バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回は龍也のトラウマをざくざく抉る天敵と、召喚大会です。少々長くなる予定ですが、どうか今回もよろしくお願いします



第28問

 

第28問

 

僕は目の前の光景が信じられなかった…

 

「龍也君、それじゃあね、イチゴタルトを…12人前頂戴」

 

「私は3人前ね」

 

「スペシャルの記念撮影もさせてね♪」

 

楽しげに注文する、3人の美女に

 

「は、はい。かしこまりました、奥様方」

 

明らかに怯えのある表情で頷いている龍也。何時もと違いすぎる、一体何がそこまで龍也を怯えさせるのだ?見たところ、何の害もない綺麗な人達だが…

 

「アキ?なのは達のお母さんをいやらしい目で見ちゃ駄目よ?」

 

「そうですよ?もし、そんな目で見てるなら、お話しないといけなくなっちゃいますよ?」

 

変な事を考えるな!変な事を考えれば、それだけで魔王様が降臨するぞ!自分に言い聞かせ。龍也のやり取りを見る、幸いにも人が少ないからこうしてみていても何の問題も無い。

 

「んー懐かしいわ。昔こうやって執事服着せた事があったわね、覚えてる龍也?」

 

「…嫌でも覚えてますよ。行き成り殴られて拉致された挙句。目が覚めたら執事服ですよ?忘れるわけが無いじゃないですか」

 

どうやらかなりアグレッシブな方のようだ

 

「それもそうね、龍也の言うとおりだわ。所で龍也これも覚えてる?」

 

クイントさんが懐から何かを取り出し、それを龍也に見せる

 

「!!!返してッ!!それを返してくださいッ!!!お願いします!!!」

 

青褪めた顔の龍也がそれを奪おうとする。一体何が写ってるんだ?僕が首を傾げてるとはやてさんが

 

「ま、まさか!それはあの時の写真ですか!クイントさん?」

 

異常に反応する、一体何なんだ!?あの写真は!?何が写ってるんだ!?

 

「そうよ、無理やり着替えさせて撮った。龍也の女装姿の激レア写真よ」

 

なんて酷い事を!?しかも無理やり着替えさせた!?トラウマなんてレベルじゃないぞ!?僕が戦慄していると

 

「返して!!お願いだから、それを返してください!私の人生の汚点をッ!!」

 

「返してあげても良いわよ?ネガ付きで、その代わりこれにサインする?」

 

何かの書類を龍也の前に突き出す、クイントさん。一体何なんだ?あの書類は

 

「しません!!なんでスバルとの婚姻届と引き換えなんですか!」

 

「スバルが嫌ならギンガでも良いわよ?」

 

どうやらもう1人娘さんが居るらしく。もう1枚婚姻届を取り出すクイントさんに

 

「そう言う問題じゃありませんッ!!!大体スバルの意思はどうなんですか!」

 

「諸手を上げて大歓迎だと思うわ」

 

あっ、やっぱりあの子も龍也が好きなんだ。でも母親公認なんてちょっと羨ましい気がするなぁ

 

「クイント、そうは行かないわ。龍也君、フェイトの婚約者になる気は無いかしら?」

 

「ありませんよっ!!私はフェイトを恋愛対象と見た事はありませんッ!!!」

 

なんて勿体無い!あんな美少女を恋愛対象に見てないなんて!僕なら喜んでフェイトさんの…

 

「アキ?そこから先考えたら…折るわよ?」

 

「そうですよ?吉井君、昨日の私達の話を覚えてないんですか?」

 

振り向いたら駄目だ!魔王様に殺されるッ!!僕は前を向いたまま何度も頷いた

 

「それなら良いのよ、アキ」

 

「ちゃんと覚えててくれて、嬉しいですよ吉井君?」

 

何とか僕の命は繋がったようだ

 

「それじゃあ、なのはの婚約者は?今なら、士郎さんの経営してる喫茶店もついてくるわよ?」

 

「なんで貴女達は会うたびにそんな話しかしないんですか!?他に言いたい事は無いんですかッ!?」

 

どうやら、龍也はあの3人に会う度にこんな話をされてるらしい。さてあの3人の返答は?

 

「そうねぇ?スバルだけじゃなくて、ギンガも貰ってくれない?」

 

「美由紀だったら、おまけでつけるけど?」

 

「そうねぇ、アルフだったら、フェイトにつけるけど?」

 

1人で駄目ならもう1人、常識的には考えれない返答をしていた

 

「私が言いたいのはそう言うことじゃないですッ!!自分達が何言ってるか理解してますか!?日本は重婚は出来ないんですよ!」

 

龍也が追い詰められてる、あそこまで狼狽してる龍也は初めて見た

 

「ひでぇ、あれじゃあ。精神的に来るぞ」

 

「そうじゃな、しかもさり気無く、重婚しろと言う辺り。恐ろしいと思うぞ」

 

秀吉と雄二も同じ事を考えたらしく、龍也に同情していたが

 

「ブシャアアアアッ!!!」

 

重婚について詳しい妄想でもしたのか。ムッツリーニは血を吹いていた

 

「それじゃあ、重婚できる国で結婚してくれるかな?」

 

何が何でも重婚を前提に話を進める気だ!

 

「もうやだッ!!誰だよ!!この人達呼んだのッ!誰でもいいからこの人達連れて帰ってくれッ!!!」

 

龍也が頭を抱えて絶叫すると同時に、はやてさんが

 

「クイントさん、桃子さん、リンディさん。この際やから、きっぱり言わせて貰いますけど」

 

おお、はやてさんがきっぱり言うんだな。重婚は違法だっ…

 

「兄ちゃんは、私とヴィータとシグナムとリインフォースで幸せにするんですッ!!なのはちゃん達の入る隙間なんてないんですっ!」

 

駄目だッ!はやて様も思考回路があの人達に似てるのかッ!?って言うか。後半の聞き覚えの無い人達の名前は何なんですか!?

 

「殺せッ!いっそ私を殺せばいいだろう!?」

 

指を指されて笑われているのに耐えかねたのか、遂に龍也が錯乱状態に陥り。窓に向かって行く

 

「やばい。龍也が錯乱したぞっ!」

 

「止めるんじゃ!明久」

 

雄二と秀吉と協力し龍也を取り押さえようとするが

 

「な、何て力だッ!男3人で止めれないのかッ!?」

 

「お、押え切れんッ!!!」

 

「頑張って!雄二、秀吉!龍也を窓から引き離すんだ!」

 

龍也の自殺を止める為に窓から引き離そうとするが、逆に引き摺られていく

 

「あら、龍也君が錯乱してるわよ?」

 

「相変わらずねぇ、仕方ないわ。これを使いましょう」

 

鞄からポスターの様な物を取り出した、リンディさんは

 

「龍也君!これを見なさいッ!!!」

 

それを勢いよく広げた、そこには黒いワンピースを身に纏った、上目目線の銀髪の美少女が、女の子座りで映し出されていた。だがあれは一体誰?僕達が首を傾げてると龍也が凄まじい悲鳴を上げて

 

「うわあああああッ!?!?何でそんなに大きくプリントアウトしてるんですかッ!?」

 

「可愛かったからよ?龍美ちゃん?」

 

「その名で呼ばないでええええッ!?!?」

 

ええ!?あれ龍也の女装写真なのッ!?僕が龍也の顔を見ると

 

「そんな目で私を見るなぁぁッ!!!」

 

「ギャアアアッ!!目がッ!目がぁぁッ!!!」

 

抉りこむような目潰しが放たれる、しかも攻撃されたのは僕だけではなく

 

「ギャアアアッ!!痛てぇッ!痛すぎるぅぅッ!」

 

「はぐっ!デコが陥没したように痛いのじゃあアアッ!!」

 

雄二は僕と同じく目潰しを、秀吉はデコピンを喰らい蹲る。そしてムッツリーニは

 

「カシャッ!カシャッ!!!」

 

女装姿の龍也のポスターを激写していた。馬鹿なにしてるんだ!そんな事したら

 

「康太ぁぁッ!!!撮るんじゃないッ!!!」

 

「うああああッ!?」

 

龍也の鬼のような形相に、悲鳴を上げて逃げていくムッツリーニ

 

「カメラを寄越せえええッ!!」

 

それを追いかけていく龍也、捕まれば恐らくムッツリーニは2度と朝日を拝めないだろう、出来る事なら無事に逃げ切って欲しい

 

「リンディさん、そのポスター欲しいんやけど…?」

 

「良いわよ、他のコスプレもさせた。カレンダーバージョンであげるわ」

 

「わ、私も欲しいです」

 

「私も貰っても良いですか!?」

 

きっとはやてさん達があれを貰ってた事は言わない方が良いんだろう。主に龍也の精神衛生上の為に

 

「くう。不味い!そろそろ2回戦の時間だぞ。明久」

 

目潰しが効いてるのか、全く明後日の方向を向きながら言う雄二に

 

「ま、不味いよ!?今の僕達、前が見ないよっ!?」

 

同じく明後日の方向を向きながら返事を返すと

 

「仕方ない、ワシが連れてってやろう」

 

秀吉が僕の手を握りながら言う、恐らく雄二も同じだろう

 

「あ、ありがとう!秀吉」

 

「助かるぞ。秀吉」

 

「気にするでない。では行くぞ」

 

秀吉に手を握られ先導されながら。会場のほうへと歩き出した…

 

 

 

 

「ひでえ目にあったな。明久」

 

漸く視界を取り戻し、会場へと続く通路で明久に言うと、明久はガタガタ震えながら

 

「ねぇ、雄二。さっき僕達秀吉に手を繋がれてここまで来たけど。美波達怒ってないかな?」

 

「信じろっ!俺達は目が見えなかったんだ!何の落ち度も無いと!」

 

戻った瞬間、即死ではない事を願うしかない。しかし魔王化の進んでいる島田と姫路の考える事は読めない。つまり命が続く事を願うしかないのだ

 

「だ、だよね!僕達は悪くないよね!そ、それで雄二、2回戦の相手は?」

 

「多分、卑怯者とその彼女だろうぜ」

 

対戦表を見て、勝ち上がる可能性のあるのはあの2人だった。だからそう言うと明久は思い出したという表情で

 

「あー、根本君と小山さんだっけ?」

 

「そうそう、これがあるんだ、楽に勝てるぜ」

 

懐のブツを叩きながら言うと、明久は

 

「そうだね、まだ目が本調子じゃないから助かるね」

 

「ああ、その通りだ」

 

龍也の目潰しは強烈だった。捻り込むように放たれたあれは、まだ俺と明久の目に後遺症を残している。本当に根本が相手で良かったと思いながら、会場に入ると

 

「よ、吉井に坂本!?お前らが相手か!?」

 

露骨に嫌そうな顔をする根本と

 

「Fクラスの馬鹿コンビが相手か。ラッキーね。安全パイじゃない」

 

俺達を格下と見下している小山。まぁ予想とおりだ、あの女はお世辞にも性格が良いとは言えないからな

 

「それでは、試験召喚大会2回戦を始めてください」

 

英語担当の遠藤先生に頷き

 

「「「「試獣召喚(サモン)ッ!!」」」」

 

一斉に召喚獣を呼び出す

 

『Bクラス 根本恭二 英語W199点』

 

    &

 

『Cクラス 小山友香 英語W165点』

 

代表コンビだけあって中々の点数だ。しかし俺達には天災と天才がついてるんだ

 

『Fクラス 坂本雄二 英語W135点』

 

    &

 

『Fクラス 吉井明久 英語W98点』

 

教え方の天才の2人に教わった、俺達の点は確実に上昇してる。それは確かな自信に直結する、やれば出来るっ!と言う自信に…今回はまぁ正直に戦う気は無いんだが。確かに自信にはなる

 

「雄二、礼の物を」

 

明久がさっそく最終兵器を要求する。確かに本調子じゃないんだ、早めに終らせるか。懐から根本恭二個人写真集『生まれ変わったワタシを見て!』を根本に見せる

 

「そ、それは!」

 

予想とおり表情が凍りつく根本、いい気味だ。千分の一でも良い。俺と明久に迫る恐怖を味わうが良い。

 

「さて、根本君。この写真をバラ撒かれたくなかったら…」

 

「明久、交渉相手は根本じゃないぞ?」

 

肩を叩きながら言うと、明久は不思議そうに首を傾げる。俺は根本の隣の小山に

 

「お前の彼氏の、隠された趣味を知ってるか?」

 

一番最初のページを見せながら尋ねる

 

「や、止めてくれ!坂本!!こ、降参する!だからその写真だけは!」

 

うろたえる根本を一瞥し隣の明久に

 

「明久、根本を押さえろ」

 

「ん、了解」

 

写真を奪おうと近付いてきた、根本を明久に羽交い絞めさせ

 

「Cクラス代表。この写真集を見て、お前の彼氏の秘密を知りたかったら降参しろ」

 

「お、鬼!悪魔ッ!!」

 

根本の悲鳴は無視だ、交渉相手は小山なんだから

 

「…良いわ。降参するわ、それを渡して頂戴」

 

「ああ、勿論だとも。明久もう解放してやっていいぞ」

 

小山に写真集を渡した所で、根本の拘束を止めさせる

 

「ゆ、友香!?頼む!見ないでくれッ!!」

 

懇願する根本をガン無視し、写真集を汚物を見るような目で見る小山。これで根本は終わりだな

 

「うーし、明久。喫茶店も気になるし。戻ろうぜ」

 

「…魔王様化してないかな?」

 

ガタガタ震える明久に

 

「信じろ、あの2人を、そして命が続く事を願え」

 

後はそれを信じるしかない、あの2人の心の広さを信じるしか

 

「そ、そうだよね!それじゃあ、遠藤先生。僕らの勝ちという事で」

 

小山の脇から、写真集を覗き込んでいる遠藤先生に明久が声を掛けると

 

「あ、はい!坂本君と吉井君の勝利です」

 

赤い顔で言う遠藤先生から視線を外し、通路へと戻って行く途中。背後から

 

『…こんな趣味があったのね。ゴミ』

 

『ちょっ、ちょっと待ってくれ!友香!は、話を!』

 

『名前を呼ばないで欲しいわ、汚らわしいゴミには』

 

小山の軽蔑の混じった言葉を聞きながら、俺達は校舎へと戻った

 

第29問に続く

 

 




龍也さん壊れの話でした。面白かったでしょうか?もしそうなら良いのですが、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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