バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話はちびっこをメインの視点にして書いていこうと思います。召喚獣がおもちゃ扱いになるのは当然のことですね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



例題10

 

例題11

 

雄二の召喚獣が霧島さんの召喚獣に捕まった。そして雄二も捕まった、待っていた結果は言うまでもなく……雄二の臨死体験だった

 

「ぎゃあああああッ!!!」

 

【ピギャアアアアッ!!!】

 

雄二とトリケラトプスの悲鳴がFクラスに木霊する。それは遠い時代から続いてきた草食動物と肉食動物の争いの歴史

 

「僕は今歴史を見ている」

 

これは間違いなく何百年も続いてきた争いの歴史だ。恐竜の召喚獣を使う事でこんな光景を見ることが出来るとは……中々に面白いかもしれない

 

「なに馬鹿なことを言っているのですか?馬鹿なのですか?馬鹿なのですね?馬鹿でしたね?」

 

「「「馬鹿馬鹿馬鹿」」」

 

セッテ様とちびっ子軍団に馬鹿馬鹿と言われて思わず涙が出た。僕が一体何をしたというのだろうか?

 

「馬鹿だから諦めろ」

 

「しくしく……」

 

どうして僕はこんなに苛められているのだろうか?その理由が判らない……そんなに僕は馬鹿な事を考えていたのだろうか?

 

【うきゅ?】

 

【ニャー】

 

【もきゅ】

 

【わふ】

 

僕の召喚獣と姉さんとみーちゃんと美波の召喚獣が膝の上に乗ってくる

 

「……ぎゅ」

 

僕は無言でその召喚獣達を抱きしめる。もふもふとしたその柔らかい感触に癒されるのを感じるのだった

 

(龍也がリヒトちゃん達に甘い理由が少し判った気がする)

 

小動物には癒される。それが優しい甘えてくる妹ならば、きっと精神的に癒されるのだろう。ムッツリー二のように

 

「あはは♪」

 

「……しくしく」

 

ムッツリー二を苛めて楽しそうに笑っている、日向ちゃんのような悪魔のような妹はごめんだけど

 

「むふー♪」

 

「うんしょ、こらしょ」

 

無邪気な様子で龍也に纏わり付いている、リィンちゃん達の様な妹なら僕も欲しいと思わず思ってしまうのだった。

 

 

 

お兄様に遊びに来てもいいよと言われていたので来たお兄様の学校。本当はお兄様が学校にいるのはおかしい、だってお兄様はもう大人なのですから

 

(青春ってなんなんですかね?)

 

失っていたかもしれない青春を取り戻せるかもしれない、と言っていたお兄様の言葉の意味が判らないのはまだリィンが子供だからなのでしょうか?

 

【ぐー】

 

とてとてと歩き回っているお兄様の召喚獣のドラゴンを見つけて

 

「つかまえたー」

 

考えるのは止めて、今はこの可愛い動物と遊ぶ事を優先しましょう。リィンは後ろからこっそり近寄って、ドラゴンの背中に向かって体当たりしました。逃げられると面白くないので力づくです

 

【ぐぎ!?】

 

「ふぐう!?」

 

ドラゴンとお兄様が同時に呻いていましたが、気のせいだと思うです。だってドラゴンはドラゴン、お兄様はお兄様なのですから

 

「可愛いです」

 

ドラきちとは全然雰囲気が違うけど、このドラゴンはドラゴンで可愛いので抱っこする

 

「……ぺ、ペンギン」

 

【ガプー?】

 

アザレアちゃんはペンギンを見つめて、手を伸ばしたり引っ込めたりしている。撫でたいなら撫でればいいのに

 

「キョウリュー!!」

 

【ぎゃーう!?】

 

「……ちょっと痛い」

 

リヒトちゃんの飛び蹴りを喰らった恐竜が少し可哀想です。もうあんまり好き勝手するのは良くないって何度も言っているのに話を聴いてくれなくて困ります。あとリィン達の分もおやつを食べてしまうのはどうしても許せないです

 

【もりもり】

 

「……いっぱい、食べてます」

 

アザレアちゃんの前で畳をもりもり食べているトリケラトプス?この子はドラきちに似てるですね。それに大人しいのでとっても可愛いです

 

「兎かあ、耳がいいなあ」

 

「ですね」

 

アギトちゃんとユナちゃんは飛び跳ねていた兎を追いかけていて、それを見たリィンは抱えているドラゴンと跳ね回っている兎を見比べて少し考えてから

 

「リィンも兎を抱っこするですー♪」

 

【ぐー!?】

 

じたばた暴れているドラゴンを抱き抱えたまま、リィンも兎を追いかける事にしたのです

 

 

Fクラスの中を自由に歩き回っているリィンちゃん達の姿は可愛い。小動物を追い掛け回しているその姿は愛らしさに満ちている……だけど問題が1つだけあった

 

(((痛い……)))

 

この召喚獣はどうもかなり制御に難があるようで、僕以外の召喚獣も全員が若干のフィードバックがある。それ自体は微々たる物なのだが

 

「「「可愛いです♪」」」

 

子供だからか、容赦無しに動物と化した召喚獣を抱き締めたり、頭を撫でたりしているせいでかなりのダメージを受け続けている

 

(これは絶対問題があるよ)

 

博士はこれをテーマパークとかに売り込むつもりらしいけど……

 

(龍也はどう思う?これは危険だと思わない?)

 

龍也にそう尋ねる。だが龍也は別の問題が僕の言葉を聞いていなかった

 

【【ギャー!ギャー!!】】

 

「「ふふふふふふふふ……」」

 

天井近くを飛んで、龍也の隙を窺っている翼竜の姿。デフォルメされていて確かに可愛いのだが、目が邪悪なのがどうしても気になる。それはまさしく魔王の瞳といえる

 

「翼竜で来るとは……流石はやて、私の予想を裏切ってくれるッ!」

 

周囲から襲ってくる翼竜と本体と戦っている龍也は目の前で繰り広げられている光景と違って、生死が掛かっているかのようにしか見えない。しかも普段より動きが鈍っているので劣勢のように思える。その理由はきっとリィンちゃん達の遊び道具になっているドラゴンが原因だと思う……

 

【ぐぎゃああ!?】

 

「リィンのー!」

 

「私のー!」

 

リィンちゃんとユナちゃんの容赦のない引っ張り合いで、ドラゴンがぐったりしているので間違いないだろう。龍也もかわいそうだなあっと思っていると

 

「ふぎゅ!?」

 

「はぐ!?

 

「……くうっ!?」

 

姉さんとみーちゃんと美波の苦悶の声が聞こえて、まさかと思って召喚獣のほうを見て……見るんじゃなかったと後悔した。大人しいと思っていたアザレアちゃんが物凄く嬉しそうな顔をして姉さん達の召喚獣を抱き締めていた。見る限りかなり力を込めているようでぐったりとしているその姿がどうも目に残った……

 

(うわあ……)

 

助けないといけないと判っているんだけど……僕自体もかなり危険な状態になりつつあった

 

【きょときょと……】

 

「「ジリ……ジリ……」」

 

逃げようとしている僕の召喚獣の兎と、それを捕まえようとしているアギトちゃんとリヒトちゃん。このままだと確実に捕まる、そして見た目は抜群に可愛いが、意外と黒いユナちゃんに召喚獣が捕まったらどうなるのか?それを考えるだけでも恐ろしい……何とかして召喚獣を消したいと思うんだけど

 

「中々興味深いデータがたくさん取れたなあ」

 

ご満悦と言う感じでノートPCにデータを打ち込んでいる博士。とてもではないが、召喚獣を消してくれる雰囲気ではない。しかも龍也曰く。集中し始めると話を聞いてくれないらしく、データを纏め終わるまで話を聞いてくれるわけがないらしく、博士がデータをまとめ終わるまで待つしかない……ちなみに、この召喚システムの発表会まであと1時間程度……それが終わるまで僕達の命があるか?と言われるとそれはとても厳しいと言わざるを得ない

 

【ピギュアアアアア!?】

 

雄二の召喚獣が霧島さんの召喚獣に噛まれて絶叫している中。雄二が白目を向いている、今のはどうやら致命傷になったようだ。噛まれている場所が喉元なので正直言ってかなりやばい状況になっているように思える。雄二が痙攣し始めているのを見て、かなりヤバイのは間違いない。これは召喚獣のダメージが原因なのか、それとも霧島さんの攻撃が原因なのか?そこが気になる所だ

 

【ガガガガガー!?】

 

「へっへー♪お兄ちゃん♪」

 

「じゃあ僕も♪」

 

「……ブバア」

 

そしてこれはムッツリー二が工藤さん達に正面と背後から抱きつかれ鼻血を噴出している音だ。召喚獣も噛まれていて致命傷を受けているのが良く判る

 

【キュギュウウ!?】

 

【グググぎグー!?】

 

そして僕の召喚獣と龍也の召喚獣もかなりピンチだ。アギトちゃんとリヒトちゃんについに捕獲され、ぐったりし始めている召喚獣のダメージが手に撮るように判る。その証拠に視界がかなりやばい事になっている

 

「……もう駄目だな」

 

ぼそりと龍也が呟き崩れ落ちる。その肩の上や頭の上にははやて様たちの召喚獣。そしてドラゴンはみこしのように担ぎ上げられ

 

「「「わっしょい!わっしょい!シュートッ!!!」」」

 

【グギャー!?】

 

教卓へシュートされ目を回して意識を失った。龍也が気絶するとはとんでもない光景を見たような気がする

 

【キュウギュ!?】

 

「はぎゅあ!?」

 

そして僕も首を絞められた兎の召喚獣のフィードバックで意識を失った。消えていく意識の中

 

「「「………」」」

 

気絶している龍也を見下ろしているはやて様達とぐったりしている召喚獣もお構いなしで引きずり回しているリィンちゃん達の姿を見て

 

(小さい子だから大丈夫って思うのは間違いなんだ)

 

小さい子でも危ない子は危ない、そして子供の前に可愛らしい動物を置くのは危険なのだと、僕は自分の身を使って理解するのだった……

 

 

 

気絶している龍也達とそれをじっと見つめているはやて君達を見て

 

(仕方ないね)

 

こっそりと近づき、白衣の中から取り出したスタンガンで

 

「おやすみ」

 

「「「!?!?」」」

 

声にならない悲鳴を上げて気絶するはやて君達。目の前の得物に集中しすぎて注意力散漫になっていたのが幸いした

 

「教頭先生。俺達はどうすれば?」

 

Fクラスの騒動に巻き込まれる事を嫌い、廊下に非難していた須川君達。中々学習していると正直感心した

 

「体育館に西村先生がいるから指示を聞いて行動してくれればいいよ」

 

発表会の時間まであと20分弱、最終調整もあるし、須川君達の召喚獣を使うわけにも行かないので裏方に回ってもらうように頼み。気絶している龍也達を椅子に座らせて

 

「本当に興味深いデータが取れたね」

 

フィードバックが行くように設定はしてなかったんだけど、どこで何を間違えたのだろうか?まぁなんにせよだ……リィン君達がきてくれたのは本当によかった。

 

「消えちゃったです……」

 

「可愛かったのになあ……」

 

龍也達が気絶した事で姿を消した召喚獣。抱き抱えていたり、頭を撫でていた召喚獣が消えてしまった事でしょんぼりしているリィン君達。若干の罪悪感を覚えるが、その姿を見て確信した

 

「これは間違いなく売れる」

 

これだけ可愛いのならば間違いなく売れる。そうすれば少しは研究費を得ることが出来る。クラナガンでは好きなだけ研究できる環境だが、こういうなかなか重い通りに行かない研究っと言うのも実に面白い

 

(魔力で応用しても面白いかもしれないな)

 

クラナガンの子供にもこれに受けるかもしれない、色々調整して子供向けの玩具として販売してもいいかもしれない

 

(これは龍也にも相談しよう)

 

龍也は子供に甘いから子供のためと言えば間違いなくGOサインを出してくれると確信している、今回の発表会は間違いなく成功するだろうし、クラナガンでも受けるシステムを思いついた事に私はルンルン気分で学園長室に戻り、データを纏めなおし、Fクラスではなく、体育館で発表会を済ませた。結果は間違いなく成功といえるものだった……しかし私に待っていたのは

 

「「「……覚悟は出来ている?」」」

 

デバイスまでは展開していないが、もし周囲に人間がいなければ間違いなくデバイスを展開しようとしていようとしていると判る。それほどまでに殺意に満ちているはやて君達がFクラスで待っていた……

 

「出来てない!!!」

 

目の前で身動きのとれない龍也を捕食しようとしていた魔王の妨害をした。ご存知の通り肉食獣は食事を邪魔されるのを嫌う、ネクロと戦っているときよりも魔力と殺気に満ちているはやて君達に真面目に死の気配を感じて私は全力で逃亡したが、逃げ切れるわけもなく、全治1ヶ月の重傷を負わされ病院にシュートされるという結末が待っていたのだった……

 

例題11へ続く

 

 




何よりも怖いのは無邪気な子供だと思います。邪悪で無邪気な子供達の大活躍?は面白かったでしょうか?そうなら良いのですが
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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