バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は明久の家での話しになります。基本的には輝彦と楓子の話とかになると思います
少しだけ混沌風味でほのぼので進めていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします


応用問題問15

 

 

 

応用問題問15

 

文月学園まで明久を迎えに行ったら、明らかに明久に想いを寄せている女子高生に3人であって。明久の事を好きなのは玲と雅ちゃんくらいだと思ってたから少し安心して、そして

 

(やっぱり僕の息子なんだな)

 

僕も学生時代は同じような感じだった。僕なんか馬鹿で良いところ無いのに何で好きになってくれたのか?そこが気になっていた。

ふーちゃんが言うには優しい所が良いって言ってくれた。多分明久も同じなのかなあっと思いながら

 

「仲良さそうでいいねえ。ただ少し乱暴するのはどうかとおもうよ?」

 

家に入るなり、私遊びに行ったとかどうとかで口論を始めて、それを止めようとした明久が巻き込まれて瀕死になってしまった事を少しだけ咎めるかのように言うと

 

「す、すいません、頭に血が上っちゃって」

 

美波ちゃんは間違いないね。ふーちゃんとそっくりだ。怒るとすぐ手が出る辺り間違いない

 

「わ、私もごめんなさい。で、でも明久が……明久が悪いだ。私を構ってくれないから」

 

優月さんはすーちゃんに似ているかもしれない。こう寂しがりな所とかは似ていると思える。それにこの黒いオーラなんかはスーちゃんよりも凄いね

 

「明久君ごめんなさい。大丈夫ですか?えーとえーと、確かこう?」

 

頑張って治療を施そうとしている瑞希ちゃんはゆーちゃんにそっくりだ。雰囲気も髪の色も違うけど、凄くそっくりだとおもう

 

(それで雅ちゃんはりーちゃんだね。嫉妬深くて少し子供っぽい所とか)

 

こうして皆を見ていると自分の高校時代の事を思い出してとても懐かしい気分になる

 

「大丈夫だよ。明久はとっても頑丈だからね、それよりも手を洗っておいで」

 

その間に僕が明久の気付けをするからさと小さく付け加える。完全に意識を失っているデ少し集中視して気付けをしないと起こすのは難しいかもしれない。高校生が見るには少し刺激が強いはずだから遠ざけておこう。すぐ戻りますと言ってリビングを出て行く美波ちゃん

 

「さてと……じゃあ始めようかな?」

 

リバーブローと適確にツボを突かれてしまっている明久。気付けに加えて、少し骨格矯正をしないといけないね……僕はそんな事を考えながら気絶している明久の背中に手を回したのだった……

 

 

 

 

「はっ!?」

 

「あ、起きたかい?大分良い感じに決まってから気付けに時間が掛かっちゃったよ」

 

にこにこと笑う父さん。意識を失う前の記憶が少し混濁してるけど、判っている事はある。魔王のせいだと……

 

「父さんの魔王とどっちが怖い?」

 

思わずそう尋ねると父さんはうーんと思い出すような素振りを見せながら

 

「美波ちゃんの2.5倍はふーちゃんの方が怖いよ」

 

「そうなの!?」

 

母さんってそんなに怖いの?美波は結構怖い所もあるって思ってたけど、その美波よりも怖い母さん……今も充分怖いと思うけど

 

「結婚してねえ。大分落ち着いたんだよ?僕には攻撃してくることはなくなったしね。まぁ周りの女性に対する攻撃性は物凄く増したよ」

 

魔王が結婚すると属性が変わるの!?これはしっかり聞いておいたほうが良いのかもしれない。とは言え聞くのも怖いので今度覚悟を決めたら聞いてみよう

 

「あ。アキ……さっきはごめんね?」

 

「う、うん……ごめんね?つい嫉妬しちゃって」

 

「ごめんなさい明久君」

 

「ううん。良いよ、特に気にして無いからね」

 

いつもの事って言えばいつもの事だし……前に遊びに行って瑞希とか美波を蔑ろにしてしまったのは本当の事だし、それに優月は折角遊びに行ったのに結局僕は美波や瑞希そしてみーちゃんとも遊んでしまった。嫉妬するのは当然といえる、全ては僕の選択の間違いだったといえる。それに姉さんのお話もきついし、それと比べればまだ何とかなるレベルといえるしねえ……

 

「うんうん。皆と遊ぶときはね、皆が喧嘩しないようにしないといけないんだよ。特にね嫉妬深い子は……その内手錠とかも持ち出すからね」

 

父さんの言葉に絶句する。何を馬鹿な?と言えるが、直ぐ近くに薬・監禁でも何でもやる魔王がいるからな、それを思い出すとあながち冗談には思えない。

 

(それに優月がねえ……)

 

最近良くヴィータさんとか、セッテさんと話をして魔王の情報を集めている優月なら、もしかすると父さんの言うような魔王に進化する可能性がある……充分に気をつけておかないといけないだろう

 

「まぁそんな話は置いておいてっと」

 

自分から切り出したのにと父さんを見る。だけどいつも通りの笑みを浮かべているので何を思っているのか読み取れない。

 

(母さんならわかりやすいのに)

 

父さんの言うとおり、母さんはかなり気が短い……そして思っていることが顔に出やすい面がある。そう思えば、母さんのことは判りやすい。だが父さんはポーカーフェイスと言うわけではないが、その表情が読み取りにくいのだ

 

「僕が夕食を作るから、明久達は勉強をしていると良いよ。宿題があるんだろう?」

 

そう笑ってソファーから立ち上がってキッチンに向かう父さん

 

「なんか明久のお父さんって凄いね」

 

鼻歌交じりの父さんを見て優月がそう呟く。父さんは何が凄いというと難しいのだが、なんともいえない凄さがある。どんな状況でもマイペースで話を進める精神力とか

 

「明久君のお父さんは料理は上手なんですか?」

 

「うん。結構得意だよ、和食が」

 

色々作れるんだけど特に和食が得意だ。父さんが言うには茶碗蒸しが1番好きだから、1番上手らしい

 

「まぁアキのお父さんだから普通じゃないってことは判ってたから良いけどね」

 

「待って、その言い方だと僕も普通じゃないみたいに聞こえるよ」

 

えっ!?って顔をする美波立ちに軽くショックを受けてしまう。確かに最近耐久力とか復活までの時間がかなり早くなっているけど僕は普通の一般市民だというのに、ここはしっかりと話し合って互いの認識の違いと言うのをしっかりと確認しておくべきだ

 

「まぁそれは置いておいて」

 

「おいておくの!?」

 

まさかの振っておいてのスルー。瑞希のスキルがたくましくなっている事に軽く驚いていると

 

「宿題をやりましょうね?明久君。このままだと留年してしまいますからね?」

 

「……はい」

 

その笑顔には有無を言わさない迫力があった。確かに最近成績が上がってきているが、留年する可能性が0になったというわけではない

 

「でもさ?アキが大学に進学しないのなら、そこまで気合を入れることは無いんじゃないかしら?」

 

美波の言うとおり。大学に進学せずに就職するという道も

 

「永久就職とかどう?ウチ頑張って稼ぐわよ」

 

「その返答は予測すらして無いよ!!」

 

ウィンクしながら言う美波にそう突っ込みを入れる。まさか過ぎる返答にさすがに驚いた

 

「それなら私は美波の倍は稼げる!」

 

「おかしいよね!優月!」

 

「無理じゃない?直ぐ役者として大成するとは思えないわよ」

 

「モデルだって同じじゃないの!」

 

勉強の話が何故か将来の話になっている。このままでは宿題が終わらないと少し焦っていると

 

「明久君。美波ちゃんと優月さんはおいておいて勉強しましょう?」

 

瑞希がにこりと笑いながら言う。美波と優月の舌戦は治まる気配が無いし、ここは悪いけど勉強に集中しよう。僕は自分の鞄から課題のワークを取り出して瑞希に教わりながら問題を解き勧めるのだった。なお美波と優月の口論は父さんがご飯が出来たよーと言うまでの間延々と続くのだった……

 

 

 

 

ううう、ウチの馬鹿。思わず優月の喧嘩腰の口調に乗ってしまってそのまま口論になってしまって。結局瑞希1人勝ちの状況にしてしまった。ウチの反対側では優月もしまったという顔をしている。瑞希の作戦通りになってしまったのかもしれない。アキのお父さんが作ってくれた夕食も美味しいはずなのに、後悔が強かったせいか、あんまり味を覚えてないのがなんか嫌だった

 

「あー美味しかった。久しぶりに父さんの茶碗蒸しを食べたよ」

 

「ふふふ、ふーちゃんも大好きなんだよ。向こうは日本の食材が無いからあんまり作れないんだけどね」

 

食後のお茶を飲んでのほほんと話しているアキとアキのお父さんを見ていると、どうしても気になる事がある。それはアキのお母さんの楓子さんについてだ。

 

(どんな人だったんだろう?)

 

アキは凄い人と言うし、吉井さんはかっこいいとウチに似ていると言う。それだけではどんな人物なのか判らず困惑していると

 

「そうだねえ。ふーちゃんはねえ……簡単に言うと。番長だったよ」

 

はい?ウチや明久の目が点になっているのにも拘らず吉井さんは

 

「凜としててね、かっこ良かったんだ。女子生徒にも人気でねえ」

 

それってあんまり認めたくないけどウチに凄く似ている。校内のお姉様にしたい女子ランキングはウチが不動の1位。もしかするとアキのお母さんも似たような立ち位置だったのかもしれない……

 

「僕はずっと幼馴染で大人しくしている所しか知らなかったんだけどね」

 

それはあの……猫かぶりって奴じゃないでしょうか?かっこいいとか女子生徒にも人気があるとかって普通は隠しておきたい事だとウチは思う

 

「じゃあ吉井さんはいつ、楓子さんがかっこいい所を見たんですか?」

 

瑞希がそう尋ねると吉井さんは物凄くぽわぽわした顔で笑いながら

 

「ふーちゃんを倒して名を上げようとしている不良グループに攫われてねえ」

 

「「はあ!?」」

 

普通攫われるのと攫うほうが逆なんじゃ!?

 

「もう殴られるわ、蹴られるはで散々。ナイフまで持ち出してきて殺されると思ったところでね」

 

ごくりとお茶を飲む吉井さん。ごくりと唾を飲み込むウチ達

 

「バイクで廃工場に乗り込んできて、木刀で全員叩きのめしたふーちゃんが凄くかっこよくてね」

 

(((吊橋効果!?)))

 

吊橋の上で危機的状況になると惚れやすいと言うあれだったのでは?と言うかこの人もまともじゃない

 

「あの時はかっこよかったなあ。髪を振り乱して木刀で次々と叩きのめして、首を掴んで投げ飛ばしたり。木刀を素手で粉砕していくいくふーちゃん」

 

その状況を脳裏に浮かべるのだが、どう考えてもそれはかっこいいではなく怖いと思う状態だろう

 

「父さん。それはどう考えても鬼神か悪魔の類だよ」

 

「うん。ふーちゃんもそれを凄く気にしててね。僕から逃げるから……」

 

にこにこと笑いながら吉井さんは

 

「バイクを自転車で追いかけて海まで行ったよ」

 

この人は間違いなく普通じゃない。バイクを自転車で追いかけていくなんて普通は無理だ。

 

(追いかけられた方は怖いだろうなあ)

 

多分見ていた人も信じられないって顔をしていたと思う。

 

「んで夕日の見える海で付き合ってくださいってお願いしたんだよ。ふーちゃんは乱暴だよ?とか愛が重いよ?とか言ってたけど、そんなの全然どうでも良かったんだよねえ」

 

ふふふと笑う吉井さん。何と言うかとんでもないことをした夫婦だ。どっちもどっちだけど……

 

「し、知らなかった……父さんと母さんの結構の理由がそれなんて」

 

アキがショックを受けてるけど、確かにそれは衝撃的な理由だろう。まさか自分の父親が不良に攫われて、母親が助けて。それをきっかけに付き合ってくださいなんて普通は考えられない。なんともとんでもない出会いの話を聞いてショックを受けているウチ達

突然リビングの時計が音を立てる。時間を見ると8時を回った所だった

 

「遅くなっちゃったね。そろそろ帰らないと危なくなるから、少し待っててくれるかい?タクシーを呼ぶからね」

 

そう笑って電話を取ろうとする吉井さん。優月が慌てた様子で

 

「近くだからそこまでしていただくなくても」

 

走って帰れる距離だし、もし不審者が来ても充分迎撃できるとおもうと思っていると

 

「女の子なんだからね!無茶はしたら駄目だ!良いから大人しくまってなさい」

 

その口調になにも言えず、ウチ達は吉井さんの呼んだタクシーで家へと帰ることになった。タクシーの車窓から流れる景色を見ながら

 

(もしかしたらウチも頑張れば何とかなるかもしれない)

 

アキが何かで攫われるような事があれば助けに行こうと小さく心に決めた。アキを護るためなら多分ウチも同じことをしそうだなと思うと思わず苦笑してしまうのだった

 

 

 

 

翌朝空港には明久と輝彦がいた。直ぐ帰らないと楓子が怖いとのことで朝の飛行機で直ぐ戻る予定だったらしい

 

「じゃあ父さん元気で」

 

明久がそう笑う。高校生とは言え久しぶりに会えた父との会話は楽しかったのだろう。1部嫌な話もあったが……それを含んだとしても楽しかったのだろうか。このあと学校に向かわないといけないのだが、その顔はとても楽しそうだった

 

「そうだね。とりあえず玲のブラコンを直す方向で頑張るよ。いくらなんでも姉弟の結婚は認められないからね」

 

姉さんは父さんが来た初日に日本を経っている。僕のお仕置きするためだけに帰国。ブラコンもここまでくると笑える、無論恐怖でだが

 

「頑張って、本当にお願い。姉さんのブラコンを何とかして」

 

必死の表情の明久に任せておいてと笑った輝彦は季節はずれの麦藁帽子を抱えながら思い出したように

 

「今度僕と入れ替わりでふーちゃんが来るからね?」

 

「はい?」

 

信じられない言葉を聞いて停止する明久に輝彦はのほほんと笑いながら

 

「昨日メールしたら美波ちゃん達に会ってみたいんだって」

 

「ま、まままま!まって!母さんだよ!?とんでもない事になるじゃないか!?」

 

昨日の話を聞いて、更に母に対する恐怖を覚えた明久がそう叫ぶが、輝彦は穏やかに微笑みながら

 

「それは口実、最近テストの点が良いからご褒美を上げるって言ってたよ?」

 

「えっ♪」

 

ご褒美の言葉に笑みを零す明久に輝彦は軽く手を振りながら登場口に向かいながら

 

「ふーちゃんと玲が一緒に帰らないように善戦するからねえ!多分帰ってくる前にメールをくれるとおもうから部屋を掃除しておくんだよ」

 

そう笑って輝彦の姿は消えていった。明久は携帯を確認しメールが着てないのを確認してから

 

「今なら2時間目に間に合うよね、急いでいこう」

 

かばんを抱えて空港を後にし、タクシーで文月学園に向かったのだった。そして飛行機に残りこんだ輝彦は

 

(ふーちゃん。あれで明久のことをとても大切にしてるからなあ。大丈夫かな?)

 

厳しい性格で自分の息子に勘違いされている楓子の事と明久の魔王との邂逅を考え、その事に若干の不安を覚えるのだった

なおその頃文月学園では輝彦のお土産の黒魔術の本をマスターした翔子が

 

「……この札で私と雄二の中身を入れ替える。そうすれば私が幸福になれる」

 

「まて。話し合おう……いや、無理だな。目が逝ってやがる。ならば「トラン○○」ッ!「ニガサナイ」

 

その黒魔術を使ってとんでもない方法で雄二を捕えようとしている翔子が大暴れしているのだった。明久が到着するまであと15分……

 

 

 

応用問題問16へ続く

 

 




次回は危ない黒魔術をアレンジした番外編になります。魔王なヒロインと雄二達の中身が変わればどうなるか?
簡単です。捕食エンドになるわけですね、そのルートで面白おかしく書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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