バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は美波の召喚獣と一緒に美波の家に帰ることになった明久の話になります。久しぶりののんびりほのぼのです。上手く書けるといいなあ、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


応用問題問4

 

 

応用問題問4

 

1回僕の家に帰って着替えだけを持ち美波と合流する。姉さんはまだ帰ってきてないようだったのでゆっくりと準備をすることが出来た。

 

「お待たせ。行こうか?」

 

エントランスで待っていた美波に声を掛けると、美波は笑いながら振り返る。その膝の上には召喚獣がいて両手をぶんぶんと振っている

 

「そんなに待ってないわよ。ね?」

 

『ねー♪』

 

どうも自分の召喚獣と遊んでいたらしく、学校にいたときよりも仲良くなっている。仲が悪いよりかはずっと良いから何も言わないで美波の前にいくと

 

『パーパ♪』

 

にこにこと笑い僕の背中を上ってくる召喚獣。龍也の家で良く見る光景だけど、子供ってこういうのが好きなのかな?小脇に抱えたスポーツバッグを背負いなおし、手を後ろに回して召喚獣をおんぶし

 

「じゃあ。行きましょうか?アキ」

 

「そうだね。行こうか」

 

『しゅっぱーつ!』

 

楽しそうに言う召喚獣をおんぶしながら、僕は美波の家に向かって歩き出したのだった

 

「所で今日は美波のお父さんとお母さんは家にいるの?」

 

いないのなら少しは気が楽なんだけどと思いながら尋ねると

 

「今日は休みだから家にいるわよ?」

 

「そう……なんだ」

 

背中の上の召喚獣をちらりと見る。少しずつだけど僕と美波に似ている。子供のシュミレートなのだから当然だが大丈夫かな?と言う不安を少し感じる

 

(学園長を信じよう。きっと上手く言ってくれたさ)

 

僕は心の中でそう呟き。美波の家に向かったのだった……

 

「いらっしゃい。吉井明久君よね、初めまして美波の母です」

 

玄関で出迎えられて思わず面を食らった。美波のお母さんは外見は美波をそのまま大きくした感じだけど、温和って感じがする。美波の気が強いのはもしかするとお父さんの影響なのかもしれない

 

「あら?その子が明久君と美波の子供のシュミレートの召喚獣かしら?」

 

僕の背中の召喚獣に気付いた美波のお母さんはその子をさっと抱っこする

 

(早い)

 

召喚獣が身構える前に捕まえた。その手際に驚いていると廊下の奥くから

 

「馬鹿なお兄ちゃん!いらっしゃいですー!」

 

葉月ちゃんの突撃を何とか受け止めて抱っこすると

 

「あら?葉月も懐いているのね。良い事だわ、ささ、あがって頂戴」

 

僕は美波のお母さんに促され家の中に入ったのだった

 

「ここ客間だから、ここを使うといいわよ」

 

「うん。ありがとう」

 

『うみゃー』

 

楽しそうに布団にダイブする召喚獣を見ながら

 

「なんか凄く緊張するんだけど」

 

美波のお父さんとお母さんも居る。なんかそれだけで緊張するというと

 

「そんなの気にしないでいいわよ。じゃあ下に行きましょうか?」

 

僕は美波に手を引かれ強引にリビングへと降りて行ったのだった。召喚獣は僕の背中の上でえへへと笑っていたのだった

 

 

 

 

どうしてこうなったんだろう?ウチはキッチンから聞こえてくる。アキとお母さんの声を聞きながらそんな事を思っていた

 

「あら?明久君料理上手なのね」

 

「そんなことはないですよ」

 

男の子だから一杯食べるわよね。料理を増やさないと、それなら手伝いますと言ってアキがお母さんと料理をしている。だからウチはお父さんと一緒にTVを見ている。葉月と召喚獣は仲良くボールで遊んでいる

 

『にゃー♪』

 

「ボールです!」

 

やはり子供だから仲良くなるのが早いのだろうとかと思っているとお父さんが

 

「あの子が良く美波が言う吉井君か」

 

「う、うん」

 

お父さんはTVを見ながら、横目でお母さんとアキを見ている。ウチはドイツにいる日本人と言うことで中々馴染めず、知らないうちに口調が少しきつくなってしまったけど、お父さんもお母さんもとても穏やかな人なのでこういうのはとても珍しい

 

「学園長先生から聞いているが、中々大変なことになってしまったようだね」

 

それは召喚獣のことだろうか?それともアキが家に泊まりに来た事についてだろうかと考えていると

 

「美波にはああいう子の方が良いのかもね。穏やかで家庭的な子が」

 

ビールを飲みながらしみじみと言うお父さんにウチは即座に

 

「それ逆じゃないかしら?」

 

男と女の立場が違うというとお父さんはニコニコと笑いながら

 

「そう言うのも1つの形かもしれないよ。私とお母さんは共働きだし、どちらかが家にいると子供も安心できるだろうしね。吉井君とはお付き合いしているのかい?」

 

ばふっ!?飲みかけていたお茶を思わず噴出して咳き込んでしまう

 

「ああ……ごめんね。泊まりに来させる位だからてっきりお付き合いしているのかと」

 

「ま、まだそんなのじゃない!」

 

いずれはそうなりたいと願っているが、いかんせんライバルが多いと言うと

 

「そうなんだ。吉井君は良い子そうだからね」

 

にこにこと笑うお父さんを見ていると

 

「はーい。お待たせーご飯で来たわよ」

 

「葉月ちゃん。お待たせー」

 

アキとお母さんが来たことでその話は中断になり。ウチ達は夕食にすることにしたのだが

 

「「あーん」」

 

「はい。あーん」

 

葉月と召喚獣がアキにとても甘えていて。アキの食事が進んでない

 

「葉月。あんまり迷惑かけないの」

 

アキも色々あってお腹が空いているはずだと思いながら言うとアキは

 

「いいよ。気にしなくても、葉月ちゃん美味しい?これ僕が作ったんだけど」

 

「美味しいです!馬鹿なお兄ちゃんはお料理上手なんですね!」

 

葉月が食べていたのはピーマンとひき肉の炒め物。おかしいな葉月はピーマンが苦手なんだけど……うちはそんな事を考えながら野菜炒めを頬張り驚いた

 

(苦味はない)

 

ピーマン特有の苦味がまるでない、子供でも食べやすい仕上がりになっている。こういう所でもウチとの料理の腕の差が判り少しだけ落胆しているとお母さんが

 

(吉井君は良い子ね。料理も上手だし優しいわ。だから美波の見る眼は間違ってないから頑張りなさい)

 

お母さんのその言葉に小さく頷き、大皿に並べられた揚げた魚の甘酢掛けに箸を伸ばす

 

(あ、これアキの料理だ)

 

お母さんの味付けとアキの味付けは全然違う。食べれば直ぐに判る

 

「これは吉井君が?」」

 

「はい。お口に合いました?」

 

「うん。これは美味いよ」

 

お父さんも美味しいって言ってくれてるみたいだし、アキの評価はそんなに悪くないのかな?

 

『あー!あー!!』

 

「はいはい。あーん」

 

召喚獣にご飯を与えながら、ゆっくりと自分の食事を進めているアキ。何故かのその姿は見事なまでに堂に入っており、主夫と言うのもあながち間違ってないのでは?と思ったのだった

 

 

 

「ふーすっきりした」

 

夕食の後お風呂を勧められて1回は断った物のお母さんとお父さんの言葉に負けて早めにお風呂に入らせてもらった

 

『パーパ!あそぼ!』

 

足元にじゃれてついてくる召喚獣の前にしゃがみ込み。頭を撫でる

 

『うにゃー』

 

気持ち良さそうに目を細める召喚獣に和む。普段は魔王の脅威に晒され、いつ死亡フラグになるかとびくびくしながら暮らしているから余計にそう思う

 

「吉井君。少しいいかな?」

 

廊下から美波のお父さんの声がする。僕は召喚獣を膝の上に座らせて

 

「どうぞ」

 

「失礼。おや?随分と微笑ましい光景だ」

 

僕と召喚獣を見てそう笑う美波のお父さんは僕の前に座って

 

「1つだけ聞きたいことがあるんだ」

 

笑顔の中にも真剣な光を感じて背筋を伸ばして美波のお父さんの顔を見る。

 

「君はうちの娘をどう思っているんだ?」

 

う、それはなんと答えた者か……確かに普通年頃の娘が男を連れてきたら気にするよね。僕は大きく深呼吸してから

 

「とても仲の良い友人だと思っています。でも僕は美波が好きなのかどうかは判らないんです」

 

膝の上の召喚獣を抱きしめて頭を撫でながら

 

「今まで人を好きになったことがないから良く判らないんです。でも僕は美波と一緒にいると凄く楽しいです、ずっとこの感じですごせたらと思いますが。何時までも駄目だというのはわかっています」

 

こんな曖昧な態度では皆を傷つける。いつかは決断をしないといけないとわかっている

 

「曖昧なままでもいいんじゃないかな?」

 

からからと笑う美波のお父さんの言葉に驚いていると、美波のお父さんは

 

「吉井君はまだ若いからね。無理はないとおもうよ。そう言うのは時間を掛けて考える物さ、私としてはさっきの言葉でいいよ。今の君と美波の関係が良く判ったからね」

 

よく判ったってどういう事?僕が首を傾げているなら美波のお父さんは娘をよろしくねと呟いて部屋を出て行った

 

「どういうことかな?」

 

『わかんにゃい』

 

うーんと召喚獣と揃ってを首を傾げたけど判らないので、保留にし僕は鞄から課題を取り出して宿題を始めたのだった。取り合えず判ると所は埋めて判らない所は明日瑞希とかに聞こうと思い。勉強を始めたのだった

 

「ん~こんな所かな?」

 

半分ほど答えを書いた所で判る所がなくなった。あんまり解けてないけど少しずつ判る範囲が増えてきたなと思いながら課題を片付ける。召喚獣を眠いといって部屋を出て行った。多分美波の部屋に行ったんだろうなと思っていると

 

『パパ』

 

「えーと。お邪魔します?」

 

召喚獣が美波を連れて部屋に帰ってきた。突然美波が来た事に驚きはしたものの

 

「寝るんじゃないの?」

 

僕と美波の間に居る召喚獣にそう尋ねると召喚獣はにっこりと笑い

 

『パパとママも一緒!』

 

一緒って美波も?僕と美波が顔を見合わせている中、召喚獣は楽しそうに枕と布団を用意するのだった。僕と美波は何とか召喚獣に思い止まって貰おうと思い説得を試みたのだった

 

「ねえ?これどういう状況?」

 

「僕に聞かないで」

 

2人で説得を試みたのだが結局駄目で召喚獣に押し切られてしまった。そして僕・召喚獣・美波で川の字で横になっている。召喚獣は寝転ぶなり眠ってしまい。僕と美波だけが起きている

 

「帰れそう?」

 

「無理」

 

僕と美波の服の裾をしっかりと召喚獣が掴んでいるので、美波は帰ることも出来ない。僕は大きく溜息を吐き

 

「取り合えず寝よう。ね?」

 

「う、うん」

 

寝るしかないのだからここは眠ろう。それしかない、僕は目を閉じたのだが直ぐ近くに美波が居るとおもうと眠いのに睡魔は訪れてはくれなかった。意識する素振りをすると美波が疲れてしまうので出来る限り自然体でいると

 

「アキは召喚獣と一緒でどう思った?」」

 

向こうを見たまま尋ねてくる美波。僕は少し考える。こうして美波と召喚獣と一緒に横になっていると、いつか結婚した時の事を容易に想像できる

 

「楽しいかな?」

 

いつかありえる未来ということでいいかもしれない。そしてこんな未来があるのなら早く、誰が好きとかの答えが出せるといいなあ……

 

「そ。それなら良いわ。ウチはもう少し待っているからね」

 

そういわせてしまう僕の曖昧さが自分で嫌になるけど、こうして言って貰えるうちに早く答えを出したいな。僕はそんな事を考えながら眠りに落ちたのだった……今晩見た夢はいつかの未来。誰かと結婚した未来だったのは言うまでもないだろう……

 

 

 

翌朝召喚獣は消えていた。その事が少し寂しかったけど、今はまだこれで良いかと呟き身体を起こす

 

「あれ?アキもいない」

 

アキの持って来ていた鞄もない。その事に首を傾げながらリビングに下りてアキのことをお母さんに尋ねると

 

「お姉さんから電話があったらしくて、5時30分くらいにおきてきて帰ったわよ」

 

そうなんだ……でもまぁ玲さんから電話があったんじゃ仕方ないわねと思っていると

 

「いい子だったわね吉井君。ライバルが多いって言うのも納得だわ」

 

温和で穏やか、それで気が利く性格のアキ。一緒にいて楽しいし、なにより優しい時間が過ぎていくのでこれほど幸福な時間はないだろう

 

「頑張りなさい。美波は意地っ張りで自分の思っていることを言うのが得意じゃないけど、大丈夫。私の娘だからね、頑張りなさい」

 

この頑張りなさいの意味は判っている。ライバルに負けない事とそして自分の気持ちに自身を持てということだ。私はお母さんの用意してくれたトーストとハムエッグを食べながら

 

「勿論判ってるわお母さん。ウチ頑張るから」

 

両親もアキを気に入ってくれた。この点でウチは瑞希も優月も出し抜くことが出来た。少しずつ、少しずつで良いから頑張っていこう。いつかアキと両思いに慣れるように……そしてウチが望む未来が来る様に頑張って行こうとおもうのだった……

 

 

なお帰宅した明久は女の人の匂いがすると玲に詰め寄られ、その眼光に負けて美波の家に泊まった事を言ってしまい

 

「ぐあああああ!?無理!無理だからああ!その関節はそっちにまがらなアアアアア!!!」

 

「うーでが♪ぼきんっと鳴る~♪」

 

「ごめんなさい!ごめんなさあああああッ……」

 

明久は姉のお仕置きにより。この日学校を休むのだった……そしてお見舞いに来た瑞希・美波・優月・雅が衝突し騒動になるのだが。それはまたの機会に語るとしよう……

 

 

 

そして明久が三途の川に旅立とうとしている頃

 

「早く逃げなくては」

 

今回の事で処刑される末路しかないと悟っていたジェイルが逃げようとしていたが

 

「どこへ行く?」

 

背後から聞こえてきた声に壊れた人形のように振り替えるジェイル。その視線の先には「イイエガオ」の龍也が腕組をして立っていた

 

「い、いや実は急用が」

 

「急用か。ならそれはセッテにでも任せておけばいいさ。お前と一緒に研究してるんだ、それくらいわけないだろう?「うわあああああ!!!」」

 

その悪魔のような笑顔を見て悲鳴を上げて逃げていくジェイルだが

 

「逃がすかあ!!!」

 

魔法のない世界とか、常識とかがログアウトした龍也はそう言うことを完全に無視し、魔力で身体強化。そして両手に青い炎を灯しながらジェイルを鬼の形相で追いかけて行ったのだった

 

なお次の日ジェイルは全身に包帯を巻き虚ろな表情で学校に来るなり、倒れ虚空を見つめながら

 

「炎の鬼を見た。火は生きている……私を殺そうとしているんだアア」

 

と壊れたように何度も何度も呟いていた。そしてはやて達はこの話題は触れてはいけないものだと理解して、2度と口にすることはなかったのだった……

 

 

応用問題問5へ続く

 

 




書いてみて思ったこと。かなり難しいでした、でも書いてみると面白かったです。またこういう感じの話を書いてみたいですね。
応用問題系は番外編の話をメインにしていきたいですね。次回は雄二と翔子。そして康太と愛子をメインにしてみようかな?それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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