バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は逃亡中の面子の話を書いていこうと思います。特に身体を奪われたサイドの動きを重点的に書いていこうと思います。次回でその先の話を書こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


応用問題問19

 

 

応用問題問19

 

 

~葛藤する魔王~

 

「やっぱりみーちゃんは背高いねー、視点が高くなったと思うよ」

 

私とアキ君の精神が交換されてしまったのだが、アキ君は自分の視点が高くなったことに喜んでいる

 

((なんか……萌える))

 

おかしい、あれは私の体のはずなのに、なんだこの胸の高鳴りは……毎日鏡で見ているはずの顔なのに……

 

「なんか目じりとか少し変わってるわね?」

 

「ん?そう?……えーとみーちゃん、コンパクトとかある?」

 

そう尋ねてくるアキ君。無論私とて女である以上コンパクトは常に携帯している

 

「胸のポケットにありますよ」

 

「ありがとう。えーとこれだね。どれどれ」

 

鏡の中を覗き込むアキ君。その隙に島田さんに

 

(どうしましょうか?)

 

(難しい所よね)

 

アキ君の身体の中に入っている私は正直少しパワーダウンしているのが判る。幼いときより護身術を嗜んでいた私はそれなりに鍛えられた体をしていたのだが、アキ君はそう言う経験がないので恐らく、技を使ったとしても体が反応しきれないのでは?と言う不安がある。

 

(近くに居ますよね?)

 

近くからこっちを見ている気配がする。この感じは恐らく姫路さんだろう

 

(ウチもそう思うわ。だけど瑞希なら運動神経も鈍いからしっかりガードしていれば……)

 

だが私も島田さんも魔王と言う特徴をあまり理解していなかったんだと思う。特に島田さんは魔王なのに気付いていなかった

 

「やっぱり僕が中にいるから目つきが丸いのかな?」

 

アキ君が笑いながら振り返える。その瞬間開いていた窓から誰かが飛び込んでくる。予想外の所からの奇襲

 

「シッ!」

 

鋭い気合の入った声が聞こえたと思った瞬間。私の視界は反転する、意識が一瞬途切れる瞬間に聞こえたのは

 

「み、瑞希!?」

 

「今の私は手段を選んでいる余裕はないので」

 

焦った島田さんの声とそれとは対照的に冷静な姫路さんの声。そして

 

「嘘ぉ!?またあ!?」

 

アキ君の困惑した声。次の瞬間には元の見慣れた視点の高さに戻っていたが、精神の交換の影響のせいか。手足の感覚がおかしい……動けずにいると隣から

 

「早く再起動しなさい!アキの体を奪われたわよ!」

 

島田さんの声に我に帰り正面を見ると姫路さんを担いで走っていくアキ君の背中。言うまでもなく、あの2人の精神は交換されているのだろう

 

「むぐー!!!」

 

助けてーと言わんばかりの小動物臭を放っている姫路さんの体と

 

「ふふふふふふふふふふふ」

 

黒とピンクが混ざったオーラを纏っているアキ君の体。見れば一目瞭然だ

 

「判りました!」

 

このままだとアキ君が危ないと思い全力で走るのだが……全く距離が縮まらない。それ所かドンドン距離が離れていく

 

「なにあのスピード!?ウチでも追いつけないなんて」

 

いくらアキ君の体とはいえ、あのスピードは異常だ。結局追いつく事ができず逃げ切られてしまった

 

「……ま、魔王かの心境地とでも言うのでしょうかね?……あれ」

 

「わ。判らない……」

 

私が知っている魔王化にはもしかすると更に上の段階があったのかもしれない。私はそんな事を考えながら、姿の見えないアキ君の体の事を考える。このままだと危険だ、アキ君が捕食されてしまう

 

「仕方ありません。最終手段です」

 

出来ればこの手は使いたくなかったのですが……手段を選んでいる場合ではない。

 

「何か良い手があるの?」

 

「ええ、とっておきの手です」

 

島田さんを見ながら私は深呼吸をする。どこから現れるか判らないので、心を乱されないように注意しながら

 

「小暮。助けて……「バサア、パシャ」はい来ましたよ」

 

小暮の名前を呟いた瞬間、スカートを捲られた上にシャッター音。そして良い仕事をしたと言う顔をしている小暮

 

「こ、小暮ーッ!!!写真のデータをすぐ消しなさい!今消しなさい!!!」

 

「ふふっ♪。これを上手く利用すれば吉井君が貴女の物になるかもしれないとしても消せといいますか?」

 

その言葉に私が停止していると、島田さんがいつの間にか取り出したハリセンで

 

「なにしてるのよ!!」

 

私と小暮の頭を叩き、小暮の手の中の携帯を奪いデータを素早く消去する

 

「ああ!?なんてことを!?雅が白をはくのは珍しいのですよ!?普段は紫や黒が多いのに」

 

小暮の悲壮そうな言葉に対して私は耳まで赤くなるのを感じながら

 

「小暮!貴女は何故私の下着の色のことをそこまで詳しいのですか!?」

 

幼馴染だが、その思考がここまで理解できないと思ったことはいまだかつてない。これは少し乱暴な方法で聞きだしてもいいと思ったのだが

 

「喧嘩はあと!アキの場所を言いなさい!すぐ言いなさい!今すぐ言いなさいッ!!!」

 

がっくんがっくん小暮を揺さぶっている島田さんを見て、それは後でも良いかと思う。あの鉄面皮の小暮が

 

「首……首極まってます……これじゃあ……喋れない」

 

見る見る間に青い顔をになっていく、あのままでは堕ちてしまうと判断した私は、島田さんの肩に手を置いて止める事にしたのだった……このままでは話を聞くことが出来なくなってしまう。それではアキ君を探す事ができないからだ……

 

 

 

 

~龍也戦闘中(?)~

 

私は今まで様々な戦いをしてきた。ネクロや危険魔法生物。そのどれもが確かに私に恐怖を与えてきた、だが……

 

(今までここまでの恐怖を感じたことはない!?)

 

コハアアッ!!!

 

ギュピーンッ!!!

 

どこの汎用最終決戦兵器だと言わんばかりの気迫を放っているはやて達に私は本気で恐怖を感じた。そして

 

「シャアアアアッ!!!」

 

「日本語をしゃべれ!」

 

獣のような勢いで突進してきたはやての手の中の札に触らないように、その攻撃を裁くと同時に一歩下がる

 

「チイ!」

 

鋭い風切音と共に放たれたセッテの手刀を首を傾げて回避する、と同時に地面を蹴り間合いを離す

 

「今の舌打ちは聞かなかった事にしておくよ。セッテ」

 

普段の倍は目がギラギラとしているセッテ。時折ぶつぶつと繰り返し呟いているのが更に恐怖をあおる

 

(さてどうしたものか……)

 

普通なら戦闘不能に追い込む事も可能だが、その文接近しなければならない、そうなれば札で触れる可能性が増すので危険だ。だから私から攻撃するのは駄目

 

(ヴィータとティアナの姿がないことが気になるな)

 

今の目の前にいるのはなのは・フェイト・はやて・セッテの4人。互いに互いを出し抜こうとしているので意外と隙が多いので、こうして4対1でも戦うことが出来ているが……少し疲れてきたし

 

「「ジリジリ……」」

 

直接の戦闘力で劣るなのはとフェイトはすり足で接近してきているので徐々に私の移動できる範囲が狭くなってきている

 

(本当にどうしたものか……)

 

もういっそ魔力でも使うか?と私が考え始めた所で

 

「兄貴!こっち!こっちだ」

 

ヴィータの声が下から聞こえる。さっきまでヴィータも私を追いかけていたから信用するのは危険だが……普段のヴィータと同じ声の感じだったので信じてみても良いと判断し、私は窓から飛び出し、グランドのほうにと逃げ出した

 

「危ない所だったなー、兄貴」

 

にこにこと笑うヴィータ。その感じは普段のヴィータと同じだが、油断は禁物だ。警戒を続けていると

 

「そこまで警戒しなくてもいいですよ。私もヴィータさんも既にお札は放棄しています。ほら」

 

ティアナの手の中にはビリビリに破られた札。ヴィータも同じように破いた札を手にしている

 

「兄貴が怒こると話とか聞いてくれなくなるからなー、それは嫌だなと思えば頭が冷えた」

 

「ええ。私もそうですね」

 

学習してる。はやて達より年下なのに……私は小さく溜息を吐く。人数が減れば逃走確率は上昇する。2人減ったというのはかなり大きい

 

「とは言え、私は兄貴も好きだけど、はやても大事だから。もう私はどっちにも干渉しない。Fクラスに戻るから」

 

「私もです。あとでなのはさんたちに文句を言われるのも嫌ですからね」

 

そう笑って旧校舎のほうに向かっていくヴィータとティアナ。少し黒い顔をしているのを見ると

 

(私には干渉しないけど、明久達にちょっかいをかけそうだな)

 

心の中で南無と呟く。私の敵は減ったが、明久達の敵が増えてしまった。まぁそれもある意味運命と思って諦めるしかない

 

「来たか!」

 

開いていた窓から飛び出して来るはやて達の影が見える。知性がログアウトしているように思えたが、スカートを押さえて飛び出してくるくらいの理性は残っていたようだ

 

(残り1時間と少し、捕まらなければ何とでもなる!)

 

腕力・体力・スピードでは私が上回っている。袋小路に追い詰められることがなければ充分に逃げ切れるだろう。私はそう判断し、再び全力で走り出したのだった……

 

 

 

 

~雄二。恐怖する、恐るべき幼馴染~

 

くそ……あと1時間40分もあるのか……時計を見て俺は舌打ちした。かなりの時間逃げていたつもりだが、あんまり時間が立ってないことに腹が経つ。とは言え、逃げ切らないと不味いのでまた気合を入れて立ち上がるのだが

 

(うっ……くそ)

 

俺の体は翔子に奪われている。だから今俺は翔子の体を使っているのだが、スカートには慣れないし、揺れる胸は目に毒だし、長い髪は走るのに邪魔と俺にとってはかなり不利な条件がかなり揃ってしまっている

 

(どうするか……)

 

明久達とはぐれているし、それに龍也とも合流は難しそうだ。とは言えいつまでもここに隠れているわけには行かない、いや、ここで1時間40分隠れきるのがベストなんだろうが……残念な事に俺の精神力ではこれ以上ここに隠れるのは不可能だ

 

(女子更衣室なんてなあ……)

 

今翔子の体なので、ここにいても何の問題もないのだが、俺の想像と違って女子更衣室は意外なほどに危険な物が落ちていたりする。あえて何かは口にしないが……女子と言うのは女子だけでいるとずぼらになってしまうのかもしれない

 

「……今のうちに逃げよう」

 

完全に翔子の口調になってしまっていることに苦笑しながら女子更衣室を出ようとした瞬間

 

「待っていた」

 

「……はっ!?」

 

逆に扉が開かれ、俺の腕を掴む腕。顔を上げるとそこには毎朝鏡で見る俺の顔

 

「……翔子!?なんで!?」

 

おかしい翔子の気配はしなかったのに、何で俺の目の前にいるのか判らず混乱していると

 

「気配も逆になっているの気付かないの?」

 

しまった!?俺は今翔子の身体の中に居るのだから、翔子の気配がするわけがないのだ……何と言う凡ミス……

 

「……放せ」

 

「嫌だ。腕力で勝っているし、このままヤッてしまっても良いとおもう」

 

翔子の言葉の外にこめられた言葉は意識して無視する。だが目の前の俺の顔を見ると本気のように思えて仕方ない。精神が交換されているとは言え、目の前にいるのは俺自身。このままではマジで人生の墓場に無理やりシュートされる、しかもいらない罪状まで与えられ少年院に贈られる可能性もある。婦女暴行とかで……

 

「……落ち着け、現状を理解するんだ」

 

まずは説得を試みる。これが何より大事だ。言葉で分かり合えるかもしれない

 

「理解した上で行動している」

 

やばい、いきなり心が折れそうだが、ここで諦めるわけには行かない。粘り強くそして根気よく説得するんだ

 

「私は別に構わない、全ての可能性を考慮し、そして私が幸せになれると判断して行動に出た。そして周囲に人間は存在せず、鍵の掛けれる更衣室。これは全て私に味方しているとおもう」

 

駄目だこいつ……絶対俺の言葉なんて届いてねえ!!!心の中でそう叫ぶ。俺の腕を掴んだまま、更衣室に入ろうとする翔子を必死に押し返そうとするのだが、びくともしない。普段の翔子の力はどこに行ったって言うんだ!?俺をアイアンクローで釣り上げるあの力はどこへ!?

 

「それじゃあ雄二、ゆっくりと」

 

そんな事を考えている場合じゃなねえ!マジでやばい!何かないかと空いてる手で翔子のスカートのポケットに手を入れる

 

「今日の下着は自信がある」

 

そんな事は聞いてねえ!と心の中で叫ぶ、声にしないのは余裕がないからだ。その隙に押さえ込まれる可能性を考慮したとも言える。だがここで予想外の隙が出来た

 

「でも私はノーマルだから……女性の下着を見てもなんとも思わない」

 

そりゃそうだ、翔子はいたってノーマルだ、魔王だからノーマルと言うのは難しいが、性癖はノーマルだ。一瞬葛藤を見せる翔子。その隙は充分な隙となった

 

「だらっしゃああ!!!」

 

「しま!?」

 

渾身の力で翔子の腕を振り払い、そのまま開いていた窓から飛び出し、枝を掴んで1階の廊下へと転がり込む

 

「……いてえ」

 

女子の体にあれだけのアクションは相当厳しかったのか、手がずきずきと痛むのを感じたが。無事に逃げれたことを考えればこの程度は仕方ないと判断し、俺は再び走り出したのだった……

 

 

 

~康太&明久絶体絶命~

 

追いつかれる!俺はそれだけを考えて必死で走っているのだが、身体が重い、息が切れる……

 

(女子の体力はこんなに少ないのか!?)

 

魔王の体力と比べるとあまりに低すぎる。だが愛子は運動部なので体力はほかの女子よりも数段あるはずなのに、それでもなお息が切れる。俺の身体の中に入っている愛子は何か変なきっかけを掴んだのか

 

「……まだまだ行ける!もっと早くッ!!!」

 

黒とピンクのオーラを1つにまとめ、そのスピードをドンドン加速させている。魔王化の更に上とでも言えばいいのか

 

(このままだと駄目だ!?)

 

腕力でも劣っている。スピードでも劣っている。俺に逃げ切れる可能性は万に一つもない。だが最後の可能性にかけて階段を飛び降りて一気に下の階に向かう。同じ方法で階段を下りたとしても、これなら!

 

「な、なんだと!?」

 

階段の下では俺の体に入った愛子が待ち伏せをしていた。馬鹿な!?どうして!?俺の後ろにいたはずなのに!?どういうことか判らず完全に思考が停止する

 

「……捕まえた」

 

「む、むぐー!?」

 

口を完全に防がれ、完璧に捕まった俺は逃げる事もできず、信じられない力で俺を抑え込む愛子の力を前に絶望するしかないのだった……

 

 

 

康太が愛子に捕獲された頃。明久もまた絶体絶命の状況になっていた

 

「うう、や、やめよう?ね?姫路さん?こういうのは良くないと思うんだ」

 

姫路さんに精神を交換された僕は体育倉庫に連れ込まれていた、場所も何もかも危ない感じでそれが恐怖を感じさせる

 

「………」

 

必死に説得しようとしているんだけど。僕の体を奪った姫路さんは返事を返してくれない、それ所か僕の手首を掴んで逃げれないようにしてしまう

 

「いやいや!落ち着こう!ねッ!姫路さん!学生だよ!?こういうのは!エッチィのは駄目だよ!!!」

 

やばいこのままでは大変な事になると判断して必死で説得を試みるのだが、姫路さんは何も言葉を返してくれない。それ所か

 

「自分の体だからOK、自分の体からOK」

 

「駄目!これは駄目だよ!?学生がしていいことじゃないよ!!」

 

いけない、これは自分の体だから大丈夫と繰り返し呟いている。これは本当にいけない!マジでヤヴァィ!姫路さんの手がブレザーのボタンに伸びて、ゆっくりとボタンを外していく

 

「駄目!駄目だって!本当に駄目!!!」

 

今僕は姫路さんの体の中にいるけど、本当は目の前にいるわけで、こんなのは絶対に駄目だと暴れるのだが、全く体を動かす事ができない。Yシャツのボタンに手が伸びた瞬間涙が出た、何でか判らないけど涙が出た。姫路さんは涙を会えて見ない振りをしているのか、ボタンに再び手を伸ばす。これは本当に駄目だと思った瞬間。体育倉庫の扉が大きく開かれたのだった……

 

 

 

応用問題問20へ続く

 

 




エロではない、エロではないはず。これくらいなら全然大丈夫ですよね?多分。次回は明久の視点をメインにして書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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