バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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今回は連続投稿で行きたいと思います。ほのぼの中心で微ギャグだと思う作品です。今回もどうか宜しくお願いします



第22問

 

 

 

第22問

 

なんと美しいところなんじゃ…ワシが感じたのはそれじゃった…美しい花、何処までも続く青空、そして…

 

「乗るのかい?乗らないのかい?どっちだい?」

 

川岸の舟の前に立つ男…!?

 

「乗るなら早く乗りなよ。天国行き行っちゃうよ?」

 

舟を指差す男…よく見ると舟の横の看板には…

 

『天国行き』

 

と書かれていた…つまりここは三途の川ッ!?そこまで認識した所で

 

「ワシはまだ死にたくないのじゃあああああッ!?!?」

 

ワシはそう叫ぶと同時に何かに引っ張られる感覚を感じた…

 

「はっ!?ここはっ!?」

 

「良かった、意識を取り戻したのね!」

 

「木下君…良かったです」

 

ワシが目を覚まし1番最初に見たのは、島田と姫路の心配そうな顔じゃった…

 

「ワシは…?」

 

何が起こったのか判らずそう呟くと

 

「これがアンタの頭に…」

 

島田が見せてくれたのはシャーペンだった…それを見たところで思い出した。はやてとフェイトにシャーペンを投擲された事を…

 

「秀吉!良かった意識を取り戻したんだね」

 

「…良かった」

 

「…おぬしらは何をしてるんじゃ?」

 

ソファーを引っ繰り返し、身を隠してる2人に尋ねると

 

「危険だからだよ。あっち見てみなよ」

 

明久の指差した方を見ると…

 

「違う…ちがう…チガウ…ワタシハ、妹と幼馴染に…ドキドキなんかしてない…これは違う…チガウンダ…」

 

虚ろな瞳で虚空を見つめてる龍也と

 

「「「「♪♪」」」」

 

スリスリと顔を擦り付け微笑んでいる。はやて達…そして

 

「ふふ…雄二」

 

「……チガウ、チガウ、オレハ…オレハ…」

 

霧島に抱きしめられ、虚ろな表情をしてる雄二が居た…

 

「助けてやらんのか?」

 

ソファーに隠れてる明久に尋ねると

 

「少し動いてみなよ」

 

明久に言われ、少しソファーから身を乗り出してみると

 

「おおっ!?」

 

シュカカカッ!!!!

 

無数のシャーペンやカッターが飛んでくる…慌ててソファーの陰に隠れる。なるほど、この状況では助けるに助けれん…どうする?どうするんじゃ?龍也と雄二を助ける手段を考えておると

 

ガチャ

 

扉が開き白衣の男が姿を見せる。反射的に飛んでくるシャーペンやカッターを

 

「ふあああ…龍也いい加減に昼にしてくれないか?」

 

欠伸しながら、それを片手で弾く白衣の男はワシらに気付くと

 

「ん?龍也の友達かい、宜しく私はジェイル・スカリエッティだ」

 

飛んでくる文房具を弾きながら自己紹介してくる…スカリエッティ?と言う事はセッテさんの父親なのか。ワシらが首を傾げてると

 

「まぁ、話は昼食でも食べながらにしよう」

 

スタスタと龍也の方に歩いて行く、スカリエッティさんは飛んでくる文房具を物ともせず近付いていき

 

「はやて君、なのは君、フェイト君、セッテ。君達が龍也を好きなのはよく判ってる。だがもう1時だ、そろそろ龍也を解放して昼にしないかい?」

 

笑みを浮かべながらスカリエッティさんが言うと

 

「んー了解や」

 

「はい」

 

「そう言えば、お腹空きましたね」

 

「お父さんが言うのなら…」

 

はやてさん達は離れたが、龍也は

 

「チガウ…チガウンダ…イヤ…確かに…ハヤテ達はスキダガ…ソレハ、レンアイカンジョウジャ…ナイハズ…ナイハズなんだ…」

 

ぶつぶつと呟き壊れかけていた…

 

「やれやれ、龍也は純情だな。どれ」

 

スカリエッティさんは拳を振り上げ、龍也の頭に落とした

 

「目を覚ませっ!!」

 

「っう!!何をするジェイル!!…あれ?はやて達は」

 

「離れるように言ったよ。それより早く昼食にしてくれ、腹が減った」

 

何事も無いように言うスカリエッティさんに

 

「判った、少し待っててくれ。ああ、明久達はソファーとか片付けといてくれ」

 

スタスタと歩いて行く、龍也とスカリエッティさんを見送りながらワシらは

 

「なんか…龍也のイメージが変わった気がする…」

 

「そ、そうですね…」

 

島田と姫路がそう呟き…

 

「う、羨ましいって思ったけど…あれはちょっと怖いよね?」

 

「…同感」

 

恐々と呟く明久とムッツリーニは、自分達が隠れていたソファーを元に戻していた…

 

「明久、ムッツリーニ。ワシも手伝うぞ」

 

2人だけでは大変と思い、ワシもソファーを片付けるのを手伝った…ちなみに雄二は

 

「チガウ…チガウンダ…」

 

「雄二…大好き♪」

 

霧島に抱きしめられ壊れかけていた…

 

 

 

「美波、ここだよ」

 

アキ達に案内された場所は、まるで映画の中に出てくる宮殿の一室みたいな所だった…

 

「待ってたよ、空いてる所へかけてくれ」

 

セッテさんのお父さんの、スカリエッティさんに促され。ウチは椅子に座ったのだが…

 

「アキ達…何してるの?」

 

アキ達は椅子に座る前に4人で集まり。

 

「雄二、僕のズボンは汚れてないか?」

 

「大丈夫だな。明久今度は俺も頼む」

 

念入りに自分達のズボンが汚れてないか調べていた…ウチが呆れながら尋ねるとアキは真剣な表情で

 

「美波、その椅子、一脚20万するんだよ?」

 

「に、20万!?ど、どうしよう?汚してないかな?」

 

慌てて立ち上がり椅子を見る、ウチと同じ様に瑞希と霧島さんも椅子を見ていた…

 

「何してるんだ?美波達は?」

 

「さぁ?」

 

昼食を運んできた、龍也とはやてさんが不思議そうな顔をしている。

 

「ご、ごめん。20万もする椅子とは知らなかったから、ハンカチ敷いて座るね」

 

ポケットからハンカチを取り出そうとすると

 

「あはは、そんな事しなくて良いよ。普通に座ってくれればいいさ」

 

からからと笑う、龍也は大皿を机の上に置き

 

「喫茶店のメニュー候補だ。まぁ試してみてくれ」

 

メニュー候補と言われて置かれたのは

 

「これ、ウチ達のクラスの予算で作れる?」

 

「わ、私は無理だと思いますけど…」

 

「…Aクラスでも無理」

 

分厚い牛肉が挟まれた、ステーキサンドがこれでもかと盛られていた

 

「はーい、次はこれだよ」

 

フェイトさんが笑いながら、アキたちの前置いたのは

 

「お、美味しそう…」

 

「明久!落ち着け!涎が出てるぞ!」

 

「…ごくり」

 

「見た目からして美味そうじゃのう」

 

デミグラスソースがかけられた、半熟卵のオムライス…

 

「ほい、こういうのもありやろ?」

 

はやてが持って来たのは

 

「はううう…美味しそうです」

 

「ええ、でもちょっと…カロリーが」

 

「…ダイエットが大変」

 

人数分のブルーベリーとイチゴのタルト…

 

「よいしょっと」

 

「中々重いですね」

 

最後にセッテさんとなのはさんが持って来たのは

 

「いい匂いだ…」

 

「雄二!涎!涎!」

 

「そう言うお前も出てる…」

 

「…なんとも食欲をそそる香りじゃのう」

 

沢山の野菜とショートパスタの入った、ミネストローネだった…

 

(龍也が料理が上手なのは知ってたけど…ここまでとは…)

 

目の前に置かれた料理を見て、思わず溜め息を吐いた…ウチもそれなりに自信はあったが、正直女子としての自信を根こそぎへし折られた気分だ…ウチ達が軽いショックを受けてる中

 

「お代わりは沢山用意してある。どんどん食べてくれ」

 

そんなウチ達の心境を知らない、龍也は自分も座りながらそう言った…

 

「頂きます」

 

「「「「頂きます」」」」

 

手を合わせて言う龍也の後に続いて、同じ様に手を合わせからスプーンを取った

 

(見た目は完璧、味も当然完璧よね…)

 

料理の本に載ってそうな、お手本のようなオムライスを口に運ぶ

 

「お、美味しい…」

 

思わずそう呟いてしまうほど、龍也のオムライスは美味しかった。恐らく手作りであろうデミグラスソースに、半熟卵が絡んで絶妙な味わ

いをしていた…

 

「お、美味しいです…私もこんなのが作れたら…」

 

瑞希がショックを受けながらも、オムライスを口に運び

 

「…!Aランク、最高級のトマト」

 

霧島さんがミネストローネを口に運び、トマトの種類を当てていた…そして反対側では

 

「てめぇ!明久!独り占めすんじゃねえ!!」

 

「そうじゃ!明久、ワシにもくれ」

 

「…独り占めなんて許さない」

 

「嫌だ!貴重なカロリーなんだ!!」

 

ステーキサンドを確保しようとするアキと、それを奪おうとする坂本達の醜い争いが起こっていた…

 

「あはは、喜んで貰えて何よりだ。…はやて?なのは?何がしたい」

 

「「あーん」」

 

なのはさんとはやてさんにスプーンを向けられ、困った龍也は反対側を見たが…

 

「「あーん」」

 

「お前達もか!?」

 

反対側でもスプーンを向けられていて、龍也は困り果てた表情をしていた。それを見ながら

 

(アキはあれをやったら喜んでくれるかな?)

 

ちらりとアキの方を見ると

 

「嫌だアアアッ!!僕のステーキサンドオオオッ!!」

 

「ったく、油断も隙もねぇな。はぐっ!…美味い!これ出せたら客大入りだぜ」

 

「…出せればの話…神戸牛なんてウチのクラスの予算じゃ使えない」

 

「…そうじゃのう、こんなに美味いのにだせんとは…」

 

ステーキサンドを取り上げられ、大粒の涙を流していた…

 

(…あの様子じゃ、喜んではくれないわね…)

 

今、アキの心はあのステーキサンド一色。多分あーんして上げても喜ばないだろう…と少し落胆しながら。食事を再開した…

 

 

 

 

「さて、食べてみた感想は?」

 

昼食を終えた所で尋ねてみる、ジェイルは少し試したい事があるとか言って、部屋に引っ込んでしまったので、今はいない

 

「「「「美味かった」」」」

 

「「「美味しかったです」」」

 

どうやら気に入って貰ったようで良かった。

 

「だが、コストが高すぎる。ウチの予算じゃ出せないぞ」

 

雄二が最もな事を言う、まぁ確かにウチの予算じゃ出せないだろう。なら

 

「基本はスーパーの安い物を使う。しかし要所要所で持ち込みの物を使う」

 

私は机の上に、オムライスの決め手のデミグラスソース。ミネストローネの味付けを決めると言っても、過言ではないトマト…そして手作りのパンを置いた

 

「うーん…確かにそれなら。安く出来ると思うけど…味は落ちるんじゃ?」

 

「なに、元は高校生が作る程度の物だ。そこまで期待されては困る」

 

今日明久達に食べさせた物よりかは、グレードが落ちるが…そこは我慢して貰おう

 

「じゃ、じゃあ、あの美味しいタルトはどうするんです?」

 

「あれは家に作りおきがあるから。それを持ち込む、後はシュークリームとチーズケーキを作って出そうと思う」

 

前に作りすぎたタルトは山ほどあるし…あとはつかえるキッチンでシュークリームとチーズケーキを作ればいい。

 

「でも、それじゃあ、作れるのが龍也だけになるよ?」

 

「ここにレシピがある。Fクラスの連中は馬鹿だが、手先は器用だ。上手く教えてやれば問題ないだろう」

 

康太と須川…あと何人か、料理に自信があると言っていた男子がいた。なんとでもなる

 

「そうだな。それなら行ける!これで清涼祭の売り上げトップはFクラスが頂きだ!!」

 

「「「おおーッ!!」」」

 

テンションが上がる明久達に

 

「さーて、メニューも決まったし。後は勉強会と行こうか」

 

「「「「うげっ!?」」」」

 

短い悲鳴を上げる明久達と違って美波と姫路は

 

「そうだった。龍也に勉強を教わるんだった」

 

「少しでも成績を上げたかったんです。召喚大会の為に」

 

やる気のあるリアクションを見せていた。

 

「んじゃ、私達が美波と瑞希見るから。兄ちゃんは馬鹿連合見たって」

 

はやてがさり気無く言うが

 

「いや、流石に1人じゃ、あいつらに勉強を教えるのは無理だぞ?」

 

雄二はまだしも、保健体育しか興味のない康太、演劇バカの秀吉、そして…

 

「何で僕を見るの?」

 

脳がスポンジで出来てるに違いない、明久を見るのは不可能だ

 

「んじゃ、スカリエッティさんに頼んだら?」

 

アイツは思考回路は残念だが。頭は良い

 

「そうだな、そうするか…それじゃあ、今2時だから…6時まで勉強しよう」

 

そして、男子チームは1階、女子チームは2階に別れ、勉強会をすることになった…

 

第23問に続く

 

 

 




連続投稿の2回目はギャグメインです、中々面白いと思うのでどうかよろしくお願いします

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