バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回から第12巻の内容に入っていきます。最終巻ですね、原作とは違う落ちにしようと思っているので、どんな落ちが待っているのか?楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いしま


第114問

 

 

第114問

 

試召戦争の2日目。私は窓の外からグラウンドを見て

 

「小暮。2年生の動きはどうですか?」

 

昨日は最後の最後のほうでこちらが少し押し込みましたが戦力的にはそこまで削れてはいない、Bクラスだけは半壊させたがそれ以外は殆ど無事だ、今日も何かの作戦を立てているかのように見える2年生の状況を尋ねると小暮は

 

「2年生は1部戦闘区域を放棄。防衛線を張りなおしていますね、渡り廊下や通路のほうは召喚獣の操作に長けたFクラスとDクラスを配置しているようですね」

 

そんな大事な部分にFクラスの生徒を配置?なにか裏があるかもしれませんね

 

「Fクラスが多い地点にCクラスを前衛にしてAクラスを後衛にして配置してください。罠があったとしてもAクラスが生き残るように」

 

最悪Cクラスは捨て駒だ。あれだけの優秀な頭脳が集まっているのです。何か裏があると考えるのが普通でしょう

 

「判りましたその配置をするように指示を出しておきます」

 

そう言って教室を出て行く小暮の背中を見ながら私は

 

(この勝負どう動くかわかりませんね)

 

まだ何かあるかもしれない。アキ君や2年生の皆さんがどう動くのかを期待する半面

 

(こんな方法でしか私はアキ君を振り向かせることが出来ないのでしょうか?)

 

3年生が勝って私と一緒に留学する生徒にアキ君を指名して2人で留学する。そうすればあえなかった時間を生めることが出来ると考えていた、だけどこうして試召戦争が進むたびにこれでいいのかと思う。だがここまで来た以上進むしかない

 

(この先どうなるかですね)

 

負けるかもしれない、そんな嫌な予感を感じながら。試召戦争の2日目開始を告げるチャイムが鳴ったのだった……

 

 

 

 

「それで今日はどんな指示を出したの?」

 

各クラスの会議を終えて帰ってきた雄二にそう尋ねると雄二は

 

「特に大した指示は出してない。Fクラスを敵の攻め手が激しい所に配置して、Dクラスは男女で適当に配置した。あとは更に戦場を狭くしたくらいだな」

 

大掛かりな作戦指示を出してはないようだ。その指示を聞いた木下さんが

 

「坂本君それだけで大丈夫なの?」

 

「今のところはそれでいい。動き出すのは後だ」

 

どうやらあとで大掛かりな作戦に出るための布石の段階のようだ。それならば指示を待てばいいかと思っていると

 

「なんだ木下姉?不満そうだな?」

 

「不満ってわけじゃないけど。もっとこう一手で戦局を引っ繰り返せるようなのを期待してたのよ」

 

Fクラスといえば逆転勝利見たいのが定番になっている。だからそれに期待するのは当然かもしれない。雄二はその言葉を聞いて

 

「追い込まれてから打つ一手は失敗しやすい。今は一方的に押されている状況を自力で押し返す必要があるんだ」

 

その説明に木下さんは

 

「地力って……あたし達と3年生なら3年生の方が強いんじゃないの?」

 

確かに学力で考えれば向こうの方が上だ。そう思ってしまうのは無理もない、雄二は木下さんの言葉を聞いて

 

「それは否定しないが、その実力差以上に今は押されているんだ、まずはいつも通りの環境を整える」

 

「いつも通りの環境って?」

 

不思議そうに首を傾げる木下さんに雄二はにやりと笑いながら

 

「まぁ見てりゃ判るさ。楽しみに待ってろよ、期待通り一手で戦況を引っ繰り返してやるからよ」

 

いつも以上に自信満々な顔で言う雄二に木下さんもこれいじょう聞いても意味が無いと判断したのか

 

「……そこまで言うなら黙ってみてるわよ」

 

まだ納得は言って無いという感じだが、木下さんはこれ以上雄二に作戦を尋ねる事はなく、指揮組みとの相談をする為か僕達から離れていった、入れ替わりで美波が来て

 

「所で根本は?今日は来てないの?」

 

美波の問い掛けにムッツリー二がにやりと笑いながら

 

「……精神的と肉体的に叩きのめした。今日は出てこれないはず」

 

「そ、別に居てもいなくてもいいけどね。不協和音になりそうだし」

 

美波がそう笑って教室を見てから

 

「瑞希に愛子。それに龍也達が居ないけどどこに配置しているの?」

 

美波の問い掛けに雄二は

 

「ああ、龍也達はFクラスの後ろで待機してもらっている」

 

「……何のために?雄二。龍也達は戦力になる、そんな所に配置するより前線の方が……」

 

霧島さんの問い掛けに雄二が答える前に僕は

 

「脱走兵の首を刈る為だよ。霧島さん」

 

僕の言葉に木下さんが呆れたという素振りを見せながら

 

「何を言ってるのよ吉井君は……そんなことあるわけ……「それも目的のひとつだ。よく判ったな明久」あるの!?」

 

戦争慣れしているFクラスでも全力じゃないと押し返せない戦場。脱走兵が居てもおかしくない、だからこそそう思ったのだ

 

「酷い運用をするのね。クラスメイトなのに……」

 

木下さんの批難するかのような呟きに雄二はふふんと笑いながら

 

「良い事を教えてやろう木下姉。Fクラスの連中を使うのなら、遠慮は無用だ99%生還不能だと思える状況を更に悪化させてから何も教えずに飛び込ませるくらいで丁度良い」

 

そして脱走兵は見せしめに首を刈る。素晴らしい恐怖政治だ

 

「そんなひどいことをして補充試験の時に鉢合わせして仕返しされても知らないわよ?」

 

木下さんの問い掛けに優月が

 

「それは無いよ姉上。補充試験の会場と補習室は別物だからね」

 

試召戦争で負けたことの無い木下さんはどうも補充試験と補習室をごっちゃにしていたようだ

 

「それに今回は人数が多いから、補習室送りになっても同じクラスになるとは限らないよ」

 

そして仮に同じクラスになったとしても監視の目がある。仕返しは愚か、私語の1つだって許されないんだよ?と話をしていると授業開始のチャイムがなる

 

「試召戦争の始まりだな。お前らもいつでも出れるように準備をしておけよ」

 

雄二の言葉に頷き。こうして試召戦争の2日目が幕を開けたのだった

 

 

 

 

「ほ、本当に押し返している」

 

旧校舎の上から戦況を見て木下姉が驚いたように言う。

 

「何を驚いているんだ?押し返すってことは一方的に押されなくなったってことだろ?」

 

まだこれは始まったばかりだ。状況はまだ何ひとつ好転してない、驚くのはまだ早いと思いながら言うと

 

「十分驚くわよ。あたしや代表があんなに戦力配分をしても戦線は戻らなかったのに……」

 

ぼやくように言う木下姉。昨日俺たちが孤立している間に相当苦労したようだな

 

「……はい。雄二、戦力配分」

 

「サンキュ翔子」

 

翔子から受け取った戦力配分図を見ながら

 

「戦果の大部分は追撃によって生まれる。って話は知っているか?」

 

「知らないけど……意味は判るわ」

 

こういう時に頭の良い奴は助かる。明久とかみたいに1から説明する必要が無いからだ

 

「白兵戦が主だった頃。戦争の被害は主に敗走中の追撃が大きな割合を占めていた]

 

正面からの勝負と撤退中の勝負、どちらが大変かなんて考えるまでも無いだろ?と尋ねるとええと頷く木下姉に

 

「もしもだが根本の裏切りが無く。作戦が完了していたらここまで押し込まれることは無かった」

 

正面きっての戦力戦ではこっちが押していたのだから。問題は根本の独断で場所移動したBクラスだ、それで俺の考えていた作戦が全部崩れてしまった

 

「あのまま戦力分断が成功していたら、戦力組みのAクラスと龍也達を投入して殲滅戦を仕掛ける予定だったんだ」

 

「普通に攻め込まなかったのは理由があったの?」

 

そう尋ねてくる木下姉に少し待てと言って

 

「翔子。Bクラスの残存兵をCクラスと合流。防戦ラインを張りなおさせてくれ、支援はFクラスを使ってくれて構わない」

 

「……判った伝えてくる」

 

頷き教室を出て行く翔子を見ながらおれは説明の続きを始めた

 

「どんな連中だって1度戦線が崩れてしまったら浮き足立つ。そしてそんな中の撤退は明らかに愚策、押し返すのが正解なんだ」

 

「なんでよ?高い点数の生徒が弱った生徒を護って撤退。理にかなっているのはこっちじゃないの?」

 

確かにそれは一見正しい策なのだが、それを召喚獣でやるとなると話が変わってくる

 

「生身ならそれでいい。だが召喚獣の操作は難しい。勝ちなれているAクラスがそんな器用なことを出来ると思うか?」

 

あっと言う声を出す木下姉。そう昨日押し込まれてしまったのは撤退慣れしてないA・Bクラスがその役をしたからだ

 

「龍也達がいれば上手く撤退できたんだろうが、高城って言うのは頭がいい。龍也達を完全に抑えていた」

 

A・B・Cクラス混成部隊で龍也達が居たエリアは完全に封鎖していた。だから撤退できなかったのだ

 

「FクラスやDクラスが居れば撤退も楽だったんだがな」

 

「FクラスはわかるけどDクラスが居ると楽ってどういうこと?」

 

「あのクラスの女子は総じて気が強い。負けかけているのを全く気にせず攻める事が出来る」

 

負け慣れしている下位クラスは撤退が得意だからなと言いながら窓の外を見る。D・Fクラスが主に前に出て少しずつ押し返し始めている。それによって開戦当時のぶつかり合いで浮き足立っていた、A・Bクラスが冷静さを取り戻して押し返し始めているのを見て

 

「なるほど。下位クラスが渡り合っているのを見て他のクラスも落ち着きを取り戻すわけね」

 

納得したと言う感じに頷く木下姉を見ながら、そろそろ動くか

 

「俺はたいした事はしてないけどな」

 

むしろあそこで身体を張っているFクラスの生贄が頑張っているって言う所だな。そんなことを考えながら窓の外を見る。いい感じに戦況が変わってきたな

 

「明久。準備は良いか?」

 

「オッケー」

 

明久と一緒に備え付けられたカーテンを片手に持ち窓を開ける

 

「いくぞ。3、2、1……GOッ!」

 

「ほい!」

 

カウントダウンが0になると同時に窓の外にカーテンを放り出す。レールに繋がれたカーテンが風に吹かれ大きく広がった、それと同時に一条の熱線が戦場を縦断する

 

「え!?何をしたの吉井君に坂本君!?」

 

驚く木下姉に俺はカーテンを回収しながら

 

「俺達は合図を出しただけだ。やったのは姫路だな」

 

あの炎は姫路の召喚獣の腕輪の力だ、あとあそこに残ってるのはヴィータとティアナだな。KUBOはどこにいるか知らんし

 

「……凄い数を巻き込んでる」

 

ぼそりと呟く翔子。翔子の言うとおり姫路の召喚獣は多くの敵を葬り去った。しかもFクラスの大半は無事だ

 

「ファランクス・ブレイズ。ぶっつけ成功だな」

 

狭い通路での集団行動の発展系。ファランクス・ブレイズ(命名須川)突撃班を腕輪を持つ生徒に置き換えての殲滅用のフォーメーションだ。前衛に囮、合図で殲滅を前衛の役割が重要なフォーメーションだ

 

「凄いわね……」

 

感心したように呟く木下姉に

 

「まぁな。姫路だって2年じゃトップクラスだからな」

 

純粋な火力でははやてや翔子に劣るが、姫路のは炎と言うことで暫くフィールドに残る。それがこの場面では効果的なのだ、操作に長けたFクラスは炎を避けて攻撃に出れるからだ。そして3年はフィールドに残る炎で分断され思うように動けない。1石3鳥のフォーメーションだ

 

「そうじゃなくて。あたしが言っているのはあの状態に持って行ったことよ」

 

「ああ、そりゃ簡単だ。囮連中が頑張ってくれたんだよ。まぁ合図で飛びのくだけだからな、しっかり合図を見ていれば巻き込まれることも無いだろうしな」

 

戦いながら上手く誘導したFクラスの生徒の頑張りだな。と翔子達に説明しているとどうやら連携が上手く行ってなかった連中も居たようで

 

『ぎゃー巻き込まれて点数が消し飛んだぁー!!!』

 

『戦死する!退避!退避ーッ!!!!』

 

「「「………」」」

 

慌てているFクラスの声を聞いた翔子達が俺を見る

 

「しかたねえ。ぶっつけ本番だし、しかも想定した場所より狭いしな」

 

本当はもう少し広いエリアで誘導して使う予定だったのだが、狭い通路になったことで飛び火してしまったようだ

 

「まぁ次はもう少し上手く行くだろうよ。明久、姫路に戻って補充を受ける用に伝えてお前はそのまま戦場に残って戦ってきてくれ」

 

俺がそう言うと明久は嫌そうな顔をして

 

「伝令に行って瑞希と一緒に戻ってくれば良いんだね」

 

「いや戻ってくるな。お前は留まって戦え」

 

「絶対にいやだ」

 

両手をクロスして×を作って首を振る明久。確かに召喚獣のフィードバックがある明久にあの戦場はヤバイだろうが

 

「お前は2年生で1番厄介な生徒だ。3年も襲ってくる囮を頼む」

 

俺がそう言うと明久はえーと言ってぶつぶつ言ってる。フィードバックのことを心配しているのだろう。あの戦場は言うなれば生きるも死ぬも召喚者の召喚獣の操作の腕に掛かっている。いくら召喚獣の操作に長けた明久でも不安に思っているのだろう

 

「我がままを言うな明久。島田も秀吉もムッツリー二もそれぞれの持ち場に移動するんだ、お前だけこんな所に居ていいわけが無いだろう?」

 

俺がそう言うと渋る明久を説得するのを木下姉と翔子が手伝ってくれた

 

「吉井君は坂本君の考えている作戦に必要なんだから、囮にするにしたって戦死をさせることは無いと思うわよ?」

 

当たり前だ明久は囮として優秀なだけじゃなく後半の作戦に必要な人間だ。こんな所で戦死されたら困る

 

「……それに向こうにいるFクラスにも吉井の重要性は知ってる。きっと逃げるのを手伝ってくれるはずだから、頑張って」

 

2人にそう言われた明久ははぁっと深い溜息を吐いてから

 

「判ったよ。行って来る、霧島さんに免じて行って来てあげるよ」

 

戦場で目立ってくれれば良い

 

「余計なことを言ってないでさっさと行って来い」

 

へいへいと返事を返し教室を出て行く明久を見送り。戦況を見ながら

 

(これが使えるのは後2~3回って所か)

 

1回目だから成功したが繰り返すたびに成功率は落ちるだろう。だがそれでいい次の一手が生きてくるからな、この召喚戦争は高城が明久を手に入れるために起こした勝負、ならそんなくだらないものに最後まで付き合う道理は無い

 

(途中で終わらせる。この戦いを)

 

俺の目的は勝つことじゃない、この戦争を終わらせることだ……明久と高城の問題は俺には関係ない。後で明久に頑張ってもらえばいいのだから……俺は戦況を見ながら動くタイミングを考え始めたのだった

 

 

 

 

雄二の作戦は思ったとおりに進んでいるな。私はDクラスとCクラスの混成部隊の後ろで腕輪要因として待機をしながら。戦況を見ていた。昨日ほど押し込まれておらず、私とはやての腕輪がそれぞれ1回ずつ炸裂し攻め込んできたB・Cクラスを撤退させるのに成功した。だが何か嫌な感じだ

 

「どう思う兄ちゃん?」

 

はやてもそれを感じ取ったのかそう尋ねてくる。私は

 

「とは言えここを離れるわけには行かないしな」

 

私とはやての残り点数はそれぞれ450点強。あと2~3回は腕輪を使える計算だ。ここは交代要員が居ないのでもう少し粘る必要がある。向こうが攻め込むのを諦めるまでだ

 

「なんかありそうやよね兄ちゃん」

 

向こうが何かを企んでいる気配を感じるが、これは雄二や明久達の戦いだ。私達が前に出るのはお門違いと言うものだろう

 

(与えられた役割は果たすが。この試召戦争を治めるのは私達ではない)

 

なのは達にも話は通しているので応戦や与えられた役割は全うするだろうがそれ以上はしないだろう。私は再度編隊を組んで進撃してくる3年生達を見ながら

 

「数学の点数の高い生徒は前に出てくれ、盾を装備している生徒は点数の高い生徒達の間に移動」

 

ファランクスシフトはFクラスの生徒でなければできない。だから私達がするのは抜かれない編成で応戦。隙を見て腕輪攻撃だ

 

「抜かせたらあかんで~皆頑張ってなー!」

 

はやての合図で今日始まってから4回目の戦闘が始まったのだった。それを見ながら私はこの勝負がどう動くのかを考え始めたのだった……

 

そして高城が明久を手にするために始めたこの試召戦争は今から5時間後、誰も想像しえない結果で終結することになるのだった……

 

第115問に続く

 

 

 




次回は雅の視点を少し多めにして行こうと思っています。どういう結末を迎えるのか?楽しみにしていてください、多分「えっ!?」っと思わせれる結末に出来ると思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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