バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話はずばり「母来る」です。前々回の明久父を出したので今度は母親。これは当然の流れですよね。今回は導入変なのでまだカオスな展開はないですが、それは今後の楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



応用問題問22

 

 

応用問題問22

 

良く晴れた日曜日の昼下がり、ぽかぽか陽気と言うよりかは暑い日なので額に汗をかきながら部屋の掃除をしていた……

 

「ふーこんな物かな?」

 

僕は額の汗を服の袖で拭いながらそう呟いた。姉さんがいなくても日課になっている家の掃除には手を抜けない、何時帰ってくるかも判らないし、それに何かで減点とか言って襲われても困るし……最後の仕上げにファブリーズで家の消臭で仕上げっと

 

「良し、これでOK!」

 

龍也は滅多に来ないけど、来る時は確実にはやて様とか達も来るので大人数になるし、それに美波とかはしょっちゅう来るので割と良くファブリーズは使う。姉さんの嗅覚をこれで誤魔化せるとか思っているわけではなく、結構匂いが篭るからだ

 

(気付かなかったけど美波とかって香水使ってるんだよなあ)

 

結構一緒にいるけど気づかなかったけど、美波も瑞希も優月も香水を使っている。1人になるとそれがどうしても気になるのでこうしてファブリーズで消臭している。

 

「さてと……後片付けでもするかな」

 

朝から掃除をしていたので結構道具を出している。それを片付けた後にお昼にするとして……1人だしチャーハンでいいかな?

 

ピンポーン

 

ピンポーン

 

掃除道具の片づけをしているとチャイムがなる。片付けかけた掃除機をフローリングの上に戻しながら

 

「今日誰か来るっていってたっけ?」

 

手帳を見て確認するけどそんな予定はない。目に付くのは明日の特売の牛肉の切り落としと卵の特売のメモだけだ……

 

「雄二でも逃げて来たかな?」

 

その可能性が高いよねと思いながら玄関を開けて絶句した。なぜならば

 

「ただいま。明久」

 

ぴっとした女性用のスーツにサングラス。それとポニーテール気味に縛られた艶やかな黒髪……

 

「母さーん!?」

 

まさかの来訪者に思わずそう叫ぶと、顔に衝撃が走り思わず尻餅をつく……その痛みから殴られたのだと判る

 

「玄関先で騒がない。常識よ」

 

再会して直ぐ裏拳で息子を殴る母。そんな母親に常識を説かれるのは中々に衝撃的だった、だけど良く思い出せばこういう人っていうのは判りきっていたので

 

「はひ」

 

いつの間にか放った裏拳の姿勢で笑う母さん。僕は涙を流しながら頷くのだった……

 

 

輝彦さんが帰ってきたので玲の面倒を見るのを任せて1度日本に帰ってきた。色々と明久に聞きたいこともあったし、なによりも

 

(昔の私達を思い出すって言うのが気になるのよね)

 

楽しそうに笑いながら言っていた輝彦さんの言葉。変な話だが、私達の学生時代……私と輝彦さんはそれなりに有名だったし、それに問題児でも会った。私はこの周囲を締めていた女番長で教師に目をつけられていたし、輝彦さんは天然だけど頭が良い、その代わり身体が弱いので休みがちだった。幼馴染の私が番長であることを知らなかったのはこれが大きいだろう。そして輝彦さんの周囲もまら濃くて毎日が大騒ぎだった。そんな私達の昔を思い出すという言葉に興味が沸いたのだ

 

「ちゃんと綺麗にしてるじゃない。関心関心」

 

明久はやれば出来るんだけど、意外と怠け者の所があるのでもしかしたら汚くしているかもしれないと思っていたけど、そんな事はなかったようだ。ソファーの横に旅行鞄を置くと

 

「はい、アイスコーヒーで良いよね?砂糖はどうする?」

 

直ぐに明久がアイスコーヒーの入ったグラスとタオルを目の前においてくれる

 

「気が利くわね。砂糖話でいいわ、ありがとう」

 

コースターを引いてアイスコーヒーを机の上に置く明久。少し見ない間に随分気が聞くようになったわねと感心しながらコーヒーを口にする

 

「美味しいじゃない。これどうしたの?」

 

粉末やインスタントコーヒーの味じゃない。これはちゃんとひいた豆の味だ。だけどうちにそんな道具はないし、どうしたんだろう?明久はああっと頷き

 

「同級生の龍也って子がくれたんだ。美味しいでしょ?」

 

そう笑う明久。輝彦さんの話には出てなかった子だけど……どんな子だろうか?ここまでちゃんとしたコーヒー豆をくれる事を考えると

 

「その子は喫茶店か何処かの息子?」

 

これは店で出せる味だと思う。明久はううんと首を振りながら

 

「なんか趣味らしいよ?」

 

なんとも凄い高校生がいるものね、このコーヒー豆は良い物だから戻る時は明久に分けてもらって持って帰ることにしよう

 

「母さん。今からお昼にするけど、母さんも食べる?」

 

御盆を小脇に抱えながら尋ねて来る明久。明久に作ってもらおうと思っていたので真っ直ぐ帰ってきていたので

 

「お願いするわ。結構お腹空いてるのよね」

 

最近は輝彦さんのご飯ばかりだからたまには明久の作るご飯もいいわねと思い頼む。明久は了解と返事を返し机の上のエプロンを身につけてキッチンに入っていくのを見ながら明久の背中を見て

 

(大分変ったかな?)

 

私が日本を離れる前と比べると大分変わっている思う、男子三日会わざれば刮目して見よ。と言う諺があるが本当にそうなのかもしれない。明久が料理してくれている間に服を着替えるために自分の部屋に向かう。いつまでもスーツ姿と言うのはおかしいし、今から食事でスーツを汚すわけにも行かない。動きやすいズボンとシャツに着替えリビングに戻って待っていると

 

「はい。お待たせ、シーフードチャーハンで良いよね」

 

笑顔で置かれたチャーハンを見る。随分見ない間に料理の腕も上がったのね……こんな短い時間でよくシーフードチャーハンなんて時間の掛かる物を作ったと感心していると

 

「はい、中華スープもあるよ?」

 

追加で置かれた中華スープに更に驚く、明久ってここまで手際が良かったかしら?と感心しながら手を合わせ

 

「「頂きます」」

 

蓮華を手にしてまずはスープを飲む。しっかりと出汁を取っているし、ごま油の香りが食欲をそそる。次にチャーハンを食べて驚いた、バターの良い香りに加えてほかに何か入っている。だけどその何かがわからない……判るのは美味しいという事だけだ。そこからは2人とも無言で食べ進める。話は食事の後でも大丈夫だから、まずはこの美味しいチャーハンを食べる事を優先しよう。

 

 

 

 

無言で食べている母さんの姿に安心する。不味いと怒られる事はだいぶあったので少しだけ不安だったのだ。僕もチャーハンを食べて

 

(うん。龍也に教わったけどこれは良い味をしているね)

 

隠し味の白ワインと岩塩と荒引きの胡椒に包丁の腹で潰したにんにく。これが良い味を出している……

 

「「ご馳走様でした」」

 

同時に食べ終えて手を合わせる。龍也のおかげで最近料理のレシピが更に増えたなあと思っていると

 

「輝彦さんに聞いたけど……雅ちゃんの他にもいるんだって?好きって言ってくれる女の子が?」

 

ジト目で尋ねて来る母さん。僕が冷や汗を流して停止していると母さんは腕を組んでうんうんと頷きながら

 

「やっぱり輝彦さんの息子って所ね。輝彦さんももて始めたのは高2くらいだし」

 

「そうなの?」

 

あんまり自分の過去を話してくれるので知らないけど、父さんの幼馴染の母さんが言うのだから多分間違いないのだろう。母さんは昔を思い出すような素振りを見せながら

 

「そうね。輝彦さんは昔は休みがちだったから、中々顔を知っている生徒がいなくてね。高校2年くらいから毎日顔を出すようになったんだけど、それまでは殆ど幽霊扱いだったね」

 

「そうなの!?」

 

まさかの自分の父親が幽霊扱い、これは流石に驚いた。母さんはだけどニコニコと笑いながら

 

「だけどその分私が独占できたから嬉しかったよ」

 

独占できたのが嬉しい。流石にと言うか、やっぱり母さんも魔王属性なんだなあと改めて理解する

 

「だけど高校2年から毎日学校に来てくれたのは嬉しかったんだけど、モテ始めて……私がいない好きに輝彦さんを奪おうとした奴らがいて……ああ、今思い出しても腹が立つ」

 

どす黒いオーラを放つ母さん。そのオーラは僕の知っている魔王の非ではない。これがランクアップした魔王の力と言うのか……なんと恐ろしい

 

「まぁそれは置いておいて、何人いるの?」

 

置いておいて良いの?どす黒いオーラは消えてるけど目が笑っていない母さんに少し恐怖を覚えながら

 

「美波と瑞希と優月かな?」

 

リンネちゃんはきわどいラインだから何ともいえない。僕の感じだと、葉月ちゃんに近い感じだと思う……と言うかそうであって欲しい

 

「4人って言う所かあ……輝彦さんと比べると少ないかな?」

 

少ないんだ……だけど父さんの場合。自分が気付いていないだけで、もっといたのかもしれない……

 

「土曜日に来れたらよかったんだけど、日曜だから家に呼ぶわけにも行かないわね」

 

母さんの言葉に僕は驚きながら母さんを見返しながら

 

「呼ぶつもりだったの?」

 

美波達には美波達の都合があると思うんだけど、当然と言う顔をしている母さんは笑ったまま

 

「うん。呼んで話をしてみるつもりだったわ。雅ちゃんは知ってるけど他の子は知らないし」

 

さも当然と言う感じで言う母さん。今はにこにこと笑っているけど、母さんは行動すると決めたら即行動に出る。油断していると学校にくるかもしれない……

 

「学校には来ないよね?」

 

前の父さんみたいに来ないよね?と思いながら尋ねると

 

「それは判らないかな?」

 

僕の言葉に即答する母さん。出来れば来ないって言って欲しかったなあと思いつつ、僕が何を言っても母さんが決めてしまったら僕の話なんて聞いてくれないわけだし……とりあえず洗物をしようと思い立ち上がると

 

「まぁ近いうちに絶対呼びなさいよ?私が見定めるから」

 

何を見定めると言うのだろうか?だけどまぁ呼ばないと学校に突撃してくるかもしれないので、都合がよければ今度来て貰おう。主に僕の身の安全のために……

 

「明久。晩御飯はパエリアが食べたいなあ~」

 

ソファーに座り込んでTVを見ている母さんに判った世と返事を返し洗物を始める。フライパンとお皿が少しなので簡単に終わる、エプロンで手を拭きながら冷蔵庫を開けて

 

(ううーん。少し材料が足りないかなあ)

 

海老とイカがないので買い足さないといけないなあ……それに母さんがいるならもっと材料を買ってこないと足りないや

 

「母さん、後で買い物に行くけど手伝ってもらっても良い?」

 

2人分となると僕1人では無理だし、それにお金も足りないので母さんにも来て貰おうと思い声をかけると

 

「いいわよ。その代わり私がいる間ずっと私の食べたい物ね?」

 

TVを見ながら笑う母さん。まぁ野菜とかは僕が見て足せばいいし、手伝ってくれるならそれくらいは全然問題ないと判断して

 

「それじゃあ後で買い物に行くからね」

 

判ってると返事を返す母さんに苦笑しながら、僕はそろそろ乾いているであろう洗濯物を取り込むためにベランダに出るのだった……

 

 

ベランダで洗濯物を取り込んでいる明久を見ながら

 

(さてどうしようかな?)

 

輝彦さんから容姿を聞いているので探せない事もないが。今は満腹なので動きたくない……

 

(探すとすれば明日かなあ)

 

学校の帰りに明久を迎えに行ってそのついでに探してみればいいか……

 

(私達と同じなら多分。一緒に帰っているだろうし……)

 

まぁなんにせよ雅ちゃんも一緒だろうし、見つけるのはそうは難しくはないだろうし

 

「どんな子なのかな?」

 

思わずそう呟いてしまう、私達に似ていると聞いているのである程度は想像がつくけど、果たしてどこまで似ているのだろうか?そう思うと興味が沸いてくる。

 

「何か言った?」

 

洗濯物を抱えてリビングに入ってきた明久がそう尋ねて来る。私は見ていたTVのチャンネルを変えて、ソファーに背中を預けて

 

「なんでもない」

 

ふーんっと返事を返しなれた手つきで洗濯物を畳む明久を見ながら

 

(たまにはお弁当を作ろうと思ったけど、どうしようかな?)

 

自分で思っていたよりも明久の料理の腕が上がっていたのでどうしようと若干不安になる。私もそれなりに料理は出来るけど、輝彦さんよりかは下手だし、多分今の明久よりも下手かもしれない……

 

(性格的に向いてないのよね)

 

私はどちらかと言うと身体を動かすほうが向いている。だから料理の勉強はあんまりしてない……だけど母親としては息子に料理を作ってあげたいのよね……

もしかしたら自分の自信を失うかもしれないけど、明日は少し早起きにして明久にお弁当を作ってみようと思いながら軽く欠伸をしてしまう。流石に飛行機で何時間も揺られていたので精神的にも肉体的にも疲れている……それに加えて満腹なので眠くなるのは当然と言える

 

「少し寝ててもいいよ?夕方のタイムセールを狙ってるから」

 

そう笑う明久に頷き、見ていたTVの電源を切りソファーに横たわると

 

「ふあああああ」

 

本格的に眠くなってきたので大きく欠伸をしてしまう。久しぶりに家に帰って来たので気が緩んだのだろう……私はそのまま眠りに落ちていくのだった……とりあえず今は休んで、明久に言い寄っているという少女を見定めてみよう。親としてはやっぱり駄目そうな子にうちの自慢の息子を上げるわけには行かないしね……なお楓子がそんな事を考えている頃

 

「「「!?なにこの気配は」」」

 

美波達が自分達に迫る危機を感じ取り、動揺しているのだった……

 

 

応用問題問23へ続く

 

 




今回は短めでしたが、メインは次回にもって行こうと思います。次回の母来るは予定通りカオスな展開に頑張ってもって行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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