バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は雄二の考えている作戦の話です、ここは少し原作の通りに進めようと思っています、とは言えオリジナルの要素は大きく入れるつもりですけどね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いしま


第115問

 

第115問

 

霧島さんと木下さん。それに雄二に言われて戦場にいくとすぐに旧校舎4階の窓からカーテンが放り出される

 

『『『『避けろオオオオオーッ!!!!』』』』

 

「いきなりかよ!こんちくしょーッ!!!!」

 

そこら中から響くFクラスの声、呼び出したばかりの召喚獣を真横へ全力で跳ばせた。その直後地面を走る岩の槍が3年生の召喚獣を纏めて吹っ飛ばす

 

「おお……初めて使ったけどすげえなこの腕輪」

 

ヴィータさんがそんな事を呟いているのが見える。どうも今の攻撃はヴィータさんの腕輪の力だったようだ。しかし地面から岩の槍

……こんな物どうやって回避しろって言うんだろう?3年生も戦死とまでは言わないが大半が戦闘不能寸前まで追い詰められている

 

「しゃっ!押し切るぞ!続けー!」

 

「「「イエス!マムッ!!!」」」

 

ヴィータさんの召喚獣の得物はハンマーだ。遠心力と破壊力重視で一振りで2~4の召喚獣をふっ飛ばしている。そのヴィータさんを主戦力にFクラスが3年生を押し返している

 

「嘘だろ!?俺達3年が2年生ごときに!「取ったああ!」

 

「進め!押し切れるぞー!」

 

須川君の鼓舞におおおおーッ!!!と気合に満ちた返事を返す。この調子なら押し切れるか

 

「おうおう。随分と気合が乗ってるじゃねえか。2年生」

 

「たーく。浮き足立ってるんじゃねえよ、おらとっとと下がれ」

 

常村先輩と夏川先輩が前に出て

 

「よう。吉井久しぶりだな」

 

「どうも」

 

口調は悪いが結構良い人っぽい常夏コンビは一応召喚獣を出してはいるが攻撃してくる素振りを見せず、撤退の支援に徹している

 

「腕輪による殲滅攻撃。まぁ随分と単純だが強力だな。坂本か?」

 

「そんな所ですよ!」

 

急に動き出し振り下ろしてきた槍を木刀で弾き飛ばす。点数の割りに力がない、どうも僕達をここで足止めして消耗した3年生が撤退するまでの時間を稼ぐつもりらしい

 

「はっ!撤退なんかするかよ!2年生のFクラスなんかに負けるかよ!!!」

 

「そうだ!そうだ!」

 

3-Bの生徒は撤退ではなく逆に攻め込んできている。それを見た常村先輩はふんっと鼻を鳴らし

 

「まぁ撤退する気のねえ馬鹿は戦死しようがどうでもいいけどな。まぁ少しの間遊んでやるよ」

 

「そう言うわけだ。あわよくば戦死してくれや、まっお前なら逃げ押せると思うけどな」

 

そう言われても僕1人でこの2人を相手にせめてもう1人いてくれれば。ティアナさんは後衛で腕輪の準備をしているし、須川君達は進撃してきた3年生に抑えられている。ヴィータさんは言うまでもなく動くことが出来ない。彼女が場所を動けば一気に戦線が崩れる。このまま戦闘に入れば戦死すると思った瞬間

 

「■■■■ッ!!!!」

 

聞きたく無いと思っていた凶戦士の咆哮。恐る恐る声のしたほうを見て

 

「ひいっ!?」

 

思わず悲鳴を上げてしまった僕は悪くない筈だ、校庭に続く渡り廊下の天上にKUBOがへばりついていた。某ゾンビゲームの舌が伸びる奴みたいな姿でいたKUBOの目が輝いたと思った瞬間

 

『2-A KUBO 国語594点』

 

と言う点数が表示されKUBOの召喚獣が鎌を持ち3年生に襲い掛かった。そして本体は

 

「「■■■■ッ!!!!」

 

「こっち来たぁーッ!!!!」

 

天上から飛び降りて僕の前に着地してその手を伸ばしてきた。誰とも対決してないので召喚獣を戻して前回り受身でその魔手を交わす

 

「おいおい。これ止めてやらないと不味くないか?っとと!」

 

「そうは言ってもよ!?この召喚獣やべえぞ!?」

 

近くにいた常村先輩と夏川先輩が止めた方が良いと話をして止めに入ろうとしてくれているのに

 

『!!!!』

 

召喚獣が勝手に暴れ周り2人の召喚獣を相手に戦っている。点数差が200点近くあるので2対1でも、全然劣勢に見えないガンガン押し込んでいる

 

(このままだと不味い!?)

 

「■■■■ッ!!!!」

 

風を切り連続で繰り出される魔手はかなりの速さで繰り出されて来る。近くに壁があるので思うように動けない。本当にこのままだと不味い!そう思った瞬間

 

「ゲイは死ね!」

 

「消えろ!!!」

 

ダダダッ!!!と走ってくる音がしたと思った瞬間。ドカンッと言う音を出してKUBOが吹っ飛ぶ

 

「ったく、いないと思ったら何でこんな所にKUBOがいるのよ」

 

「大丈夫明久?」

 

そこにいたのは美波と優月だった。ああ……2人が来てくれて助かったと思っていると美波が

 

「ウチと木下が入るから、ヴィータは補充に行って頂戴!」

 

いくら後ろにティアナさんが控えているとは言えヴィータさんはかなりの人数を相手に戦っている。点数の消耗が少ないうちに補充して貰う方が良いと雄二が判断したのだろう

 

「美波と優月か、んじゃ交代させてもらうぜ」

 

ヴィータさんが下がり代わりに美波と優月が同時に召喚獣を呼び出す

 

『2-F 島田美波 国語148点&2-F 木下優月 国語278点』

 

おお……点数が上がってる。美波は前は現国と古典をあわせて30点あるかどうかだったのに……

 

「とっと……増援がきたな。どうするよ?常村」

 

「深追い無しだ。また増援が来るとまずいからな、ここは下がって撤退支援に切り替わるぞ」

 

そう言ってばっと飛んで後退しもう1度3年生達に

 

「撤退支援は俺と常村がやる!増援が来る前に撤退していけ!」

 

「戦死してぇならそのまま残って戦ってろ!」

 

2人がそう叫んだと同時に僕達の増援が来る。クラスはDと下位クラスだったが人数が多い、それを見て撤退していく3年生を見ながら深く溜息を吐く

 

「ふう……とりあえず何とかなったな」

 

疲れたのは3年生ではなくKUBOのせいだったのだったのが妙に哀しい

 

「間に合ってよかったわ。KUBOがいるような気がして少し早めに来て正解だったわ」

 

そう笑う美波。素晴らしいといわざるを得ない直感だ。夏村先輩と常村先輩が撤退してから3年生の攻め手が少し緩んだ、どうも向こうとしても2人は相当な戦力だったようだ

 

「それでアキ。坂本からの作戦指示があるんだけど。ちょっと良い?」

 

美波が敵に聞かれないように声を潜めて周囲に目をやる。人数こそは減っているけどまだ3年生は残っている。聞かれる可能性を考えた優月が

 

「それなら明久。補充に行くほどの余裕はないけど、美波と1回下がって休憩してはどう?」

 

相手に作戦を聞かれるわけには行かないと判断した優月がそう提案してくれる。点数はそんなに減ってないけどKUBOとのやりとりで精神的に消耗している。この提案は正直ありがたい

 

「お言葉に甘えさせてもらうね。優月」

 

「ウチは来たばかりなのに、悪いわね木下」

 

「気にしなくていいよ。その分あとで働いてもらうからね」

 

そうウィンクする優月に頷き僕と美波は戦線から離れて。Fクラスに戻りながら

 

「それで美波。作戦って?」

 

辺りに誰もいないことを確認してから尋ねると

 

「例の瑞希やヴィータが腕輪を使う合図があるでしょ?」

 

あのカーテンの合図は判りやすいので判ってるよと頷くと

 

「次にあれが出たら坂本も前線に出てくるから、合流できるように召喚獣を出さないで手前で待機していて欲しいって」

 

雄二がそう言うってことは戦線が安定してきたってことなのかな?何をやるかは知らないけど雄二が直接動くってことはちゃと勝つ見込みがあるってことなんだろうなと思い

 

「それじゃあそろそろ優月のところに戻ろうか「待ってアキ」

 

戦場に戻ろうとすると美波が僕の腕を掴んでくる。何事かと立ち止まると美波は真剣な顔をして

 

「ウチね。この勝負が終わったら、あんたに大事な話があるの」

 

その余りに真剣な表情に思わず息を呑んだ。それほどに美波は真剣な顔をしていたのだ

 

「……えっと、大事な話って?」

 

そう尋ね返すと美波は両手を組んで僕を見て

 

「物凄く大事な話。ウチにとって何よりも大切な話」

 

冗談で言っているのではないと判る、それほどまでに美波は真剣な顔をしていた

 

「わかった約束する。絶対に忘れない」

 

美波がここまで真剣で不安そうな顔をしている。よほど大事な話なのだと判る。普段なら試召戦争のときは僕を動揺させまいとこういう話をしないのに、このタイミングでこの話を切り出してきた。それだけ重要な話なのだろう

 

「ごめんね、アキ。試召戦争に戻りましょうか」

 

「うん」

 

戦争の後で話をすると言う約束をして、僕と美波は再び最前線へと向かっていったのだった

 

 

 

 

 

教室に残したAクラスの生徒にカーテンを出してくれと頼んでから戦線に出ると、戦場を横断する緋色の光線、今のは姫路の色が違うからティアナだな。と考えながら明久達を探していると

 

「明久、雄二が来たよ」

 

秀吉が明久にそう声を掛けると明久が後退してきて

 

「やあ雄二。待ってたよ」

 

「おう。明久、よく囮になってくれた」

 

3年の間でも明久のことは伝わっている。明久が出てくれば3年が明久を狙って来ると判っていたのだ

 

「さてとそれで作戦なんだが、1回前に出て攻撃してすぐに後で召喚獣を戻して、ここに戻ってくれ」

 

俺の言葉に頷き前線に出て行く明久と秀吉を見送る。暫くしてから明久と秀吉が戻ってくる

 

「戻ってきたよ雄二」

 

「それで作戦の説明をしてくれないかな?」

 

「ああ、それは良いんだが、少し待ってろ。もうすぐ来るはずだ」

 

そう言って振り返ると丁度校舎から姫路と島田、それにムッツリー二と工藤が出てきた所だった

 

「すいません。お待たせしました」

 

「ウチ、なんか今日は伝令ばっかりやってる気がするわ」

 

「瑞希も美波も私に喧嘩を売ってるのかな?」

 

姫路と島田が露骨に遠ざけるという顔をして秀吉を明久から遠ざける。全く何時通りといえばそうなんだが……出来たら試召戦争に集中して欲しいんだけどな……

 

「……漸く出番か、ずっと試験で飽きていた所だ」

 

「僕とムッツリー二君が呼ばれたって事は、保健体育があるのかな?」

 

ムッツリー二は保健体育しか点数がないが、工藤はバランスよく点数がある。さっきまで遊撃をしていてもらっていたのだが、攻勢に出るために2人ペアで呼び出したのだ

 

「雄二。龍也達がいないようだけど、龍也達は?」

 

「呼んでないからな。龍也達は普通に3年と戦っているはずだ」

 

そもそもこの作戦に龍也達がいると目立って仕方ない。だからこその少数人数そしてFクラスがメインなんだからな、俺がそう言うと島田がえって言う顔をして

 

「それで勝てるの?」

 

「と言うか、勝つ気は最初からねえ」

 

更に驚いた顔をする明久達にいいか?と前置きしてから

 

「まずこの勝負勝っても負けても対して意味はない。高城グループが一枚噛んでる以上な」

 

もし無理やりクラス変更を通せば援助打ち切り、それはババアにとって最悪の一手だ。多分ババアだって決着がつかないことを望んでいるはずだ

 

「そして仮に俺たちが負けるとすれば明久を生贄に捧げればそれで済む「いやだよ!?あの小暮って人すぐに薬を持ち出すから!」

判っている。だから殺気だった目で俺を見るな島田、姫路、秀吉」

 

俺が明久を生贄と言った瞬間に殺気を身に纏った3人にそう告げる。俺だってそんな手は打ちはしない、その場は良くても後で島田達に何をされるか考えるだけでも恐ろしいからだ

 

「そこで俺達が取る一手は試験召喚戦争の中断だ」

 

「坂本でも高城雅を倒す作戦はなかったって事?」

 

「いや、元から俺は引き分けか和平に持ち込むつもりだった」

 

大体あと自主登校が出来る3年といやでも学校に来ないといけない俺たちじゃ最初から条件が違うし、それに明久を寄越せという高城と小暮も人を物扱いしているようで気に喰わない。後腐りなくこの試験召喚戦争を終わらせるにはこの勝負自体を無かったことにするのが1番得策だと判断したのだ

 

「それで坂本君はどうやって引き分けに持ち込むのかな?」

 

ムッツリー二をつんつんと指で突いて遊びながら尋ねてくる工藤に俺は

 

「試験召喚システムの破壊を目指す。そうすれば否が応でもこの戦争は終わりだ」

 

俺がそう言うと姫路がちょっと待ってくださいと言ってから

 

「ですが坂本君。それだと修理されて再開されるんじゃないですか?教頭は凄く頭がいいですよ?」

 

「確かにね。最近の召喚獣の武器のバリエーションが豊富だったり、腕輪の効果が凄いのは教頭がやってるのよね」

 

確かに博士の頭はずば抜けていい。最近の豊富な武器、ハルバードやサーベル、それにヴィータが使った岩の槍とが良い礼だ。あれだけ頭の良い博士なら修理に出てくると思うのは当然だが

 

「その可能性は限りなく低い」

 

「どうして?」

 

不思議そうな顔をして尋ねてくる明久。他にも工藤や姫路も首をかしげている

 

「相手が3年である事と、海外からの視察が来ているのがポイントだ。ここまで言えば判るだろう?」

 

姫路や島田、工藤はわかったようだが明久達はしきりに首を傾げている。別にお前達が理解してくれるとは思ってねえよ……

 

「判りましたよ坂本君、試験召喚戦争も視察も両方とも今を逃したら厳しい状況になるって事ですね?坂本君」

 

「その通りだ姫路。いいか馬鹿ども、視察は早く結果が欲しいからリンネを送り込んできた。まぁ向こうの思惑は失敗したようだがな」

 

まさかの視察のボーイッシュ系の女子が恋に落ちるとは向こうの教師も考えてなかった事態だろう。ここは明久の優しさが良かったと言うべきだろう

 

「そして3年は受験を控えている。システムの修復や再開準備とくれば少なくとも2週間から1ヵ月。そんな事をしている余裕はなくなるってわけだ」

 

「それに1ヵ月も後になったら3年生が設備を手に入れる意味がなくなるもんね」

 

島田が納得したようでうんうんと頷きながら言う。明久やムッツリー二じゃこうはいかないなと思いながら

 

「以上の理由で試験召喚が中断される可能性が非常に高いというわけだ。作戦は理解したな?」

 

俺の言葉に頷く明久達を見て入ると姫路が俺に

 

「でも具体的には何をするんですか?」

 

む。明久達ならこれだけで判るが姫路達では駄目か。まぁ考え方が違うから仕方ないな

 

「4階に意識が向いている今のうちに学園長室に向かって大立ち周りを演じて」

 

「僕がシステムを破壊する。そう言うことだよね?」

 

流石明久俺が考えていることをちゃんと判っているようだ、島田に姫路そして秀吉は心配そうな顔をしている。確かに学園の設備を破壊するなんてリスキーな真似を明久がすると知って心配するのは当然だが

 

「このまま普通に勝負をして翔子や他のクラスの代表が討ち取られて戦力低下になるとますます俺達の勝率は低くなる。そうなれば向こうは明久を寄越せと言い出すだろう。それで良いのか?」

 

「「「良くない!」」」

 

即答する姫路達に苦笑しながら俺は明久を見て

 

「と言うわけだ、多少のリスクは背負ってもらうぞ明久」

 

教師に目をつけられる程度でこの勝負を無かったことに出来るんだ、明久にとってもそう悪い話ではないだろう。あとは魔王と高城の争いに巻き込まれてくれればそれで全て丸く収まるのだから

 

「ここからは役割分担だが、明久は当然実行犯だ。向こうの戦場のメインはAクラスになるだろうから姫路は明久と一緒に行動してくれ」

 

少数精鋭の電撃戦。成功すればそれで勝負は終結。ミスればFクラスは半壊、ハイリスク・ハイリターンだが仕方ない。情けない話正面衝突では地力に劣る分こちらがふりなのだから

 

「オッケー。任せておいてよ」

 

「明久君はちゃんと私が護ります」

 

握り拳を作ってやる気をアピールする姫路。これなら大丈夫そうだな

 

「そして俺もお前らと行動を共にする。教師がいない場合は俺が腕輪の力でフィールドを作る必要があるからな」

 

主要戦場ではない以上フィールドがない可能性もある。その可能性を考慮して俺もこうして前線に出てきたのだから

 

「……では俺達の役目はなんだ?」

 

「もう。考えれば判るでしょ?ムッツリー二君。坂本君達の護衛だよ。そうでしょ?」

 

そう尋ねてくる工藤。本当にAクラスの連中は話が早くて助かるな。一から全部を説明する必要が無い

 

「そう言うことだ。合図が来たら作戦開始だ。心構えをしておいてくれ」

 

「合図?何か合図があるの?」

 

素っ頓狂なことを言う明久の頭を軽く叩いて

 

「散々見ただろうが?もう忘れたのか?」

 

旧校舎のほうを見ながら言うと秀吉があっと言ってぽんっと手を叩き

 

「カーテンだね?」

 

午前中から何回も何回も腕輪の攻撃の合図になっているカーテン。それが今回俺達が突撃するための合図となっている

 

「そういうことだ、一応突撃支援でヴィータとティアナが同時に腕輪を使う。その間をすり抜けて一気に突破するぞ。両サイドから

一直線で放たれる、敵陣の中央突破だ。立ち止まるなよ」

 

腕輪のコントロールが上手い2人なら俺達の突入経路の確保をしてくれるはずだ

 

「なるほど、あれは敵を消耗させるだけじゃなかった事ね」

 

「最初からこうするつもりだったってことですね。坂本君」

 

最初からそう言う計画だった。カーテンは相手にも目に付く、カーテンで腕輪の攻撃が来ると思わせて警戒させる。その間に強行突破する為の布石だったのだ。

 

「さてと……そろそろ来るはずだが?」

 

旧校舎のほうを向くそれと同時に通路から3年の怒声が響き渡る

 

『またあのカーテンだ!でかいのが来るぞ!』

 

『避けろーッ!!!』

 

カーテン=腕輪による攻撃。そしてそれはただのブラフではなく、即座に炎と岩の槍が真ん中を避けて放たれる

 

「行くぞお前ら!一気に駆け抜けるぞ!!」

 

「「「っしゃあ!!!」」」

 

腕輪の効果の持続時間は2~3分。その間に駆け抜けぬける!3年は腕輪を警戒しすぎて大きく間合いを取っている。これなら行ける!新校舎を目指して走っていると旧校舎の窓から翔子が顔を出し

 

『が・ん・ば・っ・て』

 

口の動きで何を言っているか判る。俺は翔子のほうを一瞬だけ向いて拳を突き出した、言われなくても頑張ってこの戦争を終わらせてやるからな!俺はそんな事を考えながら新校舎の中にと飛び込んだのだった

 

 

 

 

「そろそろ雄二達は突入に成功した頃合か?」

 

雄二が言っていた作戦決行時間となった。雄二の作戦は勝つのではなく引き分けにする、それは中々に面白い発想だと思った。私は最も進撃が激しいエリアの後方で待機していた、A・B・Fの混成部隊、弱点が少なく。そして操作に長けたFクラスがいて拮抗状態になっている戦場だ。だが試験召喚システムの大本が壊されればそれで終わりだ

 

(これで終わるか?)

 

旧校舎の4階からグラウンドの流れを見ていて気付く

 

(人数が少ない?)

 

雄二達が突入したと言うのにそれを追って行く人数が余りに少ない。それ所か追う気配を見せずにDクラスやBくらすとの戦闘を続行している面子もいる

 

「しまった。罠か!?」

 

高城は搦め手は苦手だが、あの小暮と言うのはとことん頭が切れる。雄二がこういう一手を打つことを計算に入れていてもおかしくはない

 

「ちっ!優子、翔子!ここは任せる!」

 

「ちょっ!?どうしたのよ龍也君!」

 

「罠だ!新校舎の方に何かある!」

 

私の感が言っている、これは罠だと。少数精鋭の電撃戦、それが破られたときのリスクは当然大きい。それで雄二が討ち取られれば私達も自動的に補習室送りだ、そうなれば2年に勝ち目はない

 

「私が合流する!ここの戦線は任せる!」

 

「……判った。雄二を助けてあげて」

 

「任せろ!」

 

翔子の言葉にそう返事を返し、階段を3段飛ばしで駆け下り。開いていた窓から飛び出す、すぐ下は新校舎に続く渡り廊下の天井の上だ。その上に着地し一気に新校舎を目指して走り出す

 

(全くネクロとはまた違った戦術だ!)

 

ネクロとの戦いとはまるで違う。当然といえば当然なのだがこのまま何もせずに負けると言うのは余りに面白くない、私はそんな事を考えながら新校舎の中に飛び込んだ、案の定激しい戦闘の音がここまで聞こえてきている。やはり向こうは雄二のこの手を読んでいたようだ

 

「な!?八神どこから!?」

 

驚いている3年が召喚獣を構えさせる前に召喚獣を呼び出しながら

 

「窓からだ!」

 

驚いている3年の召喚獣を一撃で切り伏せ私は学園長室のほうへと走り出したのだった……

 

 

第116問に続く

 

 

 




次回は原作とは全く違う流れにしようと思っています。面白い方向性に持って生きたいので原作のシリアス感はちょっといやなんですよね。最後まで面白可笑しい流れで行きたいと思っています。落ちもちゃんと考えてありますしね、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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