バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は覚えておられないかもしれませんが、本編でへそを曲げた優月の機嫌を直すために明久が誘った遊園地の話になります。今回は準備編と言うことでこっそりと計画する明久だけど、魔王にばれる感じでお送りします。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


応用問題問6

 

 

応用問題問6

 

「えーと待ち合わせの時間は……っと」

 

明久に誘われている遊園地に行く日は決まっているので、待ち合わせの時間の打ち合わせをメールでしながら丁度良い時間を考える。なぜ顔を見合わせてしないのか?と言うと

 

(絶対邪魔が入るもんね)

 

教室でこんな話をすれば美波と瑞希に邪魔をしてくれと頼んでいるような物だ。だからこうして家でしかもメールでやり取りしている。少し考えて

 

『8時くらいに駅前でどうかな?』

 

電車の移動時間とかを考えるとそれくらいの時間が良い筈だと思う

 

『じゃあ8時にしようかな?お弁当を作っていくから楽しみにしててね』

 

楽しみでもあるけどまたプライドをへし折られそうな気がする。明久の料理のスキルは高すぎる、いや料理だけじゃなくて裁縫とかの技能も高いんだけど

 

(そんなんだから主夫って言われちゃうんだよ)

 

明久は知らないが主夫という渾名がついているのだ。よく喧嘩をしてしまう私とか美波の破けた制服を縫ってくれたり、手当てもしてくれる。既に高校生レベルの技能ではない。私とは比べようが無い、料理とかで張り合うのは無理なので別の方向でのアプローチが必要になる

 

(んーどうしようかな)

 

美波とかは自分が働くという考え方をしている。美波も瑞希も頭が良いから出来るが、私はそこまで頭は良くないし、自分に出来ることとを考えれば

 

(演劇しかないよね)

 

自分にはこれだ!といえるのは演劇くらいだ。演劇で生計を立てるにはやはりプロの演劇団に入るのが一番だが

 

(そうなると明久と一緒にいれないんだよね)

 

あの業界は私生活まで厳しく管理される。人気俳優とかになればなおの事

 

(どうしたものかなあ)

 

今から勉強して瑞希達と同じレベルにはならないしどうした者かと考えていると

 

「鬱陶しい!」

 

「うわわ!?」

 

いきなり背中に蹴りを入れられ、寝転んでいたソファーから蹴り落とされる

 

「あいたたた……いきなり何するの!?痛いじゃない!」

 

身体を起こしながら姉上に怒鳴ると、姉上は腕組しながら時計を指差して

 

「夕食・洗濯。あんたの順番よ」

 

「あ……ごめんなさい」

 

順番で家事当番をしているので姉上が怒るのは当然だ。それにしても

 

「なんか機嫌悪くない?どうかしたの?」

 

いつもより2割り増しで顔が怖い。何かあったのだろうかと思い尋ねると、急に乾いた笑い声を上げて

 

「ふふふふふ……また駄目だっただけ」

 

魂が抜け落ちたように笑い出す姉上。重傷だ……多分また龍也に一緒に帰ろうと声をかけようとして魔王軍団に阻まれたのだろう

 

「硬すぎるのよ、なによあの防衛線……」

 

ソファーに座る込み落ち込んでいる姉上。天然が入っている龍也に対する魔王の防衛は完璧だ。これ以上フラグを起たせる物かと態度と視線が雄弁に物語っている。私達はよく一緒に帰るが本当に鉄壁といえるだろう

 

「姉上」

 

「なに?」

 

「夕飯のリクエストは?」

 

こういう時は好きな物を食べるといいと思いそう尋ねると姉上は、冷蔵庫に張ってあるチラシを指差す。そこに張ってあるのは今日の特売のチラシだ。何を頼んでくるのかと身構えていると姉上は

 

「ちらし寿司」

 

「……判った。買ってくるよ」

 

刺身とか買って来ないと不味い。だけど今からだと夕食が遅くなる

 

「寿司飯は作っておくから」

 

「了解。あんまり砂糖を入れないでね」

 

わかっていると返事を返す姉上に頷き買い物に出かけると

 

「あれ?優月も買い物?一緒に行く?」

 

買い物に来ていた明久に偶然会い、2人で買い物に行くことになり、小さな幸せを感じるのだった

 

 

 

 

なんか最近怪しい。ウチは直感的にだがアキと優月が何かを隠している様な気がしていた。瑞希には考えすぎと言われたがウチの直感はアキが隠し事をしていると告げていた

 

「んーだけど、直接は聞きにくいわね」

 

アキにはアキのプライベートがある。それを聞き出すのもおかしな話だ。だけど

 

(優月に出し抜かれるのは面白くない)

 

まぁ優月だけではなく、瑞希や雅に出し抜かれるのも面白くないんだけど

 

(アキが相談しそうとなると、龍也か坂本よね)

 

土屋はまず無い。変な妄想をして気絶するから相談相手には相応しくない、龍也は魔王の扱いに慣れているだろうから、色々と相談に乗っているかもしれない。そして龍也に相談しているのならはやても知っている筈だと思い、昼休みに訪ねてみると

 

「ん?明久は兄ちゃんに相談に来てへんよ?」

 

どうもあてが外れたようでがっくりと肩を落とすと

 

「でもそうやって聞くときになるなあ」

 

にやにやと笑うはやて。自分が絡まないのなら面白い話が好きなはやてだ。きっと力になってくれると思っていた

 

「優月が怪しいんやろ?だけど優月はポーカーフェイス上手いしなぁ」

 

演劇部に所属しているだけではなく、今まで男子として暮らしていた優月のポーカーフェイスは凄い、会話や行動でそのポーカーフェイスを剥がせるとは思えない

 

「んー最近の明久の行動で考えると知ってるのは雄二かな?多分兄ちゃんに相談すると私にもばれると思ってるのは当然やし」

 

魔王の行動力と十分に理解している行動と言えるが、クラスメイトに相談したのは間違いだ。坂本は口は堅いが、その口を割らせる方法ならいくらでもある

 

「じゃあ早速行動しよかなー?」

 

「ん?なんだ?俺に何か用か?」

 

ウチとはやての視線に気付いた坂本がそう尋ねてくる、ウチとはやては

 

「少しアキのことで聞きたいことがあるのよね」

 

「そうそう早く暴露したほうがええで?」

 

ウチとはやてにそう言われた坂本は返事を返さず、窓を開けて外へ飛び出した

 

「ちっ!逃がしたか!」

 

行動までが恐ろしいまでに早かった。恐らく自分が翔子に追われてる居る際に庇って貰ったからその恩返しのつもりだろう。だがそれで逃げ切れるわけが無い

 

「ふふん。馬鹿め」

 

はやては携帯を取り出して誰かに電話を掛ける。そして数秒後

 

「うおあああああ!?翔子!!!」

 

「……浮気は許さない」

 

長い黒髪を翻し坂本を追いかける翔子を見て、はやてはにこりと笑い

 

「後は翔子が連れてきてくれるで♪」

 

坂本には翔子。これが1番早く、そして確実だ。少ししてから窓からグランドを見ると

 

「ぎゃああああああ……」

 

かすれていく坂本の悲鳴と坂本を片手で吊り上げている翔子の姿があったのだった。ウチとはやては坂本を引きずって帰ってきた翔子に事情を説明すると

 

「……私が上げたフリーチケットを吉井に上げるなんて許さない!」

 

「ぐぎゃああああああああああああ!!!」

 

フリーチケット?なんのチケットだろうか?坂本の悲鳴が途絶えてから

 

「翔子。フリーチケットって?」

 

「……如月ハイランドの年間パス」

 

翔子の言葉で漸く判った、年間パスを使ってアキと優月は如月ハイランドに行くのだと……しかし年間パスならウチと瑞希も行ける可能性があるのでそこまで目くじらを立てるつもりは無いが、2人きりで行かせるのは面白くない

 

「瑞希でも誘って作戦会議か?」

 

「手伝ってくれないの?」

 

普段なら、こうしたらいい。ああしたら良いといろいろと相談にのってくれるのにと思いながら尋ねると

 

「まぁ私にも私の都合があるんやて。ごめんな」

 

そう笑って龍也の所に歩いて行ってしまうはやて。ウチはうーんと思わず唸ってしまった。ウチはそういう策略とかを考えるのは苦手だ、かといって瑞希もそう言うのは得意ではない。ここは

 

(しかたない雅に相談しましょう)

 

あの先輩を頼るのは気が進まないが、優月1人が良い思いをするなんて許せないのでここは嫌だけど我慢しよう。そしてまずは

 

「瑞希。こっち」

 

「はい?なんですか?美波ちゃん?」

 

「今度の土日。アキが優月とデートする可能性があるわ」

 

「判りました。妨害すればいいんですね」

 

いきなりそこに発展する瑞希。だがウチの目的もそれなので何の問題もない

 

「じゃあそう言うわけで、高城先輩の所に行きましょう」

 

「……乗り気じゃないですけどね」

 

「それはウチも同じ」

 

自分達では良いアイデアも思い浮かびそうに無いので3年の教室に向かっていると

 

「おや?丁度いいところに、アキ君を知りませんか?」

 

ウチと瑞希の事などどうでも良いと言いたげな態度で、アキのことを訪ねてくる雅。若干苛立ちを感じた物のそうも言ってられないので

 

「ちょっと相談したい事があるんだけど?」

 

「私が貴女達の相談に「アキのことでも?」乗りましょう。内容はなんですか?」

 

アキの名前を出すと直ぐに意見を翻した雅に内心苦笑しながら、事情を説明すると雅は扇子を開き扇ぎながら

 

「いいでしょう。今回はご協力しましょう。今回は……ですけどね」

 

今回はと言う所を念を押して言われたが、それで構わない。ウチも瑞希もそこまでこの先輩のことは好きじゃないし

 

「では後日連絡しますのでメールアドレスを」

 

話し合いや計画を練るのにアドレス交換は必須だ。ウチと瑞希は雅とアドレスを交換し、自分達の教室に戻ったのだった

 

 

 

 

優月と一緒に遊園地にいく日を明日に迎えた金曜日。

 

「んー何がいいかな?」

 

優月に作るお弁当の中身を考えながら、夕食の準備をしながら、さっき優月と一緒に買った材料を袋から取り出しながら

 

「姉さんも姉さんで遅くなるならもっと早く連絡してくれれば良かったのに」

 

スーパーの特売で買って来た刺身を冷蔵庫にしまう。1人の夕食と考えれば贅沢すぎる。今日は少し簡単な物にしよう

 

「お弁当の残りの鳥天があるし、天ぷらうどんにでもしようかな。それとも天丼にしようかな~」

 

夜だからあんまりがっつリ食べるのもどうかと思うし、少し軽い感じが良いかな?やっぱり天ぷらうどんにしよう。うどんを冷蔵庫から取り出し、鰹出汁でスープを作りながら

 

「優月は魚が好きだしなあ。天ぷら・塩焼き……んー遊園地で食べるものじゃないよねえ」

 

多分これはデートと呼べるだろう。お弁当に入れるようなおかずは良くない。しかし

 

「僕のバリエーションってそんなに良いのが無いんだよねえ」

 

お弁当作りは得意だけどこういう時に作るお弁当はどんなのがいいのかなんて皆目見当も付かない。やっぱり女の子が喜びそうな物がいいのかな?

 

「取り合えず食べてから考えようかな」

 

まずは腹ごしらえ、考えるのはそれからでも良いや。出来立てのうどんの鳥天を入れて少しだけお茶碗にご飯をよそり。うどんを啜りながらTVをつける

 

「あ、あれ良いかも知れないかな」

 

丁度TVを付けている時にやっていたお弁当特集。そこで紹介されていたお弁当を見てそれがいいと思った

 

「サンドイッチ系かぁ。何がいいかなー」

 

ハムとかは買い置きがあるし、ポテトサラダは今から作れば良い。

 

「後はパスタとかかなー」

 

喜んで貰えそうに色々考える。普通の学校に使うお弁当とは違う感じのお弁当。作れるバリエーションは多い方が良いし、それに

 

「最近は美波とかにお弁当を作る機会が多いからなあ。覚えておいたほうがいいよね」

 

僕は自分の事を考えてお弁当を作ることが多かったけど、やっぱり作ってあげるなら、食べる人のことを考えて、バリエーションも大いに越したことは無い

 

「えーと母さんの部屋にお弁当の本があったよね」

 

まずはそれでどんなのが良いか調べよう。多分そういった本の中にはデートに遣うお弁当とかもレシピもあるはずだ。それを参考にしてみよう。まずはそれで反応を見てそこから自分流のアレンジを加えていこけばいい

 

(そうと決まれば後片付けをしてこよう)

 

まずは後片付け、そこから色々料理の本を見てお弁当の中身を考えよう。だけど1つだけ気になるのが

 

「美波とかは大丈夫かなあ」

 

魔王の行動力を考えるとなんか当然と言う感じで着いて来そう。そうなると優月とかと喧嘩になりそうだし

 

「うーん。だけどこれは優月の為だし誘うと良くないよね」

 

前に優月の機嫌を損ねてしまった時にそれの埋め合わせとして誘ったんだから、美波とかを誘うと更に優月の機嫌を損ねてしまうかもしれない。となると僕に出来るのは1つだけ

 

「美波とかにバレないと良いなあ」

 

それを願っておこう、もしばれたとしてもそうなれば、何とか説得を試みて

 

「皆で遊べばいいしね」

 

遊園地なら遊ぶ場所は一杯あるしね。しかしこの考えは楽観的過ぎるかな?と苦笑し僕はお弁当の中身を考えるのだった……なお遊園地でこの考えは楽観的であり、とんでもない事になる事を今の僕は知らないのだった……

 

 

 

 

なお明久が弁当の中身を考えている頃。優月はと言うと

 

「うーこれは違う、これも違う!」

 

クローゼットと姿見の前を行ったり来たりしながら、身体に服を当ててこれも違う。アレも違うと服をベッドの上にほり投げる

 

「あんたさー少しは落ち着いて考えてみたら?」

 

服をどんどん積み上げている優月にそう声を掛けると

 

「うーうー。どんなのがいいのか判らないよ」

 

ついには頭を抱えだした。今まで男装をしているのが普通だったし、女物を着るのは家族で集まるときだけ、私服は限りなく少ない優月にデートの着ていくような服が無いのだろう

 

「服貸そうか?」

 

あたしは色々服を持っているし、双子だから服のサイズも殆ど同じ……

 

「胸き「へし折るわよ」ギブ!ギブ!調子乗ってすいません!!!」

 

読んでいた雑誌を脇に置き優月の腕を締め上げる。直ぐに腕を叩いてタップする。あたしは腕を手放しながら

 

「判れば良いのよ判れば、姉を舐めるんじゃないの」

 

「はい……」

 

ぐったりしている優月に苦笑しながら、自分のクローゼットからもう着ない服を幾つか選び。ついでに裁縫セットも用意する。服はこれくらいで良いから、少し布を選んでおいた方が良いわね。一通りいるであろう物を揃えてから

 

「優月。リビング行くわよ」

 

「何するの?」

 

座り込んで腕をさすっている優月にふふんと笑い返しながら

 

「服を作るわよ。胸元から調整してね!」

 

妹に胸のサイズで負けているのはなんか癪なので、少しだけ強い口調で言うと

 

「え?だ、大丈夫?破けない?」

 

不安そうにしている優月。だけどあたしと優月なら大丈夫なはずだ

 

「あたしが寸法とかデザインを決めるから、あんたがミシンで縫いなさい。これも衣装作りも演劇の1つ。出来るでしょ?」

 

優月は頭は弱いが、演劇に関することなら化粧・衣装作り・暗記まで何でも出来る。

 

「その手があった!?」

 

今気付いたという感じで頭を抱えている優月に

 

「ほらさっさと選びなさい」

 

脱ぎ散らかした服を指差す。いくらなんでも最初から作ることは出来ないので服同士を組み合わせる方法をとる為に

 

「気に入っているのを持ってきなさい、組み合わせて2時間で仕上げるわよ」

 

元があるのだからそこまで深く考えることは無い。優月の好みの服を基に考えればなんとでもなるだろう。あーだこーだと話し合いながら、服の採寸をして縫い直す事2時間後

 

「何とかなる物ね」

 

「本当だね」

 

もしかしてあたしと優月で服メーカーとか起こしたら売れるんじゃない?と思うほどの仕上がだった。ワンピースを元に改造したので作りはワンピースに近いが胸元とかはしっかりと縫い直した。そこで少し手間取ったが、こうして見ると完成度はかなり高いのではないだろうか。

 

「ありがとう。姉上」

 

出来た服を抱えてもじもじしている優月。そういえばこの子は昔からこうする癖があったっけと思い苦笑しながら。優月の背中をバンっと叩いて

 

「ほら明日は早いんでしょう?早く寝ちゃいなさい

 

う、うんと頷きリビングを出て行く優月を見送り。リビングにおかれた本棚から雑誌を取り出し、ソファーに腰掛けて

 

「少ししてから戻りましょうかね」

 

あたしと優月は同じ部屋だから。今戻ると布団の上でもじもじしている優月と一緒になる。いくら仕舞いとは言え気まずいし、優月も見られたくは無いだろう。あたしはそんな事を考えながら雑誌を開く、対して内容も入ってこないが別に飾りだからいいか

 

(もうちょっとで良いから龍也君と仲良く出来ないかなあ)

 

がっちりと周囲を魔王に囲まれているから、龍也君と仲良くなるのはとても難しい、だけど諦めたくないし

 

(どうすればいいのかしらねえ)

 

Aクラスにいても到底解く事のできない難題にあたしは頭を抱えるのだった……

 

応用問題問7に続く

 

 




色々な視点でやってみましたがどうでしたでしょうか?応用問題の予定はこの回とあとは大人の召喚獣で終わりの予定です。その後はリクエストでも受け付けて見ましょうかね?来るかどうかは判りませんけどね!それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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