バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回からは試召戦争後の話となります、第一弾は試召戦争後の明久達の生活にする予定です。
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



応用問題問1

 

応用問題問1

 

いつもより数段早く起きて作ったお弁当を見ながら

 

「今日はこんなもんかなあ」

 

我ながら中々の完成度だと思う。昨日は色々あって死に掛けたが、土下座交渉で何とか命を繋ぐことができた。美波達の要求はお弁当だったので、早起きして作ってみた

 

「今日は上手く行ったなあ~やっぱり圧力鍋は違うなあ」

 

昨日副引きで当たった。万能圧力鍋、短時間でここまで味の染みている肉じゃがが出来るなんて、いいものだよ本当に。後はネギ入りの卵焼きと、塩から揚げにゴーヤの佃煮

 

「あとはリンゴで切っておけばいいか」

 

果物も忘れずに用意しておこう。自分の分だけなら必要ないが、美波達に上げるお弁当なら必要なはずだ。そんな事を考えながら切り終えたリンゴを弁当箱に詰めていると

 

「アキ君。今日はお弁当を随分と作っているようですね?美波さん達にですか?」

 

「昨日ね。お話しされてね」

 

僕がそう呟き布巾でお弁当を包んでいると姉さんはそうですかと呟き

 

「朝食は?」

 

「豚汁とアジの開き。それとゴーヤの佃煮」

 

昨日TVで見たゴーヤの佃煮を試しで作ってみた。少し苦いけど十分美味しい

 

「それは楽しみですね。所で私のお弁当は?」

 

「用意してあるよ。今日は鰆のから揚げにしてあるから」

 

姉さんは肉よりも魚を好む。だから鰆のから揚げにしてあげた、これなら姉さんも気に入ってくれるはずだ

 

「それは嬉しいですね」

 

「もう直ぐ用意するから、待っててね」

 

僕は姉さんにそう声を掛け、味噌汁の仕上げに豆腐を入れたのだった……

 

「じゃあ行って来るね。それとこれ、帰りにお願いできる?」

 

夕食のおつかいのメモを姉さんに渡す、姉さんは大丈夫ですよと頷き財布に入れた

 

(今日は間違えるような者を書いてないし、大丈夫だよね?)

 

豚肉と大根。それに卵とネギ、それと鶏肉のひき肉。間違えるとしたらひき肉だけかな?と思いながら僕は家を出てエレベーターで1階へ向かうと

 

「おはよ。アキ」

 

「うん。おはよう、美波」

 

今日は美波が迎えに来てくれていた。と言うかこれは僕が頼んだんだけど、3人一緒だと間違いなくもめるので、1人にしてくれと頼んだ。3人はそれを快く了承してくれジャンケンかトランプで順番を決めているらしい

 

「今日はどんなお弁当を作ってくれたの?」

 

「んー秘密。色々と作ってみたから楽しみにしててよ」

 

「ふーん。じゃあ楽しみにしてるわ。それで課題はやったの?」

 

その言葉に思わず顔を歪めてから、僕はぼそりと

 

「なんとか3割」

 

「駄目じゃない。じゃあ教室に着いたら教えてあげるわ」

 

頑張ったんだけど、3割が限界だった。これが歴史とか日本史ならまだ良かったんだけどと思いながら言うと

 

「ありがとう。美波」

 

そんな他愛も無い話をしながら、僕は学校に向かったのだった……なおその途中で

 

「がっ!?しょ。じょ!しっ!げはあ!?」

 

逃亡しようとして霧島さんに捕まったのか寝巻き姿で引きずられている雄二を見かけて、僕は雄二と同じ末路にならなくて良かったと心底安堵したのだった……

 

 

 

 

昨日はトランプで負けてしまったので、今日明久君を迎えに行ったのは美波ちゃん。正直少し羨ましい、私はまだ2回しか迎えに行けたことがなくて、優月さんが3回。美波ちゃんが5回……美波ちゃんはここぞの勝負運が良いから羨ましいです

 

「おはよー」

 

「おはよう」

 

そんな事を考えていると、美波ちゃんと明久君が揃って教室に入ってきます。ちらりと見て羨ましいなあと思う反面、明久君が抱えているお弁当を見て

 

(無理かなって思ったのに作ってきてくれたんですね)

 

昨日駄目元で頼んだのに作ってきてくれた明久君に心の中でありがとうと呟いていると

 

「瑞希。手伝ってくれない?アキったら課題終わってないのよ」

 

苦笑しながら言う美波ちゃん。だけどその顔は私もおいでと呼んでくれていると判る

 

「判りました。直ぐ行きますね」

 

SHRまで後20分。それまでに課題を全部教えてあげないと思いながら、私は机から筆記用具と参考書を取り出し、明久君の机のほうに向かったのだった

 

「ごめんね?朝から」

 

「いいですよ。どこが判らないんですか?」

 

明久君の前に座って尋ねながらノートを見ると

 

(わ、真面目に考えているんですね)

 

走り書きやメモ書きが一杯ある。計算が間違っている所や、スペルが間違っている所もあるが一生懸命考えているのが判る

 

「ここはこれを使うといいんですよ?」

 

「この数式?」

 

「そう、それですよ。ちょっと見ている数式が違うですね」

 

数式を出すのに、1つ余計な数式を入れたことで余計に混乱してしまっているのだ。だからこの数式を使うと良いと言うと

 

「うーんこう?」

 

問題を解いてみて合ってる?と尋ねてくる明久君。答えを見て

 

「はい、それで合ってますよ。じゃあ次の問題はこっちの数式ですね」

 

参考書の数式を指差しながら答えの出し方を教えてあげていると、視線を感じてちらりと後ろを見ると

 

「……」

 

難しい顔で頭を抱えている優月さん。自分も教えると言いたいんだろうけど、演劇部の部活に打ち込んでいる優月さん。本当は女子だったと判ってから主役の頻度が増しているので自分の勉強をしている暇が無いし、得意分野以外は全然出来ない

 

(数学と英語では貴方の出番はないですよ)

 

これがもし日本史と化学だったらもしかすると出番が合ったかもしれない。だけど今は出番は無い、私は迎えに行けなかった事を忘れて。西村先生が来るまでの間、美波ちゃんといっしょに明久君の課題を見ていました。なお始業ベル5分ほど前に

 

「自分で歩けエエエ!!」

 

龍也君が背中にはやてさんとヴィータさんを背負って、2人のかばんを抱えて疲れた様子で教室に入ってきて思わず噴出してしまいました……

 

 

 

 

 

 

「はい。優月お弁当」

 

お昼休みに屋上でお弁当を食べるのが最近の日課で、明久に差し出されたお弁当を受け取りながら

 

「なんでリンネと高城もいるの?」

 

さも当然と言う顔をして座っている2人を見ながら尋ねると

 

「良い天気なので屋上に着ただけですよ?他意はありません、ええありませんとも」

 

「そーだよー。イイ天気だからソトデたべたいなあって思ったダケダヨ」

 

ぐるになっている。この二人はぐるに担っている。そんな確信が私にはあった。だけど龍也達と雄二達も居るので一々目くじらを立てることも無いと思い、差し出された弁当箱を開けて

 

(負けてる……私完全に負けてる)

 

明久の作ってくれたお弁当は、肉じゃがにネギ入りの卵焼きに、塩から揚げと何かの佃煮。私の作る弁当よりも遥かに完成度が高い

 

「わーアキヒサは料理ジョウズナンダネ!」

 

「うん。姉さんが料理があんまり得意じゃないからね」

 

こういう時子供っぽいって良いなあ。自分の料理の腕を比べなくて、

 

「アキ君は料理が上手なんですね。どうですか?婿養子に来ませんか?」

 

「あははは。さりげなくそう言うのはやめてくれないかな?」

 

そして普通に明久に婿養子に来いと言う高城。何故穏やかな時間を過ごせるはずの時間でこうなってしまったのだろう?美波と瑞希も嫌そうな顔をしている。こういう時龍也は凄いと思う、あれだけ個性的な面々を纏める事ができるのは龍也の人徳だろうなあと思いながら、から揚げを頬張る

 

(美味しい……)

 

塩味だがしっかり下味をつけているので実に美味しい。しかも食べ安いように隠し包丁も入っているので噛み切りやすい

 

(心遣いが凄い)

 

作るだけではなく、食べる人の気持ちを考えている。私達が作ったとしてもそこまで考える余裕はないだろう。作るだけで手一杯になってしまうからだ。美味しいのに何か考えさせられてしまうお弁当を食べていると

 

「イイナー。美味しそうだなあ」

 

自分の分のサンドイッチを食べながらも、明久の手元を見ていうリンネ

 

「ん?食べる?はい。あーん」

 

明久は自分の食べかけをから揚げをリンネの方に差し出す。

 

「アーン」

 

「「「!?!?」」」

 

差し出されたから揚げを幸せそうに頬張るリンネ。予想外の光景に思わず停止してしまった、だが明久とリンネが何も意識してない所を見ると

 

(懐いてくれている子に接しているお兄さんだ。動揺することは無い)

 

そう、あれは龍也の家に遊びに行くと良く見る。お兄ちゃんと妹のふれあい、その程度のことだ、目くじらを立てる事は無い。むしろある1つのことが確認できたのでリンネは良い仕事をしたと言える

 

(明久は主夫属性だ)

 

(アキは主夫属性ね)

 

(明久君は主夫ですね)

 

(アキ君は主夫なんですね)

 

今日のお弁当も手が込んでいるし、それにリンネやアギトちゃん達への対応を見る限り、子供好きだ。これほど主夫に適した属性を兼ね備えている男子高校生は居ないだろう

 

「兄ちゃん。お茶頂戴」

 

「んー?了解」

 

「……雄二」

 

「あいよ」

 

……訂正。この学校には主夫属性が多いが、私の理想的な主夫属性は明久しか居ない

 

(となると稼ぐのは私になるわけで……んー高校卒業したら演劇団のオーディションでも受けてみようかな?)

 

私はそんな事を考えながら、明久の作ってくれた弁当を食べるのだった。なお優月がそんな事を考えているころ、美波達はと言うと

 

(美春が言ってたわね。モデルとかも行けるって……それにウチはドイツ語とかも喋れるし、これは武器になるわよね)

 

(勉強だけが取り柄ですからね。うーん。お父さんに相談すれば何とかなるかもしれないですね)

 

(やはりアキ君が一番ですね。彼の高校卒業と同時に攫いに来ましょう)

 

約1名危険な事を考えている乙女が居たが、心の中なので気付かれることはなかったのだった

 

 

 

 

 

放課後。試召戦争のプログラムを学園長と再調整していると

 

「と言うわけで学園長何か良い手はないですかね?」

 

「お前さんはいきなり来て何を言っているんだい?」

 

「あっははは!最高。君最高だよ!!!」

 

突然来て。アキ君と仲良くなりたいので何かありませんか?とノンブレスで言い切った雅君に爆笑していると、学園長が

 

「良いさね?ここは学校だ。不順異性交遊を認めるわけにはいかないんだよ」

 

真面目な顔をしてそう言う学園長。研究者肌だが、やはり教師としての責務はわかっている。

 

「援助金2.2倍!」

 

「全く。今回だけだよ!」

 

「あっははは!!折れるのはやあ!!!」

 

資金難だと言っていたが折れるのが余りに早すぎる。まぁ面白いのでいいのだが

 

「それで?どういうのが希望なんだい?」

 

「前のプレゼンテーションで言っていた。召喚者の容姿と性格を分析して子供をシュミレートする企画があるといってましたよね?」

 

あ、それ私だ。龍也の子供好きを利用して結婚とかを考えさせようと思って企画したんだ。一応完成して保存しているのでメインにインストールすれば使えるはずだ

 

「あるけど、それをインスとトールしろって言うのかい?」

 

「はい!是非」

 

弾ける笑顔で言う雅君。いいね、ここまで自分の気持ちにストレートだと好感を持てるよ、こう背中を押せば明久君の回りで色々と面白いことになりそうだから、是非背中を押してあげたいね

 

「……ふむ。どうせ暫くは試召戦争は出来ないんだろう?」

 

「そうですね。組み直しとかもありますし暫くは無理ですね」

 

嘘です。本気を出せば数時間で終わります。だけどこんな面白そうな話を見逃せるわけがないのでそう言うと

 

「いいだろう。明日には使えるようにしておくよ。ただし遊びの為ではなく、召喚獣プログラムの改善の為にね!」

 

言ってる事は物凄く真面目だけど、その指先は新しいプログラムを作るのに必要なデータを買おうとピックアップしている。だがそれを言うと学園長がいじけるのであえて口にせず、プログラムのインストールの準備をしていると

 

「ありがとうございます、来月の研究資金は2.2倍にしておきますので」

 

ヤフーと嬉しそうに出て行く雅君の背中を見ながら

 

「とりあえずこの取引のことは内密で」

 

「言われるまでもないさね。それよりインストールの準備だよ」

 

そう言ってプログラムの組み込みの準備をする学園長。雅君ならもう少し喜びそうなことを準備すれば食いついてきそうだ

 

(大人のシュミレートとかも面白いかもね。これは魔法も少し流用しよう。きっと面白いことになる)

 

今まで考えてはいたが、資金とかの問題で出来なかったことが色々ある。そしてそれは間違いなく、雅君が食いつくものだ

 

(ふっふっふ……面白いことになりそうだ)

 

試召戦争の後。少しは穏やかになるかと思っていた文月学園だが、愉悦を求める天才科学者が新たな騒動を起こそうとしていたのだった……

 

「!?何か嫌な予感がする!?」

 

そして夕食の準備をしていた主夫属性の男子高校生は自分の身に迫る危機を感じ取っていたりするのだった……

 

応用問題問2に続く

 

 




次回は番外編シリーズでやっていた。子供の召喚獣が出る話です、1話で終わらせず複数やりたいと思っております。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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