バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は「明久の日常2」とここ最近の明久の近況をテーマに書いてみようと思います
各魔王との話にしようと思いますのでどうか今回の更新もどうかよろしくお願いします



応用問題問13

 

 

応用問題問13

 

美波と帰る約束をしていて昇降口に来た僕が見たのは、霧島さんの美しいフォームから放たれたガゼルパンチで鼻血を噴出しながら空を飛ぶ雄二を見た。その後雨の中引きずれて行く雄二がとても可哀想に見えた

 

「あ、アキ、傘忘れちゃったんだけど……」

 

さすがにこの大雨で傘を持たせずに返すわけには行かないと思い鞄を探すと、折りたたみ傘があったので

 

「じゃあ僕はこれを「アキ。あっち」

 

美波に後ろを指差され振り返った瞬間

 

「シッ!!!」

 

バキィッ!!

 

鋭い気合の声と何かの砕ける音がする。信じられない……僕の手だけを回避して傘を裏拳で粉砕するなんて

 

「折りたたみ傘折れてるわね、この傘大きいからウチとアキの2人で入れるわね」

 

「でもさ?僕の家と美波の家は逆の方向だよ?」

 

途中までは同じ道だけど違うよ?と言うと美波は

 

「そんなの知ってるわよ。アキの家で傘を借りて帰るからいいわよ」

 

そう笑う美波。これは何を言っても無駄だと判断した僕は

 

「そうだね。じゃあ行こうか?」

 

「うん♪」

 

美波の言うとおりにするという選択肢を選んだのだった……

 

「こういうのできるのなら雨も悪くないわね」

 

上機嫌の美波。相合傘ってそんなに良い物なのかな?僕から見てだけど美波がすごく上機嫌に見える

 

「もうちょっとでアキの家ね。ちょっと時間も早いし勉強教えてあげようか?」

 

「うーん。僕としては教わりたいんだけどね。姉さんが居るからなぁ」

 

美波を連れていったら姉さんにお話されてしまうからなあ……

 

「相変わらず玲さんが怖いのね」

 

からかうように笑う美波に気まずい者を感じていると

 

パパーッ!

 

「わっ」

 

いきなりクラックションを鳴らしながら車が通る。咄嗟に美波の手を引くが時既に遅し

 

「きゃっ!コラー!!こんな狭い道をスピード出して通るなーッ!!!」

 

美波の怒鳴り声に振りかえるとそのポニーテールからは水が滴り落ちている。僕は電柱の近くにいたから電柱が水しぶきから僕を護ってくれたのだが……美波のほうはびしょ濡れで

 

「アキ?なんで顔が……」

 

美波が僕の視線に気付き、そして自身の視線をそらす。濡れたせいで透けている自分の下着を見て

 

「アキの……馬鹿ーッ!!!」

 

美波の顔がどんどん紅くなり、そして次の瞬間には

 

「ごめな……げぶう!?」

 

美しいまでのアッパーを顎に叩き込まれ僕は先ほどの雄二と同じように宙を舞ったのだった。なお濡れた美波をそのままにするわけに行かず家に連れて帰ったのだが、姉さんに関節を曲げられ、さらに美波の両親が葉月ちゃんを連れて出かけることになり、しかも

明日休みだから泊まっていくの美波の発言で僕は三途の川をメドレーリレーする事になるのだが、それはまったくの余談である

 

 

 

 

 

つい先日まで女子だと知らなかった秀吉こと優月とはやはり秀吉の時の話しやすさがそのまま残っていて、普段はとても話しやすくて気の合う友人だと思っているんだけど

 

「ふふふふふふ」

 

時折目視できるほどの黒いオーラを纏っていてすごく怖い。しかも同じく黒いオーラを展開出来る瑞希よりも遥かに濃い。おかしい、女子とわかった時はもっと優しかったのに……勿論今でも優しいけど!

 

「おーどんどん黒くなるなあ。どこまで黒くなるのか楽しみやで♪」

 

「はやてぇ。そう言うのやめようぜ?な?」

 

「面白いやん♪」

 

どうもはやて様が色々としているようだ、お願いだからあんまり魔王化させないで欲しい。主に僕の命の為にそう、僕の方向性は常にこれ【命は大事にだ】

 

「明久ァ?なんかイロイロと聞きたい事があるんだけどイイかな?イイヨネ?キョヒシナイヨネ?」

 

目がどんよりとしていてオーラが僕に伸びてきている。僕が知らない所で優月はとんでもない能力に覚醒してしまったのかもしれない

 

「質問するから。ハイかYESでOK?」

 

「YES……」

 

オーラに足をつかまれてぶるぶる震えながら頷く。ちなみに周囲の人間の姿はないとっくの昔に逃げ出してしまったようだ

 

(美波とかがいてくれれば……)

 

次は体育で移動授業だ。僕も着替えないといけないのだが、この段階で逃げる勇気は僕にはなかった

 

「美波と相合傘で帰った」

 

ちなみに優月は服の下に体操着を着込んでいたらしく、既に体操着姿だ。僕も着替えたいけどそんな事を言っている場合ではない

 

(気恥ずかしい)

 

正座しているので優月をしたから見ているのでなんとなく気恥ずかしくなり目をそらした瞬間

 

「こっち向く」

 

「へぼお!?」

 

首をつかまれ強制的に優月のほうを向かされる。これはあれだ、拒否権がないパターンだ

 

「美波と相合傘で帰った」

 

「イ、イエス」

 

優月の闇のオーラの出力が増した。完全に目視できるレベルになった

 

「濡れた美波を家に連れて帰った」

 

「い、イイイ……イエス」

 

闇のオーラのせいで机がぎしぎし軋んでいる。物質に干渉できるオーラぱないです

 

「じゃあ最後。美波家に泊めました」

 

何で知ってるの!?姉さんが遅いから止めてあげましょうって言い出した事を何で!?

 

「美波が自慢してきてから」

 

美波!お願いだから火薬庫にニトロを投げ込まないで!?

 

「で?返事は」

 

「ハエス」

 

「はいとイエスが混じるくらい混乱してるんだね」

 

くすくす笑い出した優月に心底恐怖を覚える。

 

「まぁいいや。今度私も家に泊めてよね?」

 

「えーと「返事ははいかYESだけね?」

 

オーラが僕の首にいいいい!?なにこのオーラ優月の意志で動くの!?もうこれ超能力だよ!?

 

「返事は?」

 

「ハ、ハハッハエスゥ……」

 

断れば命がないことを悟った僕は涙ながらに優月の要求を飲むのだった……

 

「じゃあ今度の終末に、じゃあ行こうか?」

 

殺気のオーラはどこにやらニコニコと笑う優月の笑みを見て。まあいいかと思ってしまうのだが

 

(姉さんになんて説明しよう?)

 

もしかしたら帰ったら殺されるかもしれない。僕は悲劇を想像して顔を青褪めさせるのだった……

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい。明久君」

 

「ううん。別に構わないけど、こんなに如何するの?」

 

図書室で本を借りたいんだけど、借りる本の数が多いので手伝って欲しいという瑞希のお願いで図書室に着たんだけど、本当に数が多かった。僕でも持ちきれるかな?と言う数の本だ。瑞希で持てないのは当然だろう

 

「イロイロと調べ物をしたくて」

 

なんだろう?急に寒気を感じる。その色々が何なのかが気になるけど聞くと良くない事になりそうなので黙っておこう

 

「そんなに怯えた顔をしなくても大丈夫ですよ?」

 

「え?そんな顔をしてる!?」

 

僕が慌ててそう尋ねると瑞希はいいえと笑いながら

 

「冗談ですよ。冗談」

 

「あはは。そうなんだ。良かった」

 

まさか瑞希がそんな冗談を言うとは、でもこういうやり取りが出来るのは楽しいなあ……

 

「おっと」

 

携帯のメール着信音がして立ち止まると同時に、手にしていた貸し出し袋が破ける。さすがに入れすぎたんだ

 

「あわわわ!?」

 

瑞希が慌てている、もしかして高価な本なのかな?と思い落ちている本に手を伸ばす

 

「え?」

 

よく判る薬の組み合わせ、人心掌握術編

 

黒魔術 入門編

 

黒魔術 上級編

 

法律に引っかからない薬品

 

洗脳術 意中の相手を洗脳してしまえ

 

料理を始めよう 中華編

 

「み、みみみみ……瑞希?」

 

後ろから頭を鷲づかみにされ振り返る事ができない。それに足ががくがくと振るえ今にも倒れこみたい気分だ

 

「明久君は何も見なかった」

 

「え。えーと」

 

ちらちら止めに入る、黒の表紙が気になりどうしても瑞希の顔を見れない。と言うか振り返りたくない

 

「明久君は何も見なかった」

 

繰り返し言う瑞希。窓ガラスに映る瑞希の目は濁りきっていて物凄く恐ろしい

 

「うん。何も見てないし、覚えてないから大丈夫だ」

 

僕は逃げることを選んだ。誰だって命は大事だからだ。さっと拾ってかばんの中に入れる瑞希は

 

「そうだ。明久君。今日は一緒に帰りましょうか?」

 

尋ねてきている口調だが、これは拒否できる者ではない。なぜなら肩に置かれた手がとんでもない力を発揮しているから

 

「うんいいよ。だけど夕食の買出しもあるから寄り道するけどいいかな?」

 

「それでしたら、私も一緒に買い物します」

 

あー多分これは家までついてくるパターンだ。とりあえず携帯を取り出してメールを見ると

 

【残業なので帰るのが遅れます。夕食はアキ君だけでどうぞ】

 

神様ありがとう!これで家に帰っておしおき直行はありません!僕は心のそこから神様に感謝しながら

 

「それじゃあ行こうか?」

 

「はい!」

 

嬉しそうに笑う瑞希と一緒にFクラスに戻り。帰り支度をしてから近所のスーパーに足を向けたのだった……

 

 

 

 

 

 

瑞希達に用事があり、1人でぶらぶらと帰っていると

 

「アキ君。奇遇ですね!一緒に帰りませんか?」

 

「うん。奇遇って言うのは難しいと思うんだよね?みーちゃん」

 

「はて?何のことでしょうか?」

 

本当に訳が判らないという表情をしているみーちゃんに

 

「あのさ?これ違う?」

 

何度も何度も投擲されてきたシャーペンを見せる。さっきのぶらぶらと言う表現は正しくない、なぜなら僕はそのシャーペンに追い掛け回されここに来たのだから

 

「こ、こここ!小暮ーッ!!!!

 

みーちゃんの怒鳴り声が響くが周囲から反応はない。いやあった事はあった

 

「はっ!」

 

僕の足元に突き刺さったシャーペンには手紙がくくりつけてあり

 

【雅をよろしくお願いします。あとシャーペンは雅にでも預けて置いてください 小暮】

 

その手紙を見ながら僕はみーちゃんに

 

「友達少し選んだほうが良くないかな?」

 

「うう……普段はいい子なんですけどね」

 

そうなんだ。僕の中では小暮先輩って物凄く怖いイメージしかないんだけど。直ぐ監禁とか薬とかって言い出すし

 

「まぁ今度怒っておきますので途中まででいいので帰りましょうか?」

 

「うん。それは別に構わないけど……」

 

ちらりと周囲を見る。映画とかで見るSPとか言う人らしき黒服の人たちが見えるのは言わないほうがいいよね

 

「それでは行きましょうか!」

 

凄く嬉しそうに笑うみーちゃんを見ているとそんな事を言うのが悪いような気がしてくる。年上なのに子供っぽい幼馴染と歩きながら

 

「でもさ?僕の家とみーちゃんの家って逆方向じゃない?」

 

「問題ありません。車を呼びます」

 

みーちゃんの家のドライバーさん。ごめんなさい……きっと学校の近くで待ってくれていたんですよね?顔も知らないドライバーさんに心の中で謝っていると

 

「アキ君は進級できそうですか?」

 

「んー何とか行けるかもって感じかな?」

 

美波とか龍也達のおかげで何とか留年はないかもしれない。それに最近は鉄人にもこう褒められた

 

【成績が少しずつだが上がってきているな。このままで頑張れよ】

 

そう言われると嬉しいし、何より皆と一緒に進級したいという気持ちもある。このまま何とか進級できるように頑張るよと言うと

 

「……お父様の仕事の都合で出席日数ギリギリですし……ここは留年するというのも……いやしかしですね……」

 

なんかぶつぶつ呟いているみーちゃんが凄く気になるけど、何も言わないで置こう。藪を突いてなんとやらだ

 

「それじゃあ、アキ君!私は急用を思い出したのでこれで!では!」

 

よしっと呟いてから急に走り出したみーちゃん。結局家の前まで来てたけど、凄い勢いで逆送していく

 

(一体何を閃いたのかな?)

 

みーちゃんが閃く事といえば大概ろくでもないことが多いんだけど……大丈夫かなぁ?

 

(まぁわざと留年するような事はないよね)

 

みーちゃんは高城グループの次期総裁らしいし、私情で留年するような事はしないよねと思いながら僕は家に戻るのだった。だけど僕はみーちゃんと言う存在をかなり甘く見ていたらしい、まさか家で

 

「アキ君と同じクラスになりたいので留年します」

 

「み、雅?お前は突然何を?」

 

「駄目でしょうか?お父様?」

 

留年の許可を取ろうとしているとは誰も想像出来なかったのである……

 

 

 

 

「ただいまー」

 

どうせ誰もいないんだけど習慣になっているからただいまと言うと

 

「おかえりなさい。アキ君」

 

「姉さん!?何でいるの!?」

 

おかしい母さんと父さんに呼ばれて1度日本を離れると一昨日言ってたのに!?

 

「当然でしょう?アキ君を1人にするほど姉さんは愚かではありませんよ?」

 

姉さんはそう笑うと僕の顔をジーと見る。何を見ているの……

 

「ふむ。雅ですね」

 

何で判るの!?そして何で慣れた手つきでメリケンサックを装備しているの!?

 

「私ははやてさんとの話し合いで新たな能力に目覚めました」

 

「能力!?能力って何!?」

 

姉さんがどんどん人外になっていくのはもしかしなくてもはやて様のせいなのか!?と言うか本当にお願いだから僕の周囲の人間を魔王化しないで、お願いだから

 

「家に優月さんの気配、それに洗濯してあるアキ君の服に瑞希さんの気配。そしてアキ君に雅の気配。トリプルプレーですが、何か言いたい事はありますか?」

 

光りのない目で僕を見つめる姉さん。僕は鞄を置いて、その場に正座し

 

「両腕だけはカンベンシテクダサイ。夕食に関わるので」

 

「いい覚悟ですアキ君」

 

メリケンサック同士を打ち鳴らす姉さんを見て僕は

 

(母さんか父さんでもいいから帰ってきてくれないかな?あっ、出来たら父さんが良いや)

 

僕とよく似ている父さんの方が話しやすいやと思いながら

 

「覚悟は出来ましたか?」

 

できてないけど我慢するしかないんだよね?僕は大きく振りかぶられた姉さんの拳を見て強制的に覚悟を決めさせられる事になるのだった……

 

「駄目!メリケンサックでボデイは駄目エエエええ!!!ふぐおううう!?」

 

無言で拳を叩きこんでくる姉さんの顔を見て、暫くこのことを悪夢で見そうだと思いながら、僕の意識はブラックアウトしていくのだった……なお姉さんはこのためだけに日本に来たらしく、Uターンで空港へと向かったらしい、手紙を見て

 

「何をしているのさ。姉さん」

 

態々このためだけに日本に帰ってくるなんて、何を考えているのだろうか?僕にはその考えを理解出来ず、とても複雑な気分になるのだった

 

「あー日本は久しぶりだなー」

 

その頃空港では、明久をそのまま大きくしたような顔つきの青年が日本の地を踏みしめているのだった

 

「ふふふー明久は元気かなー、玲には良く会うんだけどね」

 

この青年は言うまでもなく明久の父親なのだが、その雰囲気は明久の2.5倍ぽやぽやしたものだった……

 

「明久大丈夫かなあ」

 

玲と良く会っているので玲が変化している事を理解している。明久の父は心配そうにそう呟き空港のタクシーに乗り込んだのだった……

 

応用問題問14に続く

 

 




次回は明久のお父さんが出てきます。オリキャラになっていますが、基本は明久をパワーアップさせた者だと思ってください
天然さとかですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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