例題1
学校が終わったので公園に遊びに行くと見慣れた皆の姿を見つけて
「リィンちゃーん!遊ぶですう!!!」
手を振りながら呼ぶとリィンちゃんが振り返り手を振ってくれる
「葉月ちゃーん!遊ぶですう!!!」
持っていた鞄をベンチの上に置いてリィンちゃん達の方に走って行くと、砂場の近くでうずまっているリヒトちゃんを見て
「今日は何をしたですか?」
頭を抱えて蹲っているリヒトちゃんを見下ろしているユナちゃんに尋ねる。この中で一番怖いのは見た目が怖いアギトちゃんではなく。笑顔がとても怖いユナちゃんだと葉月は思っているです
「持って来ていたおやつを全部食べてしまったんです」
近くに落ちているおかしの袋を見るとかなりの数を食べてしまったのだと判ります。それでもリヒトちゃんは
「うう……お腹空いたの……まだ足りない……」
まだ足りないと呟き、ユナちゃんに叩かれた頭を押さえてしくしくと泣いているリヒトちゃん。いっつも何かを食べているリヒトちゃん……だけどそのせいでいっつもユナちゃんに怒られているんだからもう少し勉強するべきだと思うのです
「何して遊ぶんだ?ブランコか?」
てーいと力強くブランコを押すアギトちゃん。ブランコの上のアザレアちゃんは信じられないくらい上で
「こ、怖いぃ!!もっと!もっと軽く押して……」
半分泣き声で叫ぶアザレアちゃん。普段の小さい声からは信じられない声です。それを見て葉月は
「……遠慮しておくです」
高いのと早いのは怖いのでそう呟き。リィンちゃんと一緒に
「シーソーで遊ぶです」
「判ったのです!」
2人でシーソーのほうに歩き出し、説教されているリヒトちゃんと怖いと叫んでいるアザレアちゃんを見ながら、ゆっくりシーソーでリィンちゃんと遊び始めるのでした……
「葉月ちゃん。今日家に遊びに来るですか?」
シーソーをしながら尋ねて来るリィンちゃん。リィンちゃんの家と言うとかっこいいお兄ちゃんと優しいけど、怖いお姉ちゃんが沢山いるです……
(うむむ……悩むです)
折角誘ってくれているので行きたいとは思うんですが、葉月のご飯を作ってくれるお姉ちゃんの事を考えると……
「葉月~?葉月いる~?」
「あ。お姉ちゃん」
お姉ちゃんが鞄を手に公園に入ってくるです。1度シーソーを止めてお姉ちゃんの顔を見ると
「ウチはアキの家に行くけど、葉月は如何する?一緒に来る?」
馬鹿なお兄ちゃんの家……楽しそうですけど……
「今日は葉月はリィンちゃんの家で夕ご飯に誘われているです。だから止めておくです」
お姉ちゃんがいるなら葉月も家に帰ろうと思ったのですが、お姉ちゃんがいないならリィンちゃんの家でご飯を食べに行こうとおもうのです
「そう?じゃあ夜に迎えに行くわね?」
「はいです!」
手を振りながら歩いていくお姉ちゃんを見送り。シーソーの向かい側のリィンちゃんを見て
「折角なのでご飯を食べに行くです」
前に何度も美味しいと聞いていたかっこいいお兄ちゃんのオムライスを食べて見たいと思っていたです
「はいです!それじゃあ荷物を取りに行くですよ!」
明日も遊べるのでまずは葉月の家に荷物を取りに行こうという話になったので、シーソーを止めてアザレアちゃん達のほうに行くと
「ばたばたばた」
「全く本当に懲りないですね」
頭を押さえて転がり回っているリヒトちゃんとその手に大きな本を持っているユナちゃん。間違いなくあの本で強打されたのだとわかるです。葉月は絶対にユナちゃんを怒らせないようにしようと心に誓いました、そして
「馬鹿……馬鹿……怖かった。怖かったんです」
「わり、悪いって!そんなに叩くなって」
ぽかぽかとアギトちゃんを叩くアザレアちゃん、その顔は涙目でよっぽど怖かったと言うのが判るです
「少し待っているですよ。そうすれば落ち着くですから」
そう笑ってベンチに座るリィンちゃんに頷き、葉月もベンチに座ってユナちゃん達が落ち着くのを待つのでした……
「あれ?えーとえーと誰だっけ?」
リィンちゃん達の家の大きな庭の所で体を動かしていた青い髪のお姉さんがそう尋ねて来るです。葉月も初めて見る人です
「葉月ちゃんなのです!スバルちゃん」
スバルお姉ちゃんと言うのですか、なんと言うかお姉ちゃんに似ている気がするです
「葉月ちゃんね?覚えたよ。じゃあリィンちゃん、私ランニングにでて来るからじゃね」
手を振って走っていくスバルお姉ちゃんを見ているとアギトちゃんが
「スバルは兄の教わって格闘技をしてるんだ。なんか良いパンチをうちには強い足腰?がいるとかで走ってるんだ」
良く判らないです。だけど体を鍛えているという事だけはわかったです
「ん?おお、葉月かいらっしゃい」
「お邪魔するです!」
はやてお姉ちゃんに挨拶をしてリィンちゃん達の部屋に行くと
「わふ?」
大きな灰色の毛並みを下見たことのない大きな犬が尻尾をぶんぶんと振っていました。部屋の端のほうに吊るしてあるサンドバックは見ないことにするのです、代わりに部屋の奥から歩いてきたわんちゃんを見ることにするのです
「わあああ……わんちゃんです」
可愛い……リィンちゃん達わんちゃんを買っていたんですね……今まで見たことがわんちゃんですけど……
「ドラきちです。可愛いでしょう?」
ドラきち?……凄い名前です。でも可愛いからいいです……くりくりとした赤い目が凄く可愛いです
「わふ」
葉月の前に座って尻尾を振っているドラきちの頭を撫でると目を閉じて気持ち良さそうしているドラきち。葉月の知っているわんちゃんよりずっと大人しくて可愛いです
「今まで見なかったですけど、どこにいたんですか?」
何回か家に来ていますけど、今日初めて見るドラきちを見ながら尋ねると
「兄さんが連れてきたんですよ。こっちの家に来ているのでずっと向こうの家で待たせていたので」
向こうの家……確かリィンちゃん達の家は本当は海外らしいのできっとそっちの家から連れてきたんですね
「ど。ドラきち、お、お座り」
「わふ」
アザレアちゃんの言うとおりに座るドラきち。それを羨ましそうに見ているアギトちゃんに
「もしかしてアザレアちゃんの言うことしか聞かないのですか?」
「うん。あたしとかの言うこときかねえ」
寂しそうに呟くアギトちゃん。それだけアザレアちゃんに懐いているって事なんでしょうか?
「元々にーさまがアザレアの為に買って来たから、アザレアにしか懐いてないの」
アザレアちゃんの為に買って来たわんちゃんなんですか……それだったら仕方ないのかもしれないですね
「だけど私には負けない!ドラきち!お座り!」
「わふ?」
首をかしげて尻尾を振っているドラきち。凄まじいまでの無反応です
「……ドラきち、伏せ」
アザレアちゃんの合図でリヒトちゃんにそっぽを向いて、アザレアちゃんの足元で
「わん♪」
ぺたっと伏せて尻尾を立てるドラきち。それを見て凄く切なそうな顔をするリヒトちゃん
「仕方ないです。中々言うことを聞いてくれないですから」
「うん。仕方ないよな」
リィンちゃんとアギトちゃんは諦めているようですけど……少し離れたところで本を見ているユナちゃんに
「ユナちゃんの言うことは聞くですか?
ユナちゃんはアザレアちゃんと一緒なのでどうなるのかな?と思いながら尋ねると
「聞きますよ。何か言って見ましょうか?」
本を閉じて呟くユナちゃんに頷く。するとユナちゃんはにやりと笑って
「ぐるぐる」
「わふ」
急に前回りをするドラきち、その前には当然リヒトちゃんがいて
「ふぎゃっ!!」
「「「!?!?」」」
尻尾と背中で押し潰されたリヒトちゃんが呻く。アザレアちゃんが驚いているの無視してユナちゃんは
「ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる」
無表情で指を回しながらドラきちにずっとぐるぐると言っているです。ドラきちはその指示に従って
「わふ!わふ!!わふ!!!」
「ふぎゃ!ふぎゃっ!!ふぎゃっ!!!」
連続で押し潰されているリヒトちゃん……止めに入りたいとは思うのですが
「くすくす……」
物凄く怖い顔で笑っているユナちゃんが怖くて葉月は勿論アギトちゃん達も何も言えないのだった
「ボールで遊ぶです!庭に行きましょう!!」
ぴくぴくと痙攣しているリヒトちゃんに布団だけかけて葉月たちはボールを抱えてドラきちと一緒に庭に出ました
「わふー!わふー♪」
元気に駆け回っているドラきち。凄く速いです……追いかけても追いつける気がしないです……
「ドラきちーボールですよー!!!」
「わふう!!!」
投げられたボールを空中でキャッチするドラきちはボールをくわえて戻ってきて
「わふ」
葉月の前にボールを落とすので拾ってかるく振りかぶって山なりに投げる
「とってくるです~」
「わふーん♪」
ボールを追いかけていくドラきち。言うことは聞いてくれないけどボールでは遊んでくれるんですね。葉月達は夕方までボールを使って遊んでいると
「ん?葉月か?いらっしゃい」
「おかえりなさいなのです!!」
「兄おかえりー!」
「お兄様お帰りなさい!」
「お兄ちゃんお帰りなさい」
「……兄さんおかえり」
皆でお帰りなさいというとただいまと笑いながら言うかっこいいお兄さんは葉月を見て
「折角きたんだ。何が食べたい?」
晩御飯のリクエストを聞いてくれたかっこいいお兄さん。何回かリィンちゃんに聞いていて食べて見たいと思っていた
「オムライスを食べたいです」
「オムライスか。判った」
そう笑って家に入っていくかっこいいお兄さんを見送っていると
「わふーん!」
あそぼ。あそぼ尻尾をふるドラきちを見て、葉月達はまたドラきちとボールを使って遊び始めるのだった……リィンちゃんたちが美味しいと言っているオムライスは本当に美味しかったです。お店で食べるのよりずっとずっと美味しかったです
「兄のオムライスは美味しいだろ?」
「はいです!すっごく美味しいです!!」
アギトちゃんの言葉に頷いてオムライスを頬張る。こんなに美味しいオムライスをいつでも食べれるリィンちゃんが羨ましいです
「あむう!おかわりー!」
「はいはい」
7回目のおかわりです、リヒトちゃんは凄い食欲です。葉月は1皿でお腹一杯です。わいわいと話をしながら、葉月達は楽しい夕食を食べるのでした。もちろんデザートに出してくれたプリンも物凄く美味しかったです
「葉月も本を見ますか?」
ご飯を食べて部屋に戻るとユナちゃんがそう尋ねて来る。手元を見ると全部字なので首を振りながら
「葉月は良いです。アギトちゃんとかを遊んでいるです」
ドラきちは既に寝てしまっているので、トランプをしていたリィンちゃんとアギトちゃんとアザレアちゃんに混ざってトランプとかで遊んでいるのですが
「む、むきゃあああああ!!!!またリィンの負けです~」
「リィンは顔に出るから弱いんだ」
「わ、判りやすいです」
ババ抜きでリィンちゃんの5連敗。顔に出るのがすぐ判る、皆で笑っていると
「葉月ー?そろそろ帰るわよ?」
「お姉ちゃん!」
お姉ちゃんが迎えに来てくれたのでトランプをユナちゃんに返して
「また遊びにくるです!」
また着てねと笑うアギトちゃん達に手を振り、葉月はお姉ちゃんと手を繋いで家に帰りながら
「リィンちゃんはわんちゃんを飼ってたんですよ!灰色で丸々としたわんちゃんです」
今日初めて見たドラきちのことをお姉ちゃんに話すとお姉ちゃんは
「灰色の犬?……雑種かしら?」
雑種?ああ。わんちゃんの種類ですね、あのわんちゃんはなんて種類のわんちゃんなんでしょうか?凄く賢かったけど……
(今度聞いてみるです)
あのわんちゃん凄く可愛いので葉月も欲しいと思いながらお姉ちゃんに今日何をして遊んだのか?と言う話をしながらゆっくりと家に帰るのでした……
そして翌日の放課後
「あそぶですー!」
そしてまたいつもの公園でリィンちゃんたちを見つけて。一緒に遊び始めるのでした……
例題2へ続く
葉月ちゃんとちびっ子軍団はとても仲良しです。基本的には一緒に行動していると思ってください。この時分の子供と言うのは何をしても楽しい物だと思います。純粋ですからね、今度葉月ちゃんを出す時は明久とかも出してもっと賑やかにしていこうと思います
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします