか」

 

打ち上げ会場の公園に行くと…そこには

 

「僕は~美波も姫路さんも~大好きれすよ~」

 

「ちょっアキ!?何言ってるのよ!?」

 

「そ、そう言うのは出来れば2人きりの時に…言って欲しいんですけど吉井君」

 

美波と瑞希を抱き抱えた、真っ赤な顔の明久が居た…

 

(これは…酒か?)

 

落ちている缶を見ると、酒の表記…どうやら明久は酔っている様だ

 

「むー明久でいいよ~姫路さん、ほら!言って見れ?」

 

「えっ…あーえっと…明久君?」

 

「うんうん。そうそう…それでいいんれすよ~」

 

満足気に頷いた明久は2人を自分の方に引き寄せ

 

チュッ×2

 

2人の頬に触れるだけのキスをして

 

「「ふえっ!?」」

 

驚きに顔を真っ赤にしてる、2人に

 

「ふ~たりとも~だーいすきっ!!」

 

そう言うと2人を放し、その場に倒れこんだ…

 

「ちょっアキ!?大丈夫ッ!?」

 

「明久君ッ!?大丈夫ですか!?」

 

2人が慌てて揺するが

 

「んーむにゃ、むにゃ…」

 

明久は気持ち良さそうに寝息を立てていた…頬にキスされた2人はトマトの様に赤くなりながら

 

「…今のどう受け取れば良いのかな?友達として好きなのか…」

 

「異性としての好きなのか…どう受け取ればいいんでしょう?」

 

悩んでいる美波と瑞希を見て

 

(これが青春か。まぁ良いんじゃないかな?)

 

明久には何となくだが、エリオと同じ雰囲気を感じた…もしかすると

 

(2人とも…って言う選択肢を取るかもな…)

 

エリオはキャロとルーテシア、どちらかを選ぶ事は出来ず、2人ともと言う選択を取った…明久ももしかするとその選択をするかもしれない

 

(ふっ、それはそれで良いのかもな…それではな、3人ともまた明日)

 

あの幸せそうな雰囲気の中に入っていくのは、申し訳ない…馬に蹴られて死ぬ前に帰るとするか、はやて達もいないようだしな…私はコートのポケットに手をいれ、公園を後にした…次の日…

 

「ほー明久はそんな事言うてたんか」

 

「酔ってるとはいえ、そこまではっきり言うとは見直しましたよ」

 

「そうですね」

 

昨日の事をはやて達に話しながら歩いていると

 

「お、おはよう!アキ」

 

「おはようございます!明久君」

 

明久に声を掛けている2人を見かけ、少し離れた所で様子を見ていると

 

「昨日の事覚えてる?アキ」

 

「昨夜の事覚えてますか?」

 

2人に尋ねられた明久は申し訳無さそうに、頭を掻きながら

 

「ごめん、僕。昨夜の事全然覚えてないんだ…僕何か変なこと言ってた?」

 

明久がそう尋ねると2人は、

 

「そ、そうなんだ、それじゃあ仕方ないわね」

 

「何も変なこと言ってないですから。そんなに気にしなくて良いですよ?」

 

少しだけ落胆した様子を見せながらも、一安心を言う表情で明久の手を握り

 

「ほら、遅刻しないうちに行くわよ。アキ」

 

「偶には早く行きましょうね。明久君」

 

「ちょっ、なんか頭痛いんだ、そんなに強く引っ張らないでッ!2人とも!」

 

美波と瑞希に手を引かれ、歩いて行く明久を見ていると

 

「雄二。婚姻届受理されなかった…凄く残念」

 

「そりゃそうだろ。俺達は結婚出来る歳じゃないしな」

 

「だから来年まで保管する事にした。今はまだ、婚約者」

 

「…今度、お前の家に遊びに行って良いか?」

 

「良いけど…婚姻届は弁護士に預けてあるよ?」

 

「随分厳重な保管だな!おいッ!!」

 

雄二と霧島の話し声が聞こえてくる

 

「くっく、本当にこの世界は面白い」

 

「そうやね。ほら行くで兄ちゃん」

 

「こら、狸っ!1人でだけ良い想いしようなんて許しませんよ!」

 

「へへーんだ、あんたに許可取る必要ないわ」

 

セッテとはやての喧嘩を見ながら…

 

(争いのない平和な世界か…こういうのは、凄く良い物だよ)

 

今まで戦いばかりだった。偶にはこういう平和な世界というのも良い物だ。私はそんな事を考えながら歩き出した…いつまでこの世界にいられるか判らんが。この平和な時が、長く続きますようにと祈りながら…

 

 

第34問に続く

 

 




常夏が改心してるので2巻のイベントは大分カットしながれが変わってしまいました、そのせいか、今回の話は少し長くなってしまいましたが…どうでしたか?面白かったですか?もしそうなら良いのですが、次回は予告通り3.5の「僕とバイトと危険な週末」の後に3巻の内容に入りたいと思います、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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