バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は「龍也」「雄二」「康太」「明久」の視点で進めていこうと思います。デッドオアアライブな展開になってしまった龍也達の心境を書いていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



応用問題問17

 

 

応用問題問17

 

 

~龍也の推理~

 

息を殺し、気配を殺し。廊下の影で周囲を警戒しながら状況を確認する

 

(今回は奴ではないのかもしれない)

 

普段は間違いなくジェイルの仕業と言うことが出来るのだが、今回は仕業ではないと思える

 

(この異常な気配。全く別の力が影響しているんじゃないのか?)

 

今文月学園を覆っている結界。翔子が言っていた中身を入れ替えるという札……

 

(何かの別の要因か)

 

証拠は確か黒魔術が好きだといっていた。もしかするとそれが原因なのかもしれない……

 

(あの札に警戒しつつ、はやて達に捕まってはいけないと言うことか)

 

勿論あの札を貼られれてもアウト……今回はいつも以上に危険だとおもう……

 

「うおおおおおっ!!!来るなぁッ!!!」

 

雄二の悲鳴が聞こえてくる。どうやら奴は翔子に既に発見されているようだな、私も早く移動するべきだな。あの目が逝っているはやて達を考えると今回は本当に貞操の危機と言える。ゆっくりと立ち上がり、周囲を警戒する……

 

「気配はなし……か」

 

近くにはいないようだ。旧校舎から一気に新校舎まで走ってきたからな。そう簡単には発見されないか……

 

(いやなのはとフェイトの奴がいるか)

 

今新校舎にいるのはなのはとフェイトだろう。大分遠くにだが気配を感じるから間違いない……無論近づいてきている気配も感じるから、いつまでも動かないと言うのは危険だな……

 

「雄二達も心配だが、今は自分のことに集中しないとな」

 

いくらなんでも攻撃魔法は無いだろう。だが身体強化と幻術くらいは使ってくる可能性が極めて高い……となると幻術に高い才能を持つティアナの存在が最大のネックだ……そして純粋に戦闘能力の高いはやてやヴィータも危険だ

 

「みつけたあ!」

 

「ちい!?意外と早かったな」

 

フェイトが階段から飛び降りてきて、私を見つめる。やはりと言うか、何と言うか……

 

「ふふふふふふふふふふふ。3時間のタイムリミット。これを生かさない手は無いよね……」

 

なるほど、あの札か結界が効果を発揮するのは3時間の間らしい……これはいい情報を聞いた。20分は逃げているのであと2時間と少しと言うところだろう……

 

「なのはもすぐに来るよ。いくら龍也でも逃げ切れるとおもう?」

 

首をかくかくと揺らしながら歩いていくフェイト。これはとんでもなく恐ろしい……ネクロと退治するよりもはるかに恐ろしい……だが今ここでフェイトに捕まるわけには行かない……

 

「逃げ切れるだろうな。私はそう言うのはかなり得意でね」

 

フェイトの眉がぴくりと動く、目は私を完全にロックオンしているが、周囲を伺うのも忘れてはいない

 

「味方はいるわけなよね?皆逃げているし」

 

「ああ。味方はいないな、いるとすれば雄二と康太くらいだが、今ここにはいないだろうしな」

 

同じ立場の雄二と康太なら助けてくれると思うんだがな。今は姿は見えない……

 

「じゃあやっぱ逃げれられないんだよね?

 

確認と言う感じで尋ねてくるフェイト。私はふむと小さく頷く。こういう場合は平常心そして動揺しない事が最大の武器となる。そうすれば向こうは警戒して動けなくなるからだ……フェイトは案の定警戒して動けなくなっている

 

「……」

 

じりじりと近寄ってくるフェイト。まだ早いな……近寄ってくるフェイトから同じように距離を取っていく……

 

「見つけた!兄ちゃんここまでや!」

 

「あは。ふふふふふふ……龍也様ぁ……」

 

旧校舎からの階段を駆け上がってきたはやてとセッテ。それに廊下を走ってきたなのは……状況はこれでいいか。コートの中に手を突っ込み

 

「魔法だけじゃなくて科学も馬鹿に出来んよなッ!!!」

 

ジェイルから貰っていた閃光弾を廊下に叩きつける

 

「「「ッきゃああッ!?」」」

 

閃光弾に目を焼かれ小さく悲鳴を上げるはやて達。私はその間に窓を開けて、階段を駆け下りる……これで窓の外に逃げたと思うだろう。私の身体能力を考えれば窓の外から逃げるとはやて達は考えるだろうからな……私は階段を駆け下り、再び旧校舎のほうへ走り出したのだった……

 

 

 

 

~雄二の衝撃~

 

やべえ……やべえ……やべえッ!!!俺は凄まじい恐怖を感じながら、体育館の裏にしゃがみ込み荒い呼吸を整えていた……

 

(今度はやばい。今までの非じゃねえ……)

 

今までの恋愛に関する黒魔術やそんな物ではなく……マジで本当の黒魔術だ。しかもかなりやばい。何がやばいって……

 

(精神交換ってどんな魔術だよ!?)

 

翔子の目的は、俺と自身の精神を交換して無理やり既成事実を作ることだといっていた……俺の精神を自分の身体の中に入れて、自分の意志を俺の身体の中に入れる……

 

(どれだけ暴れても翔子の身体じゃ俺の腕力は抑えられんッ!!!)

 

どう考えても身体を奪われては勝率が無い。無事に今日を過ごすにはなんとしても翔子に捕まえられず。そしてあの札に触れてもならない……

 

「これはかなりハードだな」

 

来ていた学生服の上着を脱いで腰に巻きつける。かなり動き回るはずだから着ていると暑い筈だ……それに少し休んだ事で呼吸も整える事ができた……よしっと頬を叩いて体育館の陰から出る

 

「とりあえず近くに翔子の姿はなしと……」

 

やはり途中で廊下から飛び降りてグランドに降りたのが良かったのかもしれない。だがこれで安心できるほど魔王は甘くは無い。もっと警戒し、感覚を鋭敏化させ、添え精神を研ぎ澄ますのだ……

 

(って言うか俺は龍也じゃねえ……)

 

龍也なら気配を感じて逃げるとかやりかねないが、残念ながら俺に出来るわけが無い……

 

「……!」

 

首筋にちりっとした静電気が走る。おいおい、俺に出来るとは思えなかったが……

 

(魔王の接近を気付いたのか!?)

 

どうたら魔王に追われる生活になれたことで俺も魔王に対する特殊な能力を身につけたのかもしれない。そしてその能力のおかげで俺は即座に上に向いた。見えたのは

 

「ブッ!?」

 

スカートを押さえる事無く窓から飛び降りてきた翔子。見るつもりなんて無かったのに翔子の下着をガン見してしまった。フリル付きの紫

 

「……見つけた」

 

俺を見つけたことで嬉しそうに笑う翔子。スカートを見られたことに対する反応ではない

 

「恥とか無いのか!?」

 

「……雄二なら気にしない。雄二以外なら潰す」

 

こいつ本気だ。本気で人間をあやめ兼ねないぞ。この殺気……とは言えそんな事を考えている暇があるのなら、逃げる事を第一に考えるべきだろう……

 

(に、逃げられん!?)

 

翔子は窓から飛び降りると同時に俺の前に降りて。自分と体育館の壁で俺の逃げ道を完全に塞いでいる……

 

「……雄二大人しくしようね?」

 

札をスカートの中から取り出して、にこにこと笑う翔子。やばい……どうやって逃げればいいんだ?なんとかして翔子の隙を……どうすればいい。どうすればいいんだ!?明久がいれば何とかなりそうなものだが……残念ながら明久はいない。そして俺自身も何も持ってない……考えろ。考えるんだ……何とかこの境地から逃げる手段を考えるんだ……必死に考え、思いついた手段があった。確かにこれならば何とか脱出できるかもしれない……だがこの方法にはかなりの問題がある……だがこれしかない!翔子のスカートを掴んで思いっきりまくり上げる。再び俺の目に紫の下着が飛び込んでくる。2回目の……しかも至近距離で、しかも超が付く美少女の、しかも自分に好意を向けてくれている少女の下着を至近距離で見たことで鼻に熱が溜まるのを感じる。翔子は翔子で一瞬呆けたが顔が一気に赤くなり

 

「ッ……きゃあッ!?

 

札を取りこぼしてスカートを抑えてうずくまる翔子。あまり見たことの無い翔子の女子らしい反応に一瞬面を食らったものの、俺は鼻を押さえて走り出した。鼻を押さえたのはそうでもしないと鼻血が出そうだった……

 

(あう……あう……しょ、翔子があんな反応をするなんて……)

 

予想にもしない翔子の女子らしい反応に俺は激しく赤面しながら旧校舎へと走るのだった……

 

 

~康太身体を奪われる~

 

「……しくじった」

 

俺は自分の失敗を感じていた。俺は確かにそこそこ運動神経はいいが、魔王を振り切るような運動神経は無い。行動力の高い魔王からは逃げ切れないのだ……

 

「ふふふふふふ。見つけたよ。ムッツリー二君」

 

にやにやと笑う愛子を前に冷や汗を流す。場所は旧校舎と新校舎の間の渡り廊下……逃げ切れる場所ではない……

 

「最初は不味いと思ったんだけど、すぐに捕まえれて良かったよ」

 

楽しそうな邪悪な笑みで笑う愛子。その笑みは邪悪なのに、子供のような無垢な笑顔をしている……

 

(なんとかならないか、なんとか……)

 

霧島の話では、あの札を貼られると精神が交換されるらしい……そうなるとこの札を貼られると俺の精神と愛子の精神が交換されるわけで……

 

「……お前は何を考えている」

 

どうか俺の考えよ外れてくれと祈りながら尋ねると愛子は少しだけ頬を赤くさせて

 

「え?それを聞いちゃうの?……えへ……僕が幸せになるために……」

 

頬を押さえていやんいやんと言いたげに身体をよじる愛子。あ……これは駄目な奴だ……どう駄目と言えば。言うまでも無い……下手をすればR規制に引っかかる最悪の展開としかいい様が無い

 

「……社会的にどうかとおもう」

 

俺がそう呟くと愛子はにやりと笑いながら、何の光も宿してない目で俺を見ている……やばい。これは本当にやばい……今までこんな危機を感じた事はいまだかつて無い……

 

「まぁ大人しくしてくれると嬉しいかな?」

 

「……大人しくするわけが無いだろうがッ!!!」

 

大人しくしていたら精神を交換させられて。男の精神なのに、女の体にさせられて上に、外見は自分の身体にピーッ!されるというとんでもない経験をする事になる。

 

「……断固断るッ!!」

 

制服のズボンのから閃光弾を取り出して廊下に叩きつけようとするが、それよりも早く愛子が足を振り上げるどうせスパッツだと思っていたのが、俺の予想に反して

 

(み、水玉!?)

 

何の色気も無いスパッツではなく、水玉模様の下着に完全に視線を奪われた俺に愛子は悪戯っぽく笑いながら

 

「スパッツは見飽きたでしょ?特別サービスだよ♪お返しはムッツリー二君の体ね」

 

その口調とあえて見せ付けるようにしている愛子の下着に、回避するという考えを完全に失った俺に愛子の長い足が俺の手の中の閃光弾を弾く。

 

「ッ!?しま……」

 

俺の手の中の最後の閃光弾は開いていた窓から外に放り出され、強烈な閃光を放つ。大分はなれていたが、強力な閃光弾だから離れていたが、俺の眼を焼く……

 

「……うっく……」

 

閃光弾のせいで距離感を失い。ふらついていると額に何かが当てられる感触がしたと思った瞬間。俺の意識は急速に遠のいて行くのだった

 

「こ、これは……」

 

すぐに俺の意識は戻ったのだが、視界が少し高くなりそして声の感じが違う……そして目の前には

 

「……目が……くう!チャンスなのに!今ならばピーで俺が幸せになれるのに」

 

俺の身体が目を押さえて蹲っていた……身体を奪われたのは不覚だが、何とか今の所は安全のようだ……俺は愛子の身体を使って旧校舎のほうへと引き返したのだが……

 

(お、落ち着かない……)

 

スカートのひらひらとした感じとスースーする感じが落ち着かない。それに

 

(う……うう……甘いにおいがする)

 

仲のいい女子の友人だと思っていたが、時々エロトークをしたりするのだが……こうして愛子の身体になっているとしっかりと

意識してしまう……

 

(と、とりあえず雄二と龍也と合流しないと)

 

俺が身体を奪われてしまっているので、愛子に俺の不利をされてしまうと、2人も俺と同じ様になってしまう……それだけはなんとしても阻止しなければ……俺は自分の身体と違い、少し感覚の違う愛子の体に困惑しながら旧校舎へと走るのだった……

 

 

 

~明久到着~

 

空港で父さんと別れて何とか2時間目の始まる頃に学校にこれたのは良いんだけど

 

「……帰ろうかな?」

 

嫌な予感がする。授業中だというのに生徒の気配もしないし、それにあちこちから魔王の瘴気を感じる。これは不味い、早く逃げるべきだと僕の直感が告げている……回れ右をして逃げようとすると

 

「……吉井君。逃がさないよ」

 

肩を誰かに掴まれる。強烈な寒気を感じてその手を振りほどき飛びのくと

 

「ムッツリー二!?」

 

ムッツリー二がそこにいた。おかしい、あいつは僕の事を吉井君なんて呼ばない。それに今のあの感じは……

 

「工藤さん?」

 

ありえないと思うのに僕の感は目の前のムッツリー二を工藤さんだと告げている……ムッツリー二(?)は

 

「……へえ?判るんだ」

 

その言葉で確信した。僕の感は当たっていたのだと……じりじりと後退しながら

 

「どういうことなのかな?」

 

僕がそう尋ねると工藤さんはニコニコと笑いながら

 

「……代表がくれたお札で精神を交換したんだ。だからムッツリー二君は今僕の身体の中にいるよ」

 

精神を交換する札!?とんでもない道具過ぎる!?霧島さんもなんてとんでもない物を持ち込んでくれたのだろうか

 

「……だから今は吉井君を捕まえておいてさ?姫路さんとか優月さんに上げれば良いかなあ?って」

 

上げれば良いかなあって完全に僕が物扱いされていることに気付き

 

「僕の人権は!?」

 

「……あると思う?」

 

「その反応で全部判るよ!こんちくしょう!!」

 

僕の人権を完全に無視している。これだから魔王は恐ろしいのだ……これで正しいと思えばどんな手段でもしてくるのだから

 

「……まぁ大人しくしてもらえると嬉しいだよね」

 

外見はムッツリー二だが、喋り方とオーラが工藤さんだからなんとも違和感を感じる

 

「とりあえず……大人しくといわれてする分けないよね!!!」

 

僕はそう叫んで工藤さんから背を向けて全力で走り出したのだった……どこにいるか判らないけど。雄二と龍也。それに工藤さんになっているムッツリー二を探さなければ!僕はそう判断して工藤さんから逃げて旧校舎へ向かったのだった……

 

「……逃げられたかあ……」

 

康太の体の中の愛子は苦笑しながら走り去る明久を見ていた。精神交換は成功したが、そこはやはり自分の身体ではない、本来のスペックを引き出すことが出来ないので。明久を追いかける事はしなかったのだ。

 

「……奪い返されても困るしね」

 

今あの札で身体を奪い返されても困る。3時間の間は使える、そして3時間たてば自動的に元に戻る。身体を奪い返されても困ると判断した愛子は新校舎へと足を向けた。まずは魔王達と合流し、作戦を練り直すことを考え、明久を追いかけるのを断念し、新校舎へと向かうのだった……

 

 

応用問題問18へ続く

 

 




カオスナ予感になってきましたね。次回は魔王視点を中心に進めて行こうと思います。身体を奪われてしまったムッツリー二と作戦成功した愛子がキーキャラになりそうですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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