バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、教頭がクビ、それにより常夏の「推薦状」は無しに。更に性格が変わってしまった「美波」「瑞希」。そして龍也を追ってきた「ティアナ」原作とは全く違う流れになってきましたが、どうかよろしくお願いします



第25問

 

第25問

 

清涼祭前日に学園長に呼び出され、私がやろうとした事を全て暴かれ。自主的に辞めるなら警察には言わないといわれ。私は体調不良を理由に退職届を出し、次の日もう自分の部屋ではない、教頭室を片付けていると

 

「ちょっ、教頭!退職ってどういう事だよ!俺達の推薦状は!?」

 

駆け込んでくる3年2人に

 

「無理に決まってるでしょう。私はもう教師としての権限は何もないんですから。今だから言いますけど、貴方達に推薦状を書くつもりなんて無かったんですよ」

 

この際言っておきますか…もうどうでも良い事ですし

 

「はぁッ!?どういうことだよ!」

 

驚く3年を見下ろし

 

「どういうことも無いですよ、貴方達のような屑に推薦状なんて書くつもりは無かったんです。そうそう、学園長も貴方達の事を知ってますからね。内申は酷い事になってると思いますよ」

 

恐らくこの2人はもう希望していた大学には行けないだろう

 

「「なぁッ!?」」

 

絶句する2人に

 

「まぁ、精々頑張ってください。屑コンビ君」

 

私はそう言うと同時に2人の前から歩き去った…因果応報。やはり悪い事はするべきではないな…目先の事ばかり考え、結果自分の将来を台無しにしてしまった事を悔いながら。私は文月学園を後にした…

 

 

 

教頭室で項垂れていると、常村が

 

「どうする?夏川」

 

「どうもこうもねぇよ、俺達が悪かったんだ…推薦状の為に、教頭の話に乗った俺達が全部悪いんだ」

 

「だよな…はぁ、これで大学にはいけないか」

 

3年間の勉強が全て台無しになってしまった…大学には行けず、良い就職先にも就けないだろう。俺達はもう終わりだ

 

「そうやって反省できるなら。まだ挽回できるんじゃないかな?」

 

白衣の男がやってきて、教頭の椅子に腰掛ける

 

「あんたは?」

 

「新教頭さ。そして前の教頭の悪事を暴いた者でもあるよ」

 

そうか…その功績で教頭になったのか、呆然と聞いていると

 

「私はまだ君達の事を学園長には言ってない」

 

「ほ、本当か!?」

 

慌てて立ち上がり尋ねると

 

「本当さ、君達はまだ子供だ。楽な方に行きたいと思うのは仕方ない、だが今回の事で判ったろう?楽をしても良い事は無いって」

 

その言葉に頷くと、白衣の男は満足気に頷き

 

「それが判るならまだ救いはあるさ。推薦状は書いて上げれないけど、頑張りなさい、君達の成績なら普通に行きたい大学にいけるさ」

 

励ましてくれる教頭に

 

「あの…先生の名前は?」

 

「ジェイル、ジェイル・スカリエッティさ。さっ今日は清涼祭初日だ、もう自分達の教室に戻りなさい」

 

「「はい!!」」

 

俺と夏川はそう返事をし、教頭室を後にした…さっきは今までの頑張りが全て無駄になったと思った。でもまだ挽回できるなら、ここから頑張ろう。真面目に堅実にしっかりと勉強して、自分の実力で行きたい大学に行ってみせる!そう決意し俺達は自分達の教室に戻った

 

本日の名言 人は誰でも1度は道を間違える、しかしその間違いに気付いたのなら。まだ引き返す事は出来る byジェイル・スカリエッティ

 

 

 

執事喫茶開店前、準備の為に着替えた僕が戻ってくると

 

「あはは!アキ似合ってるわよ」

 

「はい!とても格好良いです!」 

 

美波と姫路さんに褒められ

 

「そ、そうかな?似合うかな」

 

白のYシャツに黒のスーツ、仕上げに、マイクを埋め込んだ蝶ネクタイ(これにつけたマイクで注文された、メニューを厨房班に伝えるのだ)を身に付けた僕は、自分の格好を見ながらそう呟いた。我ながら完璧な執事スタイルだ

 

「装飾も完璧やし、上手く行くやろ」

 

はやてさんが満足気に言いながら、教室を見ていると

 

『キャアアアアっ!!格好良い~』

 

『絶対!行きます!』

 

窓の外から女子の黄色い歓声が響く、外を見ると

 

「2-Fは執事喫茶をやっております。お嬢様方のご帰宅を執事一同お待ちしております」

 

「お待ちしております!」

 

執事長と言う設定の、白い執事服の龍也と須川君や近藤君がPRしてる。これなら間違いなく上手く行くだろう

 

「殺したい…兄ちゃんに色目使いおってからに」

 

「賛同します、狸」

 

「…許せない、許さない…」

 

ゴゴゴゴッ!!負の瘴気を撒き散らしている、はやて様達には話しかけないようにしよう。とばっちりを受ける可能性がある

 

「…メニューも完璧」

 

背後からムッツリーニの声が聞こえ、驚きながら振り返る

 

「もう!ムッツリーニ、普段はそんな事しなくて良いよ」

 

「これは癖だから、どうしようもない」

 

盗撮が特技のムッツリーニはもう、存在感を消すのが癖になってるらしい。それなら仕方ないか、僕はそんな事を考えながら

 

「厨房はOK?」

 

龍也の持ち込んだ、デミグラスソース、トマト、焼きたてのパンに、馬鹿でも理解できるレシピで武装している。厨房の具合を尋ねると

 

「…味見用に作ってみた」

 

ムッツリーニがトレーを差し出す、そこにはイチゴのタルトが置かれていた

 

「わぁ…美味しそうですね」

 

「これ、ウチらが食べちゃって良いの」

 

頷くムッツリーニの横で

 

「その中に1つ僕が作ったのもあるんだ。2人は判る?」

 

厨房班は交代制なので、僕が1個試しに作ったのがある。それが判る?と尋ねると

 

「判るはず、ウチには判るはず…愛があれば…」

 

「私にも、判るはずです、判るはずなんです…」

 

ぶつぶつと呟く、美波と姫路さんを尻目に

 

「何をしておるんじゃか、ワシから頂こうかの…」

 

ひょいっとタルトを掴み、口に入れる秀吉に

 

「あっ、それ僕の作ったやつだ」

 

少し失敗してタルト生地が、崩れてしまったやつなので一目で判った。僕がそう呟くと

 

「ふごおっ!?それを先に言ってく…「「少しお話しませんか?木下、木下君?」い、嫌じゃ!ワシはまだ死にとうない~」

 

僕の方からは見えないが、恐らく、単色の瞳をしてる美波と姫路さんから逃亡していく秀吉。それを追おうとする2人に

 

「まだ明久の作ったのはある」

 

ムッツリーニが小皿に乗った、タルトを差し出すが

 

「だ、駄目だよ!それは焦げちゃってるし」

 

最初に作って焦がしてしまったタルト、とても食べさせれる物じゃ…

 

「気にしないわ。これくらいなら食べれるもの」

 

「はい、これくらいなら。気にしません」

 

2人は焦げてる部分を避け、タルトを口に運ぶ

 

「少し焦げ臭い気もするけど、悪くないわよ」

 

「はい、全然美味しいですよ」

 

「そ、そうかな?」

 

失敗品なのでそこまで言われると恥かしい、ってあれ!?おかしい普通こんな状況になってたら、FFF団の襲撃があるはずなのに!?辺りを見回すがFFF団の姿は無い、ムッツリーニが居るからか?FFF団特別顧問のムッツリーニを見ると、青褪めた表情でガタガタ震えながら

 

「嫉妬の為に魔王に挑む勇者は居ない」

 

と告げた、確かに勉強会後。美波と姫路さんは「魔王」にジョブチェンジしてる。今の2人はかなり危険だ。ちなみにはやてさん達のジョブは「大魔王」だ

 

「あはは、そ、そうなんだ。それじゃあ僕も」

 

味見用のタルトを1つ取り、1口大に切り口に運ぶ

 

「うんうん、表面は固くて、中はドロドロ。甘すぎず、舌が痺れるような酸味がとっても、んごパッ!!」

 

僕の口からあり得ない音が出た、まるで何かが口の中で爆発したような。そして目に映るのは16年間の思い出(一部妄想アリ)…ってこれは走馬灯じゃないかっ!?しかもなに!?ウェディングドレスの美波と姫路さんの持つ、鎖に繋がれてる僕の姿は!?これが僕の未来だというのか!?

 

「あっ、それは私が作ったやつですね」

 

やっぱりか!こんな危険な味は姫路さんにしか作れない!

 

「…ちゃんと食べてあげなよ」

 

「ムッツリーニ!どうしてそんな怯えた表情をするのさ!?無理だよ!食べれないよ!!」

 

1口食べただけで、走馬灯と未来を見るこのタルトは危険すぎる!一般人は決して食べちゃいけない!

 

僕とムッツリーニがタルトの押し合いをしてると

 

「うーす、戻ってきたぞー」

 

召喚大会の科目指定のついでに、執事喫茶のPRもしてくると言って、執事姿で学園を回っていた、雄二が戻ってくる

 

「おっ、雄二お疲れさん」

 

病みモードから復帰した、はやてさんがそう声を掛けると

 

「しっかし、疲れたぜ。なんせ途中で龍也に声を掛けようとする。女子に囲まれて動けなくなってよ…ってはやて達は?」

 

「行っちゃったよ。血走った目で殺戮者になる為に」

 

雄二の話を途中まで聞いていたが、囲まれての件で。3人とも走っていってしまった…龍也を囲んだ女子が無事だと良いが

 

「不味いこと言ったかもな。おっ!美味そうじゃないか。貰うぞ」

 

僕の食べかけのタルトを半分ほど食べる雄二

 

「…冥福を祈る」

 

「雄二、僕は君を忘れない」

 

1口であの様なのに、あれだけの量を食べた雄二は恐らく助からない。僕とムッツリーニが敬礼すると

 

「お前らは何を言ってるんだ?…ふむふむ。表面は固くて、中はドロドロ。甘すぎず、舌が痺れるような酸味がとっても、んごパッ!!」

 

僕と同じリアクションをし、崩れ落ちる雄二。大丈夫か、まだ息はあるか?

 

「雄二。とっても、美味しかったよね?」

 

近くにしゃがみ込みながら、確認する、何とか息はしてるようだが…

 

「ああ、何の問題も無い」

 

倒れたまま返事をする雄二、どうやら一命は…

 

「あの川を渡れば良いんだろう?」

 

駄目だ!死に掛けてる!?やはりあれは危険だ。命をあっさり刈り取るバイオ兵器だ

 

「ゆ、雄二!?駄目だ!その川を渡ったら全てが終るぞッ!!!」

 

このままでは不味い、雄二が姫路さんの料理で死んだとなれば、大魔王にジョブチェンジしてる、霧島さんと。魔王と化した姫路さんの壮絶な争いが!?なんとしても蘇生しないと!!くそ!どうして僕は神父じゃないんだ!こんな時こそ神の力が必要なのに!!必死で神の力を借りないザオラルを使い始める

 

「坂本君はどうしたんですか?」

 

僕のタルトを緩んだ頬を食べていた、姫路さんが雄二に気付く。それに続いて

 

「あ、本当だ。坂本、どうしたの?」

 

僕のタルトなんかであそこまで夢見心地になってくれたなら、売り上げへの期待は大だ。龍也の作ったタルトの値段を上げないと、僕程度であれなら、龍也のタルトを食べれば天国を見れるだろう。少し値上げをしないと

 

「大丈夫だよ。ちょっと疲れたんだよ。おーい、ゆーじー。起きろーこんなとこで寝たら、駄目だぞー」

 

それより雄二の蘇生だ、口調こそおどけているが、手は必死に心臓マッサージを続ける

 

「六万だと?バカを言うのは良い加減にしろ。渡し賃は六文と相場が…はっ!?」

 

雄二が死線より復活した、ギリギリで神の力を借りない、ザオラルは成功したようだ。だが雄二は虚空を見つめ

 

「嫌だぁッ!!鎖に繋がれるなんてごめんだアアアッ!?!?」

 

しまった!?あのタルトの追加効果のメダパニに掛かってる!?

 

「俺はぁッ!あんな未来しかないなら自ら死を選ぶッ!!はぐっ!?」

 

残りのタルトを口に詰め込む雄二、

 

「雄二!駄目だッ!!」

 

「…自殺かっこわるい!」

 

ムッツリーニと協力しタルトを吐き出させようとするが

 

「ゴクンッ!!…俺は…あんな、未来…ごめんだ…ガクっ!」

 

雄二はそう言い残すと意識を失った…心臓に耳を当てる

 

「動いて…ない」

 

心臓の音がしない…しかも呼吸も停止してる

 

「…ま、まだ間に合う!?全力でザオラルをするんだ!!」

 

ムッツリーニの珍しい大声に頷き、2人で必死にザオラルを使い続けた…結果論から言えばザオラルは成功した、しかし錯乱する雄二を止めるのにザキ(喉への地獄突き)を使う羽目となった事をここに記す

 

第26問に続く

 

 

 




どうでしたか?常夏改心イベントと壮絶な後編は?面白かったでしょうか?もしそうなら感想を頂けると嬉しいのですが…それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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