バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の応用問題は「危ない黒魔術」を発展させて更にカオスにさせてみようと思います。どう入会なので少し短めですが、次回からはもっとボリュームを出して行こうと思いますので楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



応用問題問16

 

 

応用問題問16

 

その日文月学園は全ての授業を中止にし、一部の生徒を除き生徒の殆どを自宅へと帰らせた。その理由は

 

「「「コハアアアア……」」」

 

鬼神のような表情でどす黒いオーラを撒き散らしている魔王軍団のせいである。

 

「またお前の仕業かい?」

 

「いえ、今回は特に何も」

 

この鬼神軍団を生み出したのはトラブルメイカーである、ジェイルスカリエッテイの可能性が疑われたが、どうも今回は違うらしい

 

「今私に出来るのは追われている皆が逃げ切る事を祈るだけですよ」

 

「そのようだねえ……」

 

学園長とジェイルの視線の先には普段の冷静な態度はどこへやら

 

【ちくしょう!またあのやろうか!?ジェイル!どこだ!どこにいる!ぶっ殺してやる!!!!】

 

両手を握り締めて叫ぶ龍也の姿は今目の前にジェイルが現れれば問答無用で殴り倒す。と言うのを全身で表現していた。少し魔力がこぼれている所を見るとかなり本気のようだ

 

「私じゃないのに……」

 

「日ごろの行いが悪すぎるんさね」

 

目の幅の涙の涙を流すジェイルに学園長がそう呟く。普段からトラブルメイカーとして有名なのでなにか起きたらまず疑われるジェイル。日ごろの行いが物を言うというのは本当の事だ

 

「なにも出来ないって言うのが怖いねえ」

 

完全暴走している魔王を止める手段はなく、下手に職員室から出ることもできない。何故なら巻き込まれる事の危険性を考えるとここにいることが一番安全だからだ

 

「龍也が何とかしてくれる事を祈るしかないですね」

 

「あんたは処刑されるだろうけどね」

 

学園長の言葉で更に涙を流すジェイル。そんな2人の視線の先のモニターでは

 

「ぬおおおお!!!来るなああああああッ!!」

 

「ッ!!!!」

 

必死の表情で逃げる雄二とムッツリー二の姿が映っているのだった……この騒乱の始まり……それは昨日の明久の父親輝彦が翔子にお土産として買って来た黒魔術の本。それが今回のこの悲劇の始まりだったのだ……

 

 

 

吉井さんがお土産として買ってきてくれた黒魔術の本。それを椅子に腰掛けゆっくりと目を通していく……

 

「……難しい」

 

英語でもドイツでもない、正真正銘の黒魔術の本。独特な文字と文法を持つこの本を読むのは私でもかなり難しかった

 

「……だけど面白い」

 

今まで見てきた黒魔術の本の中で一番面白い。それにどれもこれも本当に使えそうなのが面白い……そんな事を考えながらゆっくりと翻訳しながら読んでいると

 

「……これは……」

 

本の真ん中の方に興味深い記述を見つける。それは一生の間で1度しか使えず、しかも時間制限がある黒魔術……だけど

 

(これを使えば私が幸せになれる)

 

私が幸せになった後、雄二が幸せになれば問題が無い。だからこれが一番優良な一手と言えるだろう……そのページを重点的に翻訳していく。そして判った事は3つ

 

1 新月の朝であること、そしてその建物の中ならばその周囲に付属の水晶を置く事、4つ置いて囲いを作るように配置する

 

2 時間制限は3時間。その間は何回でも使用可能

 

3 付属の札に自身の血で染み付けること

 

「……2……4……6……8……10。取りあえずは全員分あるかな……」

 

私だけ嬉しいというのはあんまり良くないと思うので、愛子や瑞希にも分けてあげようと思い札の数を数えると丁度5枚ある。これならば全員に分けても大丈夫。私は鞄から携帯を取り出して

 

「……もしもし?愛子?物凄くいい話があるの、明日少し早めに学校に来てくれるかな?」

 

【良い話って何?代表?】

 

不思議そうな声で尋ね返してくる愛子。私はふふふと小さく笑いながら

 

「……黒魔術で精神交換」

 

【……え?】

 

理解出来ないと言う感じの愛子に私は今やろうとしていることを説明すると

 

【判ったよ。何時くらいに行けばいいのかな?かな?】

 

魔王モードのスイッチが入ったのか声のトーンが下がる。魔王化してくれれば説明が少なくて済むからとても助かる

 

「……準備があるから朝6時に」

 

【了解】

 

そう言うと電話を切る愛子。朝弱いから少し早めに寝て明日に備えるつもりなのだろう、私は比較的夜型なので問題ない

 

「……次は瑞希」

 

私は順番に電話を掛けて行った、まだ時間も早いので全員出てくれたのは幸いだった。私は内心全員すぐ魔王になると思った。事実瑞希と優月は黒魔術と言うだけでOKと言った。特にはやての食いつきは凄かった

 

【ウチはそう言うのはちょっと】

 

美波だけは私の言葉に難色を示した。何でも雅のそばにいる小暮と同じような事をするのは嫌だと言う普通の感性の言葉だった

 

「……だけど吉井は欲しくないの?」

 

【いや、欲しい・欲しくないで言えば欲しいけど……どうせなら心も欲しいじゃない?順番が逆だと思うのよ】

 

むう……中々手強い。流石美波……だけど人数が多いほうがいいので何とか説得を試みて、1時間後

 

【じゃあ一応貰うだけ】

 

「……じゃあ明日の6時に」

 

何とか美波を説得する事に成功した私は安堵の溜息を吐き、雄二の家のほうを見つめて

 

「……明日が雄二の進路が決まる日」

 

その進路に雄二の意思は無い、私が極めて独断的にそして、逃げ道を完全に経った進路に叩き込む

 

「……逃げ道はもう無い……ふふふふふふふふ」

 

明日が来れば私は幸せになれる。そう思うと笑みを抑えることが出来ないのだった……

 

 

 

惨劇開始15分前。Fクラスはいつも以上におかしな雰囲気をしていた。

 

(雄二。私の第六感が告げている。今日は厄日だ)

 

(龍也もか?なんか俺も嫌な予感がする)

 

魔王のオーラをちらほらと出しているはやてや瑞希を見て何か嫌な予感がする。首筋がちりちりしているから何か悪いことがあるのは間違いなさそうだ。そんなことを考えていると西村先生が入ってきて

 

「これよりSHRを始める。その前にだが、吉井は今日は空港まで父親を送ってから来るそうなので、1時間目は遅刻。2時間目から授業に戻る」

 

その言葉に瑞希と優月が舌打ちした。これで確信した、何か大掛かりな事をしていると

 

(ジェイルかはやてあたりか?)

 

可能性としてはこのくらいだが、小暮の存在もあるのでどれとは特定できないのが怖い。私と雄二と康太が警戒している中西村先生のSHRが終わる

 

(まだ仕掛けてこないよな)

 

西村先生がいるので仕掛けてこないと思っていたら、ガラリとF教室の扉が開き

 

「霧島?どうかしたのか?」

 

翔子がドアの前に立っているらしい。おかしいな、優等生の翔子が授業をサボるとは思えないのだが

 

「……準備が終わった」

 

準備?その言葉と同時に文月学園をおおう変な魔力の気配を感じた。そしてそれと同時に

 

「てやーッ!!!」

 

「何をする?」

 

飛び掛ってきたヴィータを交わす、その手にはこれまた変な魔力を発する札が握られている。既にFクラスの生徒と西村先生は教室から脱出している。魔王の危険性を理解しているからこそのこの逃亡スピード。正直感動する、人間の適応力の高さは驚きだ。今Fクラスに残っているのは私と雄二と康太の3人と魔王衆だけ。その事が更に私達の危機感をあおる

 

(しかしあの札はなんだ?)

 

私でも解析できない。しかも嫌な予感がずっとしている……こういう時の直感はかなり当たるので警戒心だけがドンドン強くなる。札に触られないようにじりじりと後ずさる。それとは逆に翔子が前に踏み出してきながら

 

「……この札で私と雄二の中身を入れ替える。そうすれば私が幸福になれる」

 

なんだその札は!?とんでもない呪いの札だろうが!?中身を入れ替える、その目的を考えるだけでも恐ろしい。興奮して赤くなっている頬を見ると更に危機感を感じる。あれはどう見ても説得が無理なパターンなのだが

 

「まて。話し合おう……いや、無理だな。目が逝ってやがる。ならば「トラン○○」ッ!「ニガサナイ」

 

雄二が説得を試みるがあの目を見て無理だと判断したのか。即座に腕をクロスさせて窓を突き破りグランドに逃亡。

 

「私も失礼させてもらおう」

 

窓から外に飛び出し、そでのワイヤーを上の窓に引っ掛けて上の階へ逃亡する。康太は捕まりかけていたが

 

カッ!!!

 

「閃光弾か。やるな」

 

昼間なのにあの閃光。相当強力な閃光弾に違いないと思いながら私は上の階に到着し、そのまま走り出すのだった……この雰囲気かつての惚れ薬と同等かそれ以上の気配がする。捕まれば即アウトと判っているので最初から逃げる事に全力を費やすのだった……

 

 

 

危なかったわね……ウチは深く溜息を吐きながら咄嗟に顔を隠すのに使った教科書を机の中にしまう

 

「目なんか見えんでも!」

 

土屋の閃光弾で目は焼かれたみたいだけど、平然とした顔で走り出すはやて達。目が見えてないはずなのに軽やかに走っていくその足取りは非常に軽い。本当に閃光弾を食らったのかも怪しい

 

「う、……やってくれるね。ムッツリー二君」

 

捕まえようとしていた愛子は至近距離で目を焼かれて動く事が出来ないでいる。あの時の邪悪な笑みを見たら1000年の恋も冷めそうな気がする

 

「……愛子は後で来ると良い。私は先に行く」

 

翔子はあの瞬間目を閉じたので目は無事であり軽やかな足取りで走っていく、瑞希と優月は明久が遅刻と聞いた瞬間。教室を出て行っている

 

「ウチはどうしようかなー」

 

手の中のまだ血文字を書いてない札を見る。今のこの状態では何の効力も無いらしい……使えたとしてもしおり程度だろう

 

「うーん。まぁあの2人が暴走しそうだったら止めに入るかな」

 

いくらなんでも自分とアキの精神を交換して、無理やり既成事実を作る。そんな事をしてまで幸せになりたいとおもうのだろうか?そう言うのはもっと順序が大事なのではないだろうか?それに身体を手に入れたとしても心が手に入らなければ意味がないとウチは思うんだけど……あちこちから聞こえてくる騒動の音を聞きながら窓の外を見つめる

 

(アキが来るまで後1時間くらいかな?)

 

あのお札の効力は3時間。それを過ぎればこれはただの紙切れになる……だから翔子もはやて達も必死なんだけど、本気で逃げに回ってる龍也達をどうやって捕まえるつもりなのだろうか?

 

(アキが来たら、瑞希や優月が動き出す前に邪魔しないといけないわね)

 

ウチはそんな事をしようとは思わないけど、そんな形で負けるのは御免だし……

 

(ウチは妨害させて貰おうかしら)

 

Fクラスを出ようとするとそこには腕組した雅が怖い顔をしていて

 

「話は聞きました。今回も協力しましょう。そんな方法でアキ君を捕まえる?はっ!許せる物ではありませんね!」

 

小暮はその手段を得意とするけど、雅はそう言う邪道を嫌う。こういう時は間違いなく頼りになる……

 

「ゲットッ!!!いただきましたわ!!!!」

 

ドップラー効果を残して走り去る小暮、ウチの手の中に会った精神交換の札は無い。ドップラー効果で聞こえてくるのは

 

「雅の血液なら持ってますわ!吉井君も捕獲して、媚薬を打てば全て解決ッ!!!もうやきもきする事はありませんわ」

 

なんで小暮が雅の血液を持っているのか気になるし、更に媚薬なんてなんで学校に持って来ているのかは判らないが

 

「……小暮を捕まえなければ!大変なことになる!!!」

 

「あんた少しは友達選びなさいよ!!!」

 

もっとも渡してはいけない相手に最悪の道具が渡ってしまったという事だ。アキの保護も大事だけど、小暮の捕獲に、瑞希と優月の妨害。とんでもなく厄介な問題が増えてしまったウチと小暮と並んで走りながら

 

「小暮は学園を改造して隠し部屋を幾つも持っています!私も全ては知りません!」

 

「あんたの友達は何者だ!?」

 

なんで学校を改造しているのよ!?しかも隠し部屋を幾つ持ってどういうこと!?話を聞く間に今は小暮の捕獲は難しいと理解したウチは

 

「まずはアキが来る前に瑞希か優月の札を奪うしかないわね!行きましょう!」

 

「わかりました!オーラを探せばなんとか!」

 

魔王のオーラを頼りにすれば見つけることが出来るはず。ウチと雅は魔王のオーラを探して旧校舎を走り回るのだった……

 

 

 

応用問題問17へ続く

 

 




精神交換の対象を変更してみました。原作を見てこっちの方が面白いと思っていたので、それをやってみようと思います
色々と話をやってみたいので、これは少し多めに書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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