バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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今回は未来の召喚獣の話ですが、全然違う流れにしようと思います。ええ、色々とふざけてみようとおもうのです
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


応用問題問10

 

 

 

応用問題問10

 

幾何学模様の中から現れた明久の未来をシュミレートした召喚獣はエプロンを身につけ、その手に鍋を手にしていた。そして俺達を見ると鍋を机の上において

 

『やれやれ、作る量が増えたね。まだ材料あったかな』

 

そう言って幾何学模様の中に戻ろうとするので

 

「「「ちょっと待てええええ!」」」

 

いかん。この召喚獣が何を考えているのか判らず、そう怒鳴り呼び止めると

 

『ん?何?鳥鍋は嫌い?困ったな、魚しかないんだけど』

 

「「「ちがう!何もかも違う!!」」」

 

心底不思議そうな顔をしている召喚獣と何とか交渉し、その場に座らせる

 

「えーと一応聞くが、お前は明久の将来の姿でいいんだよな?」

 

『そうだよ?いやあー懐かしいねえ』

 

エプロンで手を拭きながら、のほほんと笑う召喚獣を見て

 

「なんか明久。お前馬鹿になってないか?」

 

龍也の呟きにはやてさんが何を言ってるや?と呆れ顔で

 

「兄ちゃん。元々や」

 

「そうだったか?でもなそれよりも更に馬鹿そうなんだ」

 

龍也がそう言うのは無理もない、なんか未来の明久は今よりももっと馬鹿っぽい雰囲気をしていた

 

「えーとえーと。そうだ!今から3年後僕は何をしてるの!?その格好はなに!?」

 

再起動した明久がそう尋ねると未来の召喚獣は

 

『んー?主夫してるよ?毎朝お弁当作って、家事して、いってらっしゃいを言う幸せな暮らしをしているよ』

 

いってらっしゃい?……今いってらっしゃいって言ったよな?俺だけではなく島田や姫路もその事に気付き

 

「結婚してるんですか!?誰と!誰となんですか!?」

 

「早く!教えて!今すぐに!」

 

「早く!明久!早く答えて!!」

 

「お願いしますから教えてください」

 

ん?おかしい違う声が1人……ピンクの髪・ポニーテール・ふわふわの茶髪・黒のロングストレート

 

「なんであんたがいる!?高城!?」

 

居ないはずの高城雅がいることに驚きそう怒鳴ると

 

「第六感が告げたのです。ここで素晴らしい物が見れると!」

 

駄目だこいつ。完全に手遅れだ……それに召喚獣の奴は

 

『んー美波だよ?美波。それに結婚じゃなくて同棲ね』

 

「僕は3年の間に何が合ったの!?なんで美波と同棲してるの!?って待って!関節技は嫌アアアア」

 

無言で間接を決められて転がされ、関節を極められて絶叫している明久の絶叫に俺はそれはこっちが聞きたいと突っ込みを入れたのだった

 

 

 

関節技でボロボロになりつつも何とか回復した僕は、座りなおして召喚獣を見つめる、召喚獣はうーんと唸りながら、僕を見て奥のほうでよしっとガッツポーズをしている美波が見える

 

『色々合ったよ。うん色々ね?』

 

不安になる事しか言わない召喚獣に僕はまずは目先の不安の

 

「僕はちゃんと卒業できたの?」

 

卒業できたのかどうなのか?と言うのを尋ねる。召喚獣はああっと頷いて

 

『それは全然大丈夫。瑞希とかみーちゃんが勉強を教えてくれたからね。3年になると補習も殆どないしね』

 

そうなんだ……でもそれで補習とかがなくなる代わりに心労が増えそうな気がするのは気のせいだろうか?

 

『まぁその代わりに休みは絶対に買い物とか付き合う約束だったし、偶に美波とかに殴られてたよ。「ウチにも聞きなさいよ」って優月はあれかなあ……黒い目でずっと見てたかなあ……いや懐かしい』

 

はははと笑う召喚獣。雄二はそれを見て小声で

 

(お前どんどん魔王に適応していくみたいだな)

 

かもしれない……いや別にいいんだけどさ、僕みたいに何の取り得もない馬鹿を大切に思ってくれてる人がいるなら、それが魔王でも悪くないって思うのだから

 

「あ、あの!アキ君、さっきの事で聞きたいのですが、何で島田さんと同棲してるんですか!?」

 

みーちゃんの言葉に瑞希が頷いている。確かにそれは僕も気になっていた。何で僕は美波と同棲してるんだ?召喚獣は暗い顔をして

 

『ね、姉さんにね?襲われてね?もうあの家で暮らせないと思って今は1人暮らしをしてるんだ、ちゃんと父さんと母さんにも話をしてあって……姉さんは父さんと母さんの付き添いが無いと僕に会っちゃいけないことになってるんだ』

 

「未来の姉さんは僕に何をしたの!?」

 

父さんと母さんがそこまでする。一体姉さんは僕に何をしようとしたんだ?

 

『聞くの?それを聞くの?未成年なのに?トラウマになるレベルなのに?女性恐怖症になってもおかしくない……「いい!言わないで聞きたくない!!!」

 

まだ僕の中では姉さんは姉さんだ。未来で姉さんがやるかもしれない犯罪行為については聞きたくない……

 

『うん。それがいいよ……それで今は美波と同棲してるんだよね。毎朝ご飯作って、仕事に行く美波を見送るのも楽しいよ?偶に葉月ちゃんとかも遊びに来てくれるしね?』

 

「いやいや!何で同棲してるのさ!アウト!!!アウトーッ!!!!」

 

この召喚獣はアウト過ぎる。今の僕が好ましいと思っている居場所を壊す奴だ!

 

「……明久は3年で魔王の配下に下ってしまうわけだな」

 

「まぁ良いんじゃねえか?なぁ」

 

僕の肩をポンっと叩くムッツリー二と雄二。龍也を見ると?

 

「?」

 

不思議そうに首を傾げている。ああ……そうか龍也はいつも同棲しているような物だから……とりあえず今僕の出来る事は

 

「ふふふふ……美波ちゃん?美波ちゃんが同棲……1人勝ち?ふふふふふふふ」

 

「違う、違う違う……そんな未来は認めない……」

 

「……今ならばまだその未来を矯正出来る……小暮の力を借りるときがきたようですね」

 

どんよりとした黒いオーラを纏っている瑞希達。それとは対照的に

 

「やったウチの勝ち」

 

余り見たことのない白っぽいオーラの美波。皆が我に帰る前に逃げようと思い鞄を取ろうとすると

 

「アキ。今すぐもう1度召喚獣を召喚しなさい」

 

僕の肩を掴む美波。どうも逃走に失敗したようだ……いやわかってたけどね?逃げれないって

 

「試獣召喚……」

 

僕が涙ながらに召喚獣を呼び出すと

 

「「「あ、あれ?」」」

 

さっきと姿の違う召喚獣が姿を見せた。さっきの召喚獣は普通のジーンズにTシャツにエプロン、そしてぼさぼさ頭だったが

 

『ん?どうして。ああ、良い何も言わないで直ぐに考える』

 

「「「なんか理知的になってる!?」」」

 

黒いスーツにしっかりと整えられた髪。そして眼鏡……なんか凄く賢そうに見える

 

「アキなのよね?」

 

美波の信じられないという感じの声に召喚獣は

 

『ええ。吉井明久ですよ、とは言え近日のうちに高城明久になりますがね』

 

「「「「はああああッ!?!?」」」」

 

「YES!やはり私とアキ君は結ばれる運命に」

 

Fクラスが混沌とした空気になる。僕も当然混乱していると今まで黙り込んでいた龍也が

 

「明久。召喚獣をリセットして呼びなおせ」

 

僕は龍也の言葉に従い、アウトと叫び再び試獣召喚を叫んだ

 

 

 

 

三度現れた召喚獣はまた違う姿をしていた。柔らかい印象を受けるカジュアルスーツにふわふわとした笑みを浮かべている

 

「今お前は何をしている?」

 

私がそう問いかけると召喚獣はにこりと笑い

 

『はい。木下優月のマネージャーをしていますが?』

 

その手にしている書類を見ながら言う召喚獣。ふむ、この未来は優月と結ばれた未来か

 

「明久、リセットだ」

 

私の予想が正しいのなら多分……

 

「うん。アウト!試獣召喚!」

 

今度現れたのは私服姿で、かばんを脇に抱えている大学生風の召喚獣だ

 

「今お前は何をしている?」

 

『文月大学の3期生だけど?瑞希と一緒だから勉強も楽しいよ』

 

今の明久からは信じられないことを言う召喚獣。進歩するという事かもな

 

「ありがとう。明久リセットだ」

 

「うん。アウト」

 

召喚獣が消え去ったFクラスそしてどういうことか判らないと混乱している美波達に

 

「未来なのだから当然だろう?色んな可能性があるということだ」

 

そもそもいくらジェイルでも特定の未来だけ特定する事なんて出来ない。可能性未来を全てシュミレートしたんだろう

 

「えーと、つまりあれは全部可能性ってこと?」

 

明久の言葉に頷きながら大体、未来なんて何をきっかけに変わるかもしれない。未来ほど不確定なものはないのだから

 

「未来が確定してたら面白くないだろう?そう言うことだ」

 

なるほどと納得する素振りを見せる明久と若干の落胆の色を見せる美波達を見て

 

「まぁ遊びくらいには使えるんじゃないか?翔子・愛子」

 

さも当然のように気配を殺している2人にそう声をかける

 

「「なにい!?」」

 

康太と雄二の肩を掴んでいる2人にそう声をかけ、椅子に座りなおしていると美波と瑞希が私の方を見て

 

「龍也は召喚しないの?」

 

「ええ。気にならないんですか?」

 

召喚しても意味がないんだよ。私は本当は24だから、それに進む将来も判ってるしな。それははやてやヴィータも同じで、いつもの騒がしいやり取りを見ながら笑っている

 

「まぁ未来に興味はないということで妥協してくれ。それに今から面白いものが見れるぞ?」

 

私の視線の先には締め落とされる寸前の雄二と康太がいる。命の為に2人は召喚獣を呼び出すだろう、きっと明久と同じくらい面白い事になるぞ?と言うと

 

「そうね。じゃあ見てこようかしら?」

 

「それに私も後で召喚獣を出してみたいと思いますしね」

 

そう笑う美波達を見て私は小声で

 

『高校生って言うのはこういうものなのか?』

 

『知らん』

 

『私そもそも学校行った事ないですし』

 

『私は訓練校でしたしね』

 

それを言えば私は中卒だな……うーむ……やっぱりと言うか

 

「「「私達って青春を無駄にしてる」」」

 

思わず切なくなりそう呟くのだった。まぁ魔法なんてものに関わっているのだから、まともじゃないと自覚はしているが、かなり切なくなった……そしてそれと同時に幾何学模様が浮かび上がり、康太の召喚獣が姿を見せるのだった……

 

なお雄二はFクラスの片隅で

 

「ぬおおおおお!!!!」

 

「……早く召喚獣を呼び出して」

 

翔子にアイアンクローをされつつも召喚獣を出す事を拒み続けていたのだった……

 

応用問題問11に続く

 

 




次回は雄二・康太の召喚獣をメインに持ってきます。この話だけで色々とやりたい事があるので出し切りたいと思います

はじけても良いとおもう。それが自由なのだから!シリアスとかヤンデレばっかり書いてるけどギャグを書くほうが楽しいですからね!と言うわけで次回は今回以上にはじけようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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