バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回の話は「文化祭」のオリジナルイベントにしようと思います。子供化とか色々やってますが、それを更に越えていこうと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


例題7

 

 

例題7

 

学校なのだから当然普段は学生しか居ないんだけど、今日は少し事情が違っていた、スーツ姿の男性や女性の姿が見える

 

「それにしても凄い人だなあ」

 

文化祭とは基本的に名ばかりで学園長と博士が開発した召喚獣システムのお披露目会。来ている人の大半はこの文月学園の試獣召喚システムに興味を持っている企業の人が多い

 

「まぁな、今年は博士がいるからなあ」

 

いっつもトラブルばかりを起こして僕たちと龍也を困らせている博士だが、やはりかなり有能らしく、突然現れた天才としてかなり有名になっているらしい。人は見かけによらないというのはこのことだと思う

 

「無駄話はそこまでにしておけよ、残っているはやて達に悪いからな」

 

僕と雄二に小さく注意をする龍也に頷く。なんでも最新の召喚システムのテストはFクラスで行うらしいので、僕と雄二と龍也。それに須川君達で案内板を用意して回った所だ。

 

「そうだな、いつまでも時間を掛けてるとサボってると疑われかねない、戻るか」

 

残っているFクラスのメンバーは教室の掃除やちょっとした片づけとかを行っている。早く戻って手伝うべきだろう

 

「じゃあ急いで帰ろうか、怒るとみんな怖いしね」

 

冗談交じりでそう言う。確かに美波達は怒ると怖いけど、普段はそんなに怖くない。勿論はやてさん達も一緒だ。普通にしていればモデルやアイドルにスカウトされてもおかしくない美少女ぞろいだ、ただ性格が魔王って事以外は本当に普通の美少女なのだ。魔王でなければきっともっとモテるんだろうなあと思っていると

 

「まぁお前は魔王に刺されないように気をつけろよ、明久」

 

からかうように笑う雄二。だから僕も冗談で言い返すことにした

 

「そう言う雄二こそ監禁されないように……「明久、笑えない冗談は止せ」

 

なにかの恐怖の記憶に耐えているかのような、険しい顔をしている雄二。僕はどうやら雄二の地雷を踏み抜いてしまったようだ……霧島さんはかなりやばい魔王だけど、まさか監禁をしているとは思わなかった

 

「そっとしておいてやろう、大丈夫。雄二は強い、直ぐに普段と同じ感じに戻るさ」

 

僕の肩に手を置いて笑う龍也。確かに雄二のトラウマなのだから僕に出来ることはあるわけがないんだけど

 

「ぶつぶつぶつ……」

 

なんか光のない目でぶつぶつ言ってる雄二は物凄く不気味なんだけど……こんなときはどうすれば良いのだろうか?と悩んでいると

 

「明久、そっとしておいた方がいい時って言うのはあるんだ、神もそう言っている」

 

須川君……いい加減龍也の事を神って言うのやめようよ。物凄く嫌そうな顔をしているからさ……僕はそんな事を考えながら見学に来ている大人に挨拶しながらFクラスに戻り始めたのだった……

 

「しかしBクラスとかAクラスは人が凄いね」

 

教室の広いA・Bクラスでは何かの討論会の様な物をやっているらしく、メモを手にしている人が多くいるのが見える

 

「ふむ。翔子やなのは達は賢いだろうし。進学校と言うのをアピールするにはいいのかもしれないな」

 

試獣システムなんていうオカルトを前面においている学園だ、叩かれる可能性を考慮してこういう優秀な生徒もいるんですって言うアピールだなと僕に説明してくれる龍也

 

「そう言うものなのかな?」

 

「そう言うものさ。学園なんてものを経営するんだ、スポンサーの存在は何よりも必要だよ」

 

スポンサーかぁ……僕は少し考えてから

 

「高城グループがスポンサーにいるのに?」

 

国内・国外に強い力を持つ高城グループの援助があるのにそれでもまだ足りないのかな?と思い呟くと

 

「明久馬鹿を言うなよ。後でどうなるか判るだろうが?」

 

漸く再起動した雄二がそう呟く。そう言えば博士に聞いたけどみーちゃんに後でかなり無理難題を押し付けられるって言ってたっけ

 

「スポンサーのご機嫌取りも大変なのさ」

 

何かを悟ったような表情で呟く龍也。その横顔はとても大人びていて、本当に同年代なのかなあ?と思わず思ってしまった

 

「まぁいいんじゃ無いですか?神?俺達には関係ないことです」

 

本当龍也のカリスマって凄いよねえ。本人は凄く嫌そ

うにしてるけど……龍也が嫌そうな顔をしているのを見ながらFクラスの扉を開き

 

「「なにがあったあああああ!?」」

 

Fクラスの真ん中で不気味なオブジェと化しているムッツリー二を見て、僕と雄二の絶叫が重なるのだった……僕達がいない30分の間に何があったのか?そしてどうしてこんな殺人現場のような雰囲気になっているのか、そして何よりも

 

「「「……」」」

 

物凄く冷たい視線で異形のオブジェと化しているムッツリー二を見ている魔王の皆様。本当に何があったのは気になったがまずは

 

「ザオラル!ザオラルをおお!!!」

 

「急げ!痙攣しているぞ!?」

 

「問題ない、痙攣程度ならまだ間に合う」

 

間違いなく生命がレッドゾーンに突入したに違いないムッツリー二の救助に僕と雄二、そして龍也は動き出したのだった……

 

 

 

文化祭と銘打った、新しい召喚システムのお披露目の日……私は最後まで念入りに調整を続けていた

 

(こういうところがミッドチルダと違っていいね。本当に)

 

ミッドチルダでは機動六課と言うことで好きなだけ研究に使えるだけの費用が貰える。だけどやはり研究者としては自分の研究が認められ、そしてそこからスポンサーがつき資金援助が始まる、これこそが科学者の初歩的な第一歩だと思う

 

「準備は出来てるさね?」

 

来賓に配る資料を纏めていた学園長の問いかけに頷く、今回私と学園長が試みたのは召喚獣の獣化と言うのを計画していた。元々召喚獣なのだから若干の獣の要素を持っているのだから、それを増幅したらどうなるのだろうか?と言う事を考えたのだ

 

「上手く行くと良いですね、学園長」

 

「上手く行ってもらわないと困るんだよ」

 

小さく鼻を鳴らす学園長。この実験が上手く行けば色々と応用が効く……例えば

 

「存在しない動物の動物園とかはきっと今の子どもには大受けさね」

 

にやりと笑う学園長。今の子どもは中々すれているから普通の動物園などでは喜ばない。ならば普通ではない動物園を用意すれば良いのだ

 

「それでちゃんと出来ているんだろうね?」

 

若干の疑いの目を向けてくる学園長。私だって研究者だちゃんとこの世界でこの研究をしたいと思っている。だからミスはない筈だ。まぁ完璧ではないのが人間だから確実とは言えないけれどね、むしろ不完全なほうが人間らしくて面白いと私は思っている。

 

「オフコース♪完璧ですよ。学園長」

 

普通の動物に変化するプログラムも組み込んでいるが、勿論それ以外もちゃんと組み込んでいる。簡単に言えば

 

(その人の本質を示す召喚獣とかね)

 

例えばぜったいはやて君とかが召喚すれば普通じゃ無いのが出てくるのは判りきっている。多分もう存在しない恐竜とかそう言うのが出てくると思う

 

「触れる事も出来るんだろうね?」

 

触る事ができなければ意味がない、ちゃんと触れるようには設定はしてある。条件付ではあるけれど

 

「ええ、ただし腕輪を身につけている人だけですけどね」

 

この召喚をするには腕輪が必要になる。基本的なシステムは従来の物のままだが、腕輪によって動物などに変化させるのだ。そして触る事が出来るのは腕輪を所持している者。つまりは基本的には召喚者だけになる。まぁ文月学園の生徒は全員召喚できるので、これは来賓にだけ通用する事といえるけどね

 

「念のための備えと言うやつだね、まぁそれは仕方ないか」

 

最終的には遊園地などで利用してもらう事を考えているが、今はまだ試作段階。そこまでは欲張りと言うものだろう

 

「発表の時間まで少しあります。試運転をしてもらいましょうか?」

 

この発表が今後の文月学園……いや私と学園長の研究が続けられるかどうかに繋がっている。失敗は出来ない

 

「確かにそうだね、Fクラスの連中に話をしていてよかったよ」

 

暫くの間課題を免除する事で今回の召喚システムのテストを引き受けてくれた雄二君。勉強嫌いもここまでくると天晴れだけど今の私達にとっては都合が言い訳で

 

「じゃあ頼みに行ってきますね」

 

学園長は来賓への挨拶もあるので私がFクラスに行くとそこでは

 

「死ぬな!ムッツリー二!」

 

「生きろ!生きるんだ」

 

康太君の延命措置を必死に行っている、明久君と雄二君がいて

 

「一体何があったんだい?」

 

さすがの天才である私もなにがあったのか理解出来ず、近くで掃除をしていた龍也を見つけて何があったのか?と尋ねると龍也は箒を片付けながら

 

「さぁ?それで何をしに来たんだ?」

 

私が来たという事で何か面倒事だというのを感じ取った龍也が嫌そうな顔をしているのを見ながら、

 

「康太君が息を吹き返すまで待つよ」

 

今話をしても聞いている人間は少ないだろうし、もう少し落ち着くまで待つよと言うと

 

「それが賢明だろうよ」

 

にやりと小さく笑う龍也に思わず私は

 

(そうやって笑うから実はラスボスとか言われるんだよなあ)

 

愛想は悪くないのだが、龍也は基本的に笑顔が怖いと言われる。子供に向ける笑顔は優しいのだが、それ以外がどうもどこか黒いのだ。どうせならもっとこうにっこりと笑えばいいのにと思いながら、康太君が現世へと帰還するのを待つのだった……

 

 

 

土屋が何とか現世へと帰還してからウチ達は教頭の話を聞くのだった。なお土屋を冥界へとシュートした原因はまぁ言うまでもなく、隠れはやて達のファンのために写真を撮ろうとしていたのがばれたからだ

 

(命知らずにも程がある)

 

土屋に写真を頼んだ生徒も、そして写真を撮ろうとした土屋自身も命知らずにも程があるとウチは思った。それはもはやアグレッシブな自殺に他ならないからだ

 

「動物の召喚獣ね……大丈夫なんか?」

 

説明を聞いて不安そうなはやて。不安の理由は間違いなく

 

「ノープロブレム」

 

龍也をからかって地面に突き刺さって不気味なオブジェの状態で説明をしている教頭にあると思う

 

「お父さん大丈夫ですか?」

 

セッテがそう尋ねる。あんまり似てないけど親子だから心配するのは当然だろう。

 

「全然問題ないさ、重石をつけられて海にシュートされるよりかマシだよ」

 

ウチ達の視線が龍也に集中する。人間に重石をつけて海に……それはもはや殺人未遂なのでは

 

「流石に冗談ですよね?龍也君?」

 

瑞希がそう尋ねると龍也は穏やかに笑いながら

 

「冗談に決まっているだろう?重石なんて「そ、そうですよね!あ、安心……」……両手足をしばって船のアンカーをしばって海に投げたからな」

 

さ、殺意に満ちている。一体教頭は龍也に何をしたのだろうか?これほどまでに黒い顔をしている龍也を見たのは初めてかもしれない……

 

「まぁなんにせよだよ。明久君とかは1度これを身につけて召喚獣を召喚してくれるかな?」

 

地力で畳から脱出して笑う教頭。その手には腕輪が握られていて

 

「なんだそれ?明久の腕輪に似ているな?」

 

ヴィータがそう尋ねる。そう言われると確かにアキと坂本の腕輪に似ているかもしれない……

 

「これが最新の召喚テストの腕輪さ!さぁ!明久君召喚を!」

 

何かテンションが高いわね、これ本当に大丈夫なのかしら?だけど課題免除の変わりに手伝う約束をしているアキと坂本は断る事ができないわけで

 

「大丈夫かなあ」

 

不安そうに呟きながら腕輪を身につけたアキ。今回はどんな召喚獣が出てくるのだろうか?ウチ達の視線が集まる中

 

「試獣召喚」

 

アキが召喚獣を呼び出した……いつもと同じ幾何学模様から姿を見せたのは

 

【みゅう?】

 

もこもことしら茶色い毛並みの丸っこい……兎だった……何度か跳ねてアキの足元で丸くなる兎を見たアキは

 

「なんでさ!?」

 

まさかの自身の召喚獣の獣化。そのありえない現象を見たアキの絶叫が響く中、アキの足元の兎と化した召喚獣はなーに?と言わんばかりにその長い耳を傾けているのだった……ちなみに言うまでもないが、ウチ達の視線はアキの足元の兎に集まっているのだった……兎ではあるが、どことなくアキを連想させるその愛らしい姿に完全に意識を奪われてしまうのだった……

 

例題8へ続く

 

 

 




次回は動物に変化した召喚獣をメインに書いていこうと思います。もちろん美波達も変化しているのでどんな動物になっているのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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