バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回とその話で私の考えている応用問題は最後になります。今後はリクエストや思いついたら少しずつ例題と言う形で更新して以降と思います。今回の話は日常(?)をテーマにしてみようと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



応用問題問21

 

応用問題問21

 

日常とは常に繰り返される物で平和で穏やかな物……と言うのが世間一般的な認識だと思うが、俺達の場合少し事情が違う

 

「ふうぎゃあああああ!?」

 

「アーキーッ!!!優月を家に泊めるってどういうことなのよッ!!!」

 

男子高校生を片手で釣り上げる女子高生と、顔色が真っ青になり悲鳴を上げている男子高校生。こんなありえない光景が俺達の日常であり……

 

「……雄二どうして昨日は一緒に帰ってくれなかったのッ!」

 

「ぐうああああああああッ!!!!」

 

頭蓋骨が握り潰されるかもしれないという恐怖と信じられない激痛。そして薄れ逝く意識と

 

【お?また来たのか?】

 

三途の川の近くで居るカロンが茶菓子を片手に笑っている光景。それが俺と明久にとっての日常になりつつある

 

((日常って何なんだ……))

 

本来なら安心できるはずの時間なのに、こんなにも死の体験をしている。日常ってなんなんだろうか?と思いながら俺と明久は

 

【どうも】

 

【椅子に座ってなー。今饅頭を出してやるから】

 

もう既に親戚の兄ちゃんみたいになっているカロンから茶菓子と緑茶の入った湯飲みを受け取るのだった……

なお雄二と明久が臨死体験をしている頃Fクラスでは

 

「うう、ウチは悪くないもん!アキが悪いんだもん!」

 

「あーはいはい。判ったから、明久の首からいい加減に手を放そうな?」

 

「……雄二何とかなる?」

 

「大丈夫だ。まだ何とかなるさ」

 

龍也が天国に逝き掛けている明久と雄二の蘇生を施していた。そして鉄人もそんな様子に少しだけ眉を顰めてから

 

「それでは出席を取る。霧島はAクラスに帰るように」

 

何事もなかったかのように出席を取り始め、SHRを始めていた。人間の最も優れているのは適応力だが、この異常事態に慣れてしまうのは正直どうなのだろうか?と突っ込みを入れる人材は残念な事に存在しなかったりする……

 

 

 

 

 

結局アキも坂本も1時間目の間に復活する事はなく、2時間目への休憩時間の間も目を覚ます事はなかった

 

(少しやりすぎた……ううん、ウチは悪くない)

 

どういう事情かはわからないけど。優月を家に泊める約束をしているアキが何もかも悪いはずだと話を聞いてくれているセッテに言うと

 

「ええ。それは明久が悪いですね。かわいそうに」

 

共感してくれるセッテ。どうして優月を泊めるのか?そこがどうしても納得できないのだ

 

「私も納得できないです。なんでなんですか」

 

瑞希がこっちに来て納得行かないですといいながら机を叩く。だけどウチは少しだけ瑞希が泊まれない理由が判ったりする

 

(前のあれのせいよね)

 

精神を交換するお札でアキと自分の精神を交換して、襲おうとしていた。それが原因だとウチは思う……

 

「納得行く。いかないじゃなくて私と明久の約束なんだから。明久を攻撃するのはお門違いなんじゃないかな?」

 

ふふんと勝ち誇った顔をしている優月にかなり腹が立つが、確かにアキに怒るのではなく、優月に怒るのが当然だと思い立ち上がった瞬間。Fクラスの扉が開き

 

「優月、今日父さんと母さんが急に帰ってくるらしいから寄り道無しで帰るわよ」

 

優子が来て問答無用と言う感じで優月に言う。優月はえっと?一瞬呆けた顔をしたが

 

「え!?だって今日は私明久の家に……」

 

「そんなの駄目に決まってるでしょ!空港まで父さんと母さんを迎えに行くんだからね!真っ直ぐ帰るわよ!」

 

優子の迫力のある言葉には、はいっと……返事を返し机に伏せる優月。私と瑞希は互いに顔を見合わせる。仮に自分と同じ立場と考えると

 

「つ、次があるんじゃないかな!」

 

「そ、そうですよ!」

 

泣きたくなるのは当然なのでなんとなく慰めてしまう。だが優月はううっと呻くだけで反応がない、ウチと瑞希の言葉では駄目なようだ

 

「うーん。ハートブレイクやな。なんて運がないんやろうなあ……」

 

「ですね、同情してしまいます」

 

はやてとティアナがうんうんと頷くが、優月は机に伏せたまま

 

「帰ってきてくれるのは嬉しいのに、何で今日なの……」

 

組んだ腕の隙間から魂を出しそうな勢いの優月。さっきまでの勝ち誇った顔はどこへ行ってしまったのだろうか?そこまでショックだったって事なのよねと思っていると

 

「じゃあまた今度遊びに行こうよ」

 

復活した明久が声をかけるとばっと顔を上げる。キラキラと期待の満ちた目をしながらアキを見て

 

「2人きりで!?」

 

その言葉にウチと瑞希が握り拳を作るとアキは慌てた様子で手を振りながら

 

「皆で!皆で遊びに行こうよ」

 

「ええ~」

 

不満そうにしている優月。このままだとアキが優月に同情して2人で行くって言いかねない。むしろ優月はそれを狙っているような気もするので

 

「いいわね。龍也とか坂本も誘って皆で出かけましょうか」

 

「良いですね!凄く楽しそうですね!」

 

畳み掛けるようにそう言う。アキは自分の提案が良かったのだと安堵した顔になり

 

「どうかな?嫌なら「嫌じゃないよ。ただ出来たらって思っただけだから」

 

本当は嫌だって顔をしているけど、アキが少し涙目なのでうんと言ってしまう優月。まぁなんにせよアキと出かける約束が出来たからいいわね、さてと当日までにすることといえば……ちらりと瑞希と優月を見る。その目を見ればお互いに何を考えているか?なんて簡単に判る

 

(((出かける日までに排除してやる)))

 

怪我をさせるとか、別に用事を作らせるとか?色々手段はある。なんとか邪魔者を排除して二人きりになってやるとウチは心に決めたのだった

 

「ねえ?僕は何か選択を間違えたのかな?」

 

どす黒い魔王の気配に青い顔をする明久。選択は間違っていない、間違っているのは魔王の思考回路だ

 

「問題ない。明久は何も間違っていないさ」

 

「ああ。明久はな」

 

龍也と雄二は明久にそう声をかける。間違っているのは魔王なのだから、明久の選択は何一つ間違っていない。繰り返すが、魔王の思考回路が何もかも間違っているだけなのだから……

 

「「「ふふふふふふふ」」」

 

ドンドン濃厚になっていく魔王のオーラに明久が青い顔になっていくが、これもいつもの事なので誰も何も言わないのだった……

龍也と雄二、そして康太は心の中で

 

(((頑張れ明久)))

 

どう足掻いても死亡フラグを回避できないであろう明久を心の中で応援するのだった……

 

 

 

 

「さて小暮。何か言いたいことはありますか?」

 

正座している小暮を見下ろしながらそう尋ねる。友人だから今までは何も言わなかったが、最近の小暮の行動は酷い。だからきっちり1度話し合おうと思いそうたずねると

 

「今日は白なのですね」

 

「どこを見ているのですか!?」

 

スカートを押さえて後ずさる。小暮はふふふと笑いながら清純そうで良いとおもいますよ?と笑っている。

 

(どうしましょう?小暮の考えていることが判らない)

 

小暮の事は友人だと思っているが、彼女が何を考えているのか判らない。私とアキ君をくっつけようと色々とが策しているのが判るのだが、そのどれもが邪悪なので実行されない事を祈るしかない

 

「私が何を考えているか?それはとても簡単な事です。雅と吉井君が彼氏彼女の関係になる。それだけを考えています」

 

にっこりと笑う小暮の目は澄んでいるが、それゆえに邪悪そうに見える。と言うか小暮は真っ黒なので邪悪なことを考えているとしか思えない。友人の考えている事が判らないと言う事は悲……

 

「そして雅が私を見てくれなくなり、その寂しさが私を満たす……ふふふふふふふ」

 

訂正。悲しくありません、小暮の考え方は常人のそれとは全く違うものなので理解できなくて当然。悲しいとおもう必要はありません。と言うか

 

(理解したくありません)

 

小暮の考え方を理解してしまうともう普通の考えに戻れない気がするので止めておきましょう。私は普通の考え方でいいので

 

「と言うわけでなので私は心のそこから雅と吉井君が幸せになる方法を考えています」

 

にやりと悪い顔で笑う小暮。これはどう考えても法に触れる事を考えているとしか思えない、今までの事を考えると相当危険なことを考えているかもしれないので

 

「実行しなくていいですからね。なにも」

 

「そんな!折角手に入れた薬品が無駄になるじゃないですか!?」

 

小暮の言葉に軽い頭痛を覚える、どうして高も薬を使う事を第一に考えるのでしょうか……

 

「そう言うのは本当に迷惑なので別の方法でお願いします。アキ君と買い物にいけるとか、そう言う方向性で。薬とかも無しで」

 

「え?」

 

信じられないと言う顔をしている小暮のことが信じられない。どうして本当に直ぐ薬を使おうとするんですかね!

 

「絶対に駄目ですからね!私の為に何かしてくれるというのなら薬は絶対に駄目ですからね!!」

 

念には念を入れてかなり強い口調でそう告げる。小暮は何かを考え込んでいる素振りを見せている、暫くはこのままだろうと判断し、小暮に背を向けて教室に戻りながら

 

(小暮は何も判って居ないですね)

 

薬を使ったら身体は手に入ったとしても何より大事な心が手に入らない、それでは何の意味もない。私はあのアキ君の優しい性格と心に惹かれたのだから……

 

(もう少し作戦を考えないといけないですね)

 

違う学年と言うのは予想よりもはるかに大きい壁として私の前に立ち塞がっている。これを何とかする方法を考えないといけないですね……私は顎の下に手を置いて、以下に島田さん達を出し抜くか?と言う方法を考えながら授業を受けるのだった……

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

長かった授業の終わりを告げるベルを聞きながら机に伏せて

 

「あー疲れたー」

 

深く溜息を吐きながら呟く。授業自体もそうだけど暴走しがちな魔王様達を宥めるのにとても苦労した

 

「まだまだだな」

 

からからと笑う龍也。はやて様にセッテ様そしてヴィータ様に加えて、なのは様とフェイト様と計5人の魔王が休憩時間のたびに暴れているのになれた感じで言葉だけで制し、大人しくさせている

 

(どうすればあんな事が出来るのだろう?)

 

僕の場合殴られるか、蹴られるか、投げられるか?そのいずれかでしか魔王様を宥める事ができない。どうすれば龍也のように言葉だけで魔王を鎮めることが出来るのか?可能ならばその術を知りたい

 

(このままだと本当に死んでしまう)

 

耐久力は高いほうだと思うけど、限界と言うものはある。そろそろ別の方法での魔王の鎮め方を学びたい

 

「アキー?荷物片付けるの済んだ?」

 

自分の荷物を纏め終えた美波がそう尋ねて来る。考え事をしていたので全然進んでいない事に気づき

 

「直ぐ片付ける……「はいどうぞ」……うん。ありがとう」

 

いつの間にか瑞希が僕の机の荷物を片付け、鞄を手渡してくれる。僕はもたれるように机の伏せていたのにどうやって中身を出したんだろうか?これももしかして魔王のスキルなのだろうか?聞きたいけど

 

「どうしたんですか?」

 

笑っている瑞希の顔が怖くて聞けない。このことは心の中に留めておこう

 

「ふむ。ではそろそろ帰るかね?」

 

荷物を持って待っている龍也達と……

 

「しーん」

 

「……吉井早く」

 

ぐったりしている雄二の頭を鷲づかみにした霧島さん。僕のみ間違いで無ければいい感じに雄二が痙攣しているように見える

 

「吉井君。早くね?」

 

「……ダバダバ」

 

そして致死量の鼻血を出していると思われるムッツリー二の腕をしっかりと抱えている工藤さん。このまま待たせるのは良くないと判断し立ち上がろうとすると

 

「はい、明久」

 

さっと差し出された手を反射的に掴んでしまう、すると手を差し出した優月はそのまま僕の腕を抱え込んで

 

「じゃあ行こう♪」

 

「え?待って!」

 

咄嗟の事に反応できず。優月に引っ張れるようにしてFクラスを出るのだが

 

「「……」」

 

言葉も無く僕と優月を見つめてくる美波と瑞希が恐ろしい。優月のさりげなさは本当に自然だ、だから意識をしていないと伸ばされた手を掴んでしまう

 

(これも直さないといけないなあ)

 

美波と瑞希の我慢の限界が来て殴られるのも嫌だし、もう少し気をつけないといけないなあと思いつつ、若干の死の気配に冷や汗を流しながら僕はFクラスの教室を後にしたのだった

 

「あーあ、今日は明久の家に泊まれるはずだったのになあ」

 

ぶつぶつと呟く優月。そういえば今日親が帰ってくるらしいので寄り道せずに帰るように言われたんだっけ……この言葉に不機嫌そうにしていた瑞希と美波は何かを閃いた顔になる。何か嫌な予感を感じつつもゆっくりと家に向かいながら

 

「龍也は今日買い物に行くんだっけ?」

 

「ああ。オムライスを食べたいらしいので卵を買い足しに行く」

 

本当龍也はリィンちゃん達に甘いよね、魔王なはやてさん達の分可愛く見えるのかな?と考えた瞬間

 

((変な事を考えたら〆る))

 

(すいません!!)

 

鋭く僕を睨んでくるはやてさん達に即座に頭を下げる。優月たちが不思議そうにしているが、そんな事はどうでもいい。自分の命が大事だからだ

 

「……私はこっちだから」

 

「俺はそっちじゃ「……黙って」げぶろあ!?」

 

さらば雄二。今日から暫く監禁生活だね、泡を吹いている雄二を引きずり歩いていく霧島さんを見送り

 

「じゃあ私達はここで」

 

「アニキー、私はアイスが食べたいなー♪」

 

「はいはい、じゃあアイスの材料も買って帰るか」

 

「足りないのは卵と鶏肉ですね。アイスをつくならフルーツも足りませんね」

 

「私は是非龍也様の手作りのチーズケーキを」

 

「手間な物を頼むんや無いわ!」

 

「黙れ。狸」

 

「喧嘩しない。行くぞ」

 

「「「はーい」」」

 

騒がしいのを立った一言で鎮め歩いていく龍也達。そして次は

 

「じゃあ僕はこれで、今日は僕の部屋で勉強しようねー♪」

 

「……た、助け「沈め」へぶっ!」

 

首筋にチョップを叩き込まれ昏倒したムッツリー二を引きずっていく工藤さん。捕食されないと良いけど……ありえるだけにムッツリー二の無事を祈りながら歩き出す

 

「じゃあ私はここまでだから、また明日」

 

名残惜しそうに手を振る優月に手を振り返し歩き出すのだが

 

「いつまでついてくるの?」

 

分かれ道をすぎてもついてくる美波と瑞希にそう尋ねると2人はにやりと笑い

 

「優月を泊める準備をしてのよね?なら代わりにウチと瑞希が泊まっても大丈夫よね?」

 

あははは……まぁ確かに準備してたよ?カレーとかね……だけどなあ。前の襲われかけた事もあるし……

 

「瑞希が襲わないって約束してくれるなら「約束します!」

 

即答する瑞希、これなら大丈夫かな?と若干の不安はあるけど断れない雰囲気なので

 

「いいよ。じゃあ1回荷物だけ取りに帰ってね」

 

イエーイと手を叩きあい走っていく美波と瑞希の背中を見つめながら

 

「これが僕の今の日常か……」

 

騒がしくて、怖いことや、痛いこともある、だけど穏やかで楽しい日々。ちょっと普通の日常とは違うけど

 

「こういうのも悪くないかな」

 

僕は小さくそう笑い。家へと向かった、瑞希と美波が来る前に準備をしないといけない、それに寝るところの用意。などやることは沢山ある。僕は早足で家へと向かい、家の掃除を始めるのだった……

 

 

 

応用問題問22に続く

 

 




次回はとんでも展開が待っています。そう……母来るです。どんな展開になるのか楽しみにしていてください、間違いなく大変な事になる事を約束します。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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