バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は「土屋兄2人」に視点を置いてみようと思います。ムッツリー二を見て2人がどう思っているのか?それをかいてみようと思います。今回はかなり短いですが、次回は長編なので楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


例題6

 

 

例題6

 

俺から見た、弟の康太は……まぁ色々言いたい事はあるが、意外なほどに面倒見が良い性格をしていると言える。まぁスケベなのはもう少し抑えてほしいとおもうが、あのくらいの歳なら仕方ないのかもしれない。

 

(結構良い性格に育ってくれたと思う)

 

父さんも母さんも仕事仕事で中々家に居なかった。だから本来なら俺が色々とやるべきだったのだが、俺は俺で部活のキャプテンになっていた為。小さい康太と日向を家に残す事になった、一応陽太に頼んでいたんだが、遊び盛りだったからあいつも家に居る事は少なかった。部活に入るまでは心配しているが、部活を始めると心配するのを忘れてしまう。そして家に慌てて帰ると

 

「……お帰り」

 

机の上に並んでいるサンドイッチとスープの鍋を見て驚いた。そして

 

「お兄ちゃん。お絵かきしよ♪」

 

「……判った。折角作ったからちゃんと食べて」

 

俺にそう良い残し、日向と一緒に自分の部屋に向かう康太の姿を見て、手のかからない弟だと思うと同時に少し寂しいとも思った。

だけど出来た弟が居たおかげで俺は安心して部活に打ち込むことが出来て、そしてスポーツ推薦で大学に入ることも出来た。だが俺に1つ計算外の出来事があるとすれば

 

「お兄ちゃん大好き♪」

 

もう今年で高校生になる妹の日向が康太に兄妹以上の思いを抱いてしまった、それだけが俺にとっての想定外だった

 

「ただいま」

 

大学生にもなると暇な時間が多い、アルバイトを終えて帰ってきた俺を待っていたのは

 

「お兄ちゃん」

 

康太の写真をプリントした抱き枕を抱えている日向。俺は少し考えてから

 

(そっとしておこう)

 

兄として、家族として日向にはそろそろ康太からの兄離れをして欲しいとおもうのだが……あれは中々直すのは難しいかもしれない

 

(一番傍に居た異性で面倒を見てくれたのが康太だもんなぁ……)

 

小さい子がお父さんと結婚するーと言うのがかなりこじれてしまったのが、今の日向の状態だ。しかも母さんの話によるとたまに母さんの一族にはそう言うタイプが居るらしい、弟であったり、妹であったりと……

 

(俺は普通でよかった)

 

心の底からそう思う。良い人だと思っていたおばさんが実は弟大好きで、昔色々と騒動を起こしたと聞いたときは本気で眩暈を感じた物だ。そんな事を考えながら階段を上がると

 

「何をしているんだ?康太」

 

鉤付きのロープで直接2階に来ていた康太にそう尋ねる。康太は青い顔をしながら

 

「……最近は家でも学校でも心の休まる場所がない」

 

あー、最近日向と一緒に良く遊んでいる「工藤愛子」さんだったかな?ボーイッシュで明るい良い子だ。ただ康太に気があるようで、色々と間違っているアプローチをしているのは気になってた

 

(あんなに可愛い子なのにな)

 

俺に年下趣味はないので、別にどうこうとか言う気持ちはないが、惜しいとは思う。あそこまで強引に行くのではなく、少し引いてみれば康太は案外落ちるような気がしている

 

「まぁあれだ。ほれ」

 

財布から2000円を取り出して渡す。どこかで時間を潰すには少しばかりの資金が要るだろう。それに夕食は昨日康太が作って置いてくれた、煮物と味噌汁があるので炊飯器をセットすればそれで大丈夫なはずだ

 

「……ありがとう。颯兄」

 

自分の財布に俺の渡した紙幣を入れてまた窓から外に出て行く康太。その姿は忍者のように思える

 

(康太って意外なほど特技が多いよな……)

 

料理から裁縫まで、意外と家庭的な特技が多いよなと思いながら服を着替え、リビングに向かうとそこでは

 

「ふっふっふ、私から逃げようなんて甘いんだからね!お兄ちゃん」

 

機器とした表情で荷物を纏めている日向。俺のみ間違いで無ければ手錠やロープがあったような……

 

「じゃあ颯太お兄ちゃん、私はお兄ちゃんを捕まえてくるからご飯は自分で食べてね♪ふっふっふ!私から逃げようなんて10年早い!」

 

玄関のテニスのラケットを背負い、出て行く日向。開いている窓から自転車に乗って走っていく日向を見ていると

 

「うーす、ただいまー兄貴」

 

鞄を手にリビングに入ってきた陽太はそのまま冷蔵庫を開けて牛乳を飲みながら

 

「今日向が凄い勢いで走って行ったけど康太か?」

 

「ああ」

 

俺と陽太の間に奇妙な沈黙が走る。日向が追いかけていって康太が逃げ切れたためしがないのだ

 

「あと5分」

 

「じゃあ俺は3分」

 

何分で康太が捕まるか?と言う賭けをしながら、米をといで炊飯器にセットしていると、丁度4分ほどで

 

「……ボロボロ」

 

「ふふーん♪」

 

号泣している康太を引きずってご機嫌と言う感じで家に戻ってきた日向。

 

「じゃあ今日はお兄ちゃんと一緒に寝ようかな~」

 

廊下から聞こえてくる日向の声。俺と陽太が駄目と言っても聞くわけがないのでそのまま夕食の準備を続ける

 

「……駄目だ!」

 

「じゃあお風呂?」

 

「……一緒の部屋で良い」

 

完全に日向の手玉に取られている康太。俺の知っている日向はもう少し純粋だと思っていたのだが、知らないうちに色々と変化してはいけないの方に変化しているような気がする

 

「日向のブラコン治るかな?」

 

俺が危惧しているのはそこだ、日向と康太が越えてはいけない一線を越えてしまわないか?それが不安で仕方ない

 

「ブラコンが治ると信じるしかないんじゃねーの?」

 

確かにそれしか手段がない、いつか日向が兄妹だから結ばれるのは不可能だと理解してくれれば良いのだが

 

「「なんか絶対にありえない気がする」」

 

俺と陽太の呟きが重なった。父さんは癖のある女性に好かれるらしいし、母さんの家系はブラコンとかシスコンが生まれやすい家系。その2つの家系の特徴が出ている康太と日向。日向のブラコンって絶対治らないと思わず思ってしまうのだった……そして日向は有言実行で康太と一緒の部屋で今夜寝たのだが、ご機嫌な日向と真っ赤な目をして寝ていないというのが一目で判る康太を見て、思わず俺は溜息をはくのだった……

 

 

 

俺から見る康太はまぁそれなりにスケベだが、実際はそんなにスケベではないと言う変わった性格をしていると思う。康太が写真とかを撮って友人に販売しているのは知っているが、それはあくまでブロマイド的なものでそこまで過激な物ではない。そして過激な写真を康太が取る事はほとんどない。

 

(損な事をしてるよな)

 

日向を兄離れさせるためにスケベな兄の振りをしている(?)康太はそれなりに損な事をしていると思う。高校生だから確かにそう言うのに興味があるのは判る、だが康太の価値観はかなり古く古風な恋愛を望んでいるのを俺は知っている

 

「あ。どうもお兄さん、おじゃましています」

 

「…………」

 

最近家に入り浸っている工藤愛子さん。まぁボーイッシュで明るて快活で良い性格をしていると思う。しかし問題は康太が純情なのを知ってもなお、そう言う若干エロイアプローチで康太に迫っている事だ

 

「今日は何をしたんだ?」

 

フローリングに伏せて動く気配のない康太を見ながら、尋ねると工藤さんは小さく小首を傾げる。俺に年下趣味はないが思わずクラッと来てしまう。まだ若いが彼女は知っているのだ、どうすれば男心を刺激できるのかを

 

(彼女はもしかするととんでもない悪女になるかもな)

 

こういうタイプの女性と言うのは恐ろしいと思う。俺もスポーツで活躍しているからか言い寄られる事は結構ある。その中でも直感的に駄目だと思うタイプに良く似ている

 

「大丈夫ですよ?僕はムッツリー二君一筋ですから」

 

ムッツリー二?ああ、確か学校でのあだ名だったな。しかしそれにしても酷い渾名だと思う、まぁ高校生だからそんなものなのかもしれないが……

 

「あんまり苛めるなよ?康太は純情なんだからな」

 

俺がそう言うと工藤さんは猫のような笑みを浮かべて、くすくす笑いながら

 

「知ってますよ?だからそうして責めて、気絶する瞬間のムッツリー二君が一番可愛くて可愛くて仕方ないんです」

 

思わず背筋が伸びた、人の良い顔の裏にこんな顔を隠していたか……

 

(やっぱり女って怖え……)

 

俺に彼女がいないのは実は若干俺には女性恐怖性の毛があるからだ。俺が高校生の時に何を思ったのか、勢い余ったマネージャー。しかも俺よりも頭2つは背が低くて、しかも後輩。そんな女子生徒にに押し倒された経験からの女性恐怖性である。だから俺は女子はかなり苦手だ、女性となるとまぁ少し話が変わるのだが、同年代の女子はどうしても怖い思う気持ちがある

 

「あー!愛子さん何をしてるんですか!?」

 

部活から帰ってきた日向がそう叫ぶ。これでとりあえず康太のみの安全は保障されただろう。

 

(仲は良いけど別にそこまで仲が良いわけではない見たいだしな)

 

話をしたり、一緒に料理をしたりする仲だが、その本質は互いに互いを出し抜こうと常に悪巧みをしている。2人揃えば互いに牽制しだしすから康太の安全は確実だ

 

「じゃあ俺勉強するから」

 

聞こえてないと判っているがそう声を掛けてからリビングを出て、部屋から感じるぎすぎすした雰囲気に

 

「やっぱ女って怖え……」

 

いずれは結婚と言うのも考えないわけではないが、もし付き合うなら俺と吊り合う訳がないと判っているが

 

「お嬢様見たいのが良いなあ」

 

こうおしとやかな人が良いなあと呟きながら俺は自分の部屋に戻った。まぁどうせ俺には彼女なんて出来ないよなと思っていたのだが、数日後駅前で迷子になっていた両家のお嬢様と遭遇し付き合い始めることになるなんて思っても居なかったのである

 

「……誰か助けて」

 

日向と愛子に挟まれて泣いている康太の声は当然ながら、陽太の耳には届かないのだった……

 

 

その頃文月学園では学園長とジェイルが悪巧みをしていた

 

「それで?今回の準備はどうなんだい?」

 

「勿論ばっちりですよ!文化祭に相応しい祭りの準備をしています」

 

ふっふっふと笑い合う学園長とジェイルは映画化何かで登場する、悪役のような雰囲気をしているのだった……

 

 

例題7へ続く

 

 




次回は前書きで書いたとおり長編で行きます。結構なカオスで行こうと思うので楽しみにしていてください、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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