バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

129 / 158
どうも混沌の魔法使いです。今回の話は「10.5巻」の僕と未来と召喚獣の話をしようと思います。これが終われば今私の考えている話は終わりなのでリクエストとかを募集しようかなあとは思っていますが、まだ未定なのでこれが終わるまでは待っていてくださいね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


応用問題問9

 

 

応用問題問9

 

それはある昼下がりの事だった。生徒達の進路希望の1回目の提出日の期限が近づいてきているそんな忙しいときに

 

「学園長!面白いものを開発しました!」

 

「またかい?」

 

この教頭は確かに教師としても開発者としても優秀だが、どこかずれている。今も子供のような顔をしてフロッピーを差し出してくる

 

「今度は何を開発したんさね?」

 

まぁ話くらいは聞いてやるかと思い、ペンを脇において訪ねると

 

「ええ。今度は子供の召喚獣の発展系として考えてみたんですよ。今の学力・容姿・人間関係を分析し10年後の予想をするんですよ」

 

ほう……それはまた面白い物を考えたね。しかも今のこの進路希望の時期には良いかも知れない

 

「その予想の的中度は?」

 

あたしがそう尋ねると教頭はにこにこと笑いながら

 

「5割程度ですかね?10年と言う時間は色々と考える時間になるので、半分ほどですかね?」

 

5割程度か……それでも充分といえば充分さね……

 

「1番進路希望の提出が遅れてるのは……」

 

どうせシュミレートするなら1番提出が遅れているクラスで良いさね……

 

「……やっぱりかい」

 

1番提出が遅れているのはFクラス。いつも通りと言うかやっぱりと思う。

 

「じゃあテストに行くかい?教頭」

 

「ええ!行きましょう!」

 

嬉しそうに笑う教頭を連れてあたしは旧校舎に足を向けたのだった……

 

 

 

 

 

「「うーん……」」

 

僕と雄二が進路希望の提出表を見て唸っていると

 

「どうしたのよ?難しい顔をしちゃって」

 

「珍しく真面目な顔をしてるよね?どうかしたの?」

 

「何かあったんですか?」

 

若干心配そうな顔をして尋ねてくる美波達。僕が返事を返す前に

 

「進路希望の調査票で悩んでいるのさ、明久も雄二も康太もな」

 

いつも通りの黒いコートに紅茶のペットボトルを片手に笑う龍也。瑞希はぽんっと手を叩いて

 

「ああ、今日貰ったあれですね?進路希望調査票」

 

「そうそう。とは言え中々難しいでしょ?」

 

進路なんてそう簡単に決まるものではない、まだ1年あるし、それに文月学園は新学校だから普通に進学するのが普通だ。

 

「雄二は普通に進学するんじゃないの?私はそう思ってたけど?」

 

優月の言葉に雄二は青い顔をして

 

「俺は大学に進学と同時に何故か翔子と婚約する事になっているんだ。だから翔子と同じ大学には進学したくないんだ」

 

それはもう諦めて魔王の配下になればいいのに、霧島さんは少し嫉妬深いけど料理も裁縫も得意なのに

 

「龍也達は如何するの?」

 

「私達は全員就職だ。もう提出済みだ」

 

「そうそう、私達は進学よりも就職やね?」

 

龍也達は就職なのか、少し意外なような気もするなあ。

 

「明久君は何を悩んでいるんですか?3つまでだから進学2つと就職先1つでいいじゃないですか……永久就職でも良いんですよ?」

 

小声の瑞希の言葉は無視しよう。これでまた魔王対戦とかが始まった考える時間がなくなるから

 

「俺と明久。それにムッツリー二は15個まで書かないと駄目何だ」

 

「「「多すぎじゃない!?」」」

 

美波とかの突込みが突き刺さる。うんそれは僕達も思っている。こんなに多いのは僕達が普段問題ばかり起こすからだろう

 

「ふむ。それは中々に大変そうだな、話くらいは聞いてやろうか?」

 

「助かるよ。龍也」

 

こういう時に龍也は非常に頼りになる。相談に乗ってくれるし、親身になって案を出してくれるのでとても助かるが

 

「「「ジー……」」」

 

魔王の視線が集中するのだけはどうしても慣れない。まぁその内こっちに混じってくるのは確実だからそんなに気にする事はないんだけどね

 

「そう言うときはアキがなにをしたいかで考えれば良いんじゃない?」

 

「ふむ。正論だ、やりたいことをなすべき方法を考えるほうが確実だろうな。優月みたいに演劇関連と決まっているなら悩む事もないしな」

 

優月は演劇に進むともう決まっているんだよね、そう言うのはいいなあ……

 

「明久君は何をしたいんですか?そう言うので考えれば良いじゃないですか?……永久就職も選択肢ですよ」

 

だからその永久就職を選択肢に出すのを止めてほしい。進学よりも遥かに重い問題なのだから……

 

「漫画かゲームかな?僕が好きなのは?」

 

僕がそう言うと近くに来ていたはやてさんが

 

「駄目人間やな」

 

「ゲームで生きてはいけないぞ?」

 

余りに鋭い言葉に涙をこぼしそうになる。2人の言葉は確実に僕の心を抉ってくれる。さすがは魔王様と言うところだろうか

 

「漫画家か……明久って絵上手だったけ?」

 

「へたくそです」

 

絵心は極めて低い、とてもじゃないが漫画家になる事なんて出来そうにない

 

「じゃあゲームデザイナーやな?明久はPCの操作は出来るんか?」

 

「……出来ません」

 

ネットとかは見るけど、とてもプログラムとかは作れそうにない

 

「無能ですね。生きている価値がない、美波とかに貰ってもえば良いじゃないか?料理と裁縫で主夫になりなさい」

 

「もう!セッテったら!冗談でもそんな事を言わないでよ」

 

「そうですよ!セッテさん」

 

「でもそれも良いかもね。選択肢に上げてみてよ」

 

盛り上がっている。僕を無視して盛り上がっている……最終的に主夫に到達する男子高校生ってどうなんだろう?

 

「まぁ良いんじゃないか?美波とかの方がお前より稼ぎそうだ」

 

「ううう……まさか龍也にトドメを刺されるとは思わなかったよ」

 

まさか龍也までが主夫ルートに賛成するなんて……僕がショックを受けていると

 

「冗談はそれくらいにして真面目に相談に乗ってやったらどうだ?」

 

「私は充分真面目なのだが?」

 

「……龍也がボケに回るのは珍しい」

 

不思議そうに首をかしげている龍也を雄二とムッツリー二が見てそう呟く。しかし立場的には同じはずだ

 

「雄二はなんて書いたのさ?見せてよ」

 

「うん?そうだな、俺は」

 

雄二が紙を僕に渡す前に

 

「……こんな感じ」

 

『お婿さん・旦那さん・おしどり夫婦・新婚さん・霧島雄二……』

 

書いてある物を読み上げる。それを霧島さんに返しながら

 

「雄二も覚悟を決めたんだね?良い事だと思うよ」

 

雄二の魔王の配下に下りたんだと思い肩を叩く。美波達も

 

「なによ坂本。もう進路決まってるんじゃない」

 

「まったくだね、人の事を羨ましいとか言っておいて」

 

「式には呼んでくださいね?」

 

「学成婚は気つけよ?」

 

「お前ら判って言ってるだろ!?」

 

雄二の怒鳴り声に僕達は笑いながらそうだよ?と返事を返したのだった……

 

 

 

 

畜生。いつの間に……知らないうちに俺の進路調査票を書き込んでいた翔子に心底驚いた

 

「翔子ちゃん。来ていたんですね?」

 

「……うん」

 

そして翔子が現れた事に何の疑問も抱かない姫路達にも驚く。もう完全に慣れてやがるな

 

「んで?何をしに来たんだ?翔子?」

 

「……私の進路について調べに来た」

 

ここで表情を変えず言い切る翔子が実に恐ろしい、そして

 

「こういう時の行動の早さには驚くぞ……何を考えているんだ?」

 

「……私の幸せ」

 

完全に言い切る翔子に何と言えばいいのか判らず停止していると。俺と翔子を見ていた島田達が

 

「なるほど、坂本が悩んでいたのは翔子にばれないようなのにね」

 

「別にいいじゃないですか、翔子ちゃんは良い子ですよ?」

 

「翔子は尽くすタイプやで、雄二とは相性が良いとおもうで?」

 

「ええ。お前には勿体無いほどに翔子はいい子ですよ」

 

翔子を絶賛する魔王軍団。そして翔子もまんざらではない顔をしているし、更に

 

「雄二。僕は君の決断を祝福する」

 

「……勇者雄二に敬礼」

 

「勉強頑張れよ」

 

良い顔をしている明久達にも苛っとするがまずは翔子だ。勝手に記入した進路票を大事に抱え込んでいる翔子に

 

「まずはそれを返すんだ。俺はお前に俺の進路を教える気はない」

 

「……雄二如何してそんな悲しいことを言うのッ!!」

 

ドスウッ!!!抉りこむようにそして迷う事無く俺のレバーを打ちぬきに来た翔子。ガードも出来ず床でのた打ち回っていると

 

「お前ら何をしているんだ?特に坂本?」

 

鉄人が教室に入って来てそう言う。もう少し早くて来てくれればいいものを

 

「今進路相談の話を聞いているんですよ。西村先生」

 

「明久君達が相当悩んでいるようなので」

 

龍也と姫路がそう言うと鉄人はのた打ち回っている俺と、島田と優月に話を聞いてもらっている明久を見て

 

「今世紀中に終わればいいんだがな」

 

なんて無礼な教師なんだ。教師と言うのなら相談くらい乗ってくれてもいいじゃないか

 

「まぁ冗談は置いておいてだ。進路についての相談になら進路指導室で聞いてやるぞ?」

 

「「「???」」

 

何を言われたのか理解出来ずに首を傾げていると鉄人は呆れたように溜息を吐き

 

「進路指導室だぞ?」

 

もう1度そう言う鉄人に俺達は漸くあの部屋の本来の用途を思い出した

 

「あ、そっか。あの部屋ってそう言う使い方もあるんだっけ?」

 

「拷問と補習の他に進路を指導する側面もあったとはな」

 

「……予想だにしない利用方法」

 

俺達がそう呟いていると鉄人は深く溜息を吐き

 

「あの部屋の名前を何だと思っていたんだ?お前達は?」

 

まぁ俺達が馬鹿をやった聖で、色々と悪いイメージしかなかったとしか言いようがないなと苦笑していると

 

「西村先生。進路相談ってどういうことをしてくれるんや?」

 

「希望する進路に対して、具体的なアドバイスや、進学先そして就職するために必要なことを教えてやれる」

 

ほう。鉄人もそう言うことが出来るのか、正直言って以外だなと思っていると

 

「まぁどうせ、方向性も何も決まってないんだろう。それならば皆と話し合って考えを纏めるといい。困った事があれば聞きに来い」

 

そう言って出て行く鉄人を見送っていると、入れ違いで

 

「話は聞かせてもらったよ」

 

「あ、学園長……」

 

ババアが教室に入ってこようとした。明久は素早く

 

「さようなら」

 

勢いよく扉を閉める。俺は即座に親指を立てて

 

「良い反応だ。明久」

 

「……グッジョブ」

 

「本当に無礼な連中だね。あんた達は!あんたもあんたで笑ってるんじゃないよ!」

 

学園長の後ろには博士がいて

 

「あははは!最高!明久君の反応は最高だよ」

 

と楽しそうに笑っている。それを見て俺は激しく嫌な予感を感じるのだった

 

「さてと私から説明させてもらうよ!前の子供の召喚獣を覚えているかい?」

 

楽しそうに笑いながら言う博士に頷くと博士は

 

「今度はそれを進化させて大人にさせてみる事にしたんだよ。今の君達から約10年ほどの未来をシュミレートしてみたんだ」

 

未来のシュミレート。またとんでもない事をしてくれるな、博士は

 

「召喚者の未来をシュミレートするんですか?」

 

「正しくは占いに近いさね。性格とか学力を考慮して、考えれる中で最も可能性の高い未来を出現させるのさ」

 

となると外れる場合もあるわけか……だけど面白いかもしれないな

 

「それに明久君達の性格を加味してあるからね。その進路を選択した際に抱く反応や感想をいうように設定してあるんだ。きっと進路を考えるのに良いとおもうよ」

 

そう笑う博士。確かに進路に悩んでいる俺達にはいい物なのかもしれないな

 

「今のアキにはちょうどいいんじゃない?」

 

「そうだね。渡りに船って言うやつじゃない?」

 

島田と優月の言葉に明久はうーんと悩んでいる。召喚獣の暴走の事を考えているのだろう

 

「不要になったらアウトと言えば消えるようにしてあるさね。何かあればそれで対処してくれればいいさね」

 

学園長はそう言うと博士と共にFクラスを後にした。残った俺達は

 

「まずは私が試そうか?」

 

龍也がそう言ってくれるが、龍也の点数だとかなりの力を持つ可能性がある、ここでの適任は

 

「いいよ。僕がやるよ」

 

明久が前に出て召喚獣を呼び出した、それはエプロン姿の20代前半と言った感じの明久の姿だった……

 

「主夫になっているの!?」

 

明久の絶叫がむなしくFクラスの天上に吸い込まれるのだった

 

 

応用問題問10へ続く

 

 




次回は勿論大人の召喚獣がどういう行動をするのか。そして何故エプロン姿なのか?色々と気になるところはあると思います

どういう暮らしをしているのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。