バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は動物化した召喚獣をメインにしていきます、魔王の召喚獣がどんな姿になるのかを楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


例題8

 

 

 

例題8

 

アキ君から貰った(奪い取った)文化祭の招待券を受付の係員に渡して文月学園に足を踏み入れる

 

(こうして来たのは初めてですね)

 

授業参観やイベントにアキ君が招待してくれた事は今まで殆どない、だがこうして今回は来ることが出来た。今度からはアキ君が妙な動きをしていたら、問答無用で鞄を奪って中身を確認することにしましょう。こういう大事なお知らせを処分されないようにするために

 

「それにしても中々ににぎわっていますね」

 

文月学園の目玉と言える試獣召喚システム。これはかなりのレジャー施設が興味を持っているというのは知っていた、だけどここまでの人数が来ているとは思ってなかった。まぁ私には関係ないので早く目的地に向かうとしましょう。今回の文月学園のイベントは父さんと母さんの仕事には関係無いようですしね

 

「さてとではFクラスに向かいますか」

 

受付で貰ったパンフレットを確認する。Fクラスは旧校舎のようなので、昇り旗がある出入り口ではなく、少し歩いた所にある昇降口から入れば良いのですね。目的地を確認し歩き出そうとした所で

 

「良い天気で良かったなあ。お兄ちゃんの所に行こうっと」

 

後ろから聞こえてきた声に振り返る。そこには中学の制服だろうか?ブレザー姿の少女がいた……お互いに見つめあうこと数秒

 

「良ければご一緒しませんか?」

 

私には直ぐ判った。この感じ、始めてはやてさんと会った時と同じ感覚がする。つまりは私とはやてさんの同類だと……滅多に遭遇する事のない同類。この出会いは大事にしなければならない

 

「わぁ。良いんですか?ありがとうございます」

 

向こうも自分と同じだと感じ取ったのか、嬉しそうに笑う少女を見ながら私は

 

「吉井。吉井玲です。貴女は?」

 

私がそう尋ねると目の前の少女は嬉しそうに笑いながら

 

「吉井さんのお姉さんですか、私は土屋日向って言います」

 

ああ、土屋君の妹さんですか、道理で自分に似ていると思うわけですね。はやてさんには色々聞いてましたから、私達の同類だと……

 

「じゃあ行きましょうか?」

 

「はい!」

 

笑顔で返事を返す土屋さんに私も微笑み返し、アキ君達がいるであろうFクラスへと歩き出したのだった……

 

「弟は姉の物だと思うのですが、どう思います?」

 

「私もそう思いますよ?だけど私の場合おにいちゃんだからなあ」

 

Fクラスにたどり着くまでの間。弟と兄は妹と姉の物である。と言う話し合いを私と日向さんは周囲でドン引きしている人を無視して楽しむのだった……

 

 

 

新しい召喚システムのテストをするとは聞いていたけど……いくらなんでもこれはない

 

【うきゅ♪】

 

畳の上を跳ねている茶色い毛並みの兎。これが僕の召喚獣だと言うのだから驚きだ、何が如何してこうなってしまったのだろうか?

 

「なにこの珍妙な鳴声は!?」

 

小学校の時に飼育委員をしていたけどこんな鳴声ではなかった。博士のほうを見るとサムズアップしながら

 

「可愛ければ全て許される!」

 

んなわけあるか!!!足元でぴょこぴょこ跳ねているウサギと貸した自分の召喚獣を見ていると

 

「今回の召喚獣は動物になるのですか?」

 

セッテさんがそう尋ねると博士はこれまた嬉しそうな顔をしながら

 

「動物だけじゃ無いさ!恐竜・幻獣まで!なんでもありなのだよ!!!」

 

恐竜とかもいるのに僕は兎なの!?どうしてなんだろうか?僕はそんなに闘争心がないのだろうか

 

「それはね。その人の本質なのさ!つまり明久君は徹底して捕食される側と言う事さ!」

 

白衣の中からタブレットを取り出して良い笑顔で叫ぶ博士。僕は咄嗟に頭を抱えて声も高らかに

 

「そんなの嫌だぁッ!!!」

 

徹底した捕食される側ってどういうことなのさ!?僕の周りには肉食系魔王が多いんだから冗談ではすまない。そしてそんな現実を受け入れたくはない、たくはないのだが

 

「……う、うさぎ……」

 

「はいはい!瑞希は少し落ち着こうね!」

 

「じゃあ私は今のうちに」

 

「ていっ!」

 

「あいたあッ!?」

 

この光景を見ていると、もしかするとと思ってしまう自分がいる。とりあえず美波が暴走しかけている瑞希と優月を押さえてくれている。その間に自分の召喚獣を抱き抱える。ほんの僅かのフィードバックが着て奇妙な感覚がするが

 

(これで暫くは大丈夫のはず)

 

魔王モードの瑞希に僕の召喚獣が抱き抱えられたりすれば、フィードバックで気絶しかねない。これで暫くは僕の身の安全は保障された訳だ。後はこの召喚獣を奪われないようにすれば良い……僕は瑞希と優月を止めてくれている美波に小さく頭を下げてから、龍也のほうに逃げる。龍也の近くならそれなりに安全だろう

 

「兎かあ?兎って万年発情期らしいなあ?じゃあ明久もかなりスケベなんかぁ?」

 

にやにやと笑っているはやて様。どうして僕ははやて様に苛められているのだろうか?僕が一体何をしたって言うんですか?神様

 

「草食系に見せかけた肉食系なのか?」

 

どうして周りの魔王様も乗ってくるかな。お願いだからそう言う風に苛めないで欲しい、しかもこのままではもっと苛められると思ったので僕は龍也の方を見て

 

「じゃあ龍也とか雄二も召喚して見てよ」

 

試運転に付き合うと約束しているのだから皆召喚しないといけないだろう。決して苛められたくないから、龍也に話を振ったわけではない

 

「そうやなぁ。兄ちゃんのとか見てみたいなあ」

 

僕を苛めるよりも龍也の召喚獣を見たいと思ったのか、はやて様がそう笑う。よし!これで何とかのこの地獄からは脱出する事ができた。小さくガッツポーズをしてしまった僕は悪くないとおもう

 

「だなあ」

 

期待を込めた目をしているはやてさん達を見た龍也は頭をかきながら

 

「まぁそんなに面白い物ではないだろうよ。試獣召喚」

 

龍也の前に幾何学模様が現れ、そこから姿を見せたのは

 

【ぐー!】

 

真っ黒い体と角を持った二足歩行のドラゴンだった。え……僕兎なのになんで龍也はあんなに勇ましいのが出てくるの!?

 

「名は体を表すということか?」

 

尻尾を振り、手をぶんぶんと振っているドラゴンを見た龍也がのほほんと笑いながら、そう言う。僕と雄二は即座に

 

「「「それは違う」」」

 

この天然ボケになんて言えば良いのだろうか?いくらなんでも名は体を表すと言っても龍はないだろう。肩を竦めている龍也が少し信じられない。

 

「しかし龍か。まぁ火とかははかないだろうから大丈夫だよな?」

 

うんうん、いくら博士でも召喚獣に攻撃能力を与える訳が……

 

【ぐーッ!!!】

 

突然聞こえた勇ましい声に振り返るとそこには自分の目を疑う光景が繰り広げられていた。

 

「「「へぶううッ!!!」」」

 

頭を突き出して突進するドラゴンとそのドラゴンに激突され宙を舞う生徒の姿。あんな姿でもさすが召喚獣。そのパワーは凄まじいとしか言い様がない。だが今はそんな事を言っている場合ではない。なにせあんなすがたでも召喚獣であることには間違いがなく

 

「「「大変な事になっている!?」」」

 

須川君を筆頭に龍也を神と崇める集団に突撃して弾き飛ばすドラゴン。そしてぴくぴくと痙攣している須川君達を見下しながら、机の上で

 

【ぐーツ!!!!】

 

勇ましい勝利の雄叫びを上げているドラゴン。きっとこれはあれだ、須川君に神神言われる龍也の気持ちの代弁なのだろう

 

【ぐーぐー】

 

龍也の足元に降りて尻尾を振っているドラゴン。龍也はそれを見て

 

「これは本当に召喚獣なのか?」

 

それは僕も確かに思った。腕の中の兎と化してしまった僕の召喚獣も

 

【みゅうー♪】

 

すりすりと擦り寄ってきている。これは召喚獣と言うよりかは愛玩動物に近いのでは?

 

「うむうむ成功成功♪動物の愛らしさが良く出ているとは思わないかね?」

 

ニコニコと笑っている博士。召喚獣にこんな仕草をさせる事が出来るとは思ってなかったが、何かが致命的に間違っているような気がしなくもない

 

「じゃあ今度は雄二だね」

 

僕と龍也だけって言うのもおかしな話だし、魔王が召喚したら大変な事になりかねないのでまずは僕達で試すのが正解だろう

 

「んじゃま、試獣召喚」

 

あんまりやる気がなさそうに雄二が召喚獣を呼び出すのだが……僕と龍也とは様子が違っていた

 

「なんか魔法陣大きくないですか?龍也さん」

 

それに気付いたティアナさんが龍也にそう尋ねている。そう雄二の召喚獣の魔法陣はかなり巨大で、何か大きな動物が出てくるようにしか思えなかった

 

「うむ。少しばかり大きいな……一体何が出てくるのやら」

 

僕や龍也達の視線が集中する中。雄二の召喚獣がゆっくりと姿を見せた

 

【もさもさ】←畳みを齧っている音

 

「なんでトリケラトプス!?」

 

雄二の絶叫が木霊する。大型犬とほぼ同じ大きさのトリケラトプスが現れ、畳を貪っている

 

「草食恐竜か、以外だな」

 

「肉食系に見せた草食系か」

 

「ギャップっと言うやつですね」

 

全く見当違いの話をしている龍也達。どうして頭は凄くいいのにあんなに天然が揃っているのか?僕にはそれが理解できない

 

「ぎゃああああ!教科書をくうなあアアアア」

 

【もりもり】

 

雄二の机の頭を突っ込んでその中身を食べている召喚獣に絶叫している雄二。確かにテストの近いこの時期に教科書を食われるのは致命傷に近いからだろう

 

「これは予想外だね、教科書は後でまた配布しておくよ」

 

「是非そうしてあげてください」

 

霧島さんに怒られて色々出費している雄二はかなりの金欠になっている。ここで教科書を買うのはかなりきついはずだ

 

「ええい!止めろ!」

 

【ピギャー】

 

雄二が全力で机から引き離す。持ち上げられているので足を動かしている姿は愛らしいが

 

「お。重い……」

 

真っ赤な顔をしている雄二を見る限りかなりの重量なのだと判る。しかし下手に手伝って巻き込まれると大変なので、今度はムッツリー二に召喚してもらうことにしようとしたところで

 

「あ。明久君。その兎さんを是非私に抱っこさせてもらえませんか?」

 

美波の妨害もむなしく僕の近くに来ている瑞希。その目がとても妖しく輝いていて恐ろしい

 

「ちょっ、ちょっと待って!ムッツリー二の召喚獣が出てからでも良くないかな?」

 

「……むう」

 

物凄く不機嫌そうな瑞希。昔から兎好きなのは良く知っている。だけど僕の召喚獣だから生死に関わる問題だ、ここは我慢してもらいたい

 

「……試獣召喚」

 

ぼそりとムッツリー二が呟き召喚獣を呼び出す。幾何学模様から姿を見せたのは

 

【がぷー♪】

 

「「「ペンギン来た!?」」」

 

まさかまさかのペンギン。しかもそのペンギンは好き勝手歩き回っている、と言うかこんな所で大丈夫なんだろうか?そんな事を考えていたせいか反応が僅かに遅れた

 

「可愛いですう♪」

 

普段の瑞希とは思えない素早さで僕の腕の中から兎と化した召喚獣を奪い取った瑞希は

 

【うきゃー】

 

「ふぎゃああああ!?」

 

召喚獣もじたばたと暴れる。そしてフィードバックの激痛に僕はそのまま意識を失うのだった……

 

 

明久の召喚獣を抱えてご満悦と言う感じの瑞希の近くで痙攣している明久

 

(これは致命傷かも知れんなあ)

 

このままでは危ないと判断し、瑞希の腕の中から兎を奪う

 

「何をするんですか!?やっと抱っこ出来たのに!!」

 

幸せそうな顔から一転して怒った様子で私に詰め寄る瑞希。私はあし元を指差して

 

「明久死ぬで?」

 

驚いた表情で振り返る瑞希。その視線の先では痙攣している明久と

 

「ちょ!これは本当に不味いわよ!?龍也助けて!」

 

「急いで!息が段々弱くなっている!!」

 

必死に明久を助けようとしている美波と優月を見て、やっと自分が何をしたのか理解した様子で

 

「あわわわ!龍也君!助けてくださーい!!!」

 

後悔後先たたずって言葉がこれほど相応しい光景を見たのは私も初めてだった……

 

「ああ、死ぬかと思ったよ」

 

【うきゅう】

 

兄ちゃんのおかげで冥界行きを回避する事の出来た明久は自分の膝の上に召喚獣を乗せて溜息を吐いていた

 

「モテる男は辛いなあ?」

 

私がからかうように言うと明久は若干青い顔をして

 

「悪い気はしないけど、できればもう少し穏便にして欲しいって思うよ」

 

それが出来たら魔王になんかなってない。明久がへタレだから悪いというのを自覚しなくてはいけないだろう

 

「うんうん。明久君たちのデータはこれでいいから、今度は美波君達が召喚してくれるかい?」

 

タブレットを手に笑うスカリエッティさん。美波達の召喚獣と聞いて青い顔をしている明久

 

「私も召喚しようかなあ?」

 

兄ちゃんがどんな反応をするかな?と思いながらそう呟くが

 

【ぐー!】

 

「これは中々の物だ」

 

自分の召喚獣が変化したドラゴンの顎の下を摩っている。兄ちゃんの動物好きが悪い方向になってるなあと溜息を吐いていると美波が

 

「それじゃあウチが召喚してみますね」

 

そう笑って召喚獣を呼び出す、さてさてどんな召喚獣が出て来るんだろうか?

 

【わふ】

 

えげつないのが出てくると思っていたらまさかまさかの犬。しかも

 

「ポメラニアンだね。可愛いー♪」

 

明久が美波の足元で尻尾を振っているポメラニアンを見て笑っている。確かにポメラニアンは可愛いだろう

 

(美波の本質って意外と構ってちゃんなのかもしれなんなぁ)

 

普段しっかりしている美波の意外な一面を見たかもしれない

 

【わふわふ♪】

 

明久の足元にじゃれ付いている召喚獣を見てあわあわしてる美波を見て笑っていると

 

「じゃあきっと私の召喚獣も犬だね」

 

そう笑って優月が召喚獣を呼び出すが……

 

【シャー】

 

……なるほど、優月は蛇のように嫉妬深いってことやな。現れた蛇の召喚獣に絶句している優月。だけど私は妙に納得してしまっていた。さめざめと泣いている明久は見ないようにしておこう、少しだけ可愛そうだと思ってしまうから

 

「とりあえず、教頭。これ戻してください」

 

顔を見ることは出来ないが怖い顔をしているのは間違いないだろう。あのスカリエッテイさんが青い顔をしているから間違いない

 

(どんな顔をしているのか気になるな。はやて)

 

ヴィータの言葉に頷く、魔王になれているスカリエッティさんが威圧される。一体どんな顔をしているのだろうか?実に気になる所だ

 

「わ、私は何なんでしょうね」

 

不安そうに瑞希が召喚した召喚獣はピンクのリボンをした、かなり身体の大きな

 

【グルゥ♪】

 

巨大な狼だった。なるほど瑞希は肉食系ってことか、その証拠に

 

【きゅぐう!?】

 

「ぎゃー!痛い!イタタタッ!!!」

 

「あわわわわッ!!!」

 

明久の召喚獣を噛んでいる姿を見れば間違いなく肉食系だと判る。人は見かけによらないってこういうことなんやなぁっと思ってみていると

 

「ここですね。アキ君、姉さんが来ましたよ。喜びなさい」

 

「お兄ちゃん!来たよー♪」

 

ただでさえ大混乱の状況なのに玲さんと日向が来た。私は遠くを見ている明久と康太を見て

 

(今日は退屈しなそうやなぁ)

 

今日はきっと帰る時間まで楽しめる。それだけのおもちゃがFクラスに集まっている。その事に私は笑みを零すのだった

 

 

はやてが魔王の笑みで笑っている頃文月学園の前では

 

「ふーあんまりうろちょろしないでね?予定より大分時間が掛かっちゃうから」

 

スバルがちびっ子軍団を先導して、文月学園の前に来ていた。普段は家で大人しくしているリィン達だが、学校には入れると聞いて家でじっとしていられるわけがなかったのだ

 

「はい。ごめんなさいなのです」

 

先導してきたスバルの疲労具合から見るとかなり疲れたのは目に見えている。恐るべしちびっ子パワーそして

 

「ではお兄様の所に突撃するです♪」

 

反省している素振りを全く見せないわんぱく振りである。

 

「「「おおー!」」」

 

スバルが停める間もなく校舎の中に突撃して行くリィン達。それを見たスバルは

 

「勝手に動かないでって言ってるのに!!!!私が龍也さんに怒られる!!!!」

 

子どもに甘い龍也がここまで連れてきたのに、自由にさせているスバルを見れば間違いなく怒る。それを理解したスバルは疲れた身体を引きずりながら、凄まじい勢いで走っていくリィン達を追いかけていくのだった……

 

 

例題9へ続く

 

 




今回は少しだけカオスでしたね(?)次回はもっとカオスにしていくつもりです。ええ、これの2割り増しのカオスでお送りするので楽しみにしていてください。ちびっ子軍団もかなりわいわいと動かすつもりなのでどんなかつやくをするのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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