バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は暴走している魔王とそれを止めようと奮闘する美波と雅でお送りします。無論逃亡中の雄二とかもでてきます、今回は終始ギャグで行きたいと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


応用問題問18

 

応用問題問18

 

 

 

 

兄ちゃんと雄二達が合流してしまったと言うのは康太の身体を奪うことに成功した愛子から聞かされた。自分の口調と康太の口調が混ざりそうになるので結構苦労しているらしい。

 

「……それで吉井君も来てたよ。だけど捕まえる前に逃げられちゃった」

 

瑞希と優月に手を合わせてごめんねと言う康太……ううむ、愛子でいいな。中身は愛子なんやから……

 

「それは仕方ないですよ。明久君の危機察知は最近凄いですからね」

 

それは私も認めざるを得ない。もし明久がリンカーコアを持っているなら、その回避能力と危機察知能力は対ネクロで充分役に立つとおもう。それに回避能力もかなり高いしなあ……

 

「……愛子。身体を奪った感じはどう?」

 

翔子の問い掛けに愛子は軽く屈伸運動をし、手足を軽く動かして身体の動きを確認しながら

 

「……悪くない感じだけど、若干動きにくいかな?後は特に問題なし。ほら」

 

康太の身体だが、愛子の腕にはしっかりと魔王のオーラが現れている。これは精神的な力に近いので問題ないのだろう

 

「ゆっくり話している時間はないよ。残り2時間25分……時間はあんまりない」

 

優月が時計を見ながら言う。時間は3時間短期決戦になる……向こうも本気で逃げに回っているので追いかけるこっちも必死だ

 

「まぁなんにせよです、行動しましょう。全てはそれからです」

 

セッテが首を鳴らしながら立ち上がる。作戦も大事だが、まずは何よりも捕獲する事を第一に考えなければならないだろう

 

「ベストなのは雄二か明久の身体を翔子と瑞希・優月が乗っ取る事だな。康太は既に合流してるから意味がない」

 

ヴィータの言いたいことは最後まで聞かなくても判る。つまりこの中の面子の誰かが兄ちゃん達の陣営にもぐりこむ、後は上手くその事をばれないうように行動すれば、私達の願いは全てかなう

 

「……大丈夫、上手くやる」

 

「ここは私の出番だろうね。任せておいて」

 

雄二の事を知り尽くしている翔子と演劇のプロである優月。この2人にませておけばいいだろう、残った面子は

 

「物理的な捕獲で行こうか。私やるよ」

 

拳を握り締めているフェイトちゃん。相変わらずの暴走具合だ、だけど私も似たようなものなので何も言わない

 

「じゃあ行きましょうか、少しばかり不利ですが……何とかなるでしょう」

 

ティアナの不利と言うのは、簡単な事だ。常に携帯しているデバイスを全て兄ちゃんに奪われている。このせいで魔力サーチなどが出来ないので、その分は不利だが……

 

(その程度で逃げ切れるほど乙女の純情は弱くないで)

 

この時のはやて達の顔が乙女と言うよりかは、捕食者と言う表情をしていたのは言うまでもないだろう……

 

 

 

旧校舎のはずれで龍也と雄二と合流できた僕はとりあえず、今は無事だと安堵したのだが……

 

「さて、色々と言いたい事はあるが……大丈夫か?」

 

いつもの表情と違い少し困ったような表情をした龍也がムッツリー二(工藤さんボディ)に声をかける。女子の身体の中に居るということで興奮しているのか、さっきから鼻血が出たり止まったりの繰り返しだ

 

「ごはあ……も、問題ない」

 

工藤さんの身体で普段の鼻血の量は致命傷なのか。青い顔をしているムッツリー二を見た雄二が肩を竦めて、溜息を吐きながら

 

「駄目そうだな。かといって背負うわけにも行かない、自分で頑張れ」

 

機動力は限りなくゼロに近い今のムッツリー二は少し足手纏いかもしれない。運んであげる事が出来れば良いんだけど、雄二は霧島さんに見つかれば命がないから、無理だと言っているのだろう。龍也は

 

「米俵のように担がれるか、荷物のように運ばれるので良いのなら「すまない、止めてくれ……酔う」

 

工藤さんの体なので激しく違和感を感じる。出来る事なら早く身体を取り戻してあげたい所だが、下手をすると自分の身体を奪われかねないので感情的に動くのはNGだ。ここは逃げ回り時間が来るのを待つのがもっとも正しい選択肢だろう

 

「とりあえず逃げ回る線で行こう。明久逃亡道具は?」

 

期待を込めた目で僕を見てくる雄二。取り合えず今もってるのは……ポケットに手を入れて道具を確認するのだが……

 

「閃光弾が4個だけ」

 

まだ補充してないので今ある装備はこれだけだ。博士から貰う予定だったのが、今日なので手持ちはほぼゼロだ。ベルトに仕込んであるワイヤーとかはあるけど、これは僕専用だし、それに雄二も装備しているだろうしね

 

「まぁ無いよりかはましか。あと2時間と少しなんとしても逃げ延びるぞ」

 

雄二とムッツリー二に1個ずつ閃光弾を渡し、雄二の言葉に頷き歩き出そうとした瞬間。

 

「明久!」

 

「ほえ!?」

 

龍也の手が当てられたと思った瞬間。僕の身体は宙を待っていた。無論雄二とムッツリー二にも同様だ。そして龍也はコートで視界を塞がれないようにしながら後ろに飛ぶ。そしてそれと同時に僕達がいた所に閃光と複数の着地音が響く

 

「……逃がした。流石八神……信じられない運動神経」

 

「惜しい……もう少しでしたのですが」

 

「……ニガサナイ……ニガサナイよ……」

 

ゆらりと土煙の中揺らめく人影。それは言うまでもなく魔王様だろう、素早く復帰した僕は1人になるのは危険だと判っていたのだが、開いていた窓から旧校舎の中に飛び込む。雄二は新校舎のほうへ走り出し、ムッツリー二は僕とは違う窓から旧校舎の中へ……そして龍也は

 

(相変わらず人外だねえ)

 

壁を垂直に駆け上がっていき、そのまま新校舎の中に消えていく龍也。出来たら僕も連れて行って欲しかったなあと思いながら

 

「「ギュピーンッ!!!」」

 

どこぞの機動兵器のように目を光らせる瑞希と優月から逃げる為に階段を駆け上がるのだった……だけど僕にはどうも気になる事があった

 

(美波は?それにみーちゃんも)

 

あそこにいなかった2人の姿。もしかすると味方になってくれる可能性もある。リスクはあるが、可能性は0じゃない……僕はそう判断して2人を探すべく、廊下を疾走するのだった……

 

 

 

「アキ君は旧校舎ですね。向かいましょうか」

 

小暮とアキ君の姿を探しながら旧校舎へと向かう。後ろを歩いている島田さんが

 

「どうして旧校舎って判るの?」

 

態々答えるまでもないことなのですが、今は協力関係にあるのですから下手に挑発するような真似はしないほうがいいと判断し

 

「判るでしょう?私にはアキ君が走っているのも感じ取る事ができますよ。いうならば愛の力」

 

「ドヤ顔しないでくれる?」

 

「失礼」

 

まぁそれだけ自慢できる事なのですので仕方ないですね。恐らく島田さん達はまだこのレベルには到達してないのでしょうから

 

「さて、できることはアキ君を保護する事ですが、小暮に気をつけなければなりません。彼女の薬物の知識はとんでもないですからね」

 

市販されている薬で危険薬物を練成できる人材は彼女しかいないだろう

 

「なんでそんなのと友達をしてるのよ……」

 

頭痛でもしているのか渋い顔をしている島田さんに私は

 

「同じレベルで話を出来る人材で。高城グループの娘ではなく、私自身を見てくれる。だから私は彼女が好きなのですよ。生粋のトラブルメイカーですけどね」

 

私のためならばと何でも行動してくれるのは嬉しいですが、トラブルを引き起こす事も多い。それさえなければ本当に自慢の友人なのですが……

 

「そう言うものなの?」

 

「そう言うものですよ。名家と言うのも考え物ですよ」

 

私と結婚すれば地位と名声が手に入ると思っていた馬鹿の大半を排除してくれたのが小暮だ。私の思いを知っているから実力で排除してくれた。そして今はアキ君を手に入れるために策を講じてくれているが、それは私の望む結末ではないので今回は手を引いてもらおう。もし私のために何かしてくれるというのなら

 

(今度2人きりで旅行できるような環境をセットして欲しいですね)

 

クジ引きとかで運よく見たいな感じならアキ君を誘いやすいですからね。と頭の中で若干悪い事を考えながら歩いていると

 

「ぬおおおおおおおおおおおお!!!!!ちくしょうめえええええ!!!!」

 

グランドから聞こえてくる必死の叫び声。もしかするとアキ君も一緒かと一瞬思いはしましたが、気配を感じないので視線を向けずに旧校舎に足を踏み入れる

 

「アキの気配がするわね。上の階かしら?」

 

近くに来たのでアキ君の気配を感じる事ができるようになったのか島田さんがそう告げる。私は立ち止まり、少し考えてから

 

「旧校舎の1階へ向かいましょう」

 

「なんで?3階にいるんじゃないの?」

 

私にそう尋ねてくる島田さん。私は階段を下りていきながら

 

「まずは上の階へ、その後ワイヤーで1階へ……それなら逃走確立も上がりますからね」

 

アキ君の逃走技術はどちらかと言うとゲリラの行い物に近い。となればあえて上の階に誘導するはずだと判断して階段を下りていく

 

「本当?」

 

「信じられないのなら上の階へどうぞ」

 

信じられないと言う顔をしている島田さんにそう声をかけて階段を下りていると、後ろからついてくる気配がする

 

「私の言葉を信じるのですか?」

 

まさかついてくるなんて思ってなかったので、少し驚きながら尋ねると

 

「アキの幼馴染なんでしょ?ならその分析は信じれるわ」

 

「そうですか、ではご一緒に下手をすると戦闘になりかねないですからね」

 

暴走していそうな姫路さんと木下さんの事を考えると相当危険なことになりそうだ、そんな事を考えながら1階へ降りると同時に

 

「だっしゃあああ!!!」

 

開いていた窓から廊下に転がり込んでくるアキ君。それを見た島田さんは

 

「凄いわね……」

 

本当に当たったと言う感じで驚きながら呟く島田さん。今までの行動パターンを考えればこの予測は簡単だ

 

「褒めてくれてもいいのですよ?あんまり嬉しくはないですけどね」

 

アキ君に褒めてもらえれば最高に嬉しいのですがと思いながら、四つん這いでぜーぜーと荒い呼吸をしているアキ君

 

「やばい……これマジやばい……悪魔……ううん。捕食者だ」

 

相当怖い目に合ったのかぶつぶつと繰り返しそんな事を呟いているアキ君。かわいそうに……ですが大丈夫です。私がここに着たからには……

 

「ふふふ。計算通りですわ」

 

このタイミングで一番聞きたくない小暮の声に咄嗟に振り返る。見えたのは私に手を伸ばす島田さんの姿と、にやりと悪い笑みを浮かべた小暮

 

「しまっ!?」

 

私が幼馴染のアキ君の考えている事が判るのですから、私の幼馴染の小暮も私の考えている事が判るという事だ。私自身のミスを理解したがもう遅い

 

「ミッションコンプリートですわ♪」

 

私とアキ君の額に札を押し当てて笑う小暮ともういやと言う感じで遠い目をしているアキ君。そして……ポニーテールを振りながら

 

「何してるのよ!この役立たずーッ!!!!!」

 

島田さんの絶叫を聞きながら、私の意識は闇へと沈むのだった……とりあえず意識を取り戻したらどうやってアキ君を護ればいいのでしょうか?私はそれだけが不安だった……

 

 

 

明久と小暮の意識が交換されてしまった頃。新校舎の2階では悲劇が始まろうとしていた……

 

「ちくしょう!ちくしょう!!!」

 

雄二は拳を廊下の壁に叩きつけながら嘆いていた。窓も階段もない袋小路に追い詰められた雄二の目の前には

 

「……ふふふ。ふふふふ……やっと追い詰めた」

 

完全に眼が逝っている翔子が札を持ちながら歩いて来ている。逃げようにも閃光弾を取り出す隙を見出す事が出来ない雄二は何とかこのままで逃げる事を考えるのだが、魔王から生身で逃げる事は限りなく不可能に近い。そして……翔子は既に脳内リミッターを解除していたため

 

「ごはあ!?」

 

5Mの間合いを一足で詰め。雄二の鳩尾に肘を叩き込み、その動きを抑えた翔子はにやりと邪悪な笑みを浮かべる。その笑顔は1000年の恋でさえ冷めかねないほどに邪悪なものだったが、邪悪さゆえの美しさと言うべきものを持っていた。一瞬だけ雄二の動きが止まった瞬間に翔子はその手の札を雄二の額に貼り付け、その精神を交換したのだが……

 

「痛い……」

 

蹲り悶絶している雄二(翔子精神)額に手を当てた翔子(雄二精神)は

 

「……複雑な気分。だけど今なら逃げれる……」

 

そのまま走り出した雄二だったが……

 

(い、いたい!?あいつは良くこんなのであのスピードで走れるな!?)

 

身体は女性になってしまったが、その精神は雄二であり男性だ。つまり走ることで揺れる胸の痛みに耐える事が出来なった。咄嗟に手で胸を押さえたが

 

(ぶほ!?こんなに柔らかいのか!?駄目だ!?)

 

胸を押さえるのを止めて走り続ける雄二だが、スカートのひらひらした感じに加え、胸の痛みで思うようにスピードを出せない事に苦戦しながら、龍也たちを探し校舎の中を走るのだった……なおその頃。小暮の暗躍で精神を交換させられてしまった明久と雅。そして既に精神を交換させられた康太。そしてどこの忍者だといいたくなる機動で逃げ続けている龍也はと言うと……

 

「ふえ……僕がいるよ……」

 

「「ぶはっ!?」」

 

ぺたんと女の子座りでぐすぐすとぐずる明久(雅身体)。10人が10人美女と言う雅が子供のように泣き崩れる姿の破壊力は凄まじく、護りに来たはずの美波と小暮(明久身体)の精神に致命的な打撃を与えていた……それでもなお

 

「ほ、ほら。アキ行こう?ここは危ないから……」

 

札は小暮が持ち去ってしまったので今ここで雅と明久の精神を元に戻す手段はなく。とりあえず、瑞希と優月に見つかる前に逃げる手段しかなかった

 

「う、うん……行くよ」

 

涙を拭う明久(雅身体)の手を引いて歩く、美波と雅(明久身体)美波と雅(明久身体)は周囲を警戒しながら新校舎へと向かうのだが……

 

「見つけました……もう精神は変わってしまっているのですね?だけど大丈夫です……」

 

ギュピーンッ!!と眼を光らせた瑞希が3人を見つめて居るのだった……

 

「……ここに来ると思ってた」

 

「なんで判った!?」

 

女子更衣室で時間まで隠れて過ごす事を考えていた康太(愛子身体)はその近くで待ち伏せしていた。愛子(康太身体)に補足されていた。咄嗟に逃げ出す康太だが、それよりも早く愛子に押し倒され、Wの意味で死を迎えかねない状況に陥っていた……

 

(まずい!不味い!!!)

 

押し倒されている康太(愛子身体)は完全にパニックになりつつも……この状況か脱出する手段を見つけていた……そしてそれに気づいた康太は素早く行動に出た、すなわち

 

「てやっ!」

 

押し倒されたままで必死で膝を振り上げた、押し倒された体勢で膝を上げればどうなるか?それは言うまでもないだろう。膝に当たる妙な感触。それは狙い通り股間を蹴り上げた。これは女性には理解できない痛みだが、今男性の体になっている愛子にはかなりの致命傷となり

 

「!?!?な、なにこの痛さ!!!」

 

股間を押さえて完全に意識を失っている愛子(康太身体)。戻れば自分もあの激痛を味わうのだと判っている康太の顔は青褪めていたが、なんとか逃げることに成功した康太(愛子身体)はそのままスカートを翻し逃げ出したのだが……

 

「……見えた!?」

 

中身は愛子だが、基本的には康太の身体である、つまりエロ。元は自分の着ていた服だと判っていても、康太の身体が反応し……

 

「なんかパワーアップしたぁ!?」

 

魔王に康太のエロを求めるパワーが追加され。凶戦士モード一歩手前になってしまった愛子。そのギラギラとした眼に冗談じゃないほどの危機感を感じた康太は慌てて階段を駆け下りた。今康太の頭の中では

 

(捕まればヤラれる!絶対ヤラれる!!!)

 

自分の体だからOKとか言うとんでもない暴論で、嬉々として襲ってくる。それが判ったから、凄まじい勢いで冷や汗を流しながら、追いかけてくる捕食者の気配に恐怖を感じながら助けてくれるであろう龍也を探しだしたのだった……なお龍也はと言えば

 

「気配なし、次はこっちだな」

 

ネクロとの戦闘で身につけ、そしてはやて達からの襲撃で磨かれた隠遁術で完全に気配を消して、1人だけでもと逃げ切る体勢に入っていたのだった……だが龍也は気付いていない、龍也の隠遁術のスキルは確かに高い、だが索敵のスキルは魔王の必須スキル

漠然としてだが、徐々に魔王が近づいてきていたのだった……

 

 

 

 

 

 

応用問題問19へ続く

 




次回はもっとキャラ崩壊を勧めていこうと思います。これはあくまで後半へのつなぎなので少し短め、体を奪われてしまった明久・雄二・康太と完全に逃げに回っている龍也さんがどうなるのか?と言うのが後半のテーマになりますね。無論全年齢なのでエロはありませんけどね、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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