バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は次回の最後の通り。原作10.5「僕と兄さんと謎の抱き枕」を書いていこうと思います
ただし混沌の魔法使いバージョンなので、最初から全開で行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


例題3

 

 

例題3

 

私はルンルン気分で高校見学希望用紙に「文月学園」の名前を書いていた

 

(お兄ちゃんの学校以外進学する気なんてないもんねー)

 

一応テニスの名門校からスカウトが来ているけど……そんなの関係ない。書き終えて立ち上がり隣の生徒の机を見て

 

「あれ?久保君も文月学園希望なんだ。私と同じだね」

 

まさかこんなに近くに文月学園を希望する生徒がいるなんて、このクラスが学年的には中堅より少し下のレベルの生徒が揃っている。進学校を希望する生徒は少ないのに

 

「土屋さんも文月を見学すのかい?」

 

眼鏡を直しながら尋ねて来る久保君。お兄ちゃんの話に良く出てくるゲイ「KUBO」と同じ名前

 

(まさか……ね)

 

女子にも人気のある久保君のお兄さんがあのKUBOとは思えない。多分全く関係ないだろうと思いながら

 

「勿論!私の大好きなお兄ちゃんがいるからね!」

 

中学生だからお兄ちゃんと離れないといけない。小学校のときは良かった、ずっと一緒だったから……今は無理だけど、高校ならまた一緒にいられると小さくガッツポーズをしていると

 

「お兄ちゃんか……僕も兄が通っているんだ」

 

え……私は少し停止してから深呼吸する。どうも久保君はKUBOの弟さんのようだ

 

「久保君。行かないほうがいいと思う。お兄さんのイメージが崩れるよ」

 

KUBOは既に悪霊。そしてストーカーの域になっていると聞く。そんなお兄さんを見るのはあまりに酷だろう

 

「……それでも僕は行かないといけないんだ。身内の恥を……そして恐らく迷惑をかけているであろう「吉井さん」に謝らないと」

 

「そっかじゃあ私と一緒に行こう。お兄ちゃんにKUBOのことを聞いてあげるよ」

 

ありがとうと返事を返す久保君と一緒に高校見学希望用紙を担任の先生に提出するのだった……

 

 

 

そして訪れた高校見学翌日。兄さんにはこの学校に見学にくることを伝えないで来たが、まぁ良いだろう。今日は恐らく兄さんが迷惑をかけているであろう、吉井さんに会いに来たのだから

 

『……と言うように、我が校では先進的な学習制度を導入しており』

 

学年主任の声で思考の海から引き上げられる、いけないいけない。レポートを出せないといけないのでしっかりと話を聞いておかないと、主任の言葉で耳を傾けながらもう半分で別のことを考えていた。僕の兄さん「久保利光」は真面目がとりえであんまり楽しみがないと思うほどに自分の趣味に関しては無関心な人だった。だけど最近は以前と比べて明るくなったし、笑うようになった。それ自体は喜ぶべき変化なのだが、僕と母さんは見てしまった

 

「……母さん。僕はどうすれば良いとおもう」

 

「母さんもどうすれば良いか判らないわ」

 

2人して絶句してしまった。僕は参考書を借りるために、母さんは部屋の掃除をするために兄さんの部屋に入った。そこで待っていたのはこれでもかと言わんばかりの兄さんよりも少し小柄な茶色の髪をした男子生徒の写真集に抱き枕の数々。そして日記に書かれていた吉井と言う人物に対する兄さんの異常な執着。母さんは見ないことにして部屋を出て行ったが、僕はなんとしても吉井さんに事情を聴かなくてはいけないと思い、こうして文月学園に来たのだ

 

『なお。Aクラスは見学希望者が多かったため案内を用意しました。霧島さん、高町さん、テスタロッサさん』

 

主任の言葉で3人の女子生徒が体育館に入ってくる。長い黒髪の綺麗な女子生徒に亜麻色の髪の笑顔が綺麗な女子生徒に海外留学生なのか金髪の生徒。3人が3人とんでもない美人だった。周囲からも

 

『すっげえ美人……』

 

『ホント、綺麗な人……』

 

『あの人。成績学年トップ10に入ってるらしいわよ』

 

『俺、この学校に決めた』

 

男女問わず聞こえてくる溜息の数々。成績トップと言うことは兄さんと同じクラスのはず、それなのになんで兄さんはあの人じゃなくて吉井さんを選んだのか……

 

(なんで兄さんはあの人をスルー出来たんだ)

 

おかしい僕なら男子よりもあの人が良い、綺麗だし優しそうだし……僕には兄さんの考え方が理解出来ない

 

「久保君。世の中に変った人間がいるんだよ。お兄ちゃんの知り合いだから私は吉井さんを知ってるけど、凄く良い人だよ。料理上手だし、気が利くし、裁縫も得意みたいだし」

 

土屋さんからの情報を聞く限りでは家庭的な男子と言うことだと思うけど……それにしてもおかしいと思うのが普通だろう

 

「あ、あと女顔」

 

「それか!?」

 

その女顔のせいで吉井さんを好きになったのかもしれない。だけどまずは情報収集が何よりも大事だと思うので

 

(隙を見てFクラスのほうに向かおう)

 

そもそも僕の見学希望はFクラスと書いてあったので問題ない。会話をしながら移動しているAクラス行きの集団から離れる

 

「じゃあ私も行こうかなー」

 

土屋さんも目的地はFクラスなので僕と一緒に集団から離れる。その際に聞こえてきた

 

『あ。霧島先輩。手が絵の具で汚れてますよ?』

 

『創作もやってるんですね!凄いです!』

 

『違う違う。翔子は雄二を追いかけてたんだよね?』

 

『……そう。昨日私を置いて帰った。ユルセナイ』

 

雰囲気が変ってふふふふっと笑い出した霧島先輩を見ていると土屋さんが

 

「霧島さんって凄い人なんだよ。ピッキングで鍵をこじ開けたり、呪いとかにも詳しくてね。坂本って言う同学年の人が物凄く好きなんだって」

 

その物凄く好きって絶対やばいと思いつつ、僕と土屋さんはゆっくりとFクラスへと向かうのだった

 

 

久保君と廊下を歩きながらFクラスに向かっているんだけど

 

「場所こっち?」

 

「判らないんだ」

 

えー……2人いて2人もわからないってどういうこと……お兄ちゃんの気配がすれば判るんだけど、気配もしないしなぁと首を傾げていると、見覚えのある女子生徒の背中を見て

 

「あ、姫路さーん!!!」

 

助かった。お兄ちゃんと一緒にいる愛子さんでも良いけど、姫路さんも結構会って話しをする機会が多い。案内してもらえば良いやと思い駆け寄ると

 

「日向ちゃん?ああ、学校見学ですね」

 

にっこりと笑う姫路さんに頷き

 

「お兄ちゃんはFクラスにいますか?」

 

ここが一番重要なので尋ねると姫路さんはええっと笑いながら頷き

 

「勿論いますよ。さあこっちですよ」

 

そう笑って私と久保君を案内してくれる姫路さん。久保君はぽーっとした顔をしていて

 

(もう駄目だよ。姫路さんは好きな人がいるんだからね)

 

小さく笑いながら、からかうように言うと久保君が目を白黒させているのが判る。その視線の先は胸で

 

(あー羨ましいなー)

 

私はテニスをしているからそれなりに均整の取れた体型をしていると自分でも思っているけど、姫路さんくらい胸があれば

 

(お兄ちゃんの理性を破壊できるのになあ)

 

今のままで出来るのは密着とかそう言うのだけど、精神的に攻撃できる巨乳は羨ましい。だけどお母さんも胸は小さいので多分それは無理なのだと諦める

 

「所で貴方の名前は?」

 

あ、これは不味いよ……久保君のお兄さんはKUBOだからそれを知られたら久保君の命がないかもしれない

 

「久保良光……「ダンッ!!!」ななななんあななー!?」

 

振り返りながら久保君の顔の横に叩きつけられたボールペンに目を白黒させている久保君。姫路さんは黒モードなので前髪で目が隠れていて物凄く怖い

 

「KUBOの弟?……ふふふふふ。これは潰しても良いのでしょうか?」

 

これ呼ばわりされている久保君が憐れだけどこのままだと本当につぶされかねない、何故なら

 

(今の姫路さんにはやるといったらやる凄みがある!)

 

間違いないこのままだと間違いなく、久保君は精神的にも肉体的にも潰される。恐怖のあまり顔を青くしている久保君を見ながら

 

「大丈夫です。彼はノーマルです。今日は吉井さんに謝りに来たんですよ」

 

久保君の代わりに事情を説明するが、姫路さんの黒モードは解除される気配がない

 

「ほら、そうでしょ?久保君」

 

「そそそ!そうです!!兄さんが迷惑をかけている吉井さんに謝りに来たんですッ!!!」

 

涙目で叫ぶ久保君を見た姫路さんはボールペンをポケットにしまいながら

 

「信用はしましょう。だけど不審な行動を見せれば、判ってますね」

 

ぎらりと強い光をその目に宿す姫路さんに何度も頷く久保君。それなら良いですと呟いて歩き出す姫路さん

 

(な、ななな何あの人怖い)

 

かみまくっている久保君。まぁ無理もない、いきなりボールペンを向けられれば誰だって怖い

 

(姫路さんは吉井さんが凄く好きなんだよ。それこそ監禁を考えるほどに)

 

現に1回それをしようとしたことがあると聞いたことがあるし、はやてさんもよくするらしいし……

 

(監禁!?犯罪だよ!?)

 

物凄く驚いている久保君。だけどさ、恋って何をしても成就させるべき物だ手段を選んでる余裕なんかない訳でそう考えれば姫路さんの行動は間違ってはいるが、正しいと思う

 

(Fクラスには後2人いるからね。本当気をつけてよ)

 

吉井さんはとにかくモテる人だ。まず優しい、次に料理が上手、思いやりがある。など例を挙げればきりがないくらいだ。だからKUBOを警戒してる。そのKUBOの弟を聞いて危険視されるのは当然なんだと言うと

 

(そ、そうなんだ。来なければ良かったかな……)

 

蒼い顔をしている久保君に頑張れと小さく声を掛け、私は姫路さんに案内されてFクラスへと向かうのだった……

 

 

 

 

姫路先輩に睨まれながらFクラスに向かう。その途中で気になっていることを尋ねて見る

 

「Fクラスってどんなクラスなんですか?」

 

説明では学力最低と聞いているけど、実際はどうなんだろうと思い尋ねると

 

「学力では意外と優秀な人も多いですよ。ちょっと都合があって試験に出れなかった人とか、あとそうですね、黒い人が多いです」

 

僕は聞くんじゃなかったと後悔した。黒い人が多いってどんなクラスなんだろうか?少し恐怖を感じながら歩いていると

 

「ここですよ」

 

そう笑って教室の扉を開ける姫路先輩。そこでは

 

「やはりだね。紅茶の蒸らしが大事なんだと思うのだよ」

 

「うーん。やっぱりそうだよね。何分くらい?」

 

猫耳を装着している男子生徒と黒尽くめの男子生徒が紅茶について語っていた。僕は扉を閉めて

 

「Fクラスってなにか料理とかの研究とかをしてるんですか?」

 

紅茶のポットだけじゃなくてクッキーとかもあったので尋ねると

 

「Fクラスは騒がしい人が多いですからね。自習なので自由にしてるんですよ」

 

自由すぎる!?なんと言うかかなり凄いクラスのようだ

 

「ん?おかえり瑞希。クッキー食べる?」

 

ティーポットを片手に姫路先輩に声をかける男子生徒。なんで教室にコンロとかが配置されているのか?それを是非聞きたい

 

「はい。頂きます」

 

猫耳の生徒を見る。兄さんの写真集の男子のようだけど何で今も猫耳を装着しているのか?謎が残る

 

「ん?見学生か。それとムッツリー二妹か。あいつなら隠れてるぞ?見つけれるか?」

 

「直ぐ見つけます!私から逃げれると思わないで欲しいですね!」

 

気合満々と言う感じで教室内を歩き出す土屋さんを見ている、土屋さんに話しかけていた男子生徒が僕を見て

 

「このクラスの代表。坂本雄二だ。お前は?」

 

代表……この人が、僕はてっきりあの銀髪で黒一色の人だと思っていた。なんと言うか凄みのある人だから

 

「久保良……うわあ!?」

 

突然飛来したカッターとボールペンをしゃがみ込んで回避する。投げたのはポニーテールの女子生徒と前髪で目を隠している女子生徒。凄く怖い

 

「KUBOの弟か。気をつけるんだな。ここにはKUBOが嫌いな女子が多いぞ」

 

「先に言って下さい!!!」

 

なんで兄さんのせいでこんな目に合わないといけないのか?思わず涙が出たが

 

「美波と優月も少し落ち着いて。ね?」

 

猫耳の男子生徒が宥めるように言うが警戒している視線が今も僕を射抜いている。居心地が悪いことこの上ない

 

「まぁアキがそう言うなら良いけどさ。ウチはKUBOの血縁者だけで信用する価値がないと思うんだよね」

 

「同意するよ。明久を襲う常習犯のゲイの弟だ。危険すぎる」

 

その言葉に思わず涙が出た。兄さん貴方は学校で何をしているのですか?

 

「えーと、僕は吉井明久。KUBOの弟のえーと何君?」

 

猫耳をぴこぴこと動かしながら尋ねて来る。何で動いているんだろうか?

 

「ああこれ?なんか外れないんだ。呪いの装備みたいに」

 

なにその罰ゲーム。なんでそんなのをつけられてしまったのだろうか。そして何故笑っていられるのかが判らない

 

「まぁとりあえず話をしようよ。紅茶嫌い?」

 

マイペースに話を進めていく吉井先輩。だけどそれは別に嫌ではない、今までの敵意の視線と比べれればこんなのはどうでも良い

 

「みつけたあ!」

 

「へぶう!?」

 

土屋さんが箒で天井を叩くと小柄な男子生徒が落ちてくる、全然判らなかった……

 

「お兄ちゃーん♪

 

「……」

 

死んだような顔をしている男子生徒と嬉しそうな顔をしている土屋さん。多分あの人がお兄さんなんだろうなと思っていると

 

「はい、入ったよ。どうぞ」

 

吉井先輩に呼ばれてその場所に行くんだけど

 

「「「ギロリ」」」

 

僕を思いっきり警戒している6つの視線と興味深そうに観察して来る視線。僕は若干胃が痛むのを感じた

 

「砂糖とミルクは如何する?」

 

「お願いします」

 

にへらと笑う吉井先輩。なんと言うかおかしな人だなあと思いながらその場に腰掛けるのだった……なんとしても学校での兄さんの奇行。そしてどれだけ吉井先輩に迷惑をかけているのか?それを調べるために来たのだ、まだ何も調べてないうちに諦める事はできないと小さく呟き、差し出された紅茶を口にした。適度な甘さとミルクの分量……

 

(凄く美味しい)

 

家庭的だと思っていたが、予想よりも数段家庭的だった吉井先輩に驚きながら机の上のクッキーに手を伸ばしたのだった……

 

この学校見学で僕を待っていたのは、受け入れたくない兄の異常な側面だという事を今の僕は知らないのだった……

 

例題4へ続く

 

 




前後編にしてみます。もしかすると中篇も入るかもしれないですね。KUBOのせいで、全体的にカオすな雰囲気で勧めていこうと思っていますが、どうなるかはちょっと判りませんね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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