バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回は召喚大会と精神力がガリガリ削られる明久のお話です、今回もどうかよろしくお願いします


第31問

 

第31問

 

「えっと…吉井君よく似合ってるよ?」

 

「疑問系で言うくらいなら笑ってくれッ!!」

 

何度目になるか判らない絶叫をする、服装逆転中と言う看板を店の外に出し、興味を持って入ってきた女子にこう言われるのも10回目だ。どうせなら笑って欲しい、その方がずっと気が楽だ。龍也の方を見ると

 

「お姉さまと呼んでも良いですかッ!!」

 

「私は男だッ!!!!」

 

1年女子にキラキラとした目で言われ、怒鳴っていた。秀吉は

 

「ちょー可愛い」

 

「マジだな。あれなら男でも行ける」

 

「身の危険を感じるぞい」

 

秀吉はブルブルと身震いしていた、そしてムッツリーニは

 

「あはは♪可愛いよムッツリーニ君?」

 

「屈辱だ」

 

「そんな事言って良いのかな~?」

 

「屈辱でございます、お嬢様」

 

「んふふ♪可愛いよ本当」

 

工藤さんに1万で貸切にされ。いじられていた…なんと憐れな

 

「んじゃ、龍也君。私達は帰るから」

 

「じゃーね~」

 

そして僕達に脱げない女物の服を着せた本人はさっさと帰ってしまうし。何てついてないんだ

 

「たっだいまー」

 

「ただいま戻りました」

 

この声は姫路さんと美波だ。助かった服装逆転中が話題を呼んだのか、人が大量に来ていて困っていたから実に助かった

 

「丁度良かった…よ」

 

振り返りながら2人を見て絶句した。

 

「どうしたの?アキ」

 

「似合わないですか、これ」

 

執事服の裾を掴みながら言う姫路さん。だが違う寧ろ逆だ。似合いすぎていた、凛々しいとまで思える美波と髪を後でしばった姫路さんは、とても美しかった。心臓を鷲掴みにされたような衝撃を受け絶句していると

 

「本当にどうしたのよアキ?」

 

「!?いや何でもないよ。2人とも凄く似合ってるよ」

 

「そ、そうかな?」

 

「吉井君も似合ってますよ?」

 

それを言うか…出来れば言わないで欲しかった。特に姫路さんには、僕がショックを受けていると

 

「ウェイターとウェイトレスが密集してると、客が落胆する。早く散れ」

 

雄二が助け舟を出してくれる。そのせいか2人もペンと注文票を取りに行く…助かった、いや残念なのか?複雑な感情をもてあましていると

 

「明久君、君は何て格好をしてるんだい?それに龍也も」

 

この声はッ!?

 

「博士ッ!!博士じゃないですかッ!!何をしてるんですか?」

 

マスク○ライ○ーシステムやゲッターロ○Gを造った天才科学者であり。セッテさんの父親のジェイル・スカリエッティ博士が居た

 

「質問したいのは私のほうだよ、明久君。どうして女装してるんだい?」

 

「なのはさん達の母親が…」

 

「あー遊ばれたわけね、変な事を聞いてすまない」

 

僕と博士が話してると

 

「おっ?スカリエッティさん。どうしたん?」

 

「お父さんなにしてるんですか?」

 

「スカリエッティさん、お久しぶりです」

 

男装してるはやてさん達が話しかけると、博士は

 

「あーなるほど、龍也達の女装を紛らわせる為に服装を交換してるんだね?理解したよ」

 

納得と頷いている博士の後ろから

 

「教頭?吉井達と知り合いなのですか?」

 

鉄人が博士に教頭と呼びかける、

 

「鉄人?博士が教頭ってどういうことですか?」

 

「誰が鉄…何があったんだお前達に?」

 

周りを見ながら尋ねてくる鉄人に龍也が、博士にアイアンクローをしながら

 

「色々ありまして、それでなぜこのド馬鹿が教頭なんですか?」

 

「痛いッ!!痛いですッ!!龍也さんッ!!私の頭蓋骨が悲鳴を上げてますッ!!!」

 

「あー知り合いらしいからあんまり言わないが、一応教頭先生だ。敬意を示してくれんか?」

 

「このド馬鹿に払う敬意はありません」

 

「ギャーッ!!アルゼンチンバックブリーカーは駄目だッ!!!痛すぎるっ!!」

 

ゆっさ、ゆっさと博士にアルゼンチンバックブリーカーを決めている龍也に鉄人が

 

「あー詳しくは知らないんだが、前の教頭の竹原先生が体調不良で退職されたらしくてな、それで臨時教頭として雇ったらしい」

 

「そうですかー、んじゃま、逝くかジェイル?」

 

「キンニ○バス○ーは駄目だッ!!死んでしまうッ!!」

 

漫画で見た超人の必殺技の構えをする、女装の龍也…違和感ありまくりだ

 

「それじゃあ、マッス○スパー○なら良いか?」

 

「駄目ッ!!死んじゃう!!骨とかバラバラになっちゃうッ!」

 

「んじゃ、キンニ○ドライ○ーだな」

 

「西村先生ッ!!校内暴力ですッ!!龍也を止めてくださいッ!!!」

 

結局鉄人の制止も虚しく、博士は畳に叩き付けられた

 

「ぐおお、痛い、痛すぎるッ…」

 

「だ、大丈夫なんですかッ!教頭ッ!首が変な方向を向いてますが」

 

「あー全然大丈夫、ふんっ!」

 

ゴキャッ!!鈍い音を立てて首を元に戻した博士は

 

「それじゃあ、案内をお願いしますね。西村先生」

 

「えっあ、はい。保健室に行かなくても良いんですか?」

 

「あー全然大丈夫、骨折くらいなら1時間くらいで治るから」

 

…本当に博士は人間なんだろうか。骨折って普通1時間じゃ治らないと思うんだけど…

 

「すいまーせん、席空いてますかー?」

 

「はーい!今行きまーす」

 

それより今は清涼祭だ、姫路さんの転校を防ぐ為に頑張らないと!僕は気合をいれ接客に向かった…

 

 

 

 

「明久、そろそろ4回戦だ」

 

「えっ…もうそんな時間?まだ覚悟が出来てないんだけど…?」

 

メイド服を脱ぐ事が出来ない明久の肩に手を置き

 

「大丈夫、俺が上手くやってやる。何も不安に思うことはない」

 

説明無しでは余りに憐れなので上手くフォローしてやる。と言っていると島田達が

 

「あれ?アキたちの出番もそろそろなの?」

 

「私達も出番なんですよ~」

 

トレイを置きながら話しかけてくる、恐らく対戦相手はこの2人だろう

 

「ああ、多分。俺と明久のコンビとお前達の試合の筈だ。そろそろ行かないと不味い」

 

準備時間もあるので、そろそろ行かないと不味い

 

「お兄ちゃんは葉月を置いて行っちゃうですか?」

 

「大丈夫だよ、葉月ちゃん、すぐ帰ってくるからね?」

 

明久はチビッコにスカートを握られ、困った顔をしながらも、チビッコを宥めていた

 

「うーし、じゃあ行くぞー」

 

「うん、今行くよ。お手柔らかに頼むよ。2人とも」

 

明久は2人にそう声を掛けてから、俺の後を着いて来た…

 

「…雄二。ぼくやっぱり帰りたい」

 

「覚悟を決めろ」

 

満員の観客席を見て顔を青褪めさせる、明久にそう言うと

 

「くそ、どうして脱げないんだ!?本当に電流が流れ…ふぎゃあああああッ!?!?」

 

「明久!止めろッ!死ぬぞッ!!!」

 

感電している明久の手をメイド服から離していると

 

『それでは4回戦を始めたいと思います、出場者は前へどうぞ!』

 

審判の先生に呼ばれ俺達はステージに上がったのだが

 

『おい、あの男子女装してるぞ?』

 

『そう言う趣味があるのか?』

 

『でも、女子も男装してるぞ?』

 

ざわざわと聞こえるささやきに

 

「いやあああああッ!!帰るッ!!僕お家に帰るッ!!!」

 

「落ち着け!明久、上手くフォローしてやる!」

 

「落ち着いてアキ!似合ってるから」

 

「はい、可愛いから大丈夫です」

 

「いやあああああッ!!可愛いって言わないでッ!!!違和感を感じなくなっちゃうからッ!!」

 

帰ろうとする明久を3人で止める、これはきつい、精神的にきつすぎる

 

『4人とも準備は良いですか?』

 

苦笑いしながら尋ねてくる先生に

 

「はい、判りました」

 

大きく息を吸い召喚獣を呼び出す

 

「「「「試獣召喚(サモン)ッ!!」」」」

 

「いやああああッ!?!?何で!何で僕の召喚獣までメイド服なのッ!?」

 

見慣れた俺達の召喚獣が姿を見せるが、明久の召喚獣だけはメイド服にモップ装備だった…もう憐れすぎて何にも言えない

 

『では、4回戦を…』

 

っとと、不味いこのまま試合を始められたら、明久のフォローが出来なくなる

 

「ちょっとすいません」

 

向井先生の手からマイクを取り

 

「清涼祭に御来場の皆様、こんにちわ!」

 

挨拶をしながら島田達を見る、俺が何を言いたいのか理解したのか、明久を連れお客さんに向かい合うように並んでくれる

 

「ここにいる僕らは、本格的なスイーツを提供する、2-F、執事喫茶で働いています!現在服装逆転キャンペーン中で、男子と女子の制服を交換し、接客を行っています。可愛らしいメイドと格好良い執事がいる。執事喫茶をよろしくお願いしますッ!!!」

 

丁寧に頭を下げる、同じく頭を下げる動きを召喚獣にもさせる。これなら大分印象に残るだろう

 

「先生、マイクをお返しします」

 

向井先生に頭を下げてからマイクを返す。向井先生は若干苦笑いしながら

 

「と、言う事だそうです。ご見学の皆様、お時間に余裕がありましたら。出場選手のいる2-Fに是非お立ち寄りください」

 

おっ!向井先生もCMに付き合ってくれた、これは嬉しい誤算だ

 

「それでは、いよいよ召喚大会を始めたいと思います!4人とも良い試合をお願いします」

 

そう言って向井先生が距離を取ると、島田が

 

「ここまでよく勝ち残って来たわね。でもウチらに勝てるかしら?」

 

余裕という表情の島田に

 

「お前達が勝ち上がって来るのは予想通りだ!勿論対策も練ってあるッ!!」

 

点数が表示されるディスプレイを指差す

 

『Fクラス 姫路瑞希 古典 380点』

 

    &

 

『Fクラス 島田美波 古典 65点』

 

何ぃ!?島田の古典の点が上がってるだと!?俺の予想を上回る点に動揺してると

 

「はやて達には大感謝だわ。あの4人本当に頭良い物、ウチにも判り易く教えてくれたわ」

 

ぬかった、あの4人も龍也クラスの教え方の天才だったのか。これじゃああまり優位性はないか…少し遅れて俺達の点が表示される

 

『Fクラス 坂本雄二 古典250点』

 

    &

 

『Fクラス 吉井アキちゃん 古典78点』

 

!?!?名前の表示がアキちゃんになってる!?って点も島田より上だ、ギリギリだけど…少し感心し明久を見ると

 

「いやああああッ!!せめて!せめて名前だけは!明久にしてええええッ!?」

 

頭を抱えて錯乱していた。何てことだ2対1になってしまうぞ!?考えろ!考えるんだッ!!この状況を打破する方法を!!

 

「島田、姫路。明久が如月ハイランドのペアチケットを手に入れようとしている、本当の理由を知ってるか?」

 

すまん。お前を生贄に使わせて貰うぞ、明久

 

「本当の理由?」

 

首を傾げる島田に

 

「一緒に行こうとしているのが俺という噂だが…本当は違う、そもそも明久が召喚大会に出場した理由は…」

 

本当にすまん、何でもするから許せ

 

「島田と姫路、どちらがより自分を護ってくれるか確かめるためなんだ」

 

「「ええっ!?」」

 

驚く2人に錯乱している明久を見せながら

 

「こいつは馬鹿だ、恐らく良い会社には就職できないだろう…しかしこいつは主婦レベルの家庭科技能を持っている」

 

喫茶店の調理を見て、俺に近い技能を持っていると確信した。それを利用しない手はない

 

「ゆ、雄二?貴様何を言うつもりだ?」

 

正気を取り戻した明久と目を合わさずに

 

「しかし、主婦レベルの技能があっても。収入がなければその技能は使えない…つまりは自分を護ってくれる相手が必要になるわけだ」

 

「貴様ッ!!僕を生贄にする気だな!!へぶっ!」

 

明久の口を押さえ、無理やり黙らせ

 

「学年主席の姫路、英語、日本語、ドイツ語を使いこなせる島田…どちらも高収入が期待できる。しかし、日本は重婚は出来ない…どちらか片方を選ぶ事になる…」

 

ここで言葉を切り

 

「しかし、明久はどちらかを選ぶ事は出来ない…故に直接戦い。どちらがより自分を護ってくれるか確かめ、その上で誰と行くか決めるつもりなんだ」

 

これで姫路と島田の攻撃は明久に集中する筈、そこが勝機だ!

 

「雄二!貴様なんて事を言うんだッ!!ご、誤解だからね!美波。姫路さん!こいつの言った事は…ノオオオッ!!!」

 

言葉の途中で絶叫し召喚獣をしゃがませる。その頭上には振り抜かれたサーベルと大剣があった…

 

「大丈夫、ちゃんと理解させてあげる、ウチの力を」

 

「ええ、その通りです。私が吉井君を護れる事を証明してあげます」

 

「まって!お願いッ!!その護るべき対象を攻撃するのがおかしいって事に気付いてッ!!」

 

2人の召喚獣の攻撃を必死で避ける、明久の召喚獣を見ながら、力を溜める

 

(一撃だ、一撃で2人を屠るんだ…ついでに明久も)

 

3人の召喚獣の動きをよく観察する。勝機は1度…それを逃せば苦しい戦いが待っている。これで決めるんだ

 

「避けないで確かめなさいッ!!ウチの力をッ!!」

 

「そうです!ちゃんと確かめてくださいッ!!」

 

「いやアアアッ!!死ぬッ!!フィードバックで死んじゃうッ!!」

 

島田と姫路は明久だけに集中してるッ!今だ

 

「くたばれッ!姫路と島田ッ!!明久と共にッ!!!」

 

3体目掛け渾身の一撃を叩き込む

 

「え、あ、きゃあッ!!」

 

「しまっ…」

 

「ダンプッ!!」

 

碌な防御をしなかった姫路と島田の召喚獣が吹き飛びながら消滅し、更には明久が奇声を発しその場に倒れこむ。明久お前の犠牲のおかげで勝てたぜ

 

「あ~え~と…」

 

困り果てている向井先生、そりゃそうだ。味方ごと敵を屠るなんて最低の戦法だ…どういうべきか悩んだ向井先生は

 

「姦計をめぐらせ、味方もろとも相手を屠った。坂本雄二君の勝利です!!」

 

本来はペアだから明久も勝ち名乗りを受けるのだが、フィードバックで意識を失っているので俺だけの勝ち名乗りを聞きながら

 

(本当にすまなかった、これしか勝機がなかったんだ)

 

心の中で明久に謝っていた。しかし因果応報、俺にもこれに近い末路が待っている事を今の俺は知る由もなかった…

 

第32問に続く

 

 




明久女装の上、男装の瑞希と美波に襲われる、喜劇のお話でしたが…どうでした?面白かったですか、もしそうなら良いのですが…それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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